見た目は似ている透明カバー 果たして性能に違いはある?
いまや多くの小学生がランドセルにカバーをつけているのをご存知でしょうか? 公立小学校の場合、1年生のときは入学時に自治体などから配布されたカバーを、2年生以降は各自で購入したカバーをつけることが多いようです。
カバーが透明なのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、こちらは“カバーをつけたランドセル”の写真です。
(画像はマルヨシ「まもるちゃん」公式サイトより)
「ランドセルにカバーが必要なの?」と思う方もいるかもしれませんが、カバーをつけることで傷や汚れ、雨や雪などの水分から守ることができます。紫外線を遮蔽するUVカット機能や、暗い道で光る蛍光塗料や反射材などをつけている製品もあります。
筆者の周りでは、入学時に配布された黄色い交通安全のカバーが破れるのを防ぐため、「カバーのカバー」として透明タイプをつける、という活用も。
また、学年が上がるにつれてデザインの好みが変わることもありますが、色や柄のあるカバーをつけることで、着せ替え感覚でイメージを変えることもできます。
今回は、大切なランドセルを保護しつつちょっとしたイメチェンも楽しめる、ランドセルカバーの実力に迫ります。現在の主流といえる「透明タイプ」から人気6製品をピックアップし、カバー表面の傷つきにくさや、紫外線による劣化のしにくさなど、3項目を検証しました。
ベストバイは「かわだい」 透明ランドセルカバー
まずは今回の検証でベストバイとなった製品をご紹介します!
※画像はAmazonより
かわだい林業部
かわだい 透明ランドセルカバー
実勢価格:1499円
カラーバリエーション:18色(無地13色、ギンガムチェック5色)
ベストバイは、かわだい林業部の「かわだい 透明ランドセルカバー」。傷つきにくい・紫外線を通しにくい・紫外線で劣化しにくい、と三拍子そろったカバーで、堂々の1位となりました。
透明感のあるビニール、すっきりとしたシンプルなデザイン、きれいな縫製と、見た目の美しさも一歩リードしていました。
Amazon上位を独占中! 現在の主流は「透明タイプ」
ランドセルカバーには、ランドセル全体を覆う「フルカバー型」と、ランドセルのフラップ(かぶせ)に装着する「かぶせ型」があります。今回ご紹介する「かぶせ型」は、さらに大きく次の4種類に分けることができます。
①透明で柄なし
(画像はマルヨシ「まもるちゃん」透明ランドセルカバー)
②透明で柄や飾りあり
(画像は京都瑠璃雛菊「デコらん」)
③不透明で柄なし
(画像は「ランドセルカバー/newストライプ」)
④不透明で柄や飾りあり
(画像はCOLORFUL CANDY STYLE「アクアに揺れる大きなリボンコレクション」)
以上、かぶせ型のランドセルカバー4つのタイプをご紹介しました。
Amazonのランドセルカバー・売れ筋ランキングを見ると、上位の大半が①の「透明タイプ」(2020年1月現在)。
デザインがシンプルで価格が手頃であり、ランドセルの色やデザインをそのまま活かしつつ表面を保護できることから、男の子にも女の子にも人気があるようです。
ランドセルカバーの選び方は?
ランドセルカバーの種類や流行りがわかったところで、ランドセルカバーの選び方を見ていきましょう!
女の子も男の子もデザインも大事
透明なランドセルカバーが主流ではありますが、柄や飾りついたランドセルカバーも女の子、男の子問わず使っている人が多いです。
装飾のないシンプルな赤やブルー、パステルカラーなどのランドセルには、華やかな柄や飾りのカバーを合わせても素敵です。ワンポイントが装飾されているランドセルは、カバーにも同系統のモチーフを持ってきてコーディネートすることもできます。
ランドセルは長く使うものなので、「飽きた!」と言われることもあるでしょう。そんなときに、同じランドセルでもまったく違う雰囲気になるようなカバーを合わせることで、イメージチェンジにも役立ちます。
反射材は付いている?
