まずは基本をサクッと解説フルサイズっていったい何のこと?
デジカメの最重要パーツのひとつがイメージセンサーです。イメージセンサーの仕事はレンズが取り込んだ光をデジタルデータに変換すること。このイメージセンサーがカメラの画質を大きく左右します。
センサーがとっても大きいから高画質!
イメージセンサーにはさまざまなサイズがあります。フルサイズは一般的にアマチュアが使うデジカメのセンサーとしては最大級のサイズです。
フィルムカメラで主流だった35mmフィルムの1コマ(24×36mm)と同じサイズという意味で「フルサイズ」と呼ばれています。
同じ画素数なら小さなセンサーより画素ひとつひとつのサイズがとても大きいので光をたっぷり取り込むことができます。だから高画質な写真を撮ることができるのです。
たっぷりボケるし、暗いシーンでもクリアに撮れる!
フルサイズには画質上のメリットがたくさんあります。ここでは代表的な2つを説明しましょう。
メリット1:高感度でもノイズが少なくクリアに写ります
メリット2:大きなボケをつくるのが簡単です
上がマイクロフォーサーズ、下がフルサイズで撮影した写真です。絞りはF2.8で共通。背景のボケ方が全然違いますね。フルサイズのほうが大きくボケているのがひと目でわかりますよね。
夕暮れ時の動物園で撮影したライオン。動き回るのでブレないようにシャッター速度を上げなくてはいけません。さらに、薄暗い場所なので明るく撮るには感度を上げるしかありません。やむを得ずISO8000で撮影しました。
こうした、「暗いけど被写体は動いている」というシーンにフルサイズ機は滅法強いんです!
ボディもレンズも大きいけどそれが強みになるんです!
フルサイズといえば、SONY α7Ⅲをはじめとするミラーレス機が人気です。フルサイズミラーレスに比べるとフルサイズ一眼レフは大きくて重いのは否めません。
ところが、この大きさは一眼レフの強みでもあります。
一眼レフは一瞬のシャッターチャンスを狙いやすい
こちらはフルサイズ一眼レフのペンタプリズム。トンガリ頭の中身で、一眼レフの背が高いのはこんなパーツが入っているからです。
役目はレンズから入ってきた光をファインダーに導くこと。一眼レフのファインダーをのぞくと、そこにあるのはレンズが取り込んだ光をそのものです。
一方、ミラーレスのファインダー(EVF)には有機ELや液晶パネルが組み込まれています。撮影前にカメラで設定している色や明るさを確認できるので楽なのですが、どうしてもモニターをのぞいているような見え方になります。
また、ほんのわずかですが遅延(タイムラグ)が発生します。
一眼レフのファインダーには「ほんものに近いリアル」ではなく「ほんものの光」があります。
ポートレートで一瞬の表情を狙ったり、望遠レンズでスポーツや航空機を連写する時は一眼レフのファインダーのほうがシャッターチャンスを掴みやすい傾向にあるんです。
そしてフルサイズ一眼レフならファインダーが大きいのでのぞいた時の視界も広々としていて実に気持ちいいんですよ。
バッテリーの持ちは一眼レフの圧勝です
また、一眼レフで見逃せないのがバッテリーの持ち。一眼レフのキヤノン EOS 5D MarkⅣは900枚撮影できますが、同じバッテリーを使うミラーレスのEOS Rはわずか370枚です。
【選び方】フルサイズ一眼レフ選びのポイントはこの5つ
ニコン、キヤノン、ペンタックスから発売されているフルサイズ一眼レフ。選び方を簡単にまとめめてみました。
【選び方1:画素数】
2000万画素がひとつの基準
画素数は2000~3000万画素台が主流です。風景撮影や望遠撮影が多いなら3000万画素以上を、暗い場所での撮影が多いなら2000万画素クラスを選ぶのが目安になります。
【選び方2:オートフォーカス】
測距点と連写性能に大きな違いが!
