そもそも、“ショアジギング”って 何のこと?
ショア=岸のこと。
ショアジギングとは、岸や砂浜からメタルジグ(金属製のルアー)をキャスト(ロッドを振って、ルアーやフライなどの仕掛けを飛ばすこと)して大物を狙う釣りのこと。
シンプルなタックル(道具)で大物が狙えるとあって、いま大人気のソルトゲーム(海のルアー釣り)です。
ショアジギングは若者を中心に大人気で、各メーカーからさまざまなメタルジグが発売されています。しかし初心者はどれを使ってよいのか、悩んでしまいますよね。
そこで今回はメタルジグの種類、重さ、使い方、そしておすすめ順に11製品を紹介したいと思います。
ショアジギングには 3つのジャンルがある
ひと口にショアジギングといっても、3つのジャンルがあります。
1:スーパーライトショアジギング
20g以下の軽量メタルジグやルアーをライトタックルで扱うジギングです。
対象魚:小型青物、根魚、イサキ、マダイ、アジなど
2:ライトショアジギング
20g~60gのメタルジグやルアーを扱うジギングです。
対象魚:カンパチ、サワラ、メジロといった青物が中心
砂浜からはヒラメやマゴチといったフラットフィッシュ(平べったい魚)やシーバスが狙えます。
3:ショアジギング
60~100g、場合によってはそれ以上の重いメタルジグや大型プラグを使用します。
対象魚:ブリ、ヒラマサ、シイラなど大型青物
今回は、初心者でも始めやすいライトショアジギング用のルアーを紹介します。
ライトショアジギングの タックルはどんなものがある?
ジギングのタックル(道具)は基本的にはみな同じです。ライトショアジギングに必要なタックルをひと通り解説しましょう。
リール
リールとは、ロッド(釣り竿)に取り付けて釣り糸を巻き取る道具のこと。
竿に対して平行に巻き取るベイトリール(両軸リール)もありますが、大半は竿に対して釣り糸を垂直に巻き取るスピニングリールが使われています。
ライトショアジギングにおすすめなのは、スピニングリール3000~4000番クラスです!
シマノ(SHIMANO)
ショアジギング リール 17 サハラ 4000XG
実勢価格:10450円
ロッド(釣り竿)
ロッドにもさまざまな種類があります。まず基本でおさえておくべきなのは、9~10ft前後のショアジギングロッド(1ft=30.48㎝)。
シーバスロッドなどでも代用できますが、やはり専用に作られた下のようなロッドがおすすめです。
メジャークラフト
2代目ソルパラ X ライトショアジギング SPX
実勢価格:10230円
その他、ジギングに必要なタックルは以下の通り。
●道糸:PEライン2号前後
●リーダー(道糸の先に浸ける糸):フロロカーボン3~6号
●メタルジグ:20~60g …今回のメインです!
メタルジグの動きを 知っておこう!
メタルジグを購入する前に、ジグが水中でどんな動きをするのか、簡単に解説しておきましょう。
まずショアジギングに向いている場所は潮通しが良い、比較的水深がある場所です。
砂浜では川の流れ込みや離岸流が発生する場所、沖合に根がある場所など、地形の変化に富んでいるところが狙い目。
近くにそうした砂浜があるのなら、ショアジギングをやらない手はありません。
ショアジギングではさまざまなアクションで魚を誘いますが、ここではもっともポピュラーな誘い方を紹介しましょう。
この釣り方はジグをキャストして、ボトム(底)まで落とすところから始まります。
ショアジギングのポピュラーな誘い方
1:メタルジグをキャスト
2:ジグが着水する
3:そのまま底へフリーフォールさせる
ジグは松葉が舞うように左右にスイングしながら落ちていきます。
4:ジグが着底する
5:ワンピッチジャーク(リールを1回転させ、それと同時にロッドを立てて糸ふけを取る動き)で海面までジグを引く
水面付近まで来たら3~5の動きを繰り返し手元までジグを引き寄せます。
これが難しいという初心者の人は、一度ジグを着底させて、ただ同じスピードで手元まで巻いてくるやり方でもOKです。
釣れまくるメタルジグ の4つのポイントとは?
