プラモデル用ニッパーとは?
プラモデルの「ランナー」とは、組み立て前の部品とつながっている枠、または組み立て後のパーツの枠として残る部分のこと。「プラモデル用ニッパー」とは、このランナーからパーツを切り出すのに使う専用のニッパー。模型を作る際には絶対に必要になる工具です。
プラモデル用ニッパーにはさまざまなものがありますが、定番はプラスチック用の薄刃ニッパーです。
なぜ模型工作でプラスチック用の薄刃ニッパーを使うのか?
手で無理やりもぎ取ったり、爪切りを使ったりと、ニッパーなしでもパーツをランナーから外すことはできます。
でも、荒っぽい方法や模型用ではない工具を使うと、どうしてもパーツの切り離した跡が汚くなりがち。
パーツについているゲートを切れ味が悪い普通のニッパーで切ると、パーツを切り出した箇所が荒れてしまうため、パテや瞬間接着剤を盛って削って……といった手順で修正しなくてはならなくなり、結果的に完成まで遠回りすることに……。
これを防止するためには、専用の道具であるプラモデル用ニッパーで、綺麗にパーツを切り取る必要があるのです。
プラモデル用ニッパーの定番、プラスチック用の薄刃ニッパーなら、最初から「ゲートを綺麗に切断する」という目的のために設計されています。細いゲートの隙間にも難なく刃を入れられ、フラットな切断面でパーツを切り出すことができます。
薄刃ニッパーは比較的高めな値段のものが多いのですが、迅速に工作を進めたいのなら揃えておきたい工具と言えます。
しかし、プラモデル用ニッパーの価格は本当にピンキリ。
数千円もする高価なものは、高性能ではあるものの、刃のつくりが繊細なので使用に若干の注意が必要です。安価なものは刃が厚いため、少々乱暴に使っても刃こぼれはしませんが、代わりに切れ味が著しく劣ります。品質や使い勝手には、それぞれ一長一短があります。
そこで、雑誌『MONOQLO』がプラモデル用ニッパーの人気製品を比較。切れ味や切断能力をテストし、末長く使える「至高の一台」を探しました。
プラモデル用ニッパーの選び方は?
プラモデル用ニッパーを選ぶ際は、刃の厚さとバネの方式に注目。
刃は薄ければ薄いほど切れ味が増しますが、耐久性に劣るため定期的なメンテナンスや買い替えの必要があります。厚さと耐久性のバランスを見つつ、予算に応じて選ぶとよいでしょう。
また、バネについては、手の小さい人は閉じ開きの軸に近い位置に合わせバネがついているものを、手の大きい人は樹脂製バネがついているものを選びましょう。握りやすく安定した作業ができるようになります。
選び方1:バネの方式
多くのプラモデル用ニッパーで採用されている、軸の後方にスプリングが入っているタイプは比較的手の小さめな人向きです。
一方の板バネ式はどちらかといえば手の大きい人向き。板バネは本体から外せるものが多く、硬さの調整も可能です。
選び方2:刃の厚さ
薄刃は切れ味鋭くパーツが綺麗に切れますが、その分耐朽性で劣ります。
刃の厚いプラモデル用ニッパーはその逆。
耐朽性と切れ味はトレードオフの関係にあるので、手入れや買い替えの手間と切れ味のバランスを考慮して選びましょう。
プラモデル用ニッパーの人気商品を比較
今回は雑誌『MONOQLO』が、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどネット通販で購入できる人気のプラモデル用ニッパーを比較。
直径3mmのプラ棒を切って、マイクロスコープで切れ味を観察。白化度合いや切りやすさもチェックしました。
それでは、評価の高かった順におすすめのプラモデル用ニッパーを紹介します。
プラモデル用ニッパーのおすすめは?