通学路での安全性については、反射材が付いているのといないとでは大きく違いが出てきます。交通事故に遭うリスクを減らすためにも、ランドセルカバーは反射板の有無もチェックするのがおすすめです。
空が曇っていたり雨降りだったり、夕方近くになったりするとドライバーの視界が悪くなります。男の子が使うことが多い黒っぽい色のランドセルは特に目立ちにくくなりますよね。
そんなときでも反射材がランドセルに付いていれば視認性が大幅に向上し、ドライバーも認識しやすくなって安全性がアップします。
高学年で下校時間が遅めになってしまったり、塾や習い事などで暗くなってから帰ったりするなら、カバーに反射材が付いていた方が安心です。
ちなみに、女の子に人気のランドセルカバーに、星や月、ハート、お城やドレスを着たお姫さまのシルエットなどの可愛い飾りが付いたものがありますが、その飾りの部分に反射材が使われているものも多いんです。子どもが気に入ったデザインで安全性も上がるなんて、人気があるのも納得ですね。
サイズはぴったり?
ランドセルカバーのサイズは失敗しがちなので要注意です。せっかくランドセルカバーを気に入って購入したのに、サイズが合わずに買い直すなんてもったいないですよね。
お金や手間がかかるだけでなく、せっかく気に入ったデザインがもう選べなくなると子どももがっかりしてしまうかも。そこでランドセルカバーを買いに行く前に、使っているランドセルのサイズを確認しておくことが大切です。
最近のランドセルは「A4フラットファイルサイズ」が主流。とはいえ、サイズが微妙に異なるタイプもあるので、ランドセルを平らな場所に置いて正確に幅と長さを測り、その寸法を参考にして選びましょう。
主流の「透明タイプ」 6製品の品質を徹底検証!
今回は、Amazonや楽天市場で購入できる透明タイプのランドセルカバーの中から、以下6製品をピックアップしました。
(上段左から)
・MOMOCO ランドセルカバー
・リリミア claire ランドセルカバー
・ゼウス 反射透明ランドセルカバー
(下段左から)
・DICKDOCK ランドセルカバー
・まもるちゃん ランドセルカバー
・かわだい 透明ランドセルカバー
縁取りの色などの違いはあるものの、いずれもビニールは透明。画面上で見た限りではあまり違いがないように思えますが、果たしてランドセルを保護するカバーとしての実力に差はあるのでしょうか? 社内ラボにて2項目、外部機関にて1項目をテストし、5段階で評価しました。
3つのテスト内容と、それぞれの結果をご紹介します。
テストその1:傷つき耐性 (カバー表面の傷つきにくさ)
スチールたわしに1kgのおもりを乗せ、ランドセルカバーの表面を10cmのストロークで20往復こすります。
こすったあとの表面の様子を、次の5段階で評価しました。
5:傷つきがない、またはほとんど視認できないほどの傷が入る
4:注視すると視認できる傷が入る
3:視認できるほどの傷が入る
2:容易に視認できるほどの傷が入る
1:遠くから見えるほどの傷が入る
こすったあとの様子と評価はこちらです。
傷が最も目立ってしまったのは「まもるちゃん」、最も目立たたなかったのは「かわだい」という結果になりました。
テストその2:紫外線遮蔽性 (紫外線の通しにくさ)
外部機関のSPFアナライザーにて、ランドセルカバー6製品の紫外線透過率を調べました。
波長(mm)が高いほど、人体などへの影響は緩やか。透過率(%)が低いものほど、紫外線を通しにくい=ランドセルに紫外線が届きにくい、と言えます。
結果をグラフにまとめたものがこちらです。
グラフの波形から「まもるちゃん」と「かわだい」の透過率が低く、紫外線を通しにくいことが分かります。
人体やモノの劣化に影響する波長は320nm前後なので、290~330nmの波長域の紫外線透過率を以下の5段階で評価しました。
