本記事はMONOQLO2017年7月号発売時点での情報となります。
クロスバイク以外の自転車も 同じ基準で検証しました
先日の記事で、モノクロ誌の2017年モデル(旧モデル)のクロスバイクランキング14選を振り返りました。
今回は、荒れ地も走りやすいマウンテンバイク、街中を高速で移動できるロードバイク、加速が軽快で街乗りに適したミニベロ、デザイン性の高いシティサイクルなどにフォーカス。クロスバイクと同様にテストした結果をご紹介します。
検証条件はクロスバイクのときと同じく10万円以下で、評価の基準も5項目となります。まずは、評価の基準をおさらいしておきましょう。
ご協力頂いたのは、マウンテンバイクを使った冒険体験のイベント企画やWebサイト制作を行うアドベンプロダクツの代表取締役である義村貞純さん(写真左)。
「ファンライド」などの自転車やオートバイ雑誌で編集・ライティングを行う田中弾さん(写真中央)。
自転車の販売・カスタム・メンテナンス・リサイクルを行う専門店「サイクルパラダイス」の松永弘樹さん(写真右)の3名です。
評価の基準は以下の5項目となります。舗装路、石畳、芝生などで走行テストを行い、さらに各パーツの使いやすさなどもチェックしてもらいました。
01 通勤
10㎞以内の短距離での通勤を想定して、スーツ姿で走行しました。急いで運転してもキビキビ走行できるか、混雑している都心でも小回りが効くかどうかをチェックしています。
02 ロングライド
10㎞以上のサイクリングコースでの走行を想定して、高速巡航で楽しく運転できるか、長時間運転しても疲れにくいかなどを検証しました。
03 坂
坂などの漕ぎづらい道路でもブレずに漕ぎやすいか、細かいギアチェンジができるか、ペダルを踏んだぶんしっかり伝えてくれるかをチェックしました。
04 乗り心地
乗り心地はタイヤの大きさや太さ、フレームの形状、素材、サドルの形状や大きさなどにより変わります。乗り心地がいいと、長距離運転もラクにできます。
05 ブレーキ性能
スピードを出していてもしっかり止まるという、安全面で重要な項目です。ディスクブレーキは雨でも制動力は高いのですが、構成パーツが重いなどの難点もあります。
合計
以上、通勤・ロングライド・坂・乗り心地・ブレーキ性能の5項目を、各10点満点で採点しています。
それでは、2台めにもおすすめの個性派スポーツサイクルを見ていきましょう。
【マウンテンバイク】アラヤ「マディフォックス MFB」 オフロードはもちろん凹凸の多い都心もラクに走れます
頑丈なフレームと太いタイヤが特徴で、クッション性が高くパンクにも強いのがマウンテンバイクです。アラヤの「マディフォックス MFB」は日本のメーカーだけあり、日本人の体型に合った大きさで乗りやすいのがポイントです。
乗り手のスタイルに応じてタイヤを交換すれば、山用やサイクリング用などのカスタムもできます。段差や天候を気にせず多少荒っぽく使っても丈夫で、安全性も高いディスクブレーキも採用しています。
アラヤ
マディフォックス MFB
実勢価格:9万6000円(税抜)
サイズ:420/470㎜
カラー:グロスブラック
重量:13.58㎏(実測)
ホイール/タイヤ;27.5×2.1
ブレーキ:ディスク
スピード:2×10S
太めのタイヤは安定感があって衝撃を受けにくいため、初心者でも乗りこなしやすいでしょう。また、空気圧管理がラクなのも利点です。さらに太いタイヤに付け替えることもでき、トレンディな一台です。
「ARAYA」は、明治時代より自転車のリム製造を開始し、日本の自転車の歴史を担ってきたメーカーです。日本人の体型と日本の地形に合わせ、独自性のあるスポーツ車を提供しています。
フロントフォークやリアアームのすき間が広く、タイヤ交換の自由度が高いのが特徴です。もう少し太めのセミファットタイヤにも付け替えることができます。
山道にも耐えられるように作られているので、町中の悪路も問題ありません。通勤コースに砂利道があってもラクに走れます。かなり軽いギアが付いているので、一番軽いギアにすれば急な坂道も難なく登れます。
フレームは意外とシャープで、アウトドア感が前面に出ない落ち着いた外観です。ブラックを基調としたシックなデザインで街乗りでも浮かず、シーンを選ばずに乗ることができます。
マウンテンバイクの軽いギアは坂道や砂利道にも有利です。太いタイヤと相まって段差の衝撃も少なく、ラクに乗れます。太めタイヤ&クロモリフレームなので車体はやや重いのですが、その分衝撃に強くて安定したしなやかな走りが楽しめます。シマノ製のパーツなども質がよくて頑丈なので、長く乗り続けたい人におすすめです。
