実力は期待以上? 人気3機種で 3ヵ国語を使いコミュニケーション

今回チョイスしたのは、ネットで話題となっている「ポケトーク」「イリー」「ランジー」の3機種。英語・中国語・ヒンディー語と日本語の組み合わせで、双方向合わせて6パターンで実際にコミュニケーションを取ってみることに。3名の外国人の方にご協力いただき、テストしました。

ソースネクスト:ポケトーク:自動翻訳機

ソースネクスト
ポケトーク
実勢価格:2万6780円(本体のみ)
サイズ:W6.0×H11.0×D1.6cm
質量:約90g
ディスプレイ:1.3インチ・320×320ピクセル
電源部:リチウムイオンバッテリー
動作時間:待機時:5日間、連続翻訳時6時間
SIM:2年間使用可能(延長可能) 
※専用グローバルSIMカード付きは3万7580円

ログバー:イリー:自動翻訳機

ログバー
イリー
実勢価格:2万1384円

有限会社東江物産:ランジー:自動翻訳機

有限会社東江物産
ランジー
実勢価格:3万2173円

結論からすると、どの機種も翻訳精度自体は期待以上に高く、外国語から日本語なら実用レベルでした。「かんたんな挨拶や自己紹介」「道を尋ねる」といった簡単なやり取り程度なら難なくこなし、発音なども特に問題はありませんでした。

実力は期待以上? 人気3機種で3ヵ国語を使いコミュニケーション イメージ

Rajaさん(右)
ランジー使用:ヒンドゥー語→日本語

自動翻訳した答え「あなたに会えてうれしいです!」
正解!

エイコウさん(中央)
イリー使用:日本語→中国語

自動翻訳した答え「最寄りの駅まで連れていってください」
エイコウさん「まあまあです」という評価の翻訳精度でした。

Laszloさん(左)
ポケトーク使用:英語→日本語

自動翻訳した答え「最寄り駅はどこですか?」
正解!

3機種とも予想以上の精度でしたが、その中でも「翻訳に最も違和感がない」とされたのがポケトーク。価格もそこまで大きな差がないことから自動翻訳機が欲しい場合はこれを買っておけばいいと考えてもよさそうです。

SIMカードが使えて切り替え簡単 なんと、63言語に対応しています

ポケトークはグローバルSIMを使えば海外でも通信可能。SIMなしでもWi-Fiで使用できます。

SIMカードが使えて切り替え簡単なんと、63言語に対応しています イメージ

ワンタッチで言語切り替えが可能。双方向翻訳に使えるので、日本語→外国語、外国語→日本語をすぐに切り替えられて便利です。

SIMカードが使えて切り替え簡単なんと、63言語に対応しています イメージ2

そして、なんと対応言語は63言語! 日本語、英語、中国語(簡体字/繁体字)、韓国語、フランス語だけではなく、以下の言語に対応しています。

広東語、アラビア語、アルメニア語、アゼルバイジャン語、バスク語、ベンガル語、ブルガリア語、カタルーニャ語、クロアチア語、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、フィリピン語、フィンランド語、ガリシア語、ジョージア(グルジア)語、ドイツ語、ギリシャ語、グジャラート語、ヘブライ語、ヒンディー語、ハンガリー語、アイスランド語、インドネシア語、イタリア語、カンナダ語、クメール語、ラオ語(ラオス語)、ラトビア語、リトアニア語、マレー語、マラヤーラム語、マラーティー語、ネパール語、ノルウェー語、ペルシャ語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、ロシア語、セルビア語、シンハラ語、スロバキア語、スロベニア語、ソマリ語、スペイン語、スンダ語、スワヒリ語、スウェーデン語、タミル語、テルグ語、タイ語、トルコ語、ウクライナ語、ウルドゥー語、ベトナム語、ズールー語

発音、翻訳、通信状況別に 日本語から外国語の実力をテスト

簡単な挨拶や自己紹介を外国語から日本語に翻訳する際の精度については特に問題がありませんでしたが、日本語から外国語についてはどうでしょうか? 先ほどの3機種を使って、発音と翻訳の精度、通信状況別に詳しくテストしてみました。

発音テスト
翻訳機が正確に発音できるかをチェック。

発音、翻訳、通信状況別に日本語から外国語の実力をテスト イメージ

結果はどれも差はありませんでした。聞き取りやすく、3機種共にかなりゆっくり発音します。どの機種も発音自体は問題なく、ネイティブからすると、「かなりゆっくり」とのこと。発音に問題がない一方で、音声認識という点では「雨」「飴」などの同音異義語をうまく訳せない面が目立ちました。

