表示時間「2時間30分」のはずが しかし一向に乾燥が終わらない…
そもそも今回の検証は、シャツのアイロン掛けの手間を軽減してくれるという、ドラム式洗濯機の実力をチェックするもの。そこで、日立の風アイロン搭載モデル「BD-NV110A」を購入し、カメラマンと一緒に乾燥機能を検証しました。
すると、いつまでたっても乾燥が終わらないという事態に遭遇。その一部始終を公開します。
まずは、検証メニュー中最も軽量(=スムーズに終わるはず)のシャツ4枚にて洗濯乾燥をスタート。
男性用・女性用、半袖・長袖の計4枚を洗濯乾燥。
検証開始時刻は11時。運転終了時間の目安表示は2時間半です。
残り10分なのに時間が減らない! 結局4時間程かかって乾燥が終了
最初に「ちょっとおかしい」と言い出したのはカメラマン。どうやら洗濯機本体の様子がおかしいとのこと。確認すると、本体側面などが触っていられないくらいの高温
とはいえ、それまで乾燥運転をした経験もないことから、そんなもんなのかと再度待機していました。
しかし、本格的な異常はその後に「そろそろかな」と確認した際のことでした。運転時間表示が「残り10分」そして「時間見直し中」の表示が出ているのに、ここからなにも変わらない……。乾燥は終わらず、むしろその排熱で洗面所内の空気は超高温に!
表示が「あと約10分」からまったく減りません!
念のためお客様センターに電話したところ「本体が乾燥が不十分と判断した場合、最大で7~8時間まで延長することがある」との回答でした。
また、口コミサイトでも同様のレビューを発見。型番こそ違えど同様のケースは見受けられたため、再度待機することにしました。
時間はかかるも1回目の検証も終わり、早速取り出したシャツのチェックと撮影を開始。正直仕上がりは素晴らしく、「アイロン」とは仕上がりは違えど、洗濯ジワなどもなく十分な乾燥状態でした。
洗面所の室温を下げると 予定通りに3時間で完了しました
「これはおかしい…」と思いつつ、2回目の検証を開始。
今回は先程よりも容量を増やして検証。先ほどが4時間だったので、今回はそれ以上かかるということ。朝11時には到着したのに、時刻はすでに15時半過ぎ。正直このときは下手すると泊まりになるのでは? と思っていました。
ちなみに運転時間表示は「2時間53分」。予定通りなら18時半くらいには終わるはずです。
洗濯機の表示を信じられず、時間を計測することにしました。
今回は、前回暑くなりすぎてしまった室温を反省し、早速近場で適当なサーキュレーターを購入。
1時間経過ドアを開放し、さらにサーキュレーター投入!
その結果、最初こそ遅れましたが冷え始めてからは順調に時間も減り、17時45分時点では「残り1時間45分」だったにもかかわらず、なんと19時10分には乾燥終了してくれました。
ほぼ予想時間通りの3時間後に終了!
しかし、1回目の検証で起こったトラブルは一体なんだったのか? との疑問が残る結果に。そこで、翌日メーカーの広報に確認してみることにしました。
メーカー4社に聞きました 「なぜ乾燥が終わらないんですか?」
確認して明らかになったのは「室温が高すぎると効率が落ちて乾燥が終わらない」可能性と、その旨が説明書に明記されているということでした。
確かに、2回目の検証の途中で動作保証温度が気になっていたのは事実です。同様に、その他のメーカーにも聞いてみました。
A社回答
「説明書にもありますが、30℃以上だと効率が落ちます。本体を置いている場所の室温が5℃以下、または30℃以上ではないか確認してください。と記述しています。」
B社回答
「乾燥機能の効率につきましては、○℃以上と決められてはいません。とはいえ温度はもとより湿度などの設置環境は影響します。そのため風通しを良くするなどの工夫をするといいでしょう。」
C社回答
「○℃以上で効率が悪くなるのかを厳密に示す資料がございません。乾燥時の効率に関してはセンサー類が影響すると思われますが、本体からの放出熱もあるため室温を厳密に定めることは難しいです。」
D社回答
「5℃以下もしくは30℃以上の場合、乾燥効率が落ちることがあります。取説にも30℃(ヒートポンプ式は35℃)以上で効率は低下するとありますが、実際には高温による影響は大きくないと思われます。それより定期的な手入れが重要です。」
上記の通り、D社以外は基本的に、環境次第で乾燥時間は変わるということ話です。また、「説明書に書いてある」というエクスキューズもありましたが、まさか普通に乾燥機かけて場合によって7時間も8時間もかかるなんて、はたして予想できる人がいるのでしょうか…。
※上記は2017年夏に取材した結果です。
【結論】室温と乾燥時間は 大きく関係する可能性大です!
乾燥が時間どおりに終わらなかった理由は、今回検証した環境にあったようです。部屋は振り分けタイプの2DKで3階建ての3階、エアコンは振り分けの片方の部屋のものしか使えず部屋全体を冷やせないのに当日の気温は30℃超、と悪条件。
しかも、乾燥運転時の熱気が漏れないよう、設置スペース横の風呂場の換気扇を入れ、かつ洗面所の扉を閉めていたため、本体が高温になり動作が進まなかったのでした。
洗面所の扉は通気可能な穴がなく点検口の蓋が開いていて、天井裏の屋根で熱せられた空気を取り込んでいた状態。
もし乾燥が終わらないという人がいたら、洗濯機置場の室温に注目しましょう。本体の異常な発熱があったら要注意。また、購入前に設置場所を確認するのも大切。風通しの良い場所に洗濯機置場があるとは限らないので、もしそういう家にお住まいの場合は、サーキュレーターが置けるかどうかなどもよく検討しましょう。
「説明書はきちんと読みましょう」というのが大前提なのはわかります。でも、書いてあるからと言って、ここまで極端に影響が出るなんて思いませんでした。メーカーさんには、ぜひそのあたりの改善を期待したいと思います。
※この記事は2017年夏に配信した記事を再編集したものです。