モバイルディスプレイの魅力とは?
まずは、モバイルディスプレイについて押さえておきましょう。
モバイルディスプレイを持つメリットや、特徴について詳しく解説します。
手軽にデュアルディスプレイ化が可能
ノートパソコンに接続するだけで使える液晶ディスプレイが、「モバイルディスプレイ(モバイルモニター)」です。外出先でもサブモニターとして広げられ、手軽に「デュアルディスプレイ」環境が構築できるため、仕事が捗ると人気を集めています。
また、PCモニターとしてだけでなく、Nintendo Switchと一緒に持っていけば、外出先で大画面のゲームをプレイする…といった使い方も可能です。特に複数人でプレイしたいときに役立つでしょう。
このように、「持ち運べるモニター」としてさまざまな用途に活用できるため、一台持っておくと便利に使いまわせるアイテムと言えます。
シンプル構造ゆえに低価格
モバイルディスプレイは、スマホやタブレットのようにOS・ストレージなどを搭載していません。モニター機能のみのシンプルな構造なので、価格が安く抑えられているのが特徴です。複雑な設定も必要ないため、届いたその日から使用できます。
また、一般的に販売されているモバイルディスプレイの画面サイズは、ノートPCのサイズ感とほぼ同等です。デュアルディスプレイ化したのに文字のサイズが違いすぎて見にくい…と感じることも少なく、視認性に優れていると言えます。
おすすめモバイルディスプレイの選び方は?
実際にモバイルディスプレイ(モバイルモニター)を探すうえで、重視すべきは以下の5つです。それぞれのポイントを押さえて、自分に合ったモバイルディスプレイを選びましょう。
選び方のポイント1:画面サイズ
選び方のポイント、1つめはモバイルディスプレイのサイズです。
一般的に、小さいものだと7インチ程度、平均で13~15インチのものが展開されています。
画面のサイズが小さすぎるものは、持ち運びしやすい反面、表示できる領域が狭くなったり、画面の内容が小さく表示されたりするので、視認性が落ちるというデメリットがあります。
一方、画面のサイズが大きいものは、重量が小さいものに比べて重くなり、スペースを取るので持ち運びが面倒になりがちです。その分、表示される範囲が広く、文字や画像をより大きく表示できるというメリットがあります。
そのため、持ち運びを重視するのであれば、ある程度画面の表示範囲が確保されている13インチのもの、作業効率を重視するのであれば15インチ程度のものがおすすめです。
選び方のポイント2:画面の見やすさ
液晶モニターの見やすさも重要なポイント。「解像度・パネルの種類・視野角」をチェックしましょう。
・解像度
現在パソコンなどのモニターは高解像度化が進んでいます。フルHD(1980×1080)が基本となっており、高解像度のものでは2K(2560×1440)や 4K(3840×2160)の製品も多く販売されるようになってきています。
ただし、解像度が高ければ高いほど使いやすいのかというとそうではありません。2Kや4Kだと画面に表示される文字が小さくなることがあります。そのため、文書の作成やweb記事の執筆など画像や映像を表示する機会が少ない用途であれば、フルHD対応モデルの方が使いやすいことも。
一方で、ゲームや映画鑑賞、映像制作や写真編集作業などの用途で使用を考えている場合は2Kや4Kといった高解像度の製品がおすすめです。
・パネルの種類
液晶モニターのパネルの種類は、基本的にIPSパネル>VNパネル>TNパネルの順で色表現が豊かで、斜めから見ても破綻が少なく画質が高くなります。
・視野角
正面からだと見やすくても、表示視野角が狭いモニターだと斜めから見た場合暗くなって見にくいことがあります。今回のランキングでは真正面と斜め45°から見た様子を掲載しているので、ぜひ参考にしてください!
選び方のポイント3:重さが1kg未満かどうか
モバイルディスプレイはその名の通り持ち運ぶことを想定したディスプレイですが、実際に持ち運ぶ際に大きいものでは重いのではないか、と迷われる方も多いのではないでしょうか。
ものを重いと感じる感覚や重さの基準は人や年齢によって様々ですし、バッグの大きさや中身にもよりますが、モバイルディスプレイをバッグに入れて手で持ち運ぶのであれば、モバイルディスプレイの重さは1kg未満であれば持ち運びは苦にならない可能性が高いと言えます。
選び方のポイント4:接続端子は多いほど安心!
