2016年売れまくった「P9」が待望のバージョンアップ
昨年は格安モデル「P9 lite」を筆頭に売れ行きを伸ばし、ファーウェイスマホが躍進した年でした。そして今回発売された「P10」シリーズも、前作同様の魅力を備えつつ、デザインやスペック面でパワーアップが見られ、注目のシリーズとなっています。
前作はライカ共同開発デュアルレンズで話題に
前作で話題となったデュアルレンズカメラは、今回も上位機種に搭載。それぞれカラーとモノクロという別の役割を持たせることで、スマホとは思えない深みのある写真が撮れます。最高クラスのカメラに加えて、その他の性能でも妥協のない非常に優秀なモデルでした。
今回もラインナップは3種類上位2機種が「ライカ」カメラです
オールラウンダーな基本モデル「P10」
Huawei
P10
実勢価格:6万3219円
サイズ・質量:W69.3 × H145.5 × D6.98mm・約145g
ディスプレイ:5.1インチ(1920 × 1080)
カメラ:メイン2000万 + 1200画素・サブ800万画素
ROM・RAM:64GB・4GB
CPU:HUAWEI Kirin 960 オクタコア
(4 × 2.4GHz A73 + 4 × 1.8GHz A53)
(写真をクリックするとAmazonページが開きます)
最高スペックを詰め込んだ「P10 Plus」
Huawei
P10 Plus
実勢価格:7万594円
サイズ・質量:W74.2 × H153.5 × D6.98mm・約165g
ディスプレイ:5.5インチ(2560 × 1440)
カメラ:メイン2000 + 1200万画素・サブ800万画素
ROM・RAM:64GB・4GB
CPU:HUAWEI Kirin 960 オクタコア
(4×2.4GHz A73 + 4×1.8GHz A53)
(写真をクリックするとAmazonページが開きます)
3万円台の高コスパモデルの「P10 lite」
Huawei
P10 lite
実勢価格:2万9424円
サイズ・質量:W72 × H146.5 × D7.2mm・約146g
ディスプレイ:5.2インチ(1920 × 1080)
カメラ:メイン1200万画素・サブ800万画素
ROM・RAM:32GB・3GB
CPU:HUAWEI Kirin 658 オクタコア
(4 × 2.1GHz、4 × 1.7GHz)
(写真をクリックするとAmazonページが開きます)
「P10 lite」はコンパクトモデルという訳ではなく、一番ローエンドの格安ラインという位置づけです。画面サイズでいえば「P10」の方が0.1インチほど小さくなります。「P10 Plus」はスペックも画面サイズもまさに最高スペックのハイエンドモデルといえるでしょう。「P10」は間を取ったというより、イイトコどりをしたような印象です。
さてここからは、実際に使った上でのレビュー評価をご紹介します。総テスト時間50hオーバーの結果をご覧ください。
①【バッテリー持ちテスト】スペック下克上を果たした「P10」が勝利
まずはバッテリー持ちを比較。負荷を掛けるため、ディスプレイを最大輝度にセットし、YouTubeを連続再生。100%から電源が落ちるまでの時間を計測しました。
P10:6時間55分20秒
P10 Plus:5時間13分23秒
P10lite:5時間9分47秒
電池容量のスペックでみるとP10が3200mAh、P10 Plusが3750mAhとなっていますが、結果は上記の通り。P10は液晶画面がP10 Plusよりも小さく消費電力が小さいため、同条件下で実施したバッテリーの持続テストでも2時間近くも長持ちしました。
通常利用の範囲内であれば、朝の通勤通学前に充電器から取り外してバッテリーの残量を心配せずに帰宅まで利用することができるでしょう。
②【カメラ撮影テスト】意外な結果、どうしたP10 Plus…
P10シリーズ目玉のカメラ性能をチェック。画質の比較は、プロカメラマンのスタジオで検証用の専用セットを組みました。また、テスト用の被写体の他に日常シーンでも撮影し、総合的に判断をしています。操作性やメニューなどもあわせてチェックしました。
P10が非常にニュートラルで見た目に近く、穏やかな色味が好印象です。驚いたのは「P10 Plus」との差が結構あったこと。正直、P10の方が上だと感じました。