5:ほとんど通さない(0~10%程度)
4:わずかに通す(10~30%)
3:通す(30~70%)
2:大部分通す(70~90%)
1:効果なし(90~100%)
6製品の評価はこちらです。
6製品中もっとも紫外線を通しにくいのは「まもるちゃん」、次いで「かわだい」という評価になりました。
テストその3:紫外線耐性 (紫外線による劣化のしにくさ)
ランドセルカバー6製品を、引張試験用の試験片サイズ(10mm×150mm)でタテ方向・ヨコ方向、それぞれ3枚ずつカットし、黒いシートに並べて貼り付けます。
このシートを2019年5月20日~9月30日までの期間、ラボの南向きの窓辺に置き、日光に晒しました。
なお、開始日の窓辺の紫外線強度は10:30→220μW/cm2、13:30 →575μW/cm2でした。
さて約4ヶ月と10日間、窓辺で日光に晒し続けた結果、どうなったかというと。
シートを挟んでいたピンチは劣化して割れてしまいましたが……
ランドセルカバーの試験片には硬化や破損はなく、6製品いずれも当初のしなやかさを保っていました。
紫外線耐性については加速試験(ブラックライト直下に試験片を置いて状態を観察する)も行いましたが、こちらでも紫外線による劣化はありませんでした。
ブラックライト3灯を並べます。
ブラックライト直下(4cm)にランドセルカバーの試験片を置き、窓辺の5~6倍相当の紫外線を当てます(紫外線強度:2400~3400μW/cm2)。直下の温度は40℃程度。この状態で4000時間照射すると、1年分の紫外線照射量に相当します(JIS K5600で計算)。
日光とブラックライト、どちらの試験でも紫外線による劣化は認められず、すべて満点の「5」という評価になりました。
テストその4:カバーの厚さ
今回の評価には反映していませんが、6製品のビニールの厚さも計測しました。
下の表にある数値は、2面の間にあるすき間の寸法を測定するための工具「シックネスゲージ」にて、位置を変えて3箇所測定し、平均した値です。
僅差ではありますが、最も厚みがあったのは「MOMOCO」。次いで「DICK DOCK」「かわだい」となりました。
ではいよいよ、6製品のランキングを発表します!
傷つきにくさNo.1 紫外線も通しにくい「かわだい」
かわだい林業部
かわだい 透明ランドセルカバー
実勢価格:1499円
カラーバリエーション:18色(無地13色、ギンガムチェック5色)
※上画像はアマゾンより
ベストバイに輝いたのは、かわだい林業部の「かわだい 透明ランドセルカバー」でした。
傷つき耐性のテストでは、1Kgのおもりを乗せたスチールたわしで20往復こすったにもかかわらず、ほぼ傷がつかず、最高評価(5点)を獲得。紫外線遮蔽性のテストでも、紫外線を通しにくいことがわかり、4点をマークしました。
Amazonにて購入し、届いた実物がこちらです。
ビニールにはつやつやとした透明感があり、しなやかな手触り。2つ折りされていたため、折り目がついていましたが、カーブはゆるやかでした。
すっきりとしたシンプルなデザインで縫製も美しく、どことなく上品な雰囲気。カラーバリエーションが豊富なので選ぶ楽しさもあります。
しっかりとした厚みがあり 傷つきにくい「DICK DOCK」
DICK DOCK
DICK DOCK ランドセルカバー
実勢価格:1180円
デザインバリエーション:透明タイプ5種(ほか、不透明・柄ありタイプ5種)
※上画像はアマゾンより
1位と2ポイント差で2位となったのは「DICK DOCK」のランドセルカバー。紫外線の遮蔽性は3点と平均的な評価でしたが、傷つき耐性のテストでは“注視しなければわからないほどの傷”しかつかず、4点という高評価になりました。
ビニールは6製品中2番めの厚さで、しっかりとしています。
