※情報は2021年11月時点のものです。
音楽市場のメインストリームに成長した音楽サブスク
今や日本人の4人に1人が使っていると言われるほど、私たちの生活に浸透した定額制音楽配信サービス(以下、音楽サブスク)。いちいち楽曲を購入しなくても好きなだけ音楽を聴け、アカウントひとつあればさまざまなデバイスですぐに音楽を再生可能──。そんなサービスが月額500~2000円程度となれば、使わない手はないですよね。
音楽サブスクというのは、毎月一定の料金を支払うと数十~数千万曲の音楽が聴き放題になるサブスクリプション型の音楽ストリーミングサービスのこと。「音楽アプリ」なんて呼ばれることもあります。
日本国内では、2015年頃からAWAやLINE、Amazon、Apple、Google、Spotifyといった大手が続々とサービスを開始。2018年には、売上高で従来の楽曲課金型を逆転し、ずっと右肩上がりを続けています。
注目度が増すにつれ、それまで定額制音楽配信サービス・音楽サブスクへの楽曲提供を行っていなかったアーティストが配信を解禁したり、当初数百万曲程度が当たり前だった配信楽曲数は数千万曲が当たり前になったり、音楽ファンも納得のレコメンド機能が搭載されるようになったり……とどんどんサービスも充実してきました。
最近では、臨場感を高める「3Dオーディオ」や高音質の「ロスレス」といった付加価値も新たに加わり、音楽サブスクが今後ますます音楽市場の中心的存在になっていくのは間違いありません。
サブスクの魅力・メリットとは?デメリットはある?
音楽サブスクの一番の魅力は、手軽さと圧倒的なコスパです。先に少し触れましたが、音楽サブスクの月額料金は、サービスによって500~2000円程度と幅があるものの、ボリュームゾーンは1000円程度となっています。月に1000円払うだけで、好きな楽曲がいくらでも聴ける聴き放題サービスです。
アルバムを購入するとなると、それだけで3000円程度はかかってしまいます。3分の1のコストでアルバム以上の曲数を聴けるのですから、コストパフォーマンスは抜群といえるでしょう。
また、音楽サブスクであれば自分の好きな曲だけ聴けて、なおかつ自分だけのプレイリストを作成できるので、自分だけのオリジナルアルバムを作成することもできます。
しかし、音楽サブスクはメリットだけではなく、デメリットもあることを理解しておきましょう。たくさんの音楽を聴く人にとって、月額制でさまざまな曲を聴けるのはメリットですが、いつも決まった音楽を聴くだけでも、月額料金を払い続けることになります。
加えて、楽曲を購入しているわけではなくアプリにダウンロードしているだけなので、サブスクをやめてしまえば、楽曲が聴けなくなるのをデメリットと捉える人もいるでしょう。
サブスク選びのポイント! 曲数以外にも違いあり
音楽サブスクが注目されてサービスが増えたため、今はかなり選択肢が豊富です。そして、楽曲数や料金の違い以外に、機能や使いやすさ、音質などまでさまざまな違いがあります。
ところが、公式サイトなどを見ても情報が不足気味なことが多いため、わかりづらいと感じている人も少なくないのでは?