【ロードバイク】フェルト「FR60」 初心者向けのロードならコレで決まりです
マウンテンバイクの対極にあり、舗装路でのスピードを追求するならロードバイクです。自転車競技を題材にしたアニメ「弱虫ペダル」の影響で、購入する人も増えています。
フェルト「FR60」はロードバイクの入門用として最適で、タイヤが太めなため快適性と安定性が高いのがポイントです。この自転車に慣れたら、さらに高価なモデルにステップアップするのもいいでしょう。
フェルト
FR60
実勢価格:9万9800円(税抜)
サイズ:430/470/510/540/560/580㎜
カラー:シアン
重量:9.7㎏(実測)
ホイール/タイヤ:700×25C
ブレーキ:キャリパー
スピード:1×8S
車体の動きは柔軟で、ハンドリングはキレがありスムーズです。軽量でスピードが出しやすく、ロードとしてはリーズナブルな10万円程度です。趣味でスポーツ車をはじめる人の一台めに最適な、人気ブランドの定番作です。
「フェルト」はレース向けのトライアスロンバイクの製作からはじまった、ドイツの名だたるレーシングブランドです。現在は世界選手権や五輪などでも多くの勝利を獲得しています。
ドロップ部を持ち疲れたらハンドル上部に持ち替えられますが、そこにもブレーキが付いています。サブブレーキが上に付いているので、安全性も高いのがポイントです。
シフターはシマノクラリスを採用しています。レバーを内側に押し込むという操作法で最初は戸惑うかもしれませんが、慣れれば非常に使いやすいです。
カーボンフォークは菱型断面形状で、横剛性が高いのが特徴です。垂直方向の柔軟性にも優れており、衝撃をしっかり吸収してくれるので長時間の走行でも疲れにくいでしょう。
スポーティな外観は一見敷居が高く見えますが、乗り味は至って快適です。軽い力で漕げて、長距離の走行も苦になりません。ロードバイクはレース用で100万円以上するものもありますが、あまり高額だと破損や盗難が怖いところ。10万円くらいの価格帯なら、ロードバイクの魅力をしっかり感じながら使い倒すことができます。
【ミニベロ】ルイガノ「MV 2 プロ」 オシャレ自転車のルイガノは坂道もラクです
ホイール径20インチ前後のミニベロは、小回りがきくので混雑する都市部もスイスイ走れます。停めても場所をとらないので、自宅やオフィスでの置き場所に困らないのもポイントです。クルマにも積みやすく、旅先で街並みを散策するような用途にも向いています。
「ルイガノ」は五輪に出場したサイクリストであり、大学ではアートを学んだというルイ・ガノーが創業したカナダのメーカーです。機能性とデザイン性を両立し、遊び心のある自転車が人気です。
ルイガノ
MV 2 プロ
実勢価格:7万7000円(税抜)
サイズ:410㎜
カラー:グロスチョコレート/グロスミラーシルバー
重量:10.3㎏(実測)
ホイール/タイヤ:20×1.35
ブレーキ:Hディスク
スピード:2×8S
ロードバイクの逆三角形なフレームと異なり、トップチューブが下がったスタッガードフレームなのでまたがりやすいのが特徴です。コンパクトなので、小柄な女性や子どもでも乗りやすいでしょう。
最近多く見るようになった、強力な制動力を持つ油圧ディスクブレーキを採用しています。メンテナンスはやや大変ですが、きちんと手入れをすれば長持ちします。
キャリアマウントがヘッドチューブに付いており、カゴはフレームに付けられるタイプです。ハンドルと連動しないので、手元がぐらつくことはありません。
スピードは出にくいのですが、軽い力でラクに漕げます。坂道で試すと快適さがわかりやすいでしょう。チェーンリングが小さくてクルクル回るので、たくさん回せば確実に進みます。コンパクトで小回りが利き、人の多い場所でも気軽に乗れます。また、ギアを軽くすればスイスイ漕げるので、体力のない女性にもおすすめです。街中で一目置かれるデザインも魅力で、坂の多い都心でカッコよく乗りたい女性にピッタリです。
【ミニベロ】ブリヂストン「マークローザ M7」 ライトやカギも標準装備で5万円以下とコスパが最高です
日本の自転車産業のトップグループとして、スポーツサイクルのほか電動アシスト自転車やシティサイクルなど幅広く展開しているブリジストン。「マークローザ M7」は、ライトやカギなども標準装備されていて買い足すパーツがないため、初めてのミニベロでも失敗がありません。クッション性がある構造なので、ソフトな乗り味で抵抗なく乗れます。
ブリヂストン
マークローザ M7
