マウントアダプターがあれば使えるレンズの種類が増えます
マウントアダプターは、マウントの異なるボディとレンズを接続するアクセサリー。マウントアダプターの魅力は、使える交換レンズの種類が格段に増えること。対応しているマウントアダプターを使用すれば、例えばオールドレンズを使用することも可能になります。
もちろんオールドレンズだけでなく、一眼カメラであるソニーα7のボディに、現行のキヤノンのEFレンズを装着して撮影することもできます。しかし、全てのレンズとの互換性が確保されているわけではなく、古いボディでは十分なAF速度が出ないので、ソニーのカメラの場合はα7Ⅲ以降のボディがオススメになります。
ニコンや富士フイルム用のマウントアダプターも多数ありますが、今回は人気のソニーミラーレス用のマウントアダプターのベストバイを探すべく、テストを行いました。それでは早速テストに入りましょう。
マウントアダプター10製品の実力をテスト
今回は、フォトグラファーの安田 有氏にご協力いただき、10製品をテスト。ソニーα7R IVにマウントアダプターを装着し、AF-Sは「EF70-200mm F2.8L IS III USM」、AF-Cは「EF24-105mm F4L IS USM」、瞳AFは「EF85mm F1.4L IS USM」のレンズを装着してテストを行いました。
▼テストした10製品はこちら
・METABONES MB_EF-E-BT5
・TECHART TCS-04
・SIGMA MC-11
・VILTROX EF-E Ⅱ(0.71X スピードブースター)
・VILTROX EF-NEX Ⅳ
・K&F Concept EF-E AF Ⅱ
・Commlite CM-EF-E HS
・JINTU JT-EF-NEX
・Commlite CM-EF-NEX B
・KIPON Baveyes EF-S/E AF 0.7x S スタンダードモデル
テストでは、次の4項目に着目。オートフォーカスの速さ、コンティニュアスAFの精度、瞳AFの速さ、レンズとの相性をテストしました。レンズはキヤノン製のEFマウントレンズを使用。テスト項目によって使用レンズを変更しています。
テスト1:AF-S(シングルAF)(40点満点)
AF-Sは“静止している被写体”向けで一番使う機会が多いAFモードです。テストではピントがあうまでの秒数を計測。マウントアダプターを使わずソニー製の純正レンズを装着した場合とマウントアダプター装着時のAF速度を比較して採点しました。レンズは望遠ズームを使用し広角側と望遠側で評価を行いました。
テスト2:AF-C(コンティニュアスAF)(20点満点)
AF-Cは“動く被写体にピントを合わせつづける”役割があり、マウントアダプターが苦手なAFモードです。鉄道模型を連写して、10枚撮影したうちのピントが合っていた枚数を確認しました。なお、カメラの仕様により連写速度は低速を選んでいます。
テスト3:瞳AF(20点満点)
瞳AF対応をうたっているマウントアダプターが多いですが、精度やピント合わせの速度が気になります。ピントが合っていない状態からシャッターが切れるまでの時間を測定しました。
テスト4:相性安定性(20点満点)
複数のレンズを装着して、AFはきちんと機能するか? フリーズなどは起きないか? マウントにガタはないか? など4項目を厳しくテストし、合計100点満点で採点しています。テストの結果は、評価の高かった製品から順にランキング形式でご紹介します。
はたして、いま買うべきマウントアダプターはいったいどの製品でしょうか。それでは、結果を発表します!
作りがよくAF動作も安定のMETABONES「MB_EF-E-BT5」
METABONES
MB_EF-E-BT5
実勢価格:6万5780円
サイズ:約W74×H77H×D31mm(実測値・三脚座含む)
▼テスト結果
- AF-S: 31/40点
- AF-C: 16/20点
- 瞳AF: 10/20点
- 相性安定性: 19/20点
- 合計: 76/100点
見事ベストバイに輝いたのは、METABONES「MB_EF-E-BT5」。ボディの作りが他製品と比べて一番しっかりとしており、マウント部分のガタツキもありません。AF-Sテストでは、広角側の合焦速度が速く、テストしたなかで最速でした。望遠側はやや遅い結果でしたが、不満を感じるほどではありません。
AF-Cも快適で、ピントの合った写真は平均8枚/10枚とかなり使える印象の製品。ただ、瞳AFでのフォーカス速度は1秒程度と遅いのは気になりました。価格が高いのはネックですが、対応レンズが多く、安定して楽しめるのは魅力です。
テスト1:AF-Sテスト
ピント合わせにかかる時間は広角側で約0.6秒とトップをマークしました。
テスト2:AF-Cテスト
一度捉えた被写体を外すことなく安定した動作でした。ピント精度が高いのは心強い!
手ブレ補正機構のモードを切り替えるスイッチを側面に装備。瞬時に操作できます。
オートフォーカスが速くて使いやすいTECHART「TCS-04」
TECHART
TCS-04
実勢価格:2万5020円
サイズ:約Φ65×D31mm (三脚座のぞく)
重量:約140g
▼テスト結果
- AF-S: 32/40点
- AF-C: 15/20点
- 瞳AF: 10/20点
- 相性安定性: 16/20点
- 合計: 73/100点
2位はTECHART「TCS-04」。操作のスムーズさや剛性感など不満のない仕上がりで、狙った位置にピタリと固定できます。クランプの構造に工夫があり設置が簡単で、エルゴトロンより台座がコンパクト。高品質なアームが欲しいものの台座のコンパクトさも重視したい人にオススメです。
AF-S、AF-Cの精度が高いので静物、動き物のどちらも快適!