ただ、実はほとんどのサービスで有料プランを無料でお試しでき、なかには無料フリーミアムで無料でも多くの機能を使える音楽サブスクもあります。もし自分でいろいろ試して使うアプリを決めたい場合は、以下の点に気をつけて選びたいところです。
各音楽サービスの特徴
●Spotify
洋楽に圧倒的な強み。一部のインディーバンドまでそろう。邦楽は若干弱い
●Apple Music
洋楽に強みを持つが、国内のレコード会社との契約が進み、邦楽のラインナップも充実してきた
●YouTube Music
海外企業ながら洋楽・邦楽ともにバランスよく配信
●Amazon Music Unlimited
サブスクでは最大数の7500万曲を誇る。洋・邦問わず有名所は網羅
●AWA
洋・邦問わず豊富。人気ヒット曲はモレなし
●LINE MUSIC
洋楽も有名所は押さえるも、邦楽のほうが強い
●楽天ミュージック
ヒット曲は網羅。LINE同様、邦楽に強い
楽曲数のチェックポイント
基本的には自分の好きなジャンルに強いか、聴きたいアーティストの楽曲があるかが最も重要ですが、配信楽曲数は10万~9000万曲程度までかなりバラつきがあります。ジャンルが偏って(特化して)いないかや、曲数が極端に少なくないかもチェックする必要があります。
200万曲くらいだと、人気曲で入ってこない曲があったり、新曲はあるのに旧アルバムがなかったりと、誰でも違いがわかります。一方、5000万曲くらいになると主要なアーティストや楽曲はほぼ網羅されており、違いを見つけるのも一苦労。自分の聴くなかで一番マイナーなアーティストで検索してみると、もしかしたら違いが現れるかもしません。
音質のよさ
音質は、ここ1年ほどで常識がガラリと変わりました。配信でもCDから全く劣化がないロスレスや、ロスレスよりさらに高音質なハイレゾも登場していて、一気に音質の基準がCD以上にまで跳ね上がりました。
ただし、音質を上げるには1秒あたりのデータサイズにあたる「ビットレート」が大きくなります。例えばロスレスでは約1400kbpsと、動画並みの通信量が必要になるため、スマホで聴く際には、あえて劣化する従来の形式を使うような使い分けをしてもいいでしょう。
2020年以降にロスレス対応のサービスが増え、音楽サブスクの音質の基準は、劇的に変化しています。ネット記事でサービス毎の音質を「kbps」で比較しているような記事は、情報の古い記事なので要注意。通信容量の気にならないWi-Fiやダウンロードで聴くなら「ロスレス」がおすすめです。
機能の充実度
音楽サブスクには、歌に合わせて歌詞を表示できたり、オフラインでも聴けるように楽曲をダウンロードできたり、さらにクラウドストレージで音楽を一元管理できたりと、音楽を聴いたり楽しんだりするのに役立つ機能がたくさん搭載されています。どんな機能があるのか、事前に確認するのも忘れないようにしましょう。
操作性
オンでもオフでも、自宅でも外でも、さまざまなシーンで、ほとんど毎日使う音楽サブスク。だからこそ、ストレスなく操作できるか、どの音楽サブスクにも備わっている楽曲検索やプレイリスト、SNS、レコメンド機能などが使いやすいか、といった部分も重要になります。
対応デバイス
音楽リスニングの場は、今やスマホやパソコン以外にも、スマートスピーカーやWi-Fiスピーカー、メディアストリーミングデバイス、テレビ、ゲーム機など、さまざまなデバイスに広がっています。それにともない、音楽配信事業者も、デバイスに対応するようになっています。対応デバイスが多い音楽サブスクを選んでおけば、あとで視聴環境が変わったときにも対応できるので便利です。
最近は、使いたいデバイスへの対応状況から音楽サブスクを選ぶという、逆転の選び方もされるようになっています。かく言う僕も「Amazon Echo」シリーズ購入を機に「Amazon Music」ユーザーになり、「AirPods Pro」や「iPad Pro」で3Dオーディオを体験したかったことから「Apple Music」も使っています。
コスパ
上記のチェックポイントの評価に対して、料金が安いかどうかも判断の基準になります。なお、ほとんどの音楽サブスクが有料プランを無料で1カ月程度お試しできますが、期間が異なる場合があるほか、音楽とは別のサービスを利用することで料金が割引になることもあります。また、学割サービスを用意している音楽サブスクもあります。
ここまで、音楽サブスクの選び方について紹介してきましたが「自分でそんなにたくさん比較できない!」という人のために、定番・人気の定額音楽配信サービス(音楽サブスク)15サービスをピックアップして、プロと編集部が上記チェック項目を徹底比較。その結果、導き出された10個のおすすめ音楽サブスクを発表します。
新プラン「Voice」登場でさらにお得に!「Apple Music」
Apple
Apple Music
月額料金:個人 980円、ファミリー 1480円、学生 480円、Voice 480円(近日開始予定)
●楽曲数/9000万曲以上
●ビットレート/最大192kHz/24bit(ハイレゾ)
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/一部あり
●クラウドストレージ/あり
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/iPhone、iPad、Apple Watch、Apple TV、Mac、HomePod、CarPlay、Windows、Android、Sonos、Amazon Echo、Google Nest、PlayStation 5
【評価】
楽曲数★★★★★
音質★★★★★
機能の充実度★★★★
