スマホで自撮りするだけという手軽さが画期的!
ヘッドホンやイヤホンは耳に装着して使うモノというその性質上、「聞こえ方に個人差がある」という問題を抱えています。耳の形状がひとりひとり違うので音の聞こえ方も変わってしまうのです。
もちろんオーディオメーカーは老若男女どんな耳でもきちんと聞こえるように頑張っていますが、自ずと限界があります。
今回テストするクリエイティブの「スーパー XーFI」シリーズは個人の耳の形状に合わせてヘッドホンやアンプから出る音をデジタル処理で最適化しようという製品です。
クリエイティブ
CREATIVE SXFI AIR C
実勢価格:1万5180円
重量:約318g
インターフェイス:マイクロUSB、アナログ入力
インピーダンス:32Ω
「CREATIVE SXFI AIR C」は、USB接続でパソコンやゲーム機(PS4と任天堂Switchに公式対応)とつなぐヘッドホンです。ゲームで使いやすいように着脱式のマイクも付属しています。
もうひとつの「CREATIVE SXFI AMP」は、手持ちのヘッドホンやイヤホンで自分に最適なサウンド処理を体験できるアンプです。USB接続でAndroidスマホにも対応します。
クリエイティブ
CREATIVE SXFI AMP
実勢価格:1万6389円
サイズ・重量/W17.5×H67×D9.7mm・約15g
コネクター:入力・USB Type-C、出力・3.5mm TRRSジャック
アンプ最大出力:26mW(600Ω)~425mW(16Ω)
画期的なのが、耳の形状の測り方。なんとスマホで顔と耳を自撮りするだけ。あとはクリエイティブ社のクラウドシステムが顔写真を元に耳の形状や奥行きを推測しそれを元にひとりひとりに合ったサウンドのデジタル処理プロファイルを作成します。
それをヘッドホンやアンプでリアルタイムに適用して個人個人に合ったサウンドを実現するという仕掛け。本当にうまくいくのでしょうか?
専用アプリで設定はあっという間に完了
それではさっそく設定を行ってみましょう。まずは専用アプリの「SXFI App」をカメラ機能付きのスマホやタブレットにインストール。Android端末およびiOS端末に対応しています。
【1】顔と耳をスマホの
専用アプリで計測します
画面の枠内に耳や顔が入ると自動でシャッターが切られます。
まずは正面から1枚。
続けて耳を撮影します。耳は自撮りよりも家族や友人に撮ってもらう方が簡単でした。
【2】個人に合わせた
プロファイルを作成
クラウドにアップされた画像は機械学習によるデータベースで解析されます。その解析結果と頭部伝達関数(頭蓋内での聞こえ方をモデル化した数式)をもとに個人の特性にあわせたサウンド処理を導きだします。
【3】パソコンでヘッドホンや
アンプにプロファイルを適用
SXFI AIR CヘッドホンやSXFI AMPには強力なDSPチップが組み込まれています。DSPチップとはリアルタイムでのデジタル信号処理に特化したもので、映像や音響系の機器で幅広く使われます。
パソコンやAndroidスマホでプロファイルをヘッドホンやアンプに適用すると、再生される音に対してDSPがリアルタイム処理を行い個人に合った音に作り変えていくのです。
プロファイルの有効無効はボタン一発で切り替えられます。
CREATIVE SXFI AIR Cは、ハウジングの「Super X-Fi」ボタンでオンオフを切り替え。
CREATIVE SXFI AMPは「○」ボタンでプロファイルのオンオフが可能です。
プロファイルを適用してみるとサラウンド感にプロも納得
オーディオのなかでも聞こえ方の個人差が大きいのがサラウンドです。スーパー XーFIシリーズは本来複数のスピーカーが必要なサラウンドを左右ステレオだけのヘッドホンで再現することを最大の目的に設計されています。
個人にあわせたサウンド処理でサラウンドの再現性を高めようというわけですね。
今回はイヤホンやヘッドホンのテストでおなじみの大澤氏、原田氏がじっくりサラウンド映像でヘッドホンとアンプをテストしました。
「人の声、エンジン音、風を切る音などさまざまな音が同じシーンに存在しますが、現実空間では複雑に反響したりするので音が耳に届くまでにかかかる時間差や方向性がそれぞれ異なります。それがスーパー XーFIのプロファイルを適用すると強調されて再現されるので自分の頭の周りに空間が生まれる感覚になります」と大澤氏。
また、原田氏も「映画館で聴く空間的な音にたとえられます」「DVDやダウンロードで映画を観る人にオススメです」とサラウンドの再現性に納得していました。
2chヘッドホンで5・1ch気分満点のゴージャスな音を楽しめました。
SXFI AMPをスマホでも楽しむならAndroidがオススメです
SXFI AMPはiPhoneでも使えるのですが、それにはアップルのLightning to USB Camera Adapterとサードパーティ製のUSB-A-USB-C変換アダプタを重ねて接続する必要があります。しかもiPhoneはオフィシャルには非対応。
AndroidスマホならSXFI AMP付属のケーブルで手軽に接続可能なのでおすすめです。
音楽再生は映像より苦手……で設定を煮詰めてみました
映像とは反対に識者の評価が辛口だったのが音楽再生です。
モノラルのライブ音源もライブハウスで聴いているように聞こえますが、音楽性や音質面ではNoと言わざるを得ません。
ステレオで聞く前提の音楽ソースはSuper X-Fiの処理とは相性が悪い場合もあるんです。そこで、大澤氏が音楽用のイコライザ設定を試行錯誤してくれました。ぜひ参考にしてみてください!
Apple Musicなどを楽しめるiTunes用
パソコン用のSX-Fiアプリでイコライザーを設定します。125Hz前後と1~2kHzに緩やかな山をつくるセッティング。バスのパラメーターもややマイナス側に動かします。
SXFI AIR C用の設定です。この設定で3万円台くらいのヘッドホンの音になります!
プロも使う音楽再生ソフトFoobar2000用
CDやハイレゾ音源を音楽再生ソフト「Foobar2000」で聞く際にオススメの設定がこちら。なお、音の完成度はiTunes用の方がやや上とのことです。
SXFI AMPとセット販売があるヘッドホンにも注目
今回テストしてわかったのはクリエイティブのヘッドホンそのものが高いポテンシャルを秘めているということ。SXFI AIR Cも「ゲーム用とは思えないかなりの実力」(原田氏)なのですが、注目はアンプとセット販売の「Aurvana SE」。
「SXFI AIR Cよりも数段キメの細かい上質な音で音楽を理解しているメーカーの製品ですね」(原田氏)「SXFI AIR Cよりもリアリティのあるサラウンド感(大澤氏)」と高評価でした。
クリエイティブ
SXFI AMP & Aurvana SEバンドル
実勢価格:2万9円
手軽に楽しむなら専用ヘッドホンのAIR Cで、手持ちのヘッドホンを使うならアンプで、と使い分けられるのも魅力的です。
これは映画好きは見逃せないアイテムですよ!
プロファイルを有効にすると“そこの場にいる感覚”が何倍も強くなり没入感がとても高まりました。