「感震ブレーカー」は主に3種類 賃貸でも使えるタイプで実験!

地震後にブレーカーを落とすことで通電火災は防げるのですが、一定の揺れを感知したら自動的にブレーカーを落としてくれるのが「感震ブレーカー」です。主に3タイプがあり、それぞれ価格や性能、取り付け方法といった特徴が異なります。

簡易タイプ[価格目安:2000円~5000円前後]

 

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感知からオフまで時間差はなく、自分で手軽に取り付けられ、工事の必要がありません。一定の震度でバンドや重りが動き、物理的にブレーカーのスイッチをオフにします。

コンセントタイプ[価格目安:5000円~2万円前後]

 

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コンセントごとに設置して、個別のコンセントごとに電源を遮断します。自前設置と工事が必要な場合があり、差し込むタイプと既存コンセントを付け替えて埋め込むタイプがあります。

分電盤タイプ[価格目安:5万円~10万円前後]

 

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一定の震度を感知してすべての電気を遮断します。揺れの感知から遮断まで時間差があり、基本的に工事が必要で費用は高めです。

今回は簡易タイプを 地震体験施設で動作テスト!

価格が安く、分電盤に自分で貼り付けるだけの「簡易タイプ」は賃貸でも気軽に取り付けられます。ただ、廉価なだけにきちんと作動するかどうか不安…。ということで、市販されている3つの簡易タイプ感震ブレーカーの動作テストを行いました。

今回は簡易タイプを地震体験施設で動作テスト! イメージ

[協力施設]
東京都北区防災センター(地震の科学館)
住所:東京都北区西ヶ原2丁目1-6
TEL:03-3940-1811

[検証用分電盤提供]
株式会社リンテック21
会社概要:地震対策固定具(落下防止など)関連商品、水害対策用品からセキュリティー対策まで行う、防災対策工事のプロフェッショナル。

今回は簡易タイプを地震体験施設で動作テスト! イメージ2

①震度4から震度7まで順に揺れを起こす(「水平→上下→左右」の順番で揺れを重ねて作動させる)。
②それぞれ感震ブレーカーが作動するかチェック。

唯一震度5強でも敏感に作動! 反応良好な「ヤモリ」がベスト

誤作動なくブレーカーを落とせるかが製品選びのポイントです。揺れを感知するとバンドが落ちてブレーカーを落とす「ヤモリ」が、3製品のなかで唯一震度5強に反応したのでベストと判断しました。

防災:ブレーカー:震災:火災:災害:地震:火事:リンテック21:感震ブレーカーアダプター ヤモリ GVSB1

<商品情報>
リンテック21
感震ブレーカーアダプター
ヤモリ GVSB1
実勢価格:2810円
反応震度:震度6弱/震度5強以上(切り替え式)

震度7~5強で作動

 

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[実験結果]
震度7  水平方向の揺れをスタートさせてすぐに作動した
震度6強 水平方向の揺れでは動かず、上下方向を重ねてすぐ作動した
震度6弱 震度6強と同じく、上下方向の揺れを重ねるとすぐ作動した
震度5強 水平方向では動かず、上下方向の揺れを重ねてしばらくしてから作動した

震度5弱・4では反応なし

 

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震度5弱 水平方向、上下方向、左右方向まで揺れを重ねても作動しないまま
震度4  震度5弱と同じく、最後まで作動しなかった

設置スペースの変更と 反応震度の切り替えが可能!

設置スペースの変更と反応震度の切り替えが可能! イメージ

反応震度を6弱と5強で切り替え可能。揺れが大きくなる高層階では高めに設定するといいです。

設置スペースの変更と反応震度の切り替えが可能! イメージ2

分電盤を収納するカバーにきちんと収まるよう、分電盤からの距離を調節できるのも高評価です。

水平方向の揺れにやや弱く 震度5では反応しなかった

ブレーカーのスイッチにキャップをはめ、揺れておもりが落下するとスイッチが切れる仕組みの「スイッチ断ボールⅡ」。テストでは水平方向の揺れに反応しにくく、反応震度が5以上のはずが5強でも作動しませんでした。

防災:ブレーカー:震災:火災:災害:地震:火事:エヌ・アイ・ビー:スイッチ断ボール Ⅱ

<商品情報>
エヌ・アイ・ビー
スイッチ断ボール Ⅱ
実勢価格:1947円
反応震度:震度5以上

水平方向の揺れにやや弱く震度5では反応しなかった イメージ

[実験結果]
震度7~6弱 作動
震度5強~4 反応なし

取り付けが意外と難しく 震度6弱も反応がなかった

価格が安く取り付けも壁に貼るだけ、という「電源遮断装置」。ところが水平に設置するのがそもそも難しかったです。震度6弱でもおもりが落ちず、揺れへの反応はいまいちでした。

防災:ブレーカー:震災:火災:災害:地震:火事:ノムラテック:電源遮断装置 2099

<商品情報>
ノムラテック
電源遮断装置 2099
実勢価格:1566円
反応震度:震度5以上

取り付けが意外と難しく震度6弱も反応がなかった イメージ

[実験結果]
震度7~6強 作動
震度6弱~4 反応なし

阪神・淡路大震災では火災の6割が 通電火災による二次災害でした

阪神・淡路大震災では火災による二次災害が多発し、その火災の6割が通電火災と言われています。予防は必須なので、まずは簡易タイプを試してみてはいかがでしょうか。

テスト結果では製品ごとに反応震度に差はあるものの、簡易タイプでもきちんとブレーカーを落とせることが証明されました。そのなかでも、設定した反応震度に近い状態で作動したのがヤモリです。

今回のテストではテーブルに置いた模擬分電盤に感震ブレーカーを設置するという方法で検証を行ったため、実際の取り付け状況とは、多少異なっています。そのためかヤモリは震度6弱の設定時に震度5強でも反応してしまいましたが、弱い地震のときには作動しないことも含めて揺れへの反応は良好。ほかの2製品よりも安心度が高い点でベストとしました。