操作性★★★★
対応デバイス★★★★★
コスパ★★★★★
「Apple Music」は、2021年にさまざまな仕様変更が行われました。まず、ロスレスやハイレゾ、3Dオーディオの再生が可能になったこと。そして、Siriの音声操作のみで使用できる480円の「Voice」プランが新たに加わったこと(近日開始予定)。さらに、楽曲数もほかの音楽サブスクと比べて最多クラスの9000万曲にまで増えました(うちロスレスは2000万曲。2021年末までに7000万曲になる見込み)。
↑プレイリストの「再生」ボタンの下にある「ハイレゾロスレス」「Apple Digital Master」などの表示から、楽曲がロスレスやハイレゾかどうかがわかります。また、プレーヤー画面でシークバーの下にある「ロスレス」をタップすると写真のような画面が出るので、ロスレスかハイレゾかを見分けることができます。
機能面での特徴としては、Apple製品との相性が抜群にいいことが挙げられます。再生機能がiPhone、iPad、Macなどに標準で搭載されている「ミュージック」アプリと統合されているため、ユーザーは簡単にアクセスできます。
iCloudにデータを保存することで、iPhoneやiPad、MacといったApple製デバイスと、サクッと同じライブラリにアクセスできるように。CDから取り込んだ音源なども、ほかのデバイスで簡単に聴けるようになります。また、音楽ファンも納得する、こだわりのプレイリストが多い点もポイントです。
Siriでの操作のみに対応する新しいVoiceプラン登場
Siriでの操作のみに対応する新しいVoiceプラン。家にある「HomePod」「HomePod mini」でしか音楽を聴かないという人にはうってつけのプランです。なお、2021年11月から、HomePodシリーズでも3Dオーディオやロスレスの再生が可能になっています。
Apple製品との親和性や新しいプラの登場など、注目の「Apple Music」ですが、一方で少々気になる点もあります。音質の変更をするのに設定アプリが起動したり、海外のアーティスト名がカタカナ表記になっていてiTunes時代に取り込んだアーティスト名(これはアルファベット表記)と別人と認識されたりといった部分に使いづらさを感じます。そのほか、シンプルすぎるUIやアイコンがわかりにくいといった評価もありますが、これは好みにもよるかもしれません。
iPhone、iPad、Mac、スマートスピーカーのHomePod miniなどApple製品を複数使っているユーザーにはとても扱いやすいでしょう。それだけでなく、Androidアプリでもロスレス、ハイレゾや3Dも含めた全機能がきちんと実装されていたり、Amazon製スマートスピーカー(またはスマートディスプレイ)の「Echo」シリーズにも登録できたり、想像以上に他社への開放も進んでいるところもおすすめのポイントです。
▼Apple「HomePod mini」についてはこちらもチェック!
Amazon Musicと並んで、ロスレス、3Dオーディオで業界を牽引する存在がApple Musicです。この中身で学生480円は破格の安さだし、学生以外のAppleユーザーはApple Music、Apple TV+、Apple Arcade、iCloud+ をセットで1100円で使えるApple Oneとしての契約もお得。Siriと連携していてハンズフリーで操作できるので、運転中など意外なシーンでも活躍します。
ほとんどの曲がロスレス以上で聴き放題「Amazon Music Unlimited」
Amazon
Amazon Music Unlimited
月額料金:個人プラン 980円(9800円/年)、Prime会員 780円(7800円/年)、ファミリープラン 1480円(14800円/年)
●楽曲数/7500万曲
●ビットレート/3730kbps(Ultra HD、平均)
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/一部あり
●クラウドストレージ/なし
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/Amazon Echo、Amazon Alexa搭載デバイス、iPhone、iPad、Apple TV、Androidデバイス、Amazon Fire TV、Amazon Fireタブレット、Mac、Windows、ウェブブラウザ
【評価】
楽曲数★★★★
音質★★★★★
機能の充実度★★★★
操作性★★★★
対応デバイス★★★★★
コスパ★★★★★
Amazonの最上位のプランが「Amazon Music Unlimited」。以前まで高音質サービス「Amazon Music HD」が存在していましたが、2021年6月より「Amazon Music Unlimited」の機能の一部になりました。最大の特徴は、CDと同等のロスレス、またはハイレゾを含む最高音質の配信を含んでいることです。そして、3Dオーディオにも対応していることです。
↑Amazon Musicの3Dオーディオは、ドルビーの「Dolby Atmos」とソニーの「360 Reality Audio」の2種類のフォーマットをサポート。楽曲の再生中でもプレーヤー画面から簡単に、ノーマル再生と3Dを切り替えられます。
スマホアプリでは若干文字の小ささが気になるかもしれませんが、構成は比較的シンプルで、全体を把握しやすいUIとなっています。楽曲数も7500万曲とかなり多い部類。音楽だけでなく、ミュージックビデオが見られたり、ポッドキャストを聴けたりするのも魅力です。