※写真は過去に検証した製品の端子の例です
入力端子の種類が多ければ多いほど拡張性が高いため、様々なシチュエーションに対応できて安心です。
比較的新しい機器であれば基本的にUSB端子での接続が可能ですが、少し古い機器に接続する際は、HDMI端子が必要な場合があります。端子が少ない製品だと、端子を変換するためのケーブルを別途購入しなければならない場合があります。また、持っている機器と接続できない可能性もあります。端子の種類や数はできるだけ多いものがおすすめです。
選び方のポイント5:タッチ機能があればより快適に
タッチ操作に対応しているモバイルディスプレイを選べば、スマホやタブレットのように選択・スクロール・ページの切り替えなどを簡単に行えます。カーソル移動が必要ないため、直感的に操作でき、効率的に作業できるでしょう。
プレゼンやゲームなど、スムーズに画面を切り替えたいときや、他のことに集中しながら画面の操作を行いたいときにも便利です。作業効率をグッと上げたい人におすすめの機能と言えます。
おすすめモバイルディスプレイのテスト方法は?
今回テストするのは、現行のモバイルディスプレイから選りすぐった人気8製品。
次の7項目に着目して検証しました。
テスト1:液晶パネル
液晶パネルを総合的に評価。ベセルの細さも評価の対象にしています。今回は4KとフルHDモバイルディスプレイ両方を集めました。
テスト2:安定性
スタンドの重さや安定性をチェック。軽くて安定性が高いと高得点としました。
テスト3:液晶の明るさ & コントラスト比
輝度設定を最大にして比較しました。
テスト4:付加価値
用途によっては便利なタッチ機能。タッチ対応、4K解像度対応や、スピーカー搭載など付加価値をチェックしました。
テスト5:重量
片手で軽々はもはや当たり前! 1インチあたりの重量を比較しました。
テスト6:価格
2021年8月の実勢価格で比較しました。
モニターにおいて最も重要な液晶の評価は20点に設定。また、価格競争の激しい製品なので、価格も20点の高配点とし、合計100点満点で評価しました。
ランキング結果の発表の前に、実際にテストしてわかった違いをまとめてみました。
テストしてわかった違いはココ!
モバイルディスプレイはパッと見で製品ごとの違いがわかりづらく、機能的にも4Kとタッチ機能を除けば大きな差はありません。しかし、使い比べてみることで細かい差があることがわかりました。
ここでは、特に気になった3つの違いを紹介します。
スタンド搭載型は安定性がイマイチで別途カバーが必要
スタンド搭載型はカバー型スタンドに比べてカバーによる重量増加がないという利点があります。しかし、持ち運ぶことを考えると液晶面を守るカバーは必須です。また、スタンド搭載型は安定性がイマイチでした。
USB Type-C1本での接続は画面が暗くなる
今どきのモバイルディスプレイは「Displayport Alternate Mode(DP Alt Mode)」対応のパソコンならUSB Type-Cケーブル1本で映像入力と給電が可能。しかし、電力が足りずに画面が暗くなる場合も。明るさを確保するなら別電源を用意したいです。
メーカーや製品によっては個体差が激しい場合も
メーカーが公開しているモニターの性能表には画面の輝度(明るさ)を表す「cd/m2」という単位があります。
多くの製品は250~450の間ですが、測定してみるとメーカー公開値が高い製品より低い製品の方が明るい場合がありました。公式の性能表にウソを書くとは考えにくいので、製品によっては個体差が激しいのかもしれません。
それでは、お待ちかねのモバイルディスプレイのおすすめランキングを発表します。
【おすすめモバイルディスプレイ1位】EVICIV「EVC-1302」|ノートPCと一緒に持ち歩ける13インチモニター
EVICIV
EVC-1302
実勢価格:2万1980円
サイズ:W302×D8×H190mm
重さ:566g
インチ:13.3インチ
パネル:IPS
視野角:178/178
スピーカー:1W×2
▼テスト結果
- 液晶: 18点/20点
- スタンド: 7点/10点
- 輝度: 9点/10点
- コントラスト比: 10点/10点
- 付加価値: 0点/10点
- 重量: 14点/20点
- 価格: 19点/20点
- 合計: 77点/100点