縁取りのテープや裏地などの素材に硬さがあり、丈夫そうではありますが、ややゴワつきがあるのが気になりました。かぶせの下部分に、暗い場所で光る2本の反射テープがついています。
傷つきやすいが 紫外線に強い「まもるちゃん」
マルヨシ
まもるちゃん ランドセルカバー(LLサイズ)
実勢価格:1760円
カラーバリエーション:7色
M・L・LLサイズあり
※上画像はアマゾンより
「DICK DOCK」と同点で2位となったのは「まもるちゃん」。傷つき耐性のテストでは傷が目立ち、6製品中ワーストとなってしまいましたが、紫外線遮蔽性のテストでは紫外線をほとんど通さず、トップの成績でした。
残念ながら傷には弱いのですが、紫外線に強いランドセルカバーと言えそうです。
6製品中最も高価(1760円)だった「まもるちゃん」。唯一の箱入りで、丸めた状態で届きました。折り目がつかないよう配慮されているのは好印象。縁取りの縫製もきれいでした。
4位: クリアな透明感のある
厚手のカバー「MOMOCO」
MOMOCO子供服
ランドセルカバー
実勢価格:998円
カラーバリエーション:12色
※上画像はアマゾンより
4位は「MOMOCO子供服」のランドセルカバー。サイトで謳っているとおり、クリアな透明感があります。
傷つき耐性のテストでは“視認できるほどの傷”がつき、3点。紫外線遮蔽性のテストでは“紫外線を通す”という評価になり、同じく3点。6製品のなかでは中程度の実力でした。
ビニールは0.5mmと6製品中最も厚みがあり、硬めの手触り。そうそう破けたりはしなそうですが、ランドセル本体が子供が背負うものとしては十分に重いことを考えると、カバーに重みがあるのがちょっと気になりました。
縁取りは鮮やかなレッドで、きれいな発色です。
4位: やわらか素材で
柄がおしゃれな「リリミア」
ピー・アール・オー
リリミア clarie ランドセルカバー
実勢価格:899~1185円
デザインバリエーション:13種(透明・柄なしもあり)
※上画像はアマゾンより
「リリミア」のランドセルカバーも4位。傷つき耐性、紫外線遮蔽性のテスト結果は「MOMOCO」と同じく3点でした。
こちらは縁取りのテープがなく、すべてやわらかなビニール素材。今回はテストをしていないため強度は不明ですが、角も丸くカットされており、子どもが使うものとしては安心感のあるつくりです。
ビニールが張り付いたり傷ついたりしないようにという配慮からか、やわらかな包材でくるまれており、取り付けの手順書も同封されていました。
派手すぎず、ほどよいアクセントになっている柄部分は暗闇で光る夜光塗料になっています。
6位: 紫外線を通しやすいが
堅実なつくりの「ゼウス」
ゼウス
反射 透明ランドセルカバー 1枚仕立て
実勢価格:1188円
M・Lサイズあり
6位は「ゼウス」のランドセルカバー。傷つきやすさは中程度の3点でしたが、紫外線遮蔽性のテストでは「紫外線を大部分通す」という評価で2点となり、ポイントを落としてしまいました。
カバーをぐるりと囲んだ縁取りが反射材になっており、暗闇で光ります。
6製品のなかでは地味な印象ですが、シンプルかつ、しっかりとしたつくりで、交通安全への配慮がある点も◎。こちらも取り付けの手順書つき。
きれいに折り畳まれていましたが、三つ折りの跡がクッキリとついていたのがちょっと残念でした。
【まとめ】透明タイプでお探しなら 「かわだい」がおすすめです
今回の検証では、紫外線を当てることによる劣化はどの製品にも現れず、「紫外線耐性」の項目では6製品すべて横並びの5点満点になりましたが、「傷つき耐性」「紫外線遮蔽性」で差がつき、以下のランキングとなりました。
傷つきにくく紫外線を通しにくいのは「かわだい」、傷つきやすいけれど最も紫外線を通さなかったのは「まもるちゃん」でした。
とくにネットで購入する場合は違いがわかりにくいランドセルカバーですが、ぜひ選ぶ際の参考にしてくださいね。