独自のサービスとしては、ごく一部の楽曲で「Side by Side」という、アーティスト本人の解説と楽曲を組み合わせて楽しめるサービスがあります。
↑「見つける」から「Side by Side」で検索すると、各アーティストのSide by Sideプレイリストが見つかります。
高音質重視では、ストリーミング時やダウンロード時の設定に、より通信容量を消費する「HD/Ultra HD」が加わっています。
このほか、モバイル通信時のストリーミングやダウンロードの際に、音質を制限して通信容量を節約する設定が可能な点も見逃せません。なお、楽曲数は7500万曲ですが、うち数百万曲がハイレゾ。残りのほとんどがロスレスで配信されているようです。
また、Amazon製スマートスピーカー(またはスマートディスプレイ)の「Echo」シリーズと相性がいいのもポイント。再生中の音楽をAirPlayでほかのデバイスにキャストするのと同じ簡単な操作で、近くのEchoに音楽をキャストできます。また、音声アシスタントのAlexaを使って、声で音楽を再生したり、操作したりすることも可能。FireTVとも連携したりと、Amazon製デバイスユーザーは特にメリットが大きいでしょう。
料金は、通常の個人プランは980円、Prime会員は780円と一般的。以前は別料金だった「Amazon Music HD」の機能が含まれるようになっているので、お買い得感を増しています。
▼AmazonのAIスピーカー「Echo Studio」についてはこちらもチェック
3Dオーディオは今、音楽業界で最もホットなテーマで、Amazon Musicでは2021年10月よりスマホとすべてのイヤホン・ヘッドホンに無償開放されました。先進的な音楽体験をタダで使えるメリットは絶大。ロスレスの高音質を求める人や、スマートスピーカーに興味がある人におすすめです。テクニカルな方面の先進性ではトップで、個人プラン980円、Prime会員780円の料金は、個人的にはコスパとしても一番いいと思っています。
無料プランでも大満足! 入れておいて損なし「Spotify」
Spotify
月額料金:Standard 980円、Duo 1280円、Family 1580円、Student 480円、Free0円●楽曲数/7000万曲以上
●ビットレート/最大320kbps
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/あり
●クラウドストレージ/あり
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/iPhone、Android端末、Mac、Windows、ウェブブラウザ、iPad、Apple TV、Apple CarPlay、Android Auto、PlayStation、Xbox、Apple Watch、Android TV、Googleアシスタント搭載端末、Amazon Alexa搭載端末、Amazon Echo、Google Nest(Google Home)、Wear OS、Fitbit、Sonosなど200以上のブランドと2000以上のデバイス
【評価】
楽曲数★★★★
音質★★★
機能の充実度★★★
操作性★★★★★
対応デバイス★★★★★
コスパ★★★
Spotify「Spotify」は、世界で3億6500万人以上のユーザーが利用している音楽サブスクの最大手で、日本でも音楽ファンに高い人気を誇ります。
最大の特徴は、無料プランでもすべての音源をフル再生できる点です。無料プランでは音質が制限され、音声広告が入るほか、楽曲はプレイリストからのシャッフル再生のみとなります。とはいえ、Spotifyは世界中のユーザーが作成したプレイリストがすべて公開される仕様なので、自分の好みにばっちり合ったプレイリストを探すのも難しいことではありません。お気に入りのアーティストの曲をラジオのように流して聴くくらい、という人なら無料でも満足できる可能性は高いので、一度使ってみることをおすすめします。
Spotifyは対応デバイスが多い
また、Spotifyは、スマホやパソコンのみならず、スマスピにスマートウォッチ、テレビ、ゲーム機など、とにかく対応デバイスが多いのも特徴です。しかも、ひとつのデバイスで音楽を再生中に別のデバイスでもSpotifyを起動すると(同じWi-FIに接続していることが条件)、音楽を途切れさせずにデバイスの切り替えが可能。外出中にスマホで聴いていた音楽の続きを、帰宅と同時にパソコンか流すといったことが簡単にできるんです。
アプリはシンプルで使いやすく、検索や設定の変更を細かくできるのもSpotifyの特徴です。AIによるレコメンドの優秀さも音楽ファンから熱く支持される通り。なお、最新のトピックとして、ユーザーの好みや聴取行動から毎朝新しいニュース&音楽をレコメンドしてくれるプレイリスト「Daily Picks」が開始されたほか、2021年後半にロスレスの配信が始まるといった話もあります。現状、音質面や3Dなど最新技術ではApple MusicやAmazon Music Unlimitedといったハイレゾ対応サービスの後塵を拝していますが、今後の逆襲に注目です。
選曲のセンスのよさから音楽好きの間で頻繁に名前の挙がるサービスがSpotify。歴史が古く、世界で最もユーザーの多い独立系サービスだけあり、ウォッチ系や他社製アプリなど、Spotifyに唯一対応しているケースもあるので、どうしても外せない存在です。無料プランだけでも使えるようにしておきましょう。
日本人を知り尽くしたLINEならではのデザイン「LINE MUSIC」
LINE
LINE MUSIC
月額料金:一般 980円(9600円/年)、ファミリー 1480円(14000円/年)、学生 480円
