そのビール缶、捨てないで… 工夫次第でキャンプ道具に大変身!
いつもは何気なく捨てるビールやジュースの空き缶ですが、これからご紹介する手順に沿って工作をすれば、“あるキャンプ道具”に大変身しちゃうんです。
嘘だと思う方はコチラの完成形をご覧ください。
ひと工夫を加えて復活した空き缶は、アルコールストーブと呼ばれるガスコンロのような調理器具に生まれ変わりました。
このアルコールストーブは、薬局で買えるアルコールを使用するので“燃料が手に入りやすい”、“小型軽量で持ち運びやすい”と、多くのキャンパーや山登りファンに愛されるアイテムなんです。
もちろん、アルコールストーブは市販でも多く流通するアイテムですが、ゴミ同然だった空き缶の再利用版と比べるとお値段が少し気になるところ。
▼市販の定番アルコールストーブがコチラ
トランギア(trangia)
アルコールバーナー
TRB25
実勢価格:2700円
収納サイズ:径7.5cm×4.5cm
重量:110g
使用燃料:エチルアルコール/メチルアルコール
原産国:スウェーデン
洗練された道具を使いたい人は市販のアルコールストーブを使い、物欲より経験を重視する人は手作りにトライしてみるといいかもしれませんね。
自分で作ったストーブでお湯を沸かし、自然の中で味わうコーヒーやカップラーメンはきっと素敵な思い出をもたらしてくれるはずです。
ストーブ制作のための工具は オール100均でそろいました!
アルコールストーブ制作のために、特別な物は必要ありません。家になかったとしても、工具は100均で買える物で事足ります。
以下に、今回の制作に必要な物をまとめました。まずはそちらの準備からはじめましょう。
▼必要な材料&工具はコチラ
・アルミ缶(350ml)をふたつ
・燃焼テストのために燃料用アルコール
・空き缶を切るハサミ・カッター・ニッパー
・カット面をなめらかにするヤスリ
・穴をあける画鋲・キリ
・中筒をとめるホッチキス
・底部を折り曲げるニッパー
▼制作時間の目安
30分程度
※制作をはじめる前の注意点
このDIYはアルコールと火を使います。アルコールがこぼれている状態では引火の恐れがあります。火を使う前にアルコールのこぼれがないかチェックしましょう。また、最初はほんの少しのアルコールでテストすることを推奨します。本サイトでは思いがけないトラブル、事故についての保証を負えません。自己責任をご理解ください。
“火を放つ”ストーブ上部から まずは作っていきましょう!
簡単にご説明すると、アルコールストーブは“火を放つ上部”と“燃料を貯める底部”のふたつのパーツで構成されています。
今回は、アルコールストーブの上部から作っていきましょう。工具を準備したら制作開始です。
[手順①]空き缶の底に穴をあける
手順1では、空き缶の底にアルコールを投入するための給油口をあける下準備を行います。
一気にあけずに、いくつもの小穴をキリであけておくと後々きれいに仕上がります。円を描くように、キリで穴をあけていきましょう。
穴をあける箇所にマジックで目安を付けておくと作業しやすいですよ。
[手順②]空き缶の底をカットする
手順2の作業では、空き缶の底部を高さ33mmになるようカットします。
カット後は、切断面をヤスリで滑らかにしておきましょう。色テープで空き缶の外周をぐるりとまくと、カットの目安になり、失敗が少なくなります(今回は黒テープを使用)。
なお、解説では33mmとしていますが、高さはひとつの目安なので、何度も作っていくうちに自分好みのサイズが見つかります。空き缶なので失敗しても、新しい空き缶でやりなおせばOKです。
[手順③]炎の噴射口を画鋲であける
手順3では、実際に炎が噴き出す噴射口を画鋲であけていきます。
あける場所は底部のフチ部分。等間隔であけていくのがポイントで、缶底の中心部からピザを均等分割するようなイメージでマジックの目安を付け、フチに穴をあけていきましょう。
画鋲はワンプッシュでOK。写真では合計16箇所にあけています。
[手順④]中央の穴を大きくあけて広げる
手順4では、手順1で缶底にキリであけた小さな穴を大きな給油口にしていきます。
小さい穴と穴の間をキリであけ広げていくイメージ。大きく穴をあけた後は、ヤスリで滑らかにしておきましょう。
ここで力を入れすぎるとクシャっとつぶれるので要注意です。
[手順⑤]カット面をヤスリでなめらかにする
手順5では、手順4であけた穴のカット面(切断面)をヤスリでなめらかにしていきます。基本的にカットした部分はヤスリで滑らかに、が重要ポイント。
ここまでが、アルコールストーブ上部の制作手順でした。上手くできていますか?