それでは山口氏に「初心者でも釣れる」メタルジグの選び方を4つのポイントに分けて解説してもらいましょう。検証も4つのポイント視点で行いました。
ポイント1:扱いやすさ[配点:25点]
●慣れない人でも遠投できるか?
●着水後、フックがルアーに絡んだりしないか?
●根がかりしにくいかどうか?
など、初心者でも扱いやすいかをチェックします。
ポイント2:操作性[配点:25点]
●着水後、初心者でもルアーをうまくフォールさせられるか?
●ただ引き(※)でも生き生きと泳いで魚にアピールできるか?
など、操作性全般をチェックします。
※ただ引き…ルアーが着水してからリールを巻くだけの最も簡単なテクニック
ポイント3:作り[配点:25点]
●品質の良いフックを備えているか?
●色落ちやコートが剥げたりしにくいかどうか?
など、商品の作りの良し悪しをチェックします。
ポイント4:コスパ[配点:25点]
ジギングでは根がかりでルアーロストする人が多いようです。毎回無くしていては財布が悲鳴をあげてしまうので、初心者はできるだけ価格の安いジグを購入すべきです。そういった意味でコスパもチェックします。
釣れるメタルジグ おすすめ順に紹介します
それでは、計100点満点で11商品をチェックした結果をお伝えします。
※今回は30g前後に統一。価格、フックのサイズもそのg数のものです。
※カラーは各商品バリエーションがあるため、通販サイトや店頭で好みのカラーをチョイスしてください。カラーによって販売価格が変わりますのでご了承ください。
※サイズはg数によって異なるので、ここでは表示していません。
初心者でもラクラク遠投ができる! シマノのイワシロケット
シマノ(SHIMANO)
コルトスナイパー イワシロケット
実勢価格:726円(30g/01T メッキマイワシ)
フック:フロント オリジナルアシストフック(伊勢尼形状 太軸#14)、リア #4
▼採点結果
- 扱いやすさ: 24/25点
- 操作性 : 24/25点
- 作り : 24/25点
- コスパ : 24/25点
- 総合点: 96/100点
30gで平均飛距離100mOVERの優れた遠投性を持つジグ。
太軸フックで大型魚にも対応しています。
バランスはセンターですが、やや重心が後方寄り。そのため十分な飛距離を出すことができます。
魚が吸い込みやすい マリアのムーチョ・ルチア
マリア(Maria)
ムーチョ・ルチア
実勢価格:635円(35g/11Hピンクキャンディー)
フロントフック:アシスト/伊勢尼(銀)12号
リアフック:トリプル/トリプルフック#4
▼採点結果
- 扱いやすさ: 24/25点
- 操作性 : 23/25点
- 作り : 24/25点
- コスパ : 24/25点
- 総合点: 95/100点
時間帯を選ばず、オールタイムで釣果抜群のアピール力に優れたジグ。
ティンセル(フラッシャー)が付いているので、吸い込み時にフックが魚の口に入りやすくなります。
昔から人気のあるジグの定番です。基本のバランスを持っており、初心者でも扱いやすく飛距離を出すことができます。どこでも手に入りやすいのも◎。ただ色落ちは多少あると思います。
抜群のフッキング力! ダイワのサムライジグ
ダイワ(DAIWA)
グローブライド サムライジグ
実勢価格:726円(30g/PHマイワシ)
フック:リアフック・#6 フロントフック(ティンセル付き)・サクサス 伊勢尼 #13
▼採点結果
- 扱いやすさ: 24/25点
- 操作性 : 23/25点
- 作り : 23/25点
- コスパ : 24/25点
- 総合点: 94/100点
抜群のフッキング力を誇るフック「サクセス」を採用したジグ。
厚みが薄いので巻き上げ抵抗が少なく、ラクに引けるのが◎。
初心者でも扱いやすい操作性に優れたジグです。レビューでは「塗装が剥げた」という報告がいくつかありましたが、実際に使った感じでは比較的ハードコーティングで色落ちしにくい方だと思います。ただ剥げるとフラッシング効果がなくなるので注意が必要です。
4位: 低活性時に抜群の威力を発揮
DUO(デュオ)
DUO(デュオ)
ドラッグメタルキャストスロー 56mm
実勢価格:1180円(30g/ピンクゴールドゼブラグロー)
フック:フロント・アシストフック&ティンセル#13×2、リア・アシストフック#13
▼採点結果
- 扱いやすさ: 24/25点
- 操作性 : 24/25点
- 作り : 24/25点
- コスパ : 21/25点
- 総合点: 93/100点
青物からヒラメ、シーバス、タチウオ、イナダなど、多彩な魚種に対応するジグです。
短くてずんぐりむっくりとしたボディですが、釣果は抜群。他に比べスローフォールでゆっくりと着底します。
上下で厚みが違うのが分かりますか?