●楽曲数/8700万曲以上
●ビットレート/最大320kbps
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/あり
●クラウドストレージ/なし
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/Android端末、iPhone、ウェブブラウザ、Windows、Mac
【評価】
楽曲数★★★★★
音質★★★
機能の充実度★★★★
操作性★★★★★
対応デバイス★★
コスパ★★★
「LINE MUSIC」は、LINEが提供する音楽サブスクで、LINEとの豊富な連携機能を備えています。たとえば、お気に入りの楽曲をLINEの着信音や呼び出し音に設定できる「LINE着うた」が使えるほか、自分のプロフィールやトークルームのBGMとしてLINE MUSICの音源を使うこともできます。また、プロフィールの背景には、ミュージックビデオ(MV)を設定することも可能です。2021年7月1日以降は初月無料。
LINE MUSICは単に音楽を聴くだけでなく、MVの視聴も重視しています。それは、画面下部のナビゲーションアイコンにMVの項目があることからもわかります。ほかにも、通信状況などに応じて画質を変更できるのもポイントです。ただ、MVと楽曲が連動していないのは惜しいところ。曲を聴いている最中に、MVを発見してそちらも視聴、あるいはMV視聴中にアルバムに移動するというような操作はできません。
友人間で流行っている音楽を簡単にチェック!
LINEとの連携機能については、「フレンズチョイス」という機能を実装しています。これは、LINEの友だちが再生した楽曲を、再生数順にランキングとして表示するもの(名前や個人情報は表示されない)です。これを使えば、友人たちのなかで流行っている音楽などを、簡単にチェックできるようになります。なお、友だちがLINE MUSICを使っていないと、データ不足でランキング自体が表示されないこともあります。
LINEの自分のプロフィールにBGMを設定できるなど、オンリーワンの機能の面白さ、SNSとしての価値の高さと作り込みは褒めるべき。ただ、あくまでLINEを使うスマホ用という所が多く、スマホの世界で完結していて対応デバイスが増える兆しもありません。学生プランなら月480円で使えるので、音楽好きの学生グループなどで契約すると、最大限に活用できそうです。
楽曲数が最多クラスの9000万曲「AWA」
AWA
【オンデマンド型】
月額料金:一般 980円(9800円/年)、学生 480円、アーティストプラン 1アーティストごと 270円(最大3組)、FREEプラン 0円
●楽曲数/9000万曲以上
●ビットレート/最大320kbps
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/あり
●クラウドストレージ/なし
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/iPhone、Androidスマートフォン、iPad、Androidタブレット、Mac、Windows、Android TV、Amazon Fire TV、Chromecast、CarPlay、Android Auto、Android Wear、HEOSスピーカー、Amazon Alexa搭載スピーカー、AppleWatch、GarminWatch
【評価】
楽曲数★★★★★
音質★★★
機能の充実度★★★★
操作性★★★
対応デバイス★★★
コスパ★★★★
「AWA」は、公称の楽曲数9000万曲以上が比較した音楽サブスク中最多。プレイリストは豊富で、UIもスタイリッシュ。構成もわかりやすいのですが、見た目優先でアルファベット表記を多用しているせいか、使い慣れていないとパッと見でわかりづらいと感じる部分もありました。
音楽を聴かせて検索できる
特徴的な機能としては、音楽を聴かせて検索したり、カメラで撮影した画像のイメージに合う曲を検索したりできること。「DIVE」という歌詞を美しく表示できる機能があることや、ユーザー同士がリアルタイムで音楽を流し合ったり、感想を言い合ったりできる「ラウンジ」と呼ばれる機能があるのもポイントです。
料金プランは、980円/月のスタンダードプランのほか、特定のアーティストの楽曲のみが聴き放題になる「アーティストプラン」を用意しています。アーティストプランの料金は、1アーティストにつき270円/月。3組以下の決まったアーティストの楽曲だけフル再生で聴ければいいという人には、安いこのプランがおすすめです。なお、無料プランも存在しますが、こちらはフル再生とオフライン再生ができず、月20時間の再生時間制限があります。
アプリとしてのカッコよさと、無料プランを使えるところが、若い音楽ファン向きのサービスという印象があります。対応デバイスも多少は増えましたが多くはなく、音楽ファン向け路線に進んでいるようです。契約するなら学生プランか、アーティストプランが狙い目でしょう。
MVをたっぷり観たいならコレ!「YouTube Music」
YouTube
YouTube Music
月額料金:Music Premium通常 980円、ファミリー 1480円、学生 480円、Music 0円
※App Storeで入手したアプリからMusic Premiumを契約する場合、通常 1280円、ファミリー 1950円
●楽曲数/8000万曲以上
●ビットレート/最大320kbps
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/あり
●クラウドストレージ/なし
