代表メーカー5機をテスト色味に違いがあらわれます
一眼レフといっても、メーカーによって機能や性能に差が出るのはもちろんのことですが、画質もその例に漏れません。とくに、ポートレート撮影は各メーカーの色みが最も顕著に現れるジャンル。
正直RAWで撮影する方であればそれなりに調整でなんとかなる部分もあるものの、JPEG撮影の場合にはこんなはずじゃなかった! となってしまう可能性が高いので注意が必要です。
そこで今回は、高感度、ポートレート、風景の3点から各メーカーの画質をチェックしてみました。
[キヤノン]肌もなめらかに撮るやや強みの朱色が特徴です
キヤノン
EOS 6D MarkⅡ
実勢価格:18万8343円
キヤノン
EOS 5D Mark Ⅳ
実勢価格:31万2800円
・オーソドックスな操作性
・印象色をしっかりと強調
高感度
EOS 6D MarkⅡ
EOS 5D Mark Ⅳ
もともと高感度性能には定評のあるキヤノン。新機種が申し分ないことはもちろん、キレイにざらつきをあえて残しつつ処理されているEOS 5D MarkⅣもお見事でした。
ポートレート
EOS 6D MarkⅡ
EOS 5D Mark Ⅳ
肌の表現、質感は素晴らしいクオリティ。強調しすぎることがないのに質感をしっかり感じることができ、肌のグラデーションも滑らかです。ただし、やや朱色を強く感じることもあります。
風景
記憶色と呼ばれる印象の良い色を重視しているキヤノン。明るく鮮やかに写ることが多くぱっと見の印象が良いことが多く、癖としては少し明るめに写ってしまうことをどう捉えるかが問題です。また、グリーンがやや黄緑方向に(新緑のように)写りやすいこと、空がややスッキリしたブルーに写ることです。JPEGではニコンと大きく印象が変わることが多いのでこの色みの好みは十分検討すべき違いです。
[ニコン]コントラスト強みで陰影を生かした撮影向きです
ニコン
D750
実勢価格:16万5000円
ニコン
Df
実勢価格:21万3354円
・やや大きめのサイズ感
・操作は両手でしっかり
高感度
D750
Df
それぞれ一級品の仕上がりと耐性ですが、同じエントリーモデルとしてノイズやざらつきを比べるならわずかにキヤノンのEOS 6D MarkⅡに軍配があがります。
ポートレート
D750
Df
キヤノンと比べてややアンダー気味にコントラストは高めに写ることが多く、陰影を生かした撮影に向いています。ある意味男性的表現を得意としていると言えるかもしれません。
風景
最近はキヤノン同様に記憶色を出す方向に傾きつつありますが、見たままの色を出すことを基本としているニコン。明るさもやや暗めに写ることが多いので、特に空のブルーがくすんだ色に見えてしまう場合があるでしょう。その点をどう捉えるかはユーザー次第です。
一方で、赤が突出して鮮やかに写ることがまれにあるので、赤い被写体を撮影する場合は少し注意が必要です。
[ソニー]やや薄めの色味は設定でカバーしましょう
ソニー
α7R II
実勢価格:27万8000円
ソニー
α99 II
実勢価格:32万6300円
・コンパクトな筐体
・手ぶれ補正搭載
高感度
α7R II
α99 II
上位クラスの2機種だけあって、EOS 6D MarkⅡと比べても遜色ない高感度性能です。ニコン同様、エントリーフルサイズのさらなる底上げに期待できます。
ポートレート
α7R II
α99 II
テレビなどで見慣れた色みであると言えるかもしれません。キヤノンやニコンに比べると薄味に感じるかもしれませんが、設定次第で好みの色に近づけることが可能です。
風景
人物ではあっさりめの仕上がりだったソニー。やや色温度が低めに写ることが多く、スッキリした描写をする。ニコンよりキヤノンに近い仕上がりになるでしょう。
後述するリコーも色味としてはニコンよりはキヤノンに近く、多くのユーザーがやはり記憶色を心地よいと感じるということなのかもしれません。ソニーは赤い被写体がややピンク寄りに写ることが多く、その点注意が必要な場合があることを覚えておきましょう。
[リコー]クセのある色味寒色の表現はさすがです
リコー
ペンタックス K-1
実勢価格:20万9718円
・質実剛健でゴツい
・最も個性的な色み
高感度
安定しています。JPEGではD750と6D Mark Ⅱの間くらいのノイズ感。RAWでの性能も同様です。
ポートレート
風景写真では遺憾なく実力を発揮するペンタックスですが、ポートレートでは最も癖がある色み。具体的にはやや黄色が強く出る場合が多いので、JPEGで撮影する場合にはホワイトバランスに気を配って撮影したいところです。
風景
ペンタックスの特徴といえば、やはりグリーンの鮮やさ。ブルーも比較的濃いめに出ますが、グリーンの表現は他社とは一線を画しているので、ここがはまればオススメできます。
[ライカ]質感・色味共にスキなしプロ仕様の性能です
(画像をクリックすると購入ページへ移動します)
ライカ
M10
実勢価格:902,880円
・超コンパクトサイズ
・超マニュアル操作
高感度
他社の最新モデルには及ばないが、想像以上の耐性です。
ポートレート
モノクロもRAWでのカラーデータも素晴らしく質感も色味も申し分なく、さすがはライカであると唸らされました。本体の値段は高いが趣味の域を超えた美しい質感、描写を堪能できるでしょう。
風景
オートフォーカスすらないマニュアル操作。野鳥などは撮影するの自体が難しいでしょうが、本体の描写は素晴らしいので、あとはレンズを揃えさえすればオススメです。
今回の検証では悪天候のために全機種の作例を網羅できませんでしたが、風景自然撮影の際に気になるのが空の色の違い、花の赤の違い、木々のグリーンの違いです。高感度の検証ではフルサイズの強みが生かされ、どの機種でも明らかな差を感じませんでした。
以上、各メーカーの画質検証でした。色味の優劣というよりも、撮りたい写真に合わせてメーカーを選びましょう。