実は電動歯ブラシだけでは 歯間部のプラークまでは取れません
手で磨くよりも清潔にでき、時短もできる、それが一般的な電動歯ブラシのイメージではないでしょうか。少なくとも、ユーザーはそれを期待して購入した人が多いでしょう。しかし、そのイメージに大きな勘違いがあることが、現役歯科医への取材でわかりました。
電動歯ブラシのHPには、水流で歯間部のプラークまで除去するとの表記があります。このイメージならキレイになりそうですが、歯間部のプラークは電動ハブラシでも除去しきるのは難しく、大手町デンタルクリニックの島倉院長は「電動ハブラシだけでは不十分」といいます。
ご協力いただいたのはこの方々
大手町デンタルクリニック
東京都千代田区大手町1-5-1
大手町ファーストスクエア ウエストタワー 1F
「手磨きの基本」が結局、 電動歯ブラシでも重要です
「電動歯ブラシを使いこなすには、電動歯ブラシの能力を最大限に活かすことが前提です。その能力を引き出すのが、基本の手磨きなんです」と、島倉院長は手磨きの大切さを指摘します。
歯を磨く目的であるプラークを落とすにはブラシを当ててこする機械的除去が必要で、それは電動歯ブラシでも同じ。基本の手磨きができているかどうかが非常に重要なのだそうです。
島倉院長いわく、「電動歯ブラシは手磨きにはない振動が得られますが、優先順位として上なのはブラッシング技術。しかも、ブラッシングで大事なのはハードよりもソフト(技術)」とのこと。
電動歯ブラシを使いこなすには「基本の手磨きができているかどうか」が大切だということがわかり、歯医者さんが手磨きを推奨するのにはきちんとワケがありました。
電動歯ブラシで効果を出すには、ベースの手磨きがものをいいます。
電動歯ブラシを有効に使うためには 当てる場所と適切な力を意識しましょう
では、電動歯ブラシでプラークを劇的に落とすには、どのような磨き方を心がけたらよいのでしょうか? 引き続き、島倉院長にお伺いしました。
磨きの基本①:歯周ポケットと隣接面に正しくブラシを当てる
歯周ポケットや歯と歯の隣接面は、意識しないとブラシの毛先がそもそも当たりにくいところ。ただブラシを上下左右に動かすのではなく、歯のどの部分に当たっているかを常に意識しましょう。
磨きの基本②:適切な力加減で磨く
単にブラシを当てて強くこすればいいわけではありません。歯茎を傷つけない適度な力加減が必要です。
ブラシを当てるべき場所と力加減の把握が重要!
手鏡を見ながら歯を磨くといいそうですが、電動歯ブラシは開口状態では使えません。プロの懸念は、「電動歯ブラシはブラッシング技術が身に付きにくいこと」だといいます。しかし、“当てる場所”と“適切な力加減”を意識して正しく磨けば、電動歯ブラシを有効に使うことができるとのことです。
いくら電動歯ブラシの性能が良くても、それを使う私たちの技術や知識が欠けていれば意味がありません。磨きの基本がわかったところで、次は歯科衛生士の須藤さんに具体的な磨き方をレクチャーしていただきます。
絶対に意識してほしい2カ所を こうやって磨くのがプロの技!
「絶対に意識してほしいのは、歯周ポケットと隣接面です」と須藤さん。この2カ所は意識的にブラシの角度などを調整しなければプラークを除去しきれない部分。歯周ポケットと隣接面、それぞれの磨き方をお伺いしました。
歯周ポケットの磨き方①:場所をチェック
歯と歯茎の間の窪み部分が歯周ポケット。立体的で毛先が入りにくいですが、プラークは溜まりやすいところです。
歯周ポケットの磨き方②:ブラシを斜め45度に当てて磨く
ブラシを斜め45度にして、歯周ポケットに当てるバス法で磨きます。電動の場合は角度に注意すればこする操作は自動で行えます。
隣接面の磨き方①:場所をチェック
歯と歯がくっついている部分が隣接面。歯ブラシの毛先が貫通しないため、ブラシの当て方を意識する必要があります。
隣接面の磨き方②:ブラシの頭とかかとを歯間に入れ込む
ブラシの頭とかかと部分を使って、毛先を隣接面に当ててこすります。理想は歯周ポケットも隣接面も1本ずつ磨くことが理想です。
意識しないとプラークが落ちない歯周ポケットと隣接面は平面にブラシを当てるだけではダメなことを学び、普段の手磨きがいかに大事かに気付かされました。手磨きはもちろん、電動歯ブラシを使用するときも、この磨き方を常に心がけるようにしましょう。
電動歯ブラシでは落ちないプラーク フロス&歯間ブラシの併用がマスト
正しいブラッシング指導を受けても、除去できるプラークは6割弱。しかし、電動歯ブラシと一緒にフロスや歯間ブラシを使えば、9割まで除去率を上げられるといいます。
「電動歯ブラシでもフロスと歯間ブラシはマスト」と、歯科衛生士の須藤さん。
プロが絶対意識すべきと明言する歯周ポケットと隣接面は、特にプラークを除去することが難しい部分であるため、普段からフロスや歯間ブラシを取り入れるべきとのこと。フロスは歯科治療の現場でも実際によく使われています。
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正しい磨き方を身に付けるなら 歯科医院でのブラッシング指導を
正しい磨き方が身に付くまでは、プラークを赤や青に染め出す「染め出し液」を使用するプロのブラッシング指導を受けてみるのもおすすめです。須藤さんにブラッシング指導をしていただきました。
ブラシを当てる場所や角度を念入りにチェックし、
左右の歯を指導前と指導後に磨き分けてから「染め出し液」で染色。
意識せずに磨いた場合と、正しいブラッシングを意識した場合の磨き残しを比較すると……、
左が指導前、右が指導後。指導前は全然プラークが取れていませんでしたが、指導後は歯周ポケット付近がキレイになり、磨き残しが大幅に減りました。
手磨きにも電動歯ブラシにも共通していえるのは、正しい磨き方を身に付けること。磨くときの意識の違いで、こんなにも磨き残しがなくなるとは驚きました。
最後に番外編として、電動歯ブラシを使用する際におすすめの歯磨きをご紹介します。
電動歯ブラシには低研磨・低発泡の ジェルタイプの歯磨き粉がおすすめ
電動歯ブラシに使用する歯磨き粉は低研磨・低発泡のジェルタイプがおすすめです。歯を傷つけず、泡立ちすぎないものを選ぶようにしましょう。
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歯医者さんが「電動歯ブラシだけでは不十分」と断言する理由が十分に理解できました。正しく磨いてフロスや歯間ブラシを併用すれば、さらにキレイになります。ぜひ習慣化しましょう。