スペック上はP10よりも良いレンズを採用しているはずなのですが、まず暗く映ります。結構暗く、なぜこんなに暗くなるのか謎。色味自体はニュートラルで見た目に近いので、撮るときに露出を調整してあげればキレイには撮れそうですが、比べてしまうとP10の方が優秀でした。
対してP10 liteは、ディスプレイと同様に彩度が強く出ます。若干強すぎるほどなので、パッと見は派手ですが自然とは言えません。
ここでもP10の優秀さが目立つ結果に。P10は暗所の対応も早くノイズも少なかったです。ノイズの出かたもチリチリではなくソフトに荒れていく感じなので破綻しにくく、非常に優秀でした。
P10 Plusも暗所の対応も早く、HDRの様に暗所が多少明るく仕上げているのは良かったです。ただ、全部が全部でなくコントラストの問題なのか、ノイズはP10より多くチリチリした印象でした。
P10 liteは暗所の対応が遅くライブビューでも潰れてしまいました。ノイズも結構チリチリです。高感度だとやや彩度も落ちる傾向にありました。ここはライカレンズ非搭載の差が出た部分でしょう。
P10カメラ総評:95点
とにかくP10のカメラが素晴らしい。写真はもちろんの事、使い勝手、反応速度も含めほぼカンペキ。流石ライカという感じです。ナチュラル風な調整が絶妙で、絵作りは文句なし。レンズは思ったより標準なので、もう少し広角だとなお良かったです。
写真的なボケをコントロールできる「ワイドアパーチャ」も楽しく、カメラに詳しくない人が写真の楽しみを覚えるのに最適です。さらに、上級者向けにモードも非常に使い勝手に考慮されているので、やろうと思えば一眼レフライクな設定もストレスフリーです。
P10 Plusカメラ総評:75点
P10 Plusも基本的には高品質なカメラです。ただ、同じライカレンズで、さらにスペックはこちらの方が上のはずが、P10に比べると弱い部分がチラホラ。使い勝手などはP10同様に素晴らしいので、本当に惜しい気持ちになりました。
P10 liteカメラ総評:80点
P10 liteも価格から見れば非常に優秀。それでも、ライクカメラの楽しさと比べると差を感じてしまいますが、派手な表現は人によっては好まれることもあるかも。ただ、ワイドアパーチャには非対応なので、あの楽しさを体験できないのは残念。
③【持ちやすさテスト】サイズ感は正直大差ナシです
操作性はもちろん、持ちやすさやボタンの位置など、使い勝手に関する部分をくまなくチェックしました。参考としてiPhoneシリーズとのサイズの違いも紹介していきます。
上記の通り、見た目のサイズにあまり大きな差はありません。いずれも5インチを超えるサイズで、標準的なアンドロイドと同等です。iPhone 7のと比べるとやはり一回り手に余る印象はあります。
それでもP10、P10 Plusで約7mm、P10 liteでも7.2mmと本体は非常に薄く、洗練された印象でした。ラウンドエッジの効いた曲面加工なども施されており、持ちやすさへの考慮はしっかり感じました。
ボタンの配置は3機種ともほぼ共通。押しやすさに問題はありません。欲を言うと、カメラのシャッターボタンにも使える音量ボタンは、左側にあった方が、シャッターを切るときに右手が使えて良かったです。
P10 liteのみ指紋認証が背面にあります。好みのわかれる部分ではありますが、筆者の感覚では「背面のボタン」はどうにも慣れず、使いにくい印象です。
④【ディスプレイ品質テスト】3機種ともに非常に優秀な結果
比較用の画像を用意し、各機種に表示させて検証。プロのカメラマンが正確に調整されたモニターと見比べつつ、色彩が忠実に表現されているかという点や解像度などを厳しくチェックして採点しました。
P10:カメラマン評価90点
全機種のなかで一番落ち着いたナチュラルな表現。視野角も広く、非常に高品質なディスプレイです。黄色だけやや発色が強めですが、コントラスト、彩度、明暗のバランスがとても良い。mac風な写真を表現する方法として今風な感じが好印象でした。
唯一難点を上げるとすると鏡面加工が強すぎるような印象があることです。実はこれは3機種ともに共通の部分。確かにキレイには見えますが、反射が心配になります。
P10 Plus:カメラマン評価点80点
