InstaChord「InstaChord+」とはどんな楽器?
InstaChord「InstaChord+」
InstaChord
InstaChord+
実勢価格:¥42,900
サイズ:W210×L420×H50mm・660g
バッテリー:3400mAh
有線接続:3.5mm、オーディオ端子、USB-C端子
無線接続:Bluetooth LE MIDI
クラウドファンディングから生まれた楽器、InstaChord「InstaChord+」。
公式ページでまず目を引かれたのが、「楽器が苦手な人でも、ほぼ練習ゼロですぐに演奏を体験できる」という魅力的な一文です。
ギターに挫折した人でも、あの複雑なコードで奏でられるって本当? そもそも、これってギターなの……? その実力を検証しました。
アプリで「InstaChord+」をお試しできる
スマホアプリのLoop-Sessions.LLC.「InstaChord-i / インスタコード-i」では、InstaChordの奏法や機能を体験できます。実際に音を鳴らしながら、本記事をご覧ください。
Loop-Sessions.LLC.
InstaChord-i / インスタコード-i
実勢価格:無料
対応:iOS
初心者が楽器でつまずきがちな4つの理由は?
譜面が読めない
ドレミはわかっても、各楽器でどう弾くかを理解するのは大変です。
指が動かない
ギターの場合、複数の弦を正確に素早く押さえるのはとても複雑。指の動きが難しいです。
音が出ない
意外とうまく音が鳴りません。弦楽器や管楽器は、キレイに音を出すにはテクニックが必要です。
置き場所がない
そもそもの大問題が置き場所。ピアノはもちろん、ギターだって意外とスペースをとります。とはいえ、ギターもピアノも弾けるとカッコいいですよね!
「InstaChord+」の検証方法は?
今回は、ギタリストでギター講師でもあるギターのプロ、西尾知矢さんに実際に弾いてもらい、テストしていただきました。
テスト1:演奏方法をチェック:本当に簡単に弾ける?
ギターを模した外見ですが、ギターと同様の演奏テクニックが必要なのかを検証しました。
テスト2:詳細な機能をチェック:何ができるの?
楽器としてはもちろん、デジタルデバイスとしてどのような機能が備わっているのかも確認しました。
検証1:どんな風に演奏するの?
初心者が挫折する理由:基本コードとは?
一般的なギターでは、7つのコードが基本となります。これを押さえられずに挫折する人も多いです。
「InstaChord+」ではこのコードをマスターしなくても簡単に弾けるのがメリット。少しくわしく見てみましょう。
カンタンに弾ける理由を各パーツでチェック
「InstaChord+」はこのような4つのパーツになっています。各パーツを解説します。
【ネック】基本の7コードに対応するボタンで演奏可能
演奏時の基本は、ネックにある7つのボタンを押すだけ。同じように演奏しても、選んだキーによってコードが変わります。上段右は半音低い「♭」を演奏します。
ボタンを押すだけなので、6本の弦を抑えるより簡単です!
【モニター】設定を見ながら演奏できる
モニターで楽譜に合わせたキー設定を選べば、7つのボタンに対応するコードが割り当てられます。
まわりのボタンはメジャー/マイナーの入れ替えなど、複雑なコードに使用します。
【パッド】複数の演奏方法で多彩な楽器を再現
ギター以外にも、「InstaChord+」はさまざまな音色を奏でられます。パッドでは「弾く」以外に、「叩く」「押さえる」「タッチ」「ボタン(を押す)」などの奏法を使い分けられます。
▼ピアノ(各種)、オルガン(各種) etc.
▼管楽器(各種)、弦楽器(各種) etc.
▼ギター(各種)、ベース(各種) etc.
ただし、ピックでの演奏を試したところ感触はイマイチ。パッドへのダメージも気になりました。
また、弦を弾く感覚はあるものの、振動がないため微妙な音の強弱は表現しにくいです。あたりまえですが、ギターのほうがより繊細な演奏ができます。
【奏法】演奏方法がとっても自由
通常、ギターには右利き用と左利き用がありますが、「InstaChord+」は設定を変えるだけで、その両方に対応。机に置いて演奏することもできます。
左右両利きに対応
回転すれば、右利き・左利きのどちらの構えにも対応。付属の番号シールは利き手に合わせて貼りましょう。
置いて弾けばまるで琴
机に平置きすれば、琴のように弾くことも。モニターやボタンが見やすくなり、叩く・押さえるなどの演奏もしやすいです。
一般的なギターよりもかなり小さめ
置き場所をとらずに、気軽に取り出せます。
楽譜が読めなくてもOK!