実際に使ってみた、プラモデル用ニッパーのおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | ||
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ゴッドハンドアルティメットニッパー5.0 GH-SPN-120
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60g(約) |
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タミヤ薄刃ニッパー(ゲートカット用)
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81.65g |
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グッドスマイルカンパニー匠TOOLS 極薄刃ニッパー
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140g |
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GSIクレオスGツール Mr.片刃ニッパー
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70g |
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BANDAI SPIRITSエントリーニッパー(ブルー)
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40g |
|
ウェーブHG厚刃ニッパー
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100g |
【1位】ゴッドハンド「アルティメットニッパー5.0 GH-SPN-120」
- ゴッドハンドアルティメットニッパー5.0 GH-SPN-120
- 実勢価格: ¥5,940〜
- おすすめポイント
-
- 刃物工具に強いゴッドハンドの自信作
- 力をあまり入れずサクッと切れる
- ほどよい長さで持ちやすい
- がっかりポイント
-
- 手で触るとすぐに錆びていく
- 長さ
- 120mm(約)
- 重量
- 60g(約)
- 型番
- GH-SPN-120
テスト結果
- 切れ味:2位
- 白化度合い:1位
- 切り出しやすさ:2位
【切れ味】切り口がとても滑らか
3mmプラ棒の切り口をマイクロスコープで見てみると、目立った荒れやバリが見られず、陰影もほとんどありません。
キレイに切断できていることがわかります。
【白化度合い】わずかにバリがある
片刃タイプなので、切る力が一方に逃げます。そのためか、切り口はわずかにバリが残り、白化(断面が白くなってしまう現象)も多少見られます。
とはいえ、ほかのニッパーに比べれば全然少ないほうです。
【切り出しやすさ】狭い場所にも入る
刃先がかなり細いので狭い場所にもスッと入っていき、とても切りやすいです。
細かいパーツを切るときも飛んでいくことが少なく、探す手間から解放してくれます。
【購入時の注意点】丁寧に扱わないと刃がかけてサビます!
本製品はとにかく錆びやすく、また先が細いので、乱暴に扱うとすぐに欠けます。
丁寧に扱い、定期的に専用の油でメンテナンスをしましょう。
【2位】タミヤ「薄刃ニッパー(ゲートカット用)」
- タミヤ薄刃ニッパー(ゲートカット用)
- 実勢価格: ¥2,680〜
- おすすめポイント
-
- パチンといい音で切れていく
- 細い隙間にも入り込みやすい
- 入手の容易さはダントツ
- がっかりポイント
-
- 中央は白化する
- パーツが勢いよくどこかへ飛んでいくことも
- 幅
- 7.6cm
- 長さ
- 18.3cm
- 高さ
- 1.4cm
- 重量
- 81.65g
- 型番
- 74035-000
テスト結果
- 切れ味:2位
- 白化度合い:3位
- 切り出しやすさ:1位
【切れ味】中央に線が入る
目立った荒れは見られず、綺麗な断面。
切れ味は問題ないものの、両刃タイプのため上下から力が加わったことで、真ん中に樹脂の変形でできた白い線が入っています。
【白化度合い】断面に少しささくれがある
断面には少しささくれが見られ、中央部分には少し白化が見られます。比較的滑らかに切ることができました。
【切り出しやすさ】狭い場所も切りやすい
先端の細さは1位のゴッドハンド「アルティメットニッパー5.0 GH-SPN-120」とほぼ同等で、細いすき間にも入り込みやすく切りやすいです。
【3位】グッドスマイルカンパニー「匠TOOLS 極薄刃ニッパー」
- グッドスマイルカンパニー匠TOOLS 極薄刃ニッパー
- 実勢価格: ¥3,786〜
- おすすめポイント
-
- 切れ味と耐久性のバランスに優れる薄刃仕様
- 刃の耐久性はかなりのもの
- がっかりポイント
-
- 切れ味はいいが白化が気になる
- 幅
- 1.3cm
- 奥行
- 12.7cm
- 高さ
- 15.2cm
- 重量
- 140g
- 型番
- AUG179061
テスト結果
- 切れ味:1位
- 白化度合い:6位
- 切り出しやすさ:3位
【白化度合い】切り口に白い面積が多い
切り口には白い部分の面積が多めになるので、無塗装仕上げのときは使わないほうがいいかもしれません。
【4位】GSIクレオス「Gツール Mr.片刃ニッパー」
- GSIクレオスGツール Mr.片刃ニッパー
- 実勢価格: ¥2,480〜
- 幅
- 6.4cm
- 奥行
- 1.3cm
- 高さ
- 16.5cm
- 重量
- 70g
- 型番
- GNZ-MT106
テスト結果
- 切れ味:2位
- 白化度合い:2位
- 切り出しやすさ:4位
【切り出しやすさ】先がやや入れにくい
刃先が切り欠きになっているので、狭い場所にはやや先端を入れづらかったです。
【5位】BANDAI SPIRITS「エントリーニッパー(ブルー)」
- 幅
- 1.14cm
- 奥行
- 5.59cm
- 高さ
- 15.54cm
- 重量
- 40g
- 型番
- BAS5057474
テスト結果
- 切れ味:6位
- 白化度合い:4位
- 切り出しやすさ:5位
【切れ味】凹凸がかなり目立つ
切り口を電子顕微鏡で見てみると、断面がささくれ立っており、凹凸が多めなのがよくわかりました。
【6位】ウェーブ「HG厚刃ニッパー」
- サイズ
- 135×94mm(約)
- 重量
- 100g
- 型番
- HT-397
テスト結果
- 切れ味:5位
- 白化度合い:4位
- 切り出しやすさ:6位
【切り出しやすさ】狭所になかなか入っていかない
刃先が太いので、狭い場所にはなかなか入っていかず苦労します。
広い場所を切るときに使ったほうがよさそうです。
プラモデル用ニッパーの正しい使い方は?
