【2024年12月】SF・歴史漫画のおすすめ20選。辛口テスト雑誌編集部がイッキ読み推奨作品を厳選！

15世紀のヨーロッパを舞台に命懸けで地動説を研究する人々を描いたストーリー。歴史と科学が好きな人ならすぐにハマるはず。キャッチコピーは 「命を捨てても曲げられない信念があるか？世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか？」。まさに「生き様」と「信念」が強く表現されている。今では当たり前とされている考え方や価値観が異端とされている時代。そんな時代に立ち向かった人々の熱い物語。

15世紀ヨーロッパで、「地動説」を証明するために命をかけた人々の物語です。実は私、歴史漫画に苦手意識があるのですが、この作品だけは一気読みすることができました。なぜなら、歴史漫画なのに現代人にも共感できる瞬間がたくさんあるからです。みんなが正しいと思っていることに「それは違う」って言う怖さ、周りにアンチがたくさんいる中で自分の意見を曲げないこと、何より、「これのためなら死んでもよい」と思えるほど夢中になれるものがある。そんな主人公たちがかっこよくて、胸を打たれます。最初はちょっとグロいシーンがありますが、そこを乗り越えれば、止まらない面白さ！一気読み必至です。

2070年宇宙開発が進んだ世界で「スペースデブリ」の掃除屋（サラリーマン）の主人公が奮闘する物語です。アニメ化もされており、風の谷のナウシカ以来の星雲賞（原作とアニメ）のダブル受賞し、5chの名作スレには必ず名前があがります。原作とアニメ両方みてほしいですね。

腕力、速度、能力、血筋......。様々なチートキャラがいるジャンプ作品の中でも、本作の主人公は「知識」というチート持ち。地球上の全人類が一斉に石化してしまってから3700年が経過した世界で目覚めた主人公が科学を武器に、多くの困難に立ち向かい、人類の再建を目指すストーリー。一見馬鹿げていているようで無茶な設定だが、科学に誠実なのが本作の魅力。これまでのジャンプ作品とは友情・努力・勝利が異なる形で表現されていて、新鮮さもある。読了後は科学が好きになるのでは？なかなかの壮大な設定なのに「納得」できるストーリー展開も魅力！

2025年1月から最終シーズンがアニメ化します！科学は苦手でしたが、『Dr.STONE』をとおして面白さに触れられた気がします。Boichi先生のスタンリーの作画がものすごく気合が入っているので漫画でも見てほしいです。

おすすめしておいてなんですが、実はこの作品、私は途中までしか読んでいません。「完結してから一気に読みたい」と心待ちにしている作品だからです。舞台は九龍。1993年まで実在し、そして現在は解体された香港の歴史的スラム街です。不動産屋で働く主人公の女性は、会社の先輩に恋をしています。しかし、その先輩には忘れられない人がいるようで…。よくある30代男女のラブコメ、かと思いきや途中から「なんとその先輩の想い人は主人公と瓜二つの女性だった」という衝撃のSF展開が待ち受けています。手元に置いて何度も読み返しながら、考察を楽しみたい作品です。

ヒットメーカーである浅野いにお先生の作品で、今年、自身初のアニメ映画化。ネタバレになるのであまり多くのことは言えないものの、展開としてはSF作品によくある「〇〇〇〇ワールド」系。それが、氏の生み出す独自のクセ強キャラクターたちによって魅力的に肉付けされています。氏の代表作として、他に『ソラニン』などもありますが、『おやすみプンプン』もおすすめしたいです

川原泉先生の作品は読む度に、そのワードセンスとストーリーテリングの巧みさに夢中になってしまいます。今回紹介する『ブレーメンⅡ』も近未来を舞台に天才女性船長と人間のように喋る動物船員たちが宇宙を股にかけあれやこれやと活躍するストーリーなんですが、ギャグ要素強め展開かと思ったらガチすぎる宇宙航法ワードが出てきたり、かと思えば謎しかない生命体が邪魔してきたりと先の読めないストーリー展開に飲み込まれるばかり。とにかく楽しく読んでいたら、ドキッとするワードに心を刺されることも。油断のできない面白さです。SF初心者への入門にもいいかもしれません。