測距点の多い上位機種の方が画面の広い範囲でピントを合わせられます。下位機種では測距エリアが狭すぎて不自由さを感じることも。
また、連写も上位機種の方が高速で遅い機種だと4コマ/秒程度に止まります。なお、ミラーレスにある瞳認識や動物認識AFは基本的に非搭載です。
【選び方3:ファインダーとモニター】
モニターが固定式の機種もあります
フルサイズ一眼レフのファインダーはどの機種もかなり見やすいですが、ボディが巨大な上位機種はファインダーが大きく別格の見易さを誇ります。
液晶モニターは軽量化や堅牢性を重視して固定式の場合も。また、液晶画面を見ながら撮影する「ライブビュー」ではキヤノン機がずば抜けて優秀です。
【選び方4:操作性】
どのカメラも持ちやすい!
大柄なボディのおかげでどの機種も操作性や持ちやすさは良好です。ミラーレスのように極端に持ちづらい機種はありません。
【選び方5:機能性】
基本手ブレ補正は非搭載です
手ブレ補正やスマホ連携、カードスロットの数や防塵防滴性能も見逃せません。なお、一眼レフでボディに手ブレ補正を備えるのはペンタックスだけとなります。キヤノンとニコンでは手ブレ補正つきのレンズを使うしかありません。
レンズ選びにもポイントがあります。ニコンとペンタックスはAPS-C用のレンズをフルサイズ一眼レフに装着して撮影できます。一方、キヤノンの場合、APS-C用の「EF-S」レンズはフルサイズ機への装着不可能です。
編集部では写真家とともに各機種を検証、それぞれのポイントを20点満点で採点しています。それではランキング1位の製品からごらんくだださい!
最高の完成度を堪能できますニコン「D850」
ニコン
D850
実勢価格:30万6000円
※リンク先のページは本体のみのページです
サイズ:約W146×H124×D78.5mm
重量:約1005g
有効画素数:約4575万画素
連写(追従):約7コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO64~25600(ISO 102400相当)
ファインダー:100%/約0.75倍
モニター:3.2型/約236万/タッチ液晶/チルト
▼D850の評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
86.5点 | 19.0点 | 18.0点 | 16.5点 | 17.0点 | 16.0点 |
全てのフルサイズ一眼レフの中でも最高の完成度を誇るのがニコン「D850」です。
4575万画素もの高画素センサーは風景撮影に最適。拡大してもご覧の通りのシャープさです。
連写速度はボディ単体だと約7コマ/秒ですが、別売の「マルチパワーバッテリーパック MB-D18」を装着すると約9コマ/秒までアップ可能。
この写真は日没直後に走っているモデルを連写で撮影したもの。かなり難しい条件ですが、ピントもしっかり合っています。
オートフォーカスのモジュールには報道用の「D5」と同等品を採用。スポーツシーンも十分狙えるパフォーマンスを秘めています。
この作例はISO16000という超高感度ですが服の質感もまだ残っており、高感度画質もなかなか優秀なのです。
強力な足回りを備えるD850ですが、それ以上に注目なのが大きなファインダー。自然な視界とピントの位置のわかりやすさに感動する」(写真家の園部氏)というハイレベルな仕上がり。
のぞくだけで「いい写真が撮れる」そんな予感が湧き上がってきます。まさに一眼レフの醍醐味を満喫できるファインダーです。
ライバルはキヤノンというより、ソニーのミラーレス
一眼レフでのライバルはキヤノン「EOS 5D Mark Ⅳ」ですが、画素数が1000万画素近く少なくオートフォーカス性能もやや劣ります。
真のライバルはソニーの「α7R」シリーズでしょう。α7R Ⅲは4000万画素、α7R Ⅳに至っては6000万画素で撮影でき連写も10コマ/秒と高速です。
スペックだけならα7Rシリーズにアドバンテージがありますが、オートマ車とマニュアル車の違いのようなもので、撮りごたえや操作性など「カメラで撮る快感や充実感」を重視するならD850が勝ります。
