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全7モデルの小型消火器使いやすさが全然違いました!
エアゾール式と呼ばれる、7本の小型消火器の性能テストを開始します。本体はいずれも20センチ前後と、本当にコンパクトなものばかり。
入念に安全確認をした後、サラダ油を投入した3台の鍋をコンロで加熱すること数分。200度を越えたあたりで徐々に煙りがたちこめ、350度前後で自然に発火します。
今回は、3台の天ぷら油火災を小型消火器で本当に鎮火できるのか、また、小型消火器自体に性能差はあるのか、という点を確認するべく実テストを行いました。
及び腰でテストを開始すると、想像以上の炎や煙が立ちこめうろたえましたが、用意した7本の小型消火器すべて、10秒程度であっけなく鎮火に成功しました。
しかし、このテストを通じ、各モデルごとに、かなりの差異があることが判明したのです!
そこで、その「差異」を明確にするため、この実テストの評価とともに、二次テストを敢行。そして、下記3点の評価をもとに、格付けを行いました。
[テスト内容]
今回、モノがモノだけに、若干文章が固くなっておりますが、それはさておき、以下にその評価を公開いたしますのでご注目ください!
[ご注意ください]
ここで紹介する消火器は、加熱による天ぷら油の発火、火の不始末など、あくまでも初期火災を対象としています。学校やオフィスで見かける消火器とはタイプが違いますので、火が大きくなった場合は直ちに避難してください。
放出時間はMAX30秒放射状の消火剤も安心感あります
鎮火スピードはトップと1秒差の2位だったのですが、放出時間が長く、かつ的確に火元を狙えるという使用感が光りました。また、テスト後に消化中の写真を確認すると、もっとも炎が暴れていないことがわかります。周りにモノが多い、手狭な場所でも落ち着いて消火できる点も含め、今回のベストとしました。
じつは、テスト前はその地味目なパッケージもあり、特に期待感があったわけではありませんでした。しかし、テストを終えた今となっては、パッケージをかっこ良くするのではなく、対象となる火災の種類を案内することを優先している点などに、名を捨てて実を取る感があり、逆に好感度が急上昇した1本です。
ティーティーエス
スーパールームガード4
実勢価格:1158円
今回、最長の消火剤放出タイムでした! また、消火剤が若干広がって放出されますが遠方まで届き、かつ勢いが強すぎないため油ハネ、すなわち炎が立ち上る危険が減ります。
やや放射状に撒かれた消火剤を、鍋の上にかぶせるようにすると効果的でした。真ん中の鍋は一瞬で消火できました。
放出時間はほぼベスト!勢いが強すぎるのが難点です
上記スーパールームガードよりも1秒早く全鍋の鎮火に成功しました。が、ちょっと勢いが強く、油がハネて怖さを感じたため次点に。ちなみに、壁に取り付けるためのホルダーもセットになっていますが、そのぶん、お値段はちょっと高めです。
HATSUTA
ローヤルガードⅢ
実勢価格:1850円
飛距離があるので遠方からアプローチしやすい点は良いのですが、狭い場所で始末をするとき、ちょっと苦労しそうです。
遠方からテンポよく消火することができました。開けた場所なら、コレがナンバーワンです!
噴出力は最強クラスですが鎮火の際に炎が立ちます
上記2モデルと比較すると、放出時間が5秒ほど短くなっています。そのぶん、パワーがあるともいえますが、室内で使用することを想定するとちょっとどうなのだろう、という感覚です。お値段も考慮に入れると、やはりベストモデルには1歩譲るといったところ。
マリン商事
ハンディ消火器「火消名人」
実勢価格:2688円
遠くまで消火できることは間違いありませんが、一般的な日本の住宅環境を考えるとトゥーマッチ感があります。
上記ローヤルガードと同様に、鎮火時に炎が大きく立ち上った点が気になりました。
C評価: なんと1000円以下!