ベストバイに輝いたのは、EVICIV「EVC-1302」。本機はネット通販で人気の中国メーカー「EVICIV」社の製品。一番の人気の理由は価格ですが、実際に使ってみると液晶は明るくて発色がよく、視野角は良好。階調表現力も実用レベルで欠点が見当たりません。
ノートPCの右側に配置したマルチディスプレイ環境を作りやすい
映像入力端子はminiHDMIとUSB Type-Cの2系統。端子は右側にあるので、マルチディスプレイの構築は右側配置が適しています。
ダイヤル式で操作しやすいOSD(オンスクリーンディスプレイ)
OSDの操作はダイヤル式のボタンで行います。回して選択、押して決定します。
中国製品の場合、設定項目が中国語や英語の場合がありますが、本機は日本語表示です。
マグネットで脱着できるカバースタンドが付属
EVICIV「EVC-1302」には多くのモバイルモニターが採用しているマグネット式のカバースタンドが付属します。スタンドの重量は約241gなので、本体との合計重量は800g以下と、モバイルモニターの中ではかなり優秀です。
スピーカーは背面にあり、スタンドの隙間から音が出る構造です。
EVICIV「EVC-1302」は、明暗差をダイナミックに表現する技術「HDR10」に対応しており、夜景などのシーンで効果を発揮します。なお、給電はUSBなのでモバイルバッテリーでも動作します。
【おすすめモバイルディスプレイ2位】アイリスオーヤマ「ILD-A1616MS」|15インチノートの相棒に最適
アイリスオーヤマ
ILD-A1616MS
実勢価格:2万3099円
サイズ:W356×D9×H227mm
重さ:550g
インチ:15.6インチ
パネル:IPS
視野角:178/178
最大消費電力:8W
スピーカー:1W×2
▼テスト結果
- 液晶: 18点/20点
- スタンド: 8点/10点
- 輝度: 10点/10点
- コントラスト比: 6点/10点
- 付加価値: 0点/10点
- 重量: 17点/20点
- 価格: 15点/20点
- 合計: 74点/100点
2位はアイリスオーヤマ「ILD-A1616MS」。15インチの中では圧倒的なコスパを誇る本機。ベゼルが細いので、15インチのノートPCと並べてマルチモニターを構築するのに向いています。
超安定感のスタンド
スタンドは滑り止めが効いており安定感抜群。角度は2段階で調節できます。
ベゼルは極細4mm
上と左右のべゼルは最細クラスの4mm。サイズダウンにも一役買っています。
【おすすめモバイルディスプレイ3位】cocopar「ZB-133」|重量は350mlの缶ジュースと同等!
cocopar
ZB-133
実勢価格:1万9999円
サイズ:W302×D8×H191mm
重さ:約350g
インチ:13.3インチ
パネル:IPS
視野角:178/178
スピーカー:あり
▼テスト結果
- 液晶: 15点/20点
- スタンド: 8点/10点
- 輝度: 4点/10点
- コントラスト比: 6点/10点
- 付加価値: 0点/10点
- 重量: 20点/20点
- 価格: 17点/20点
- 合計: 70点/100点
3位はcocopar「ZB-133」。今回検証した他の製品と、同じカテゴリーとは思えないほど軽さが際立った本機。肝心の液晶は及第点で、暗さが若干気になりました。
実測値はもっと軽い
実測重量は336gでスペック値より軽く、カバースタンドが272gなので合わせても608gです。
入力端子は左側
マルチディスプレイは右側が多数派ですが、端子は右側に置きづらい左側です。
4位: 【おすすめモバイルディスプレイ4位】JAPANNEXT「JN-MD-IPS133UHDR」|最小のクラスの4Kモニター
JAPANNEXT
JN-MD-IPS133UHDR
実勢価格:3万1482円
サイズ:W306×D9×H195mm
重さ:約520g
インチ:13.3インチ
パネル:IPS
視野角:170/170
最大消費電力:12W
スピーカー:1.5W×2
▼テスト結果
- 液晶: 16点/20点
- スタンド: 6点/10点
- 輝度: 7点/10点
- コントラスト比: 6点/10点
- 付加価値: 5点/10点
- 重量: 16点/20点
- 価格: 9点/20点
- 合計: 65点/100点
4位はJAPANNEXT「JN-MD-IPS133UHDR」。本体にスタンドを備えた4Kモニター。前面のOSDボタンが使いやすいです。
5位: 【おすすめモバイルディスプレイ5位】ユニーク「UQ-PM154K」|モバイルモニターの全部入り!