「InstaChord+」用の楽譜は数字が書かれているだけなので、初心者でもすぐ理解できます。アドオンを使えば、楽譜公開サイト「U-FRET」のコード譜を数字化できます。
▼ギター専用のタブ譜
ギター専用のタブ譜の場合、コードを読んで演奏する必要があります。
▼「InstaChord+」の楽譜
「InstaChord+」の楽譜なら、歌詞の上の数字を押すだけでOKです。
楽譜:U-FRET
コード変換:InstaChordizer(※Chromeアドオン)
InstaChordで使える楽譜はすぐ見つかる!
楽譜サイト「U-FRET」の検索結果に「動画プラス」と表示された楽曲は、 YouTube動画に合わせて楽譜が表示されます。ブラウザアドオンの「InstaChordizer」で楽譜を変換して、ボタンを押すタイミングを確認しましょう。
U-FRET
コード変換 InstaChordizer(※Chromeアドオン)
また、所持しているタブ譜の変換や、楽譜のない楽曲の耳コピは、 専用スマホアプリで対応できます。
InstaChord Corp.「コード譜ライターby インスタコード」
InstaChord Corp.
コード譜ライターby インスタコード
実勢価格:無料
対応:Android/iOS
InstaChord Corp.「コード譜ライターby インスタコード」は楽譜からギターのコードを入力すると、対応するInstaChord のボタン番号に変換してくれます。
Nomad AI OU「Chord ai - AIで自動耳コピのアプリ」
Nomad AI OU
Chord ai - AIで自動耳コピのアプリ
実勢価格:無料
対応:Android/iOS
Nomad AI OU「Chord ai - AIで自動耳コピのアプリ」は音楽を録音しながら自動でタブ譜を作成するアプリ。譜面のローマ数字がボタンの番号に対応します。
検証2:楽器の未経験者でも弾ける?
次に、楽器を弾いたことのない人でも本当に弾けるのか検証しました。
優秀なところ:ボタンひとつで難関
[Fコード]が弾ける!
コードの難関といわれる「Fコード」。すべての弦を人差し指1本で押さえる必要があるうえ、中指・くすり指、小指も使うことから初心者でなくても難しいとされています。
▼通常のギター
指がつり、音が出ないことがしばしばある複雑な指使いです。
▼「InstaChord+」
いっぽう、「InstaChord+」なら、モニターに表示された[F]に対応したボタンを押すだけ。一度ボタンを押せば指を離しても[F]を入力したままになります。Fコードをボタンひとつで演奏できるありがたさは、計りしれません。
残念なところ:手元が見えにくい
とはいえ、楽器初心者を悩ませたのが、ギターのように構えるとボタンの番号が確認しづらいこと。手元を見ずにボタンを押さえることは上達への第一歩ですが、不器用な人間にはこのハードルが想像以上に高いものでした。
ギターと同様の構え方をすると、このようにボタンの数字はほとんど見えません。キー配列は暗記が不可欠です。
楽器初心者の編集部員が弾き語りに挑戦!
ギターを弾ける人に憧れつつも、これまで楽器にふれる機会がなかった担当編集。1週間で弾き語りができるようになるのか挑戦しました。
初めて手に持ったと きは「小さっ! 軽っ!」 と感じました。ストラップなしで構えられるので、ちょっとしたときにも弾けるのはよかったです。
左手のボタン配置になかなか慣れず、毎度見るために曲の進行についていけません。ボタンを軽く押すだけでいいのに、無駄に力が入ってしまいました。
弾く回数が増えるうち、徐々にボタン配置がわかるように。「桜坂」ワンコーラスをテンポをスローにしながらもなんとかなんとか完奏しました。
弾き語りの練習におすすめの楽曲は?