テスト1:AF-Cテスト
走る鉄道模型にしっかりとピントが追従できていました。
テスト2:AF-Sテスト
望遠でのピント合わせは速く、ストレスのない撮影ができます。
三脚座は取り外しが可能。小さなレンズを装着するときは三脚座を外すとコンパクトに使えます。
安定した動作が魅力のSIGMA「MC-11」
SIGMA
MC-11
実勢価格:2万6500円
サイズ:φ約69.4×D26mm
重量:約125g
▼テスト結果
- AF-S: 23/40点
- AF-C: 12/20点
- 瞳AF: 15/20点
- 相性安定性: 18.5/20点
- 合計: 68.5/100点
3位はSIGMA「MC-11」。人気の高いマウントアダプターです。レンズとの相性はよく、多くのレンズが正常に動作します。瞳AFも高速。しかし、AF-Sの遅さは気になりました。
テスト3:瞳AFテスト
瞳AFの動作は1番良好。0.6秒ほどでピントがあいます。
鏡筒内部は植毛が施されています。内部反射を抑制するのでコントラストの高いシャープな画質です。
4位: バランスの取れた性能で使いやすいVILTROX「EF-E Ⅱ(0.71X スピードブースター)」
VILTROX
EF-E Ⅱ(0.71X スピードブースター)
実勢価格:2万1620円
サイズ:約Φ65×D28mm
重量:約174g
▼テスト結果
- AF-S: 24/40点
- AF-C: 14/20点
- 瞳AF: 10/20点
- 相性安定性: 20/20点
- 合計: 68/100点
4位はVILTROX「EF-E Ⅱ(0.71X スピードブースター)」。AF-Sテストは広角側、望遠側ともにあまり速くないので多少の我慢は必要かも。テストしたレンズでは不具合が一切なく動作の安定性は一番でした。
テスト3:瞳AFテスト
決して高速ではありませんが、十分利用できる速度です。
補正レンズを内蔵し焦点距離を0.71倍、絞りを1段程度明るくします。
5位: AF-Sは速いけどたまに動作不安定になるVILTROX「EF-NEX Ⅳ」
VILTROX
EF-NEX Ⅳ
実勢価格:1万5640円
▼テスト結果
- 合計: 62.5/100点
5位はVILTROX「EF-NEX Ⅳ」。AF-Sテストでは広角、望遠ともにトップクラスの成績でしたが、瞳AFの速度がやや遅めで得点が伸び悩みました。弱点はたまに動作が不安定になることです。
6位: 暗所でのピント合わせは苦労するK&F Concept「EF-E AF Ⅱ」
K&F Concept
EF-E AF Ⅱ
実勢価格:1万5750円
▼テスト結果
- 合計: 61/100点
6位はK&F Concept「EF-E AF Ⅱ」。AF-Cの精度は高く、捉えた被写体への追従性は高いです。AF-Sテストは広角、望遠どちらも良好でしたが、室内など明かりが足りないシーンだとピントが迷うことも。
7位: レンズによって動作が不安定なCommlite「CM-EF-E HS」
Commlite
CM-EF-E HS
実勢価格:1万6492円
▼テスト結果
- 合計: 45/100点
7位はCommlite「CM-EF-E HS」。オートフォーカスの仕組みが異なる旧世代機(α7やα6000)でも使えるのが大きな特徴。AF-S(広角側)のテスト結果はトップクラスでしたが動作はやや不安定です。
8位: 取り付け精度が低いのが残念なJINTU「JT-EF-NEX」
JINTU
JT-EF-NEX
実勢価格:4699円
▼テスト結果
- 合計: 32/100点
8位はJINTU「JT-EF-NEX」。レンズ側のマウントにややガタがあり、そのためかたまに誤動作がありました。レリーズをフォーカス優先にしても、フォーカスが合う前にシャッターが切れることがあります。
9位: AFが遅くピントが合わない場合もあるCommlite「CM-EF-NEX B」
Commlite
CM-EF-NEX B
実勢価格:7032円
▼テスト結果
- 合計: 27/100点
9位はCommlite「CM-EF-NEX B」。AF-Sでのピント合わせの速度には不満はありません。瞳AFの速度もまずまずでした。ただし、AF-Cでは極端に遅くなり、ピントが全く合わないレンズもありました。
10位: オートフォーカスが遅いKIPON「Baveyes EF-S/E AF 0.7x S スタンダードモデル」
KIPON
Baveyes EF-S/E AF 0.7x S
スタンダードモデル
実勢価格:2万5443円
▼テスト結果
- 合計: 15.5/100点
10位はKIPON「Baveyes EF-S/E AF 0.7x S スタンダードモデル」。AF-Cテストではピントの迷いがあり、10枚撮影して1枚しかピントが合いませんでした。瞳AFやAF-Sも他の製品に比べて極端に遅くオススメできません。
以上、マウントアダプターランキング(ソニーのカメラにキヤノンのレンズ編)でした。ベストバイのMETABONES「MB_EF-E-BT5」はレンズを選ばず快適に動作し、連写でも安定して撮影できます。扱いやすいのでかなり使えるというプロのお墨付きでした。ぜひチェックしてみてください。
AFが速く快適。レンズとの相性もいいのでかなり使える製品です。