ユニーク
UQ-PM154K
実勢価格:5万1791円
サイズ:W353.8×D9.7×H210.6mm
重さ:553g
インチ:15.6インチ
パネル:IPS
視野角:178/178
最大消費電力:16W
スピーカー:あり
▼テスト結果
- 液晶: 17点/20点
- スタンド: 6点/10点
- 輝度: 10点/10点
- コントラスト比: 6点/10点
- 付加価値: 9点/10点
- 重量: 15点/20点
- 価格: 1点/20点
- 合計: 64点/100点
5位はユニーク「UQ-PM154K」。価格を外した合計点は1位ですが、価格で順位を落としました。性能、機能ともにピカイチなので、予算が許すならぜひとも検討したい一台です。
タッチ操作に対応
タッチ対応機なので、本機の表面加工はグレア(光沢)です。
OSDもタッチ
OSDは他製品とは異なり、物理ボタンではなくタッチで操作します。
6位: 【おすすめモバイルディスプレイ6位】山善「QMM4K-156」|2万円台で4Kが買える!
山善
QMM4K-156
実勢価格:3万8390円
サイズ:約W363×D10×H221mm
重さ:約840g
インチ:15.6インチ
パネル:IPS
視野角:170/170
スピーカー:2W×2
▼テスト結果
- 液晶: 12点/20点
- スタンド: 8点/10点
- 輝度: 3点/10点
- コントラスト比: 6点/10点
- 付加価値: 5点/10点
- 重量: 11点/20点
- 価格: 12点/20点
- 合計: 57点/100点
6位は山善「QMM4K-156」。実用レベルでは問題ありませんが、上位と比べて鮮やかさと輝度はイマイチ。
6位: 【おすすめモバイルディスプレイ6位】アイ・オー・データ機器「EX-LDC131DBM」|カバーなしでソフトケースが付属
アイ・オー・データ機器
EX-LDC131DBM
実勢価格:2万2980円
サイズ:約W329×D10×H204mm
重さ:約740g
インチ:13.3インチ
パネル:ADS
視野角:170/170
最大消費電力:9.7W
スピーカー:なし
▼テスト結果
- 液晶: 15点/20点
- スタンド: 6点/10点
- 輝度: 6点/10点
- コントラスト比: 4点/10点
- 付加価値: 0点/10点
- 重量: 10点/20点
- 価格: 16点/20点
- 合計: 57点/100点
同6位はアイ・オー・データ機器「EX-LDC131DBM」。手頃な価格の13インチ機ですが、ベゼルの太さとスピーカーなしは残念です。
8位: 【おすすめモバイルディスプレイ8位】JAPANNEXT「JN-MD-IPS1560UHDR-T」|希少なVESAマウント対応機
JAPANNEXT
JN-MD-IPS1560UHDR-T
実勢価格:4万2800円
サイズ:W362×D10.5×H222mm
重さ:約1kg
インチ:15.6インチ
パネル:IPS
視野角:160/160
最大消費電力:19W
スピーカー:1.5W×2
▼テスト結果
- 液晶: 12点/20点
- スタンド: 6点/10点
- 輝度: 2点/10点
- コントラスト比: 6点/10点
- 付加価値: 9点/10点
- 重量: 7点/20点
- 価格: 3点/20点
- 合計: 45点/100点
8位はJAPANNEXT「JN-MD-IPS1560UHDR-T」。価格で点を落としましたが4K、タッチ、HDR10対応と機能は充実しています。
【まとめ】接続する機器に合わせた製品選びを
以上、モバイルディスプレイおすすめランキング8選でした。
モバイルディスプレイ選択のポイントは1に液晶サイズ、2に軽さ、3に解像度&タッチ機能の有無とスタンドカバーの有無の順で考えるといいでしょう。液晶性能にも点差が表すとおり優劣はありますが、どれも実用では問題のないレベルでした。
ノートPCに接続してマルチディスプレイを構築する場合、違和感なく使うにはノートPCと同じインチ数と解像度の製品がおすすめです。特に「拡張」モードで使う場合、ノートPCとの解像度に差があると、使い勝手が非常に悪くなります。
モバイルディスプレイを選ぶ際は、接続する機器に合わせた製品を選びましょう!
パソコンだけでなくFire TV Stickやゲーム機とつなぐのもアリです。