これによって独特のフォールを生み出すのです。
魚の活性が低いときはゆっくりと落ちて行くジグのほうがアピール度は高いのですが、このジグはまさにそんなタイプ。国産メーカーで、自社工場で生産しているため作りもしっかりしています。フロントのアシストフックは2本ですが、後ろは1本なので、比較的根掛かりが少ないと言えます。
5位: 振りで魚の食い気を誘う!
アブガルシアのショアスキッドジグ
アブガルシア(Abu Garcia)
ソルティーステージ ショアスキッドジグ
実勢価格:605円(30g/BPK)
フック:表示なし
▼採点結果
- 扱いやすさ: 23/25点
- 操作性 : 23/25点
- 作り : 22/25点
- コスパ : 23/25点
- 総合点: 91/100点
振り子のようなダートアクションで着底します。
一方、巻き取り時には左右にゆらゆら動く2wayのアクションジグ。
アシストフックにはオーロラシートとティンセル付きで、魚の食い気を誘発します。
フロントにしかフックがないので根がかりしにくく、初心者におすすめです。もちろん後ろにもフックを追加可能。他のジグと比べて巻いたときによく動きます。作りとコスパは合格点。ただオーロラシートがフックと絡んで切れる可能性があるので注意が必要です。
6位: フックは改良の余地あり
メジャークラフトのジグパラショート
メジャークラフト( Major Craft)
ジグパラ ショート
実勢価格:693円(30g/イワシ)
フック:フロント・伊勢尼フック
▼採点結果
- 扱いやすさ: 23/25点
- 操作性 : 21/25点
- 作り : 21/25点
- コスパ : 24/25点
- 総合点: 89/100点
空気抵抗の小さいコンパクトなシルエットを持つジグは、初心者でも飛距離が稼げるのでおすすめ。
引き重り感は少なく、スムーズにジグを泳がせられます。
重心はセンターバランスです。
とにかく安さが魅力です。初めてショアジギングをやる人でも根がかりを恐れず攻めることができます。ただリアフックの刺さりが若干甘い。気になる人はフックだけを同じ大きさのものと交換するとよいでしょう。
7位: フラットフィッシュを狙うなら
ジークのRサーディン
ジーク(Zeake)
Rサーディン
実勢価格:792円(30g/RS006 ハガレアカキン)
フック:Zeakeオリジナルアシストフック・トリプルフック#6標準装備
▼採点結果
- 扱いやすさ: 22/25点
- 操作性 : 22/25点
- 作り : 23/25点
- コスパ : 21/25点
- 総合点: 88/100点
ジークはショアジギングの中でもとくにヒラメ、マゴチなどフラットフィッシュのノウハウを持っている会社です。
コーティングがしっかりしていて剥げにくく、長く使えるようになっています。
若干お高めのジグですが、作りもしっかりしているのでおすすめです。特徴的なのがアイの位置。上の写真では右がジークですが、通常のジグから約90度回転させています。これにより他とは微妙に異なり独特な動きを作り出しています。
8位: 今回唯一のブレード付き
メガバスのマキッパ
メガバス(Megabass)
MAKIPPA(マキッパ)
実勢価格:902円(30g/02ブルーピンク)
フック:表示なし
▼採点結果
- 扱いやすさ: 22/25点
- 操作性 : 22/25点
- 作り : 23/25点
- コスパ : 20/25点
- 総合点: 87/100点
マキッパというぐらいで、ただ巻きっ放しで魚が釣れるという、ある意味究極のアイテム。
後ろにブレードが付いており、今回のランキングの中では異色と言えます。
フックも◎。作りも問題なし。
ただ、「異色」ということと、価格が若干高いため、順位を落としました。
底まで落として釣るというよりは、巻いて釣るタイプ。ナブラ(小魚の群れが大きな魚に追われ、海面に波しぶきができる状態)打ちなどに効果的だと思います。アイが上向きなので表層近くでも引きやすいと思います。
9位: フォールもタダ巻きもOK!