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/ウェブブラウザ、Android端末、iPhone、iPad、Wear OS、Google Nest(Google Home)、Googleアシスタント搭載端末、Android TV、Android Aut、Apple CarPlay、Sonos、Chromecastなど
【評価】
楽曲数★★★★★
音質★★★
機能の充実度★★★
操作性★★★
対応デバイス★★★★
コスパ★★★
「YouTube Music」は、音楽とミュージックビデオ(MV)を組み合わせたYouTubeの音楽サブスクで、2020年に終了したGoogle Play Musicの後継サービスになります。
料金プランは、広告ありでオフライン再生とバックグラウンド再生ができない「YouTube Music」と、広告なしでそれらの機能を開放した「YouTube Music Premium」の2プランを用意しています。ただ、実はYouTube動画の広告を非表示にする「YouTube Premium」(通常料金1180円)を契約すれば、Music Premiumも使えるように。Music Premiumは、単体で契約すると980円なので、YouTubeをたくさん見る人は動画サービスのYouTube Premiumを契約するほうが賢明です。
一方で、損しないように気をつけたいのが、iPhoneやiPadを使っている人。App Storeから入手したアプリで契約してしまうと、ウェブブラウザやAndroidなどで契約するより料金が割高に。契約だけは別ルートで行いましょう。
アイコン等はYouTubeとほぼ同じだから操作では迷わない
さて、肝心のアプリの中身ですが、アイコン等は基本的にYouTubeで使用されているものと同じ。使っていて迷うことはありません。しかし、操作で頻繁に使うボタンが上段と下段の隅にあるので、大きめのスマホをメインに使っている人は、MVが観やすい半面、操作しづらいと感じる可能性も。
プレーヤー画面はシンプルですが、YouTubeにもある「Good」「Bad」マークがある点がほかの音楽サブスクと異なります。ここで評価を重ねていくと、レコメンドの精度がアップします。また、多くの楽曲にはMV(あるいはその曲に関連した動画)がひも付けられていて、再生しながら「曲←→動画」を切り替えられるようになっているのもポイントです。
そのほか、検索で曲を探すと、曲に関連した「歌ってみた」などの投稿動画などもヒットするYouTubeならではの面白さもありました。
Amazon、Appleの二大サービスに対して、Googleが始めたYouTube Musicですが、YouTubeの名前を冠して動画重視という独自性もあり。ただ、ロスレスに対応していないし、対応デバイスもそこそこ止まり。このサービスの真価はYouTubeの広告を外せる「YouTube Premium」(通常料金1180円)に含む形での契約だと思います。煩わしい動画広告を外す機能のオマケとして音楽サブスクがついてくると考えると、急にコスパが高く感じられます。
海外の音楽をたくさん聴きたいならコレ!「Deezer」
Deezer
【ロスレス】【3D】
月額料金:Deezer HiFi 1470円、Deezer Free 0円
●楽曲数/7300万曲以上
●ビットレート/最大1411kbps(ロスレス)
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/あり
●クラウドストレージ/なし
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/ウェブブラウザ、Mac、Windows、Androidデバイス、Android Wear、Android TV、iPhone、iPad、Apple Watch、HomePod、Fitbitスマートウォッチ、GarminWatch、Amazon Echo、SONOS、HEOSスピーカー、Xboxなど
【評価】
楽曲数★★★★
音質★★★★
機能の充実度★★★
操作性★★
対応デバイス★★★★
コスパ★
「Deezer」のDeezer HiFiは、「Amazon Music HD」と「Apple Music」を除けば、今回テストした音楽サブスクのなかでロスレス音源を配信している唯一のサービス。ただし、ハイレゾは配信しておらず、楽曲数7300万曲に対してロスレスは数百万曲となっています。ロスレスだけの音質を比較した場合、CDと同等の音質で聴けるDeezerのほうが高音質ではあるものの、現状はやはり料金が少し高く感じてしまいます。
無料で使えるDeezer Freeもありますが、こちらはビットレートが128kbpsまで下がり、ロスレスは聴けません。楽曲単位で選んで再生することができなくなり、オフライン再生も不可。広告も出るので、使うなら高くても有料版のほうがオススメです。
UIは可もなく不可もなくといった印象ですが、すでにほかのサービスを使っている人だと、ライブラリがない(お気に入りの中に貯まっていくor貯める)と戸惑うかもしれません。また、カスタマーサポートが外国語のみで、日本語に対応していないのも残念なところです。
Deezerは、国内よりも海外の音楽に強いので、海外の音楽をたくさん知りたい、聴いてみたいという人に向いています。また、自分の好みに合わせたサウンドトラックを自動で作成してくれる「Flow」という機能や、聴いている曲に近いテイストの曲を次々と再生してくれる「ソングミックス」など、好みの音楽を見つけやすくする面白い機能もあるので、興味がある人はお試しで使ってみては?
