快適な非常用トイレの 選び方のポイントは?
災害時であろうと、否応なく来るのが生理現象です。でも、避難生活では近くのトイレが2時間待ちなどという状況もザラ。無理にガマンすれば体調を崩してしまうことも。
また、たくさんの人が集まる避難所では、トイレはどうしても汚れがちに。汚いトイレに行くのをためらっているうち、具合が悪くなってしまった被災者もいるといいます。
自宅避難が可能な場合も、トイレの必要性は変わりません。水道が止まったときのことを考えて、非常用トイレを準備しておくことは絶対に必要です。
非常用トイレを選ぶ際は、消臭性が高く、使い勝手のいいものを選びたいところ。「きちんと固まるか」「ニオイが残らないか」「扱いやすいか」の3つのポイントを、実際に使用して検証しました。
選び方のポイント①きちんと固まるか
非常用トイレで用を足せたはいいけれど、排泄したものはどのように処理するのでしょうか。セットには凝固剤が付属していて、ブツを固めてしまうんです。これが早く固まってくれないと、処理に困ってしまいます。そこで、各製品に付属の凝固剤に水をかけて、どのくらいで凝固するか時間を計測しました。
選び方のポイント②ニオイが残らないか
非常用トイレで最も気になるのは、ニオイではないでしょうか。できる限りニオイを漏らさず、すぐに処理できない避難所で、時間がたってもニオイをシャットアウトしてくれるのが理想。今回は、大便と小便で実際に使用し、直後と1時間後のニオイを体感で判断しました。
選び方のポイント③扱いやすいか
何かと不便な避難所。非常用トイレも、できるだけ簡単にセットできて、不安なく使えるものがいいですね。また、排泄したものの処理の簡単さも重要です。そこで、処理用の袋の有無も含め、扱いやすさを評価しています。
それでは、編集部オススメの非常用トイレをご覧ください!
バツグンの消臭性と 利便性を追求した構造
コクヨ
袋式トイレ 30回分
実勢価格:3738円
こちらの製品は、便器に袋をかぶせて使うタイプです。使用した直後からほとんどニオイを感じさせない消臭性を発揮! 1時間経っても臭さを感じることがありませんでした。
袋の形が便座にかぶせやすい三角形なので、フチが結びやすいのもうれしいところです。
また、便座に取り付ける際、両面テープで固定でき、座ってもズレません。ミシン目があるので、外しやすさも追及されて隙のない製品です。
凝固剤が固まるまでの時間は長くも短くもないレベルですが、袋の構造的に密閉性が高く、使用後のニオイが外に漏れにくくなっています。
総合評価はAランク。かぶせ式のトイレなら、この製品一択で問題ないでしょう。
消臭性は良かったが 使いづらさを感じる
BOS
驚異の防臭袋
BOS(ボス)非常用トイレセット(15回分)
実勢価格:1944円
こちらもかぶせタイプ。使用済の袋を別の袋にまとめて、ニオイ漏れを防ぐ構造が素晴らしく、ニオイは感じません。
ただ、かぶせた袋がたわんでしまったり、外す手間がかかったりするところが気になりました。また、袋が小さめで、結ぶ際に手が汚れてしまうことが(泣)。もうひと工夫が欲しいところでした。
凝固までの時間は99秒とかなり長めでした。しかし、別袋に入れて処理するので、ニオイはあまり感じずに済みました。
総合評価はBランクと、コクヨに一歩及びませんでした。
工夫が少なく、 ニオイ漏れが気になる
ブレイン
サッと固まる非常用トイレ袋(30回分)
実勢価格:2975円
かぶせタイプの標準スタイルですが、汚物袋を収納するような別袋もなく、凝固性も高くないため、直後からニオイ漏れがあります。
特に時間経過とともにひどくなっていくので、しっかりと処理を行ってもニオイ漏れはしてしまいます。
凝固までには若干時間がかかり、その間にニオイ漏れが発生してしまいます。そのため、使用後は速やかに別袋に入れるなどの工夫が必要になります。
コクヨやBOSより価格は安いのですが、長期間使うとストレスがたまると思われます。
凝固速度が速く、 ニオイを閉じ込める
コジット
緊急用組み立て式トイレ
実勢価格:1717円
こちらの製品は、ダンボール製の便器を組み立てて使うタイプです。もしもトイレ自体が使用できない場合を想定した商品です。
便座の強度は、繰り返し使うには不安があるかも。
凝固速度は最も速く、使用直後のニオイは少ないのですが、時間が立つと少しニオイ漏れが発生してしまいます。
凝固が速く、使用した直後からすぐに固まるため、ニオイはほとんど発生しません。すぐに処理しましょう。
便利な部分もありますが、総合的な使い勝手はあと一歩、工夫が欲しいところです。
C評価: ニオイ漏れが激しく
安定使用は厳しい
サンコー
防災用簡易トイレ
実勢価格:3262円
ダンボールとプラスチックの組み立て式便座で安定感があり、処理も袋を捨てるだけと簡単です。
しかし、使用直後からニオイ漏れが発生し、消臭性は低いです。
凝固速度は遅めで、ニオイは直後から感じます。すぐに処理を行ってもニオイ漏れがしてしまいます。
特に使用1時間後には我慢ができないほどのニオイとなり、長期間の使用は厳しいものがあります。
凝固剤のみは厳しい 専用袋はやはり必要!