せっかくの高性能な薄刃ニッパーも、使い方を間違えたままではうまくパーツを切り取ることができません。プロモデラーの切り方を知れば、パーツを傷めずに綺麗に切り出すことができます。
ここでは、プロモデラーが教えるプラモデル用ニッパーの使い方のツボを紹介します。
持ち方と刃の向き
持ち方はモデラーによって差が出ることもありますが、ここでは基本的な持ち方とパーツを切る際の刃の向きを学びましょう。
部品を切り出す工程の基本は、ニッパーの使い方から始まります。
ステップ1:手のひらでやさしく包み込む
左右のグリップを手で包み込むように保持。グリップの中に人差し指を入れる流派もありますが、お好みで。
強く握ると刃が傷んでしまいます。
ステップ2:刃の平らな側をパーツに向けて切る
ニッパーの背中側、刃を閉じた時にフラットになる側をパーツに向けて、パーツに沿わせるようにゲートを切断します。
ステップ3:綺麗な切り口で切断できた
そのままニッパーの刃を力を入れずに閉じて、ゲートの部分を切断します。これが基本的なパーツの切り取り方です。
2度切りするとパーツが白化しにくい
ニッパーで切った部分が白くなってしまう「白化」。
これは強い力が一箇所にかかることで、パーツが変形しているのが原因。その白化を避けるための技が2度切りです。
ステップ1:パーツギリギリの位置で切るのは✕
パーツギリギリの距離にニッパーを寄せて切ると、ゲートに引っ張られてパーツに力がかかり、切断面が白化しがち。
無塗装仕上げの際は、この白化はわりと目立ってしまうのが悩みの種です。
ステップ2:まずパーツから少し離れた位置で切断
ここからは2段階で切る技「2度切り」の紹介。
まずパーツから少し離れた位置に刃を当て、ゲートの部分を残すようにして切り取ります。
ステップ3:残ったゲートを丁寧に切り取る
いったんパーツを切り出したら、今度はパーツに寄せた位置にニッパーを当て、残ったゲートを切り取ります。
断面が綺麗になりますし、パーツに負担をかけにくいので白化を防ぎやすくなります。
これはNG! 刃やパーツを傷める切り方
薄刃ニッパーは繊細。使い方を間違えたりむやみに閉じ開きを繰り返したりすると、切れ味が落ちたり、最悪破損することも。
次のような使い方は避けるようにしましょう。
【刃を左右にこじる切り方】余計な力がかかると綺麗に切断できない
刃を突っ込んで左右にこじるようにして切り出そうとすると、ニッパーだけではなくパーツが傷んでしまうことも。
絶対に止めましょう。
【大きい、硬いものを切る】無理に切ると故障の原因に
刃の開く角度以上に分厚いプラスチックパーツや、金属などの硬いものを切ると、すぐに刃が欠けたりめくれたりしてしまいます。
【力を入れすぎる】強く握ると刃が傷んでしまう
切る時に力を入れすぎると刃がぶつかり、ニッパーが傷む原因に。
薄刃ニッパーの性能を信じて、余計な力を入れないよう意識しましょう。
プラモデル用ニッパーのおすすめ まとめ
以上、プラモデル用ニッパーのおすすめランキングでした。
模型のパーツの切り取りに欠かせないのがニッパー。電気工事や工芸品に使うような先が太いものではなく、先端が細い専用のものを使いたいもの。
そこで、プラモデル用をうたっているニッパー6製品を実際に使用して、使いやすさのほか切り口の白化度合い、断面の切れ味を検証。最も使いやすい1本を探しました。
その結果、1位となったのはゴッドハンド「アルティメットニッパー5.0 GH-SPN-120」。
切り口がとても滑らかなので、その後のヤスリがけもラク。断面があまり白化しないので、無塗装派にもおすすめ。5000円オーバーの価値は十分にあります。
ぜひ今回のランキングを参考に、お気に入りの一台を見つけてみてください。
プラモデル用ニッパーのおすすめ
ゴッドハンド
アルティメットニッパー5.0
GH-SPN-120
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