ハイレゾや高音質に優位性があった海外のサービスで、Hi-Fiオーディオ機器などの対応デバイスでは以前から比較的多くの機器で名前を連ねていました。ただ、オーディオ方面以外からはDeezerを使い始める理由に乏しく、日本展開の本気度にも疑問。AmazonやAppleがハイレゾ対応となった今では、難しい立ち位置といえるかもしれません。
無料のオマケとしてなら十分「Amazon Music Prime」
Amazon
Amazon Music Prime
月額料金:Amazonプライム会員専用(プライム会員登録にかかる費用は4900円/年、または500円/月)
●楽曲数/200万曲
●ビットレート/320kbps
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/一部あり
●クラウドストレージ/なし
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/Amazon Echo、Amazon Alexa搭載デバイス、iPhone、iPad、Apple TV、Androidデバイス、Amazon Fire TV、Amazon Fireタブレット、Mac、Windows、ウェブブラウザ
※上の画像はAmazon「Amazon Music Unlimited」のものです
【評価】
楽曲数★★
音質★★★
機能の充実度★★★
操作性★★★★
対応デバイス★★★★
コスパ★★★
「Amazon Music Prime」は、Amazonプライム会員が無料で使える特典で、Amazonプライムのいわばオマケのようなサービス。
UIや操作性、機能については「Amazon Music Unlimited」と同じですが、楽曲数がUnlimitedの7500万曲に対して200万曲と、かなり少なくなっています。とはいえ楽曲はフル再生できますし、オフライン再生も可能。広告も出ないので、もともとプライム会員の人がちょっと使いするならコスパはかなり高いといえます。さらに、プライム会員には音楽以外の特典もあります。
一方で、プライム会員でない人が、このサービスだけを目的にプライム会員になるのはコスパが悪すぎます。それならば、再生が広告付きのプレイリストやステーション単位で、スキップ回数制限もあるけれど無料で使える「Amazon Music Free」にするか、数百円追加して「Amazon Music Unlimited」にするほうがいいでしょう。
200万曲という曲数は確かに聴けない曲もありますが、意外と聴ける曲も多いなと思ってしまうギリギリのレベル。プライム会員のおまけで使えると考えると、ほかの無料プランよりはこちらのほうがいいかもしれません。
人力のレコメンドが頼もしい!「レコチョク」
レコチョク
タワレコミュージック
月額料金:スタンダードプラン 980円、無料プラン 0円
●楽曲数/約7000万曲
●ビットレート/最大320kbps
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/あり
●クラウドストレージ/あり
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/Windows、Mac、ウェブブラウザ、iPhone、Android端末
【評価】
楽曲数★★★★
音質★★★
機能の充実度★★★
操作性★★★
対応デバイス★★
コスパ★★
レコチョクが以前展開していた「REC Music」がリニューアルして始まった音楽サブスク、「タワレコミュージック」。基本的には、レコチョクがドコモに提供している「dヒッツ」のUIとかなり同じ部分があります。dヒッツは「ラジオ型」といわれる音楽サブスクで、プレイリスト単位での再生が基本。そのため、楽曲の再生にいろいろ制約があり、そのせいで使いづらさを感じました。
一方、このタワレコミュージックはほかの音楽サブスクと同じ「オンデマンド型」。楽曲単位で再生できるようになるだけで、まったく使いづらさを感じなくなっています(実は検索のジャンル表示がタブ切替式からタイル式になり見やすさが改善しているなど、細部がブラッシュアップされています)。