続いては、燃料をためる底部の制作に取り掛かっていきます。
次は“燃料を貯める底部”の制作 ニッパー使いにコツが必要です
続いては、燃料アルコールを貯める底部を作っていきます。底部は上部に差し込む構造となるため、制作にちょっとしたコツが必要となります。
それでは手順を見ていきましょう!
[手順⑥]もうひとつの空き缶の底をカット
手順6では、もうひとつの空き缶の底を高さ30mmにカットします。
この空き缶の底部には穴はあいていません。また、この時も色テープで巻いておくとキリトリ線の目安になり便利です。
[手順⑦]40mmの中筒を作成する
手順7では、余った空き缶の胴部分で中筒を作ります。高さ40㎜でカットしておきましょう。
[手順⑧]底部に中筒をあわせる
手順8では、手順6で作成した底部のくぼみに中筒を合わせ、ホッチキスで円柱を作るようにとめます。
その際はきっちり合わせるのではなく、上のイメージ画像程度の余裕を持たせておきましょう。
[手順⑨]中筒に切り込みを入れる
手順9では、中筒の下部にアルコールの通り道となる切れ込みを2、3箇所入れます。山型に切り込みを入れるのがポイントです。
[手順⑩]ニッパーで底部に折り目付け
手順10では、底部のカット面にニッパーで折り目を付けていきます。
この作業は上部を重ねる際にはめ込みやすくするため。ひだひだをつけていくイメージで行いましょう。
続いては、いよいよ組み立てて、テスト燃焼を行っていきます。果たして火はつくのでしょうか?
いよいよ制作も終盤 組み立てて燃焼テスト!
いよいよ、アルコールストーブ制作もクライマックス間近です。
ここでは燃焼テストの際に、燃料用アルコールを使用するので細心の注意が必要。最後まで気を引き締めて進めていきましょう。
[手順⑪]底部に中筒をセットする
手順11では、切り込みを入れた中筒を底部にセットします。ここはとくに難しく考えることなく、中筒を置けばOK。
[手順⑫]上部と底部を合わえる
手順12では上部と底部を合わせます。底部と中筒、そして上部をすべてひとつにするイメージ。
すべてがズレないよう、慎重に重ね合わせていき、ニッパーで作った底部のヒダヒダを中にちょっとだけ押し込みましょう。
[手順⑬]手のひらで押し込む
手順13では、手順12でひとつにまとめたパーツを手のひらでグッと押し込み、ストーブとしての形を完成させます。もし、ケガなどの不安がある場合は軍手の着用を推奨します。
キツい場合はニッパーでひだひだを微調整しましょう。でも、ちょっとキツいぐらいがちょうどいいので、塩梅には注意が必要です。
[手順⑭]中にアルコールを注ぐ
手順14では、完成したストーブの中に燃料用アルコールを少し入れます。
くぼみから流れ落ちるように空き缶と空き缶の中、ストーブの内部にアルコールが貯まります。
ここで入れ過ぎると、消火にも時間がかかるので要注意。今回は燃焼テストなので、アルコールは少量にとどめておきましょう。
[手順⑮]チャッカマンで火をつける
手順15は、いよいよ最後の行程の燃焼テストです。火がついてから数分でプレヒートが終わり、噴出口すべてから炎があがったら成功です。噴出口から炎があがらない場合は、中筒と底部のくぼみに余裕を持たせましょう。
燃焼テスト後は、炎が消えてもすぐには、ストーブを触らないようにしましょう。
熱が十分に冷めないと火傷のおそれがあります。万が一の事態も考慮し、消火器具を用意してからのテストを推奨します。
市販のカップと五徳を準備すれば 「超軽量湯沸かしセット」が完成!
上の写真は、市販されているスノーピークのチタン シェラカップとJMOの五徳をアルコールストーブにセットした状態(五徳なしでも使用は可能)。
これらの道具と50cc程度の燃料用アルコールがあれば、山頂でも温かいお湯を沸かすことができます(燃焼時間は外気温により変動)。
▼写真のシェラカップはコチラ
スノーピーク(snow peak)
チタン シェラカップ
E-104
実勢価格:2052円
サイズ:直径120×45mm
容量:310ml
重量:39.5g
▼写真の五徳はコチラ
ジェイモ(JMO)
キモサベシリーズ ゴトク
(火力調整用プレート付)
実勢価格:790円
ガス缶などを燃料とするバーナーを使用した方がラクなのは間違いありません。しかし、自分で作った道具でお湯を沸かし、飲み物や食事を調理するのは、アウトドアならではの醍醐味。日常生活では味わえない喜びです。
以上、空き缶で作るアルコールストーブの作り方でした。
前述の工具が使える年齢のお子さんがいる場合は、ケガに注意して一緒に制作すれば、楽しい思い出になること間違いなしです。