とりあえず1本、ならコレ
「結局、安けりゃ良いのか!」と突っ込まれそうですが、まずは試しに備えておく、というのであれば性能を考えてもベターな選択です。広い範囲に放出される消火剤は、距離こそ稼げませんが、狭い室内でも効果的に消火できることは間違いありません。
ヤマトプロテック
直撃消火 AE-400
実勢価格;855円
らせん状に放出される消火剤は、勢いが落ちるのも早いのが難点。そのぶん、火元には優しく到着するのですが。
想定していたよりも手前に消火剤が落ちるケースが目立ちました。そのぶん、鎮火に時間がかかっています。
C評価: 勢いはあるものの
放出時間にやや難あり
消火剤の勢いが強いぶん、放出時間がグンと短いのは大いに気がかり。初心者向きではありませんが、消防訓練などでこの手の消火器を使った経験があるならば、問題ないでしょう。価格もお安いですし。
モリタ宮田工業
ファイアーカット
実勢価格:1386円
一直線に対象へ向かっていくので、狙いはつけやすいタイプです。しかし、近距離すぎると油のハネがちょっと怖いのもたしか。
消火剤の軌道は素直で、狙いはつけやすいのですが、距離が近いと、かなり油がハネて炎が立ちます。
E評価: 消火剤の感覚が弱すぎる?
放出時間も厳しい結果に
放出時間が短すぎ、かつ、火元に当たっているのかどうかが非常に掴みにくい1本でした。本体自体は大きいのですが、内容量がやや少なめになっていることの影響でしょうか。消火中には大きな炎がたびたび上がり、鎮火とほぼ同時に消火剤がなくなるという、なんとも不安が残る結果でした。
ヴィプロス
ファイヤー ロック EX
実勢価格:1850円
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霧状になって、ほとんど写真に移りません。広範囲に撒かれているぶん、対象物への当たりが弱いと感じます。
火元に向けているのですが、思わぬ場所にまで消火剤が降り掛かっていました。そのせいか、周囲の油を刺激して大きな炎が立ち上がる結果に。怖かったですね、これは。
E評価: 放出時間が短く
距離感が掴みにくい
圧倒的に放出時間が短く、消火剤がどこに向かっているかという距離感が掴みにくいモデルでした。HPには植物の樹液からできた消火剤を使用しているとあります通り、A~C評価の5モデルとはちょっと方向性が違うな、と感じました。少なくとも初心者向けではありません。高いですしね。
ハートコム
ブロックショット
実勢価格:2860円
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噴出口のすぐ先からワイドに消化液が噴出されます。どこまで届いているのか掴みにくい印象です。
とんでもなく大きな炎が立ち上がりました。最後に消せるには消せましたが、本当にギリギリ。消火剤が切れて、「あ、ヤベ」ってなったところで鎮火しました。
[最終結論]価格=性能ではない!それより放出時間こそが重要です
3台の鍋から立ち上る炎を前に痛感したのは、初めて小型消火器を使うような場面に遭遇したとき、冷静に火元を狙うなんてほとんど無理だ、ということです。そういった意味でも、放出時間が長く、かつ勢いが強すぎない1本。それが、一般的な日本の住宅には適切であると我々は考えます。
憂いのない備え、ぜひ、お試しください。
ちなみに……
消火後の鍋周辺は、この後の撤収を考えるとめまいがするほどの、まさに惨状でした。鎮火するモノ選びより、出火を防ぐこと。なんだか当たり前すぎますが、その大切さを再認識いたしました。
また、余談ですが、今回のA~C評価の5モデルは、いずれも消火剤の内容はほとんど同一のようでした。スプレーやフタの形状も、あれ? これほとんど同じでは? というものが散見されました。ですが、その割に実使用時に差が出たのは確か。もしかしたら、デザイン的な部分で価格の上乗せなどがあったのかもしれません。いずれにせよ、このジャンルにおいては
価格が上のものほどよい、という考えは捨てたほうがいいようです。
考えてみれば当たり前なのですが、小型消火器には耐用年数があります。期限を越えた場合は、必ず新しい製品と取り替えてください。よろしくお願いします。
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