世界一おもしろい とがしが行き当たりばったりの天才なら、石黒正数は時系列をすべて書き出して綿密な計算の上で最上のおもしろいことを提示する天才

遺伝子が優劣を決めるという超管理社会のディストピアを舞台にした、エロ・グロ・バトル・ギャグありの近未来SF。話の大筋は主人公がヒロインに逢いに行くという近未来版ロミオとジュリエットともいうべきものだが、人間の悪意や欲望が前面に出まくった内容、多くが救いのない話など（カレーライス食っていいのか!!　おかわりもいいぞ！のエピソードとか）、エグくて骨太なストーリーにはとにかく圧倒される。登場人物たちの感情を揺さぶるセリフも醍醐味。作者は『ジャングルの王者ターちゃん』でも有名な徳弘正也氏で、『ターちゃん』同様にしょーもない下ネタギャグが随時盛り込まれるのだが、逆にこのギャグが本編のシリアス成分を和らげて読みやすいという、独特の世界観・漫画感になっている。絵の感じで手にとりづらい人もいると思うけど、先の気になるストーリー展開をぜひ味わってほしい。徳弘正也氏の代表作と言っていい作品でもっと評価されていいと思うのでピックアップ。

「タコピーの原罪」で衝撃を与えたタイザン5先生の作品。一家全員が記憶喪失になったという状況から話がスタート。謎が謎を呼び、そのたびに読者のハードルが上っていくが、最後にしっかりそれを越えてくるのはさすが。「タコピー」で見せたように、見開きや顔のアップ、執拗な描き込みを効果的に使い、ジャンプ作品らしく飽きさせない工夫が全編に渡って散りばめられている。「タコピー」のアニメ化も発表されたこの年末年始こそ読みたい！！

アニメ化もした「それでも町は廻っている」で第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した作者の作品。この作品も23年にアニメ化してます。未来の日本。崩壊し、モンスター「人喰い」も跋扈する世界で文明社会から遺されたものをあさりながらたくましく生き、謎の「天国」と呼ばれる場所を目指す少年マルとボディガードの女性キルコ。そして場面はかわり、閉鎖された学園で、特殊能力を持った子どもたちが生活を営んでいます。なぜか登場人物のひとりの女の子、トキオは、マルにそっくり。この2つのシーンを交互にストーリーは進んでいきます。「天国」とは何なのか？トキオとマルの関係は？時系列はどうなってるのか？モンスターの正体は何なのか、など伏線がたくさんで読み進めると新たな謎が…と、一気に読み進めてしまいます。

「ムッワァァァ」「やりやがった！！マジかよあの野郎ッ」などのネットミームを生み出した、今更説明不要のヒット作。アニメ化や実写映画化で超話題になったものの、全31巻で腰が引けてる方でも年末年始ならイッキ読みが可能です。戦闘シーンだけではなく狩りや食事のシーンも詳細で、サバイバルに興味のある方には間違いなく刺さります。張り巡らされた伏線回収、さまざまな映画や絵画のパロディ、情報量が多い漫画で読むのに非常に体力が必要です（笑）

「これは孔明の罠だ」「げえっ」「とてもつらい」などLINEスタンプが人気ですが、実は本編を読んだことない。なんて人は年末年始に温州蜜柑でも食べながら履修しませんか？『三国志』は男の義務教育のひとつと言っても過言ではありません。子どもの時に読んだ人、アニメで見た人も久しぶりに復習しましょう。「むむむ」？「なにがむむむだ！」

後に学問の神様で有名になる少年・菅原道真と、平安時代のモテ男・在原業平のコンビものです。ミステリーとしても歴史ものとしても上質で、どっちも好きな人は大満足だと思います。