万能なラパラ
Rapala(ラパラ)
スプーン ストーム 五目スプーンジグ GSJ ルアー
実勢価格:803円(35g/アカキン HGR)
フック:表示なし
▼採点結果
- 扱いやすさ: 22/25点
- 操作性 : 23/25点
- 作り : 20/25点
- コスパ : 20/25点
- 総合点: 85/100点
フォールも巻きもOKのジグ。写真でも分かるように横から見ると形はややスプーン寄り。
アシストフックが付いていないことや、フックが若干刺さりにくいことで評価を下げました。
トリプルフックは交換、そしてアシストフックを追加したほうがよいですね。タダ巻きでも釣れるので初心者にはおすすめです。
10位: ネクタイをフグにかじられる?
メジャークラフトのジグラバー
Major Craft(メジャークラフト)
メジャークラフト ルアー メタルジグ ジグラバー
実勢価格:825円(30g/シルバー)
フック:アシストライン付きシングル×2(段差仕様)
▼採点結果
- 扱いやすさ: 20/25点
- 操作性 : 21/25点
- 作り : 23/25点
- コスパ : 20/25点
- 総合点: 84/100点
メタルジグという観点からは若干ズレたため評価を下げましたが、非常に面白いアイテムです。
オモリ部分は中通し。レーラーとしてソフトルアーを装着することもできます。
インチク(和製ルアーの一種)に近いジグですね。フックやボディのクオリティーは問題ありません。このままキャスティングして使えますが、ネクタイがフグにかじられる恐れがあるので要注意です。
11位: キャストの練習にぴったり
ジャクソンの飛び過ぎダニエル
Jackson(ジャクソン)
メタルジグ 飛び過ぎダニエル 14g / 20g / 30g
実勢価格:1090円(30g/LKSキス)
フック:#6
▼採点結果
- 扱いやすさ: 22/25点
- 操作性 : 21/25点
- 作り : 22/25点
- コスパ : 17/25点
- 総合点: 82/100点
最後も異色のジグ。こちらもメタルジグという観点からズレているのでランクを下げましたが、性能には素晴らしいものがあります。
とにかく本気で飛びます! キャストが苦手な人は、こういうジグで練習するのもありだと思います。
驚異的な飛距離の秘密は完全後方重心。重心が後ろに移動するので遠くまで飛ばせるわけです。作りもしっかりしていて耐久性も合格。ただやや価格が高いのがデメリットですね。
ルアーを傷めない 手入れと保存の方法
最後に、ルアーの手入れと保存について山口氏に解説してもらいました。
ルアーを長期間使わないままにしておくと、フックが錆びたりアイが傷んだりしてルアー自体が使えなくなってしまいます。そこで以下の注意点を頭に入れておきましょう。
1:使用後は中性洗剤で洗う
使用後のルアーは中性洗剤を使って洗うとサビにくくなります。時間がない時はとりあえず水に浸けておいて後で洗えばOK。
2:フックは砥石で研がない方がよい
中にはフックを砥石で研ぐ人がいますが、これは初心者の方はやらない方が無難です。かえって刺さりにくくなってしまうことがあります。
3:保存はフックカバーなどを付けておく
保存時は市販のフックカバーを付けておくと、タックルボックスの中で他のルアーと絡むことがありません。またフックカバーがないときは下の写真のように輪ゴムを使って2つのフックを固定しておくという手も。
いずれにしてもジグのフックは刺さりやすく、返しがあるので要注意。間違って手や指に刺すと自分では取れなくなってしまいます。万が一刺さってしまった場合は自分で抜こうとせず、すぐに病院に行きましょう。
以上、ショアジギング用メタルジグ11選のご紹介でした。
ちなみに、山口氏が所属するIRIE FISHING CLUB(アイリーフィッシングクラブ)は、横浜発のフィッシングアパレルブランド。釣りをスタイリッシュに楽しみたい皆さんは、メタルジグとあわせてぜひチェックしてみてくださいね。
価格が安いので、根がかりを気にせずバンバンキャストができます。アシストフックなどの作りもしっかりしており、クオリティーはまったく問題ありません。