AV機器ソニーから新登場、約10万円のウォークマンはおすすめ?

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2023年の1月、ソニーから新しいウォークマン2機種が発売されました。そのうち下位モデル、「A300」の謳い文句は「ハマる。この沼音」(公式サイトより)。スマホユーザーへのウォークマンデビューを促しているようです。

では、今回取り上げる上位モデル、ソニー「ウォークマン NW-ZX707」はどうなのでしょうか。

AV機器ソニー「ウォークマン NW-ZX707」

ソニー「ウォークマン NW-ZX707」 イメージ

ソニー
ウォークマン NW-ZX707
実勢価格:9万2499円

サイズ:約W72.5mm×D16.9mm×H132.3mm
重量:約227g

2023年1月に発表されたばかりのソニー「ウォークマン NW-ZX707」。約10万円と高額ではあるものの、ウォークマン全体のラインナップとしては真ん中あたりです。

ウォークマンの主なラインナップ

ウォークマンの主なラインナップ イメージ

しかし、見た目はそれを感じさせません。高級感があるシックな外観で、イヤホンジャックフレームと背面のロゴに施された金色の装飾も目を惹きます。このラグジュアリー感のあるデザイン性は、スマホではなかなか出せません。

メーカーが言うおすすめポイント

メーカーが言うおすすめポイント イメージ

ソニー「ウォークマン NW-ZX707」は「フラッグシップモデルの技術を継承し、さらなる進化を遂げた」(一部略)と謳い、高品質なパーツをふんだんに使用。

ハイレゾ再生対応の高性能アンプ、クリアで力強い低音域を実現するコンデンサー、音の透明感向上と音場の広がりに貢献するコンデンサー「FTCAP3」。フラッグシップクラスの技術を盛りだくさんに搭載しているんです。

5、6万円クラスのDAP(デジタルオーディオプレイヤーの略。iPadなどの音楽再生機のこと)を持つ、よりいい音を求めるユーザーがターゲットであることが伝わります。

では、肝心の音質はどうなのでしょうか。各種レビューサイト、通販サイトで軒並み☆4以上を獲得し、内訳を見ても、オーディオ愛好家たちの熱い絶賛レビューが並んでいます。

これは期待できると思い、ソニー「ウォークマン NW-ZX707」の実力をプロと検証することにしました。10万円分の価値は本当にあり、おすすめと言えるのでしょうか?

AV機器検証方法は?

東京音研放送サービス代表の原田裕弘さんと、オーディオライターのゴン川野さんが評価しました。

「TAGO STUDIO T3-01」 と「ソニー MDR-M1ST」(原田さん)、「AudioQuest NightHawk」(川野さん)で検証。低・中・高音域、ダイナミクス、奥行き感、広がり、情報量など計10項目で評価しました。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

ヘッドホンの接続はバランス接続、アンバランス接続それぞれで試聴しました。

AV機器テスト結果:よかったところ

使い勝手、機能、デザインはハイレベル

使い勝手、機能、デザインはハイレベル イメージ

アップスケーリング機能である「DSEE Ultimate」は優秀です。本製品に不足しているエコー感が出て、空間的な音質になるので、ぜひ試してみてください。

使い勝手、機能、デザインはハイレベル イメージ2

右側に集中した物理ボタンで操作できるのが便利。ボタン間隔も十分で押し間違いも防げます。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

裏の加工で手に収まりやすいです。

AV機器テスト結果:残念だったところ

サウンドは空間的な広がりに乏しい

サウンドは空間的な広がりに乏しい イメージ

使い勝手、機能、デザインはハイレベルですが、問題は「サウンド」にありました。特に気になったのは「空間的な広がりが乏しい」ということです。

ソニー「ウォークマン NW-ZX707」より安いFiiO「M11」や高めの「M15」とも聴き比べましたが、それらと比べて明らかにダイナミックさがなく、おとなしいサウンドでした。

この価格帯のDAPだと、単に低音から高音までクリアかつ高解像に聴こえるだけでは不十分。広がりや奥行きなどの立体感はもちろん、ボーカルや楽器の位置関係の明確さ(音像定位)などが求められます。

しかし、ソニー「ウォークマン NW-ZX707」は広がりは「あまりなく、狭苦しい感じ」「リバーヴ(残響感)が感じられない」。奥行き感は「出ていない」。しかも「ボーカルの音像定位が曖昧」「各楽器の位置関係が決まっていない」と酷評の嵐でした。

原田裕弘 氏
東京音研放送サービス代表
原田裕弘 氏 のコメント

ただ、バランス接続にしては音場感が狭い気がします。

ゴン川野 氏
オーディオライター
ゴン川野 氏 のコメント

バランス接続の方が比較的音場が広くはあります。

解像度もイマイチ

さらに浮かび上がったのは「解像度も決して良くはない」という問題。音自体は濁りがなく、特に高音は良質で、透明感のある女性ボーカルはしっかり再現されていて好評でした。

ただし、一音一音の粒立ちは決して良くはありません。角の取れた丸い音で、BGM的に聴くのには向いているのですが、分析的に聴きたいのであれば、あまりオススメできません。

AV機器ソニー「ウォークマン NW-ZX707」のまとめ

ソニー「ウォークマン NW-ZX707」のまとめ イメージ

ソニー
ウォークマン NW-ZX707
実勢価格:9万2499円

サイズ:約W72.5mmxD16.9mmxH132.3mm
重量:約227g

総合評価:B

▼よかった点

  • 操作性は超快適
  • アップスケーリング機能は優秀
  • Android 12を搭載

▼残念だった点

  • 音の広がりが感じられない
  • バランス接続も価値は薄い

以上、ソニー「ウォークマン NW-ZX707」の検証レビューでした。

これは期待できると思い、いざ検証したのですが……結果はご覧の通り。各種レビューサイトや通販サイトの評価とは逆に、『家電批評』ではB評価をつけました。

かなりきついレビューですが、音質自体は決して悪くはありません。Android 12を搭載し、ストリーミングをフル活用できるなど、美点も少なくありません。

非常に“惜しい”モデルなので、気になるなら一聴の価値は十分にあります。

イヤホンを使うなら、ソニー「WF-1000XM4」がおすすめ

ソニー「WF-1000XM4」

ソニー
WF-1000XM4
実勢価格:2万9150円

イヤホンサイズ・質量:W24×D18×H25mm(実測値)・7.3g
イヤーチップタイプ:ポリウレタンフォーム素材
ケースサイズ:W64×D27×H37mm(実測値)・40g(実測値)

イヤホンを使うなら、ソニー「WF-1000XM4」がおすすめ イメージ
原田裕弘 氏
東京音研放送サービス代表
原田裕弘 氏 のコメント

「WF-1000XM4」との相性は良好。有線に匹敵する音質!

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