※情報は『家電批評』2020年4月号掲載時のものです。価格が変動している場合や在庫切れしている場合があります。
27インチiMacが2台買えてしまう価格32インチ6Kプロ仕様ディスプレイです
「Pro Display XDR(プロディスプレイXDR)」は昨年12月にAppleが発売した32インチの液晶ディスプレイで、解像度6016×3384ピクセルの6K Retinaディスプレイを搭載しています。
アップル(Apple)
Pro Display XDR
価格:標準ガラス:58万2780円
Nano-textureガラス:65万9780円
ディスプレイ:32インチ Retina 6Kディスプレイ
解像度:6K(6016×3384)
アスペクト比:16:9
輝度:XDR:1000ニト(ピーク輝度 1600ニト)/SDR:500ニト
コントラスト比:1,000,000:1
カラー:P3広色域/10億7300万色
視野角:左右178°/上下178°
リフレッシュレート:47.95~60Hz
インターフェース:Thunderbolt 3(USB Type-C)/USB Type-C×3
サイズ・重量:W71.8×H41.2×D2.7cm・7.48kg
本体も約60万円と高価ですが、ProスタンドやVESAマウントアダプタも別売りで高価なことで話題となりました。
アップル(Apple)
Pro Stand
価格:11万7480円
アップル(Apple)
VESAマウントアダプタ
価格:2万3980円
スタンドだけの価格で、結構高性能なディスプレイが買えるレベルです。
なお、「さすがに高過ぎ…」と感じる一般のアップルユーザーにオススメのPCモニターや、Macヘビーユーザーにおすすめの周辺機器はこちらで紹介しています。
▼サンロクマルで公開中!Macがさらに便利になるおすすめ周辺機器
また、通常の液晶ディスプレイをお探しの方、Windowsユーザーの方は、こちらの記事もチェックしてみてください。
▼サンロクマルで公開中! 「PCモニター」おすすめ19選
さてこの超高級ディスプレイ、いったいどれほどの実力で、誰のための製品なのでしょうか? 実際に購入してチェックしてみたので、さっそくレビューしてみましょう。
Apple「Pro Display XDR」まずは“開封の儀”を行いました!
今回購入した製品は標準ガラスのPro Display XDRとPro Stand、さらにVESAマウントアダプタの3点。総額はなんと72万円オーバー! では、さっそく“開封の儀”、いってみましょう。
Pro Display XDRはかなり頑丈な外箱に入った状態で送られてきます。手始めに外箱の側面にあるミシン目部分を360度引っ張って破ります。
ミシン目に沿って外箱をぐるっと1周破いたら、外箱を外します。
中から現れたのはPro Display XDRの真っ白い箱。外箱のサイズと比べると、かなりコンパクトに感じます。
箱を横にしてフタを開くと、早くも保護材に包まれた本体が現れます。
箱のサイド部分は外側に開く構造になっていました。両サイドを開いて、慎重に本体を取り出します。
保護材を開いていくと、さらに保護シートが貼られた本体が現れました。高価な製品だけに、かなり厳重に保護されています。
本体に貼られた保護シートを慎重にはがしていくと、ついにPro Display XDRの画面が姿を現しました。
なぜか背面の一部分にだけ、さらに保護シートが貼られています。不思議に思いつつ剥がしてみると、なんとその正体はAppleマーク! さすがApple!と納得してしまうこだわりようです。
Pro Display XDRが完全に姿を現しました。これで本体は準備完了です。
続いて、Pro Standも開封します。本体と同様に外箱のミシン目部分を引っ張り、360度ぐるっと破いていきます。
ぐるっと1周破いたら、外箱を取り外していきます。
Pro Standの白い箱が現れましたが、開けると中にはさらに箱が。持ち手が付いていたので、中箱を引き抜きます。
中箱を開けるといよいよPro Standが登場です。
Pro Standはそのままの形状で箱に入っています。表面に貼られた保護シートを剥がせば準備完了です。
装着部分はマグネット方式になっており、装着すると3方向に自動でツメが飛び出す仕組みです。
Pro Display XDRを慎重に持ち上げ、スタンドにセットします。本体はなかなかの重量ですが、スタンドの取り付けはマグネットなので簡単でした。
Pro Standの装着部分にはロック用のつまみが付いていますが、装着すると自動でロックがかかります。
これでPro Display XDRへのPro Standの装着は完了。一般的なディスプレイの形状になりました。
ちなみに、VESAマウントアダプタにもロック機能は付いていますが、つまみではなく回転する方式です。
ロック部分を回すには、付属の専用工具を利用します。
Apple「Pro Display XDR」のハードウエアをひと通りチェック!