タワレコミュージックで特徴的な機能は2つあります。ひとつめが、タワレコスタッフがプレイリストをレコメンドする「タワレコメン」や「タワレコSTAFFこだわり選曲」。ほかにも運営がプレイリストを作っているケースは少なくないですが、音楽に詳しいレコード店員というところに魅力を感じます。後者はまだ数が少ないですが、今後どんどん増えていくと面白そうです。また、アルバムの楽曲リスト下部には、タワレコのオンライン店舗へ遷移するボタンがあり、ここから視聴中のアルバムを購入することも可能。CDが欲しいと思ったときに、わざわざブラウザからサイトに行って検索して……という手間がないのはありがたいです。
プランは無料のものもありますが、プレイリストの作成やオフライン再生、楽曲のフル再生等は不可。10万曲に及ぶミュージックビデオ(MV)も見られないので、契約するならスタンダードプラン一択でしょう。
独立系の音楽配信サービスであり、タワレコという後ろ盾も考えると、やはりメインは音楽ファン層。テクニカルな方面で考えると、音質や対応デバイスなど、新しいものは何もないのは残念。無料プランも活用して、レコード店感覚で新しい曲を知る面白さに価値がありそうです。
楽天経済圏の人ならコスパよし!「楽天ミュージック」
楽天
楽天ミュージック
月額料金:スタンダードプラン 980円、ライトプラン 500円、楽天サービス利用者限定プラン 780円
※iOSアプリ内課金の場合、スタンダードプランは1080円
●楽曲数/8000万曲以上
●ビットレート/最大320kbps
●オフライン再生/あり
●歌詞表示/あり
●クラウドストレージ/あり
●SNSシェア/あり
●対応デバイス/iPhone、Android搭載スマートフォン
【評価】
楽曲数★★★★★
音質★★★
機能の充実度★★
操作性★★
対応デバイス★
コスパ★★★★
楽天「楽天ミュージック」の楽曲数は8000万曲以上と多いですが、音質や使い勝手などの部分では、ほかの音楽サブスクと比べて目立った優位性は見つけられませんでした。対応デバイスはスマホ限定なので、スマホ以外でも音楽を聴きたい人にはおすすめできません。
楽天ミュージック最大のメリットは、ポイント還元やCDを買う際の割引など、楽天経済圏の人にやさしいということに尽きます。たとえば、通常980円/月の料金は、楽天カードや楽天モバイルの利用者であれば200円安くなりますし、さらに税抜料金に対して1%の楽天ポイントが付与されます(iOSアプリ内課金の場合はもらえない)。また、「1000円以上の商品で使える200円割引券」など、楽天ブックスでCD/DVD、Blu-rayをお得に購入することも可能です。
さらに、さまざまなミッションをクリアすることで楽天ポイントがもらえるほか、楽曲の再生数を競い合ってアーティストのグッズをもらうといった変わったキャンペーンも行われています。そのほかにも、楽天ポイントをもらえるさまざまなキャンペーンが行われているので、普段から楽天の各種サービスを使っている人なら、使う価値は十分にあります。
楽天のサービスと連携している一点を除いては、可もなく不可もなくといったサービス。楽天経済圏という言葉が音楽ファンに響くかというと、結構難しいところ。対応デバイスのやる気のなさは残念の一言。様々な低価格プランがある選択肢と、割引やポイント集め込みでお得かもという特殊な立ち位置です。
【まとめ】まずお試しプランで試してみよう
以上、サブスク音楽配信サービス15サービスを実際に使ってみた結果、おすすめの10サービスを紹介しました。これから使ってみたいと思っている人も、別のサービスに乗り替えたいと思っている人も、ぜひこの記事を参考に、自分に最適な音楽サブスクを見つけてください。なお、普段使っているサービスによって、使い勝手などの印象は変わることもあるはず。有料プランを使ってみようと思ったら、まずお試しプラン(無料期間)で使ってみることを強くおすすめします!
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2021年6月にApple Musicが追加料金なしの980円でロスレス、3Dオーディオに対応したことで、音楽サブスクもテクニカル面の競争が激化しています。AmazonとAppleが現在この業界を牽引しているトップ2でしょう。海外では動画投稿アプリの巨人「TikTok」が音楽サブスクを立ち上げるという噂も。今後も音楽サブスクの動向から目が離せません。