電気自動車、現行車種10モデルを試乗しました
ここ数年で急速に進化をしているEV(電気自動車)。興味はあるけど「実際に乗ってみたらどうなんだろう?」と思っている方も多いかもしれません。
そこで今回は、未来のクルマの現実を探るため、現在購入できるEVの中でも人気モデルを10台実走し、その内容をプロと編集部が本音でレビューしました!
EV(電気自動車)の基礎知識
EVが欲しいと思っても意外と知らないことって多いもの……。まずは、今更聞けない基礎中の基礎も含めて確認していきましょう。
1:ガソリンを使わず電気で走ります
EVはガソリンや軽油などの化石燃料を燃やしてエンジンを回し、動力を得るのではなく、電気を大容量バッテリーに充電しモーターを駆動させます。
電気代は1kWhでおおよそ10~30円ほどになり、ガソリンと比較してもかなり出費を抑えることができます。
2:充電スタンドや自宅で充電可能
公共施設やディーラーなどに設置された充電スタンドや、自宅に充電器を設置することで充電でき、自宅の場合は200Vの普通充電器となります。充電方法は「普通」と「急速」の2種類あります。
ちなみに、機種によりますが自宅に充電器を設置する場合、補助金が適用されます。詳細はディーラーで相談するのがいいでしょう。
3:新車購入時は最大40万円の補助金あり
一般社団法人次世代自動車振興センターの「CEV補助金」を活用するか、また自治体によっては独自の助成により10万円のサポートが受けられるケースもあります。
EVにも個性あり! 3つのカテゴリー
最近のEVは、ユーザーのライフスタイルに応じて車種を選べるほど、多様化しています。大きく3つにカテゴライズすることができます。
1:ファーストカー
航続距離が長く1台でほとんどの用が足すことができます。1台ですべて完結しようとするならばこちらのモデルがベストです。
2:街乗り・セカンドカー
航続距離が短く取り回しがいいモデルで、平日は駅までの送迎や近所までの買い物など街乗りや郊外での利用をメインとした近距離での利用におすすめです。
3:富裕層向けスポーツカー
価格も含め「富裕層向けのスポーツカー」は、路上ではややオーバースペックですが、驚異的な加速や、高い次元のコーナリング性能など、まさに新次元のスポーツカーといえます。
今回は「富裕層向けスポーツカー」タイプの中から、PORSCHE「Taycan」をレビュー。10車種の中で電費計測は間に合わなかった車種なのですが、「走り・取り回し」「バッテリー」「コネクテッド」「先進性」の性能はしっかりチェックしました。
乗り手を選ぶ高い完成度 ポルシェ「Taycan」
ポルシェ(PORSCHE)
Taycan
実勢価格:1171万円~
サイズ・重量:全長4963×全幅1966×全高1378mm・2380kg
駆動方式:4WD
最高出力(システム):761ps
最大トルク(システム):1050Nm
バッテリー容量:93.4kWh
走行可能距離:412km
タイヤサイズ:前265/35ZR21/後305/30ZR21
▼評価
一充電走行距離:333km~
バッテリー:◎
走り:◎
取り回し:◎
コネクテッド:◎
先進技術:◎
総合評価:S
PORSCHE「Taycan」の走行性能は、まさにスーパースポーツの異次元レベル。ただし、価格も異次元!となっているので、余裕のある富裕層にしかオススメできません。
路上では完全にオーバースペック!
タイカンは「ローンチコントロール」という機能を使うと瞬間的に761ps(560kW)まで出力が上がり、0-100km/h加速は2.8秒という驚異的な加速を得ることができます。コーナリング性能も高い次元でバランスされている新次元のスポーツカーなのです。
走り・取り回し:乗った瞬間から名車の予感!
最上級グレードであるターボSに試乗すると、ポルシェという企業が改めて偉大であることに感銘を受けました。圧倒的な加速力だけでなく、滑らか、かつ絶対的に安定したコーナリングは次元が違いすぎます。誰もが高性能を得られますが、やはり乗り手を選ぶクルマです。
2グレード構成ですが、同じモーターでも制御を変えることで出力を変えてあります。軽量ボディに高出力モーターの加速は強烈の一言。加速のよさはスポーツカー級です!
バッテリー:大容量ですが、充電インフラはこれから
リチウムイオンバッテリーは93.4kWhの大容量ですが、ポルシェ独自のハイスピードな充電設備の全国への展開はまだこれからです。
コネクテッド:独自のポルシェコネクトを搭載
地図更新や交通情報の取得も可能なナビ機能や、スマホを活用したリモートコントロール機能など充実した内容を持ちます。
先進性:デザインからして先進感満載
エクステリア、インテリアともポルシェのテイストを継承しつつ先進的なデザインを展開、先進運転支援システムも充実しています。
車両価格と充電インフラはユーザーを選びます
このクルマを脅かす存在はしばらく現れないのではないか、と思わせる位です。一方で、そもそもターボSの車両本体価格は軽く2000万円超え、ベーシックな4Sでも1500万円に近いです。
自分の好みのオプションを加えれば、さらに価格は上がります。とにかく富裕層向けのスーパースポーツであることは間違いありません。あとは充電インフラの充実に期待したいです。
以上、PORSCHE「Taycan」の「走り・取り回し」「バッテリー」「コネクテッド」「先進性」のご紹介でした。ポルシェ「Taycan」はEVでもクルマはどうあるべきかがわかっている、そんな一台です。
『家電批評』2021年5月号
晋遊舎
『家電批評』
2021年5月号
「家電批評」2021年5月号の特集「電気自動車10大メーカー グランプリ2021」では、この他にも本音レビューを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。