それでは手始めにPro Display XDRの外側、ハードウェア部分をひと通りチェックしていきましょう。
なによりもまず目を引くのが、特に特徴的な背面パネルです。背面には本体の冷却効果を高めるため、新型Mac Proと同じ形状のアルミ削り出しの穴が大量に並んでいます。多数の穴をあけることで表面積が2倍以上となり、効率よく放熱板の役割を果たす仕組みです。
Pro Display XDRの輝度は1000ニト(=1000cd/㎡)ですが、このディスプレイのすごいところは、全ピクセルで1000ニトの最大輝度を維持できるところです。同じ輝度のディスプレイはほかにもありますが、白部分の面積が広くなると輝度を自動で下げてしまう製品がほとんどです。
1000ニトという輝度はHDR映像を制作する際の基準値となっているため、このディスプレイがあれば数百万円もする業務用マスターモニターでわざわざ確認する必要がなくなります。当然それだけの輝度を維持するとLEDの発熱も無視できません。そこで効いてくるのが、この背面の格子状パネルなのです。
スタンド装着部の右側には電源ポートとUSB Type-Cポートが4つ並んでいます。一番左の1つが映像入力用のThunderbolt 3ポートとなります。
Pro StandのサイズはW18×H49.7×D23.6cmで重量は4.3kg。ディスプレイを装着して横向きにした場合、最高で65.3cm、最低で53.3cmの範囲で高さを自由に調節できます。
ちなみに、画面を縦向きに回して使うピボット機能にも対応しています。
実際に画面を表示して画質をチェック!色表現や黒の締まりは5K iMacと段違い
それでは、実際に画面を表示してみましょう。Pro Display XDRは特に新型Mac Pro専用というわけではないので、今回は27インチiMac Retina 5Kディスプレイモデル(2019)と接続しました。
アップル(Apple)
iMac (27インチ, Retina 5Kディスプレイモデル)
価格:21万8680円~
接続は非常に簡単です。付属しているThunderbolt 3ケーブルでiMacとつなぐだけ。これですぐに画面が表示されました。
ちなみに、Pro Display XDRに正式対応しているのは、2019年のiMacとMac Pro、16インチMacBook Pro、そして2018年の15インチMacBook Proといった一部のMacのみ。ただし非公式ですが、Thunderbolt 3搭載モデルであれば、接続すれば画面は表示できます。
27インチiMac Retina 5Kディスプレイモデル(2019)と、Pro Display XDRで同じ画像を表示してみました。これまで相当キレイだと思っていたiMacの画面ですが、並べてみるとiMacは黒がわずかに明るく、ベゼルと画面のフチがハッキリ分かることに気付かされました。
明るめの空の写真を表示したところ、空の色のグラデーションの繊細さが違うことが分かります。
カラーバーを表示した状態です。特に画面右下の赤や緑、青の色の深みが違います。
グレースケールでは、iMacの画面全体が少し緑がかっていることに初めて気付きました。こうしてみると、確かに色表現も黒の締まりもまるで別次元です。
意外な落とし穴! スケーリング解像度が3008×1692でiMacより狭い!?
ここまで好感触のPro Display XDRですが、『家電批評』2020年4月号編集作業時、意外な落とし穴に気付きました。スケーリング解像度を確認してみると、なんと3008×1692しかありません。
5K iMacの標準スケーリング解像度である2560×1440よりは広くiMacより狭い範囲しか映せません。しかもその上はもう6016×3384になってしまい、これだと小さすぎて文字が読めません……。
この問題は、「Display Menu」というアプリケーションをMac App Storeからインストールすることで解決できました。4Kや5Kのスケーリング解像度も自由に選べるようになり、問題は解消しました。
解像度の問題が発覚した際は返品も考えましたが、このアプリケーションのおかげで使い勝手も向上。総評としては、買う価値は十分あり、確実に価格以上の満足感は得られるでしょう。
以上、Appleの超高級ディスプレイ「Pro Display XDR」のレビューをお送りしましたが、いかがでしたでしょうか? 確かに色表現も黒の締まりもまるで別次元で、何百万円というレベルが当たり前の業務用マスターモニターとして考えれば格安の価格です。
性能や筐体の作り込みも考慮すれば、適正な価格なのかも知れません。とはいえ、明らかに映像制作や映像編集、デザインの現場向けで、その名のとおり“プロ向け”でと言えます。