19世紀半ばの中央アジアを舞台に、イギリス人旅行者スミスが各地で出会った「乙嫁（美しいお嫁さん）」たちを描いた物語。私は中央アジアに馴染みがなくてなんとなく一括りにしていましたが、地域ごとに服装や布の模様、女性の髪の隠し方などが違い、博物学的な読み方をしても楽しいです。描き込みが緻密で、漫画というより画集を見ている気持ちになれます。

身分の格差がまだ強かったヴィクトリア朝のロンドンを舞台に、貴族とメイドとの格差違いの恋愛やその周辺の人間関係を描く……のが本編で、それ自体も相当心がときめいてしまうのですが、個人的一押しは8巻。本編の主人公であるメイドの雇い主、妙齢の家庭教師の過去を描くサイドストーリーが本当に美しいんです。堅物な家庭教師とコミュ力高めだけど奥さんラブな新聞記者の旦那さんが世界最初の万博であるロンドン万博に行くという、ただそれだけの話。それだけなのに、風景描写の美しさ、夫婦の微笑ましい関係性、そして切なすぎるラスト……あらゆる要素が愛さずにはいられない。また本作は、全巻を通じて「あの頃のイギリス」への憧れに満ち満ちているのも魅力。イギリスが好きすぎる私のような人にもおすすめです。

信長と秀吉に仕え、千利休の死後に天下一と呼ばれた茶人であり武将でもあった古田織部。群雄割拠の戦国時代に彼が当時の既成概念にとらわれない、斬新な美意識を追求していくストーリーです。彼だけでなく三英傑や細川幽斎や加藤清正、伊達政宗など多くの魅力的な登場人物たちが、誇張された"顔芸"をはじめとする作者独特の表現で描かれています。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの武将たちが活躍する少し前、 戦乱の世のはじまりを生き抜いた戦国大名の先駆け、北条早雲の物語。いかに室町時代が終わり、戦国時代が始まったか。時折挟み込まれる「盛定スクリーン」で解像度が上がります。

明治時代に東京から江戸まで旅をして日本古来の生活を記録に残したイギリスの女性、イザベラ・バード。その著作「Unbeaten Tracks in Japan」を原作とし、オリジナル要素を組み合わせてイザベラ・バードが主人公の旅行記漫画にしたものです。外国人ならではの日本を見る新鮮な視点が興味深いです。明治の時代の江戸の文化や地方の文化の違い、当時ならではの道具など風俗面を知る面白さと、出会う日本人のたくましさ、主人公が旅の困難をどう乗り越えるのか？というところ、国や立場の違いによる人間関係なども見どころ。また、通訳の青年との関係が（恋愛ではなく）バディものっぽいのは好印象です。

14世紀のスペインでその気性の激しさから「残酷王」「審判王」と呼ばれた、実在のカスティリア王ドン・ペドロ１世の生涯を描いた壮大な歴史絵巻。生まれた時に父親の愛妾や義兄弟たちによって宮廷を追われ、王位に就いた後も親族との政治闘争や周辺他国との戦争に明け暮れ、34歳で短い生涯を閉じます。美丈夫で戦闘能力も高く、善政に努め、女性にモテて浮気者。しかし一番大事にしているのは初恋の愛妾（のちの妻）だけ。こんな面白い人物をもっと知って欲しいです！ 外伝に登場した架空の元騎士である修道士を主人公としたスピンオフ作品『修道士ファルコ』、さらにそこからのスピンオフ作品『ケルン市警オド』もおすすめします。

2025年4月から、15年ぶりにアニメ化します！！有名キャラの聖徳太子や松尾芭蕉の話も増えているので、昔アニメ見てたなって人も楽しめます。私はギャグマンガ日和にハマった結果、聖地巡礼でいろんなところに行き、古文も読めるようになりました。