翻訳テスト
英語・中国語・ヒンディー語を使った翻訳のテスト。

発音、翻訳、通信状況別に日本語から外国語の実力をテスト イメージ2
発音、翻訳、通信状況別に日本語から外国語の実力をテスト イメージ3
発音、翻訳、通信状況別に日本語から外国語の実力をテスト イメージ4

結果は3名とも「ほぼ」問題ないとの回答。精度はポケトークが3機種中最も高く、約8割は合っていました。ただし、固有名詞や接続詞は苦手のようでした。「晋遊舎」のような固有名詞を、似た音の一般名詞として訳すこともありました。海外で致命的な誤訳をしてしまわないかという点には不安が残ります。

通信状況別テスト
「Wi-Fi」と「専用SIM」を比較したところ、オンライン・ オフラインで 一長一短ありました。Wi-Fiは平均4秒、専用SIMは平均10秒で、Wi-Fiのほうが圧倒的に速いという結果。実際の時間は通信環境によって大きく変わりますが、基本的にWi-Fi接続時のほうが圧倒的に速いと考えてよいでしょう。

発音、翻訳、通信状況別に日本語から外国語の実力をテスト イメージ5

Wi-Fi
平均4秒

発音、翻訳、通信状況別に日本語から外国語の実力をテスト イメージ6

専用SIM
平均10秒

海外は必ずしも通信環境が良いとは限りません。国によってはインターネットがつながりにくい場所も。そのため、オフラインモードのないポケトークでは使いにくい場面がありそうです。

精度は高いが完璧な翻訳は今ひとつ 海外ではWi-Fiの通信状況が心配

テストの結果、自動翻訳機全体の「弱点」も見えてきました。それは第一に精度自体は高いといっても、「やはり完璧な翻訳にはならない」という点です。テストした外国人の方からは「おおよそは合っているので、文脈や単語で何となく理解できる」との評価でした。

簡単なコミュニケーションであれば、これで問題ないといえますが、実際に海外で使う場合は、現地の人にある程度「注意深く」聞いてもらう必要がありそうです。というのもテストの際、「ある単語をその国では罵倒する時にも使われる単語」として誤って訳してしまった事態があったからです。こうした誤訳はトラブルを招きかねません。ですから海外で使う時は、十分留意したほうがいいでしょう

もう一つ大きな問題は通信環境です。海外でもWi-Fi通信が可能な場所なら問題ありませんが、国によっては環境が整っていないケースもあります。ポケトークならばSIMによる通信、ランジーやイリーならばオフラインで使えますが、精度やタイムラグといった面で、やはり問題がないとはいえません。オフライン専用のイリーは精度という面では他機種に一歩劣る結果となっています

誤訳トラブル、Wi-Fi使用を考えると 自動翻訳機は国内での使用がベスト

テストで明らかになった結果を総合すると、自動翻訳機が最も活躍できるのは「国内」だといえそうです。Wi-Fi環境が整っており、多少の誤訳があっても外国語→日本語ならば、文脈で判断できるため、大きなトラブルにはなりにくいでしょう。国内で接客業を営んでいるような人にとっては、かなり役に立ってくれそうです。

今回のテスト結果を踏まえて、メーカーにも質問してみました。

海外での使い方について メーカーに聞いてみました

テスト結果を受けて実際に、「海外での使い方にコツなどはありますか?」との質問をメーカーに投げかけてみたところ、ポケトーク自体の癖などを事前に把握し、相手にも伝えておくことが重要という答えが返ってきました。

ソースネクスト企画開発担当の方いわく、「海外だからということで、使い方が変わるわけではありません。より翻訳精度を高くするという点では、話し方のコツとしては「滑舌よく話す」「主語、述語がしっかりした文章を話す」そのほか、海外で使う場合、相手も始めてポケトークを使うことになると思います。そのため、「機械音がなったら、この端末にむかって話してください」と使い方を最初に説明することが重要かと思います」とのことでした。


観光地としての日本が注目されていることもあり、今後、誰もが外国人と交流する機会も増えることが考えられます。「道を尋ねられる」「場所を聞かれる」といったとき、自動翻訳機があれば、言語の壁を超えたコミュニケーションのきっかけになるかもしれませんね!