いくら好きな曲だからといって、いきなり演奏が難しい曲にチャレンジすると、挫折の原因になりかねません。そこで初心者の練習用に最適な、コード進行がやさしくテンポも緩やかな定番曲をリストアップしました。参考にしてみてくださいね。
▼初心者におすすめの曲
- さくら/森山直太朗
- チェリー/スピッツ
- 少年時代/井上陽水
- ロード/THE 虎舞竜
- スタンド・バイ・ミー/ベン・イー・キング
検証3:ギターが弾ける人でも楽しめる?
続いて、ギター経験者にも「InstaChord+」Iは楽しめるのか検証しました。
優秀なところ:ギター以外の演奏モードが充実
「InstaChord+」の楽器としての可能性を広げるのが、演奏モードの変更です。ギターのように「弾く」ほか、ピアノのように「叩く」、管楽器のように「押さえる」といった操作でも演奏が可能で、それぞれに合った音色も用意されています。
ボタンでドラム、パッドでベースのように同時に2種類の楽器も演奏可能で、西尾さんは「可能性を感じる」と大興奮。
MIDIの打ち込みにも使用可能
本製品をUSBケーブルでパソコンに接続すれば、演奏をDTMソフトで再生できます。自分で作曲してみたい人にとっては有用な機能。Bluetooth MIDIで無線接続することも可能です。
ヘッドフォン接続で夜間練習もしやすい
「InstaChord+」には3.5mm端子のヘッドフォンを接続できるため、夜間練習もしやすいです。
残念なところ:音質はいま一歩
残念なのは、音質がいいとは言えないところです。楽器として考えるといかにも電子楽器といった安っぽい音で、とくに激しめの曲を演奏するとノッペリとした音に。もうすこしギターらしい音と表現がほしいところです。
また、パッドはギターのような繊細な音の表現ができませんでした。
少しでもいい音で弾きたいなら、ヘッドフォンの使用がオススメ。高音がきれいに出るようになりました。
エレクトリックな鍵盤楽器のような音質です。
InstaChord「InstaChord+」検証まとめ
InstaChord
InstaChord+
実勢価格:¥42,900
サイズ:W210×L420×H50mm・660g
バッテリー:3400mAh
有線接続:3.5mm、オーディオ端子、USB-C端子
無線接続:Bluetooth LE MIDI
▼おすすめポイント
- 演奏が比較的簡単
- ギターの和音が出せる
- 対応する楽器音が多い
▼残念ポイント
- スピーカー音質は微妙
総合評価:4.0点 / 5.0点
ギターのような形状ながら、ギターではない「InstaChord+」。ギタリストの西尾さんは、ボタンの配置や設定が「音楽理論に基づいてよく考えられています」と感心していました。また、ギターなどの楽器経験者であれば、すぐに弾けると評価しました。
いっぽう、ボタンひとつでコードが弾けるオリジナリティはあるものの、インスタコードの演奏法をマスターする必要があり、楽器初心者がすぐ弾けるとは言いきれません。ただ、本物のギターより簡単なことは確かです。
もし、「InstaChord+」が演奏を簡素化しただけの「ギターっぽい楽器」であれば、このまま「ちょっとおもしろいよね」で終わりでした。
しかし、「弾く」に続けて「叩く」「押さえる」といった演奏モードを試すと、プロの評価が一変。ギターのような演奏法で鍵盤楽器・打楽器・管楽器とさまざまな音色を奏でられるところに、大きなポテンシャルを実感しました。
ボタンとパッドで別の楽器を演奏するといった本製品ならではの使い方もおもしろく、西尾さんもしばらくの間、即興演奏が止まらなかったほどです。
結論としては、「InstaChord+」ギター経験者には「新しい楽器」としての可能性を感じられ、初心者はハードルの低い入門楽器として、音ゲー感覚で楽しめるのでおすすめです。
以上、InstaChord「InstaChord+」の検証レビューでした。いろいろな楽器を演奏できる新感覚楽器。気になったらチェックしてみてくださいね。
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ボタン配置がよく考えられていて演奏しやすいです。