一般的な焼き方は焼きムラが目立ちます
まず、試してみたのはオージービーフのサイトなどに掲載されている「強火30秒+弱火1分」という焼き方。片面ずつをこの時間で焼いていきます。
<①強火30秒>
油からふわっと煙が立つくらいまでフライパンを熱し、常温に戻して下味をつけたお肉をのせます。水分をこの30秒で閉じ込めるのが目的ですが、「ジューっ!」と音とともに、かなり水分が飛んでいくことに。30秒は意外と長く、表面のあちこちが焦げ気味になってしまいました。
<②弱火1分>
続いて弱火にして1分。中に火を通す目的ですが、弱火にしてもフライパンの表面温度はしばらく220℃程度で、あまり低くはならないので、どんどん表面が焦げていってしまいます。余熱調理とは違い、適温にするのはかなり難しいと言えます。
<③裏返して強火30秒+弱火1分>
お肉を裏返し、再び強火で30秒、弱火で1分焼いていきます。焼き上がりを見てみると、表面はそれなりに火が入っているけれど、芯温を測ると50℃にも達していない状態でした。
切ってみるとこの通り。全体的に焼きムラが多く、外は焦げ気味で中身はほぼ生焼け……。
弱火調理はジューシーだが時間がかかるのがネック
続いて試したのが「弱火6分半+10分休ませる+強火20秒」で丹念に仕上げる方法。全体を120℃程度の温度でじっくり焼いていく、手間暇をかけた調理法です。
<①弱火6分半>
油がシュワシュワとかすかに音を立てる程度までフライパンを熱したら、常温に戻して下味をつけた肉をのせます。片面10秒くらいでひっくり返し、さらに側面も焼き、肉をコロコロとひっくり返す工程を繰り返しましょう。放射温度計でフライパンの表面温度をチェックし、120℃以上になったらコンロから外して温度を保っていくのがベストです。
<②10分休ませる>
一度フライパンからおろして芯温を測り、55℃前後なら、アルミホイルに包んで休ませます。余熱でもって火を通すことで、やわらかでジューシーな食感が保てるんです。焼き色はあとでつけるのでここでついてなくてもOKです。
<③強火20秒>
強火で温めたフライパンにバターなど色づけしやすいものを入れ、20秒ほど焼いて焼き色をつけます。最後にしっかりと表面を焼くことで肉が香ばしくなり、おいしさがアップします。
繊細な焼き上がりで中まで火が通り、しっとりジューシーな食感に仕上がりました。しかし、この方法ではちょっと時間が掛かってしまいます。
究極の正解は強火30秒+休憩2分!
そこで試してもらいたいのがこちらの究極の焼き方。「強火30秒+2分休ませる」という究極の焼き方。約5分で完璧なミディアムレアに仕上げることができます。
<①強火30秒>
常温で戻したお肉に塩を振り、大きなフライパンに多めの油を入れて強火で加熱しましょう。フライパンの表面温度は250℃。わずかに煙が立つくらいの状態で香ばしくジューシーな揚げ焼き状態にします。
<②裏返して強火30秒>
裏返すと同時に、輪にしたホイルなどをフライパンの端に入れて、お肉を休ませる島を作ります。フライパンの上に焼き網などを渡してもOKです。表裏各30秒間焼いたら火を止めましょう。
<③2分休ませる>
お肉をホイル(網)の上で2分間放置すると、余熱で中心にゆっくり火が入っていきます。完全に冷え切らない「温かい場所」で休ませることで、小まめな温度調整がやりやすくなるんです。
<④冷えている面から強火で30秒焼き、2分休ませる>
お肉を休ませたら、冷えている面を強火で30秒焼き、再度2分休憩させます。この時点で芯温を測り、55℃前後なら出来上がりです。
わずか5分程度で火が通るのに、外は香ばしく中はジュワっと肉汁あふれる極旨ステーキに仕上がりました!
この方法で仕上げれば、レストラン顔負けのステーキに。余熱調理でじっくり芯温を上げれば、ムラなく火が入り、外は香ばしく中はしっとりと肉汁が染み出すジューシーな仕上がりが実現できるんです。
敷き油はサラダ油よりバターを使って香ばしく
さらなる美味しさを目指す人は敷き油にもこだわってみてはいかがでしょうか。一般のサラダ油は無味無臭で旨みを足す効果は期待ができません。
[サラダ油:×]
焼くだけならいいですが、油によるプラスオンはありません。
[ラード:△]
ラードを使うと見た目は一番きれいに仕上がり、食感もカリッとしますが、味が重たくなります。
[オリーブオイル:○]
オリーブオイルは微かに香ってヘルシーな仕上がりに。しかし、焦げ目がつき過ぎてしまうのが残念です。
[バター:◎]
バターを使うと香ばしく仕上がり、塩味もほんのり感じられる最高に美味しい状態になります。
“休ませるコツ”を覚えれば、家庭でもお店の味を満足するまで楽しむことができます。今度の記念日は最高に美味しい自家製ステーキでお祝いしてみてはいかがでしょうか!