まず大前提、普通のスマートフォンに比べれば十分にハイレベルです。ただ、3機種の中では一番暗めな印象。彩度もコントラストも強めで、総じて暗く強い絵になっている印象でした。
P10 lite:カメラマン評価点88点
こちらも非常に高品質です。P10に比べると彩度が強くコントラストも若干強い。Retinaディスプレイみたいな雰囲気です。P10とP10 Plusより青みががって出るため、さっぱりクールな感じの傾向でした。
⑤【ハードウェア性能テスト】細かな部分でP10 liteは妥協あり
端子やSDカード等のスロット、本体の設計に関わる部分をチェックしていきます。地味に見えますが、使い勝手に大きく関わる部分もあり、格安のP10 liteでは妥協されたであろうポイントがいくつかありました。
P10 liteだけSIM2枚同時通信に非対応
ZenFone 3で話題になった、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)と呼ばれる機能に、P10 liteだけが非対応。これは、2枚のSIMカードで同時に通信ができる機能です。これに対応しているP10とP10 Plusは、格安SIMとキャリアの無料通話SIMを併用するといった使い方が可能になります。
充電端子もP10 liteだけはタイプC非対応
P10とP10 Plusに採用されているUSB Type-Cという端子は、最新のUSB規格で、充電スピードやデータ転送速度に優れます。ここもP10 liteだけはmicroUSB。コストカットされている部分と言えるでしょう。
⑥【ベンチマークテスト】「P10 Plus」がさすがの最高成績
「Antutu」と呼ばれるベンチマークアプリを使ってスマートフォンの処理性能や3D描画性能などをチェックしました。スコアが高いほど高性能と判断できます。
P10:138993
P10 Plus:140431
P10 lite:58246
P10 Plus最大のウリであるスペックの高さが証明されました。搭載されるCPUやメモリなどのパーツはP10と大差ありませんが、テスト結果ではスマートフォンに大きな負荷が掛かる3Dグラフィック表現も難なくこなすことができました。動画や写真の再生はもちろん、3Dゲームなどをバリバリプレイしたいユーザーにオススメです。
数字だけみるとP10 liteの性能に不安を覚えるかもしれませんが、通常の操作でモッサリ感や動作が重い印象はなく、ストレスフリー。あくまでよりハイレベルなことをスマホでしたいときの参考にしましょう。
コスパも含めて最終結論!「P10」は間違いなく買いです
まずは価格をあらためておさらい。
P10:6万3219円
P10 Plus:7万594円
P10 lite:2万9424円
これまでのテスト結果に上記のコスパを加味したオススメ度がコチラになります。
P10:★★★★★
P10 Plus:★★★☆☆
P10 lite:★★★★☆
総評として、やはりP10の完成度の高さが目立つ検証結果でした。ライカ監修のカメラばかりが取り上げられがちですが、むしろ、バッテリーや本体設計、CPUなどにいたるまで細部までしっかりと作り込まれていることが驚き。総合力でSIMフリーのトップに立てるだけのポテンシャルのある機種と言えると思います。
また、P10 liteもそのコスパの高さP9 lite譲り、どころかむしろ加速している印象すらあります。これは3機種とも共通ですが、正直見た瞬間に格安スマホとは思えないほど高級感があり、筆者の物欲センサーがちゃんと反応してくれました。長く一緒にいることになるスマホにとってこれは重要なことです。
疑問なのはP10 Plus。シリーズ最高スペックのハイエンドの位置づけのはずが、ところどころでP10に劣る部分が見え、価格の高さを納得できるような感動がありませんでした。決して悪い機種というほどの結果ではありませんが、期待感が高い分、少し残念感も増した印象です。
ということで360.lifeの結論としては、買って後悔なしのP10を一番のオススメとします。
360.life(サンロクマルドットライフ)は、テストするモノ誌『MONOQLO』、『LDK』、『家電批評』から誕生したテストする買い物ガイドです。広告ではない、ガチでテストした情報を毎日お届けしています。