便器にかぶせるタイプ、組み立てタイプのほかには、凝固剤のみのタイプもありますが……
アズマ
簡易トイレ凝固・消臭剤 粉末タイプ
実勢価格:1259円
こちらは、便器や便器に代わる容器の中にビニール袋をセットし、排泄した後にふりかけて凝固させるタイプです。
汚物袋が付属していないため、普通のごみ袋を代用しなくてはなりません。普通のごみ袋では、うっすら中身が見えて、ちょっと……かも。
凝固はかなり速いものの、消臭性も高くありませんでした。
そして、こちらは、ポータブルトイレ(介護用トイレ)につけて使うタイプです。
ハレルヤワークス
ポイレット 30枚入
実勢価格:3600円
通常は、使用前にバケツに水を張り、使用後は排泄物が入ったバケツを洗わなくてはならないのですが、水がいらず、手間も省ける製品です。
こちらも凝固は速いのですが、ニオイ漏れがひどく、かなりつらいものがありました。
やはり、簡易トイレは凝固剤と汚物袋の両方が必要なのです。
小用だけのタイプは メインでなくサブ使いで
トイレに行くのは小用のみの場合ももちろんあります。小用のための製品もありますが、こちらの使い勝手はどうなのでしょうか。2製品を検証しました。
エピオス
携帯トイレ 持ち帰り袋付き 500cc 5P
実勢価格:972円
用を足した直後のニオイ漏れは少なく、使用後に入れる「持ち帰り袋」もついています。
そして、もう1つ。
アイワ
携帯トイレミニ3個入
実勢価格:641円
処理時の仕様が残念。使用後に凝固剤を揉まなければならず、さらに、包んで捨てるビニールが透明でがっかりしてしまいます。
非常用トイレは基本的に1回の使い切りなので、小用タイプのみを大量に用意することは現実的でなく、自宅避難用の備蓄に向きません。「避難所の汚い仮設トイレの使用回数を減らす」というような、サブでの目的で利用するのがベターでしょう。
番外編~囲いがなくても 大丈夫!安心ポンチョ
避難所のトイレが屋外にあり、囲いがなくて外から丸見え。これでは使えない! そんな時には、トイレポンチョが役立ちます。
ボウエキ
あんしんトイレポンチョ(ポーチ付き)
実勢価格:1886円
このポンチョを着て便座に座れば・・・
ポンチョを着た人が座っているようにしか見えません。これで、外のトイレも安心して使えます。
また、レインコートとしても使えるので、1着あるといいですね。
災害時でも、少しでも 快適に過ごすために
災害の現場では、ゴミの回収まで汚物をしばらく保管しなければならないため、ニオイ漏れのひどい製品では、近隣住民とのトラブルの原因にもなりかねません。
非常用トイレの汚物袋だけでは、ニオイのシャットアウトは無理。非常用トイレの汚物袋は、きつく締めても、ニオイの漏れを完全に防ぐことは難しいです。そのため、密閉性の高いボックスを用意し、保管するのがベストです。