実勢価格:4万5800円(税抜)
サイズ:410㎜
カラー:T.Xグリーンアッシュ/E.Xコバルトグリーン/T.Xダークアッシュ/P.Xスノーホワイト/E.Xサニーピンク/E.Xヨークオレンジ
重量:14.3㎏(実測)
ホイール/タイヤ:20×1-3/8
ブレーキ:V+ローラー
スピード:1×7S
ブリヂストン製なのでオプションが豊富です。盗難保険やケガの保険もあり、購入時に加入できるので買った後も安心して乗れます。
ギアカバー付きなので、パンツも汚れにくいのがポイントです。パンツのすそがチェーンに巻き込まれると破れることもあるので、標準装備なのは嬉しいところです。
カゴは別売りですが、キャリアやライトは標準で装備しています。ダイナモライトは電池切れの心配がないのがいいところです。
5万円以下でありながら、必要最低限のパーツが揃っているのがポイントです。カギなどのパーツを買い足す必要がある自転車も多い中、ブリヂストンはコスパも良くてすぐに乗れるのはありがたいです。実用重視のミニベロを求める人にピッタリです。
【ミニベロ】マジィ「ミニベロ ウノライザー」 男性やスーツにも似合うミニベロです
イタリアのメーカーであるマジィの「ミニベロ ウノライザー」は、大人の雰囲気が漂うスタイリッシュなデザインで、男性が乗っても似合うミニベロです。トップチューブが2本ある独特なフレームが特徴です。
マジィ
ミニベロ ウノライザー
実勢価格:9万2000円(税抜)
サイズ:440/480/510㎜
カラー:ブラック/ホワイト/シエロブルー
重量:11㎏(実測)
ホイール/タイヤ:20×1-1/8
ブレーキ:キャリパー
スピード:1×9S
スーツやワイシャツ姿で近場の会社に出勤したり、お使いに行ったりするときにも最適です。
ミニベロとしては多めの9段ギアを装備しており、スピードが出しやすく坂道もラクに進みます。
2本のトップチューブがホリゾンタル(平行)になっており、男性的なデザインです。スーツで乗っても似合うでしょう。
ギアは重めですが、スピードは出ます。シングルギアで操作がしやすく、振動吸収性に優れた滑らかな走りが楽しめます。ロードバイク用のチェーンリングも付いています。ミニベロなので混雑した場所もクイックに通り抜けられ、加速もトップスピードも優秀です。
【シティサイクル】ライナス「ロードスター スポーツ」 ヴィンテージスタイルでニューヨーカー気分で通勤できます
このクラシックデザインに刺激されるならぜひ乗ってほしいのが、アメリカのライナス製「ロードスター スポーツ」です。標準装備のリアラックにはポーチやバッグも取り付けられ、派手なクロスバイクとは異なる注目を集めるでしょう。営業用や広告用としても最適です。スポーティなアプローチをではなく、街を気軽に散策する気分で通勤すればいつもと違う景色が見えるでしょう。
ライナス
ロードスター スポーツ
実勢価格:9万円(税抜)
サイズ:480/510㎜
カラー:ブラック/オリーブ(クリームカラータイヤ)/ミッドナイトブルー
重量:14.5㎏(実測)
ホイール/タイヤ:700×35C
ブレーキ:キャリパー
スピード:1×3S
50~60年代のフランス映画を思い出させるようなヴィンテージスタイルです。街中を急いで駆け抜けるより、時には荷物を積んでゆっくり走行するのが似合うでしょう。
アルミ製のリアラックが標準装備されており、ちょっとした荷物もすぐに運べます。タイヤもフェンダー付きなので、雨の日も安心です。
変速数は3段と少なめですが、内蔵ハブでギアが露出していないため維持が簡単です。汚れが付きにくいのもポイントです。
ほかのどのバイクにもない独特の雰囲気で、私服でもスーツでも乗りこなせる一台です。アップライトなポジションで街中をクルージングすると、自転車の醍醐味はスピードだけではないということに気付かされます。ランプなどのオプションも本体に合ったクラシカルなデザインで、カスタマイズするのも楽しいでしょう。
10万円以下でおすすめのクロスバイク以外のスポーツサイクルを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。それぞれ特徴が大きく違い、自転車の楽しみ方もさまざまです。自分のスタイルを重視してスポーツサイクルを楽しみたいという方は、ぜひ自転車選びの参考にしてみてください。
360.life(サンロクマルドットライフ)は、テストするモノ誌『MONOQLO』、『LDK』、『家電批評』から誕生したテストする買い物ガイドです。広告ではない、ガチでテストした情報を毎日お届けしています。