また、レンズラインナップの豊富さも一眼レフの強みです。予算に合わせて選択できるので「高いレンズしかない……」という心配はフルサイズミラーレスより少なくなりますよ。
アウトドア派に刺さる機能が満載!リコー「PENTAX K-1 MarkⅡ」
リコーイメージング
K-1 Mark II
実勢価格:20万3800円
※リンク先のページは本体のみのページです
サイズ:約W136.5×H110×D85.5mm
重量:約1010g
有効画素数:約3640万画素
連写(追従):約4.4コマ/秒
手ブレ補正:5軸/5段
ISO感度:ISO100~819200
ファインダー:100%/約0.7倍
モニター:3.2型/約103.7万/フレキシブルチルト
▼PENTAX K-1 MarkⅡの評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
85.5点 | 19.0点 | 15.0点 | 16.5点 | 18.0点 | 17.0点 |
アウトドアで撮影を楽しみたいのなら、「K-1 Mark II」は第一候補になるカメラでしょう。
得点を見ても分かる通り、PENTAXの一眼レフは連写やオートフォーカスではニコンやキヤノンに遅れをとります。AFエリアが狭く、動く被写体の撮影にはやや厳しい……。しかし、そのほかの項目ではどれもハイレベルで2位に食い込みました。
ペンタックスの一眼レフは風景や自然を撮る分野では熱い支持をあつめています。
まず、厳しい環境でも撮影できる「耐候性」の高さです。防塵防滴仕様で-10℃の低温環境でも動作保証されています。フルサイズ一眼レフの多くは防塵防滴仕様ですが、氷点下での動作保証をクリアしている機種は貴重な存在です。
おかげで、このような山岳写真も快適に挑めます。
液晶モニターはこのような「変態的」なセッティングが可能。岩場などで三脚をセットしたときにモニターを見やすくする配慮です。
ボタンやダイヤルは手袋をしていても操作しやすいですし、暗がりでもカメラを操作できるように本体にはライトも埋め込まれています。ファインダーの見やすさも際立っており、快適なマニュアルフォーカスが可能です。
また、画質の良さも「K-1 Mark II」の魅力でしょう。テスト結果は19ポイントで、ニコン D850と同じく最高点でした。
この作例のように風景を鮮やかに構成できるのもペンタックスの特徴。思い通りの仕上がりになるよう幅広い「カスタムイメージ」が用意されています。
また、ボディ内に手ブレ補正機構を備えている点も見逃せません。
しかも、手ブレ補正を応用して少しカメラが傾いていても自動的に水平にする機能や天体写真を撮影する「アストロトレーサー」、画素数以上に高精細な写真を撮影できる「リアルレゾリューション」など付加機能が満載となっています。
ライバルはオリンパスや富士フイルム
一台のカメラであれもこれも撮りたいというなら、一眼レフではニコンのD750や780(今後発売の新製品)が同価格帯でライバルになるでしょう。ミラーレスならフルサイズ機ソニーα7Ⅲです。
しかし、風景写真を考えるとオリンパスや富士フイルムのミラーレスこそライバルかもしれません。
「耐候性」ではオリンパスのミラーレス「OM-D E-M1X」や「OM-D E-M1 MarkⅡ」が好敵手。どちらも防塵防滴で-10℃の動作保証もクリア。画質ではフルサイズのK-1 MarkⅡが大きくリードしますがオリンパスは圧倒的に小型軽量です。
富士フイルムは風景写真の定番フィルム「Velvia」を長年製造している色のエキスパート。富士フイルムのミラーレスは自然風景を鮮やかに捉える絵作りに定評があります。
プロ御用達の大定番キヤノン「EOS 5D Mark Ⅳ」
キヤノン
EOS 5D Mark Ⅳ
実勢価格:24万8500円
※リンク先のページは本体のみのページです
サイズ:約W150.7×H116.4×D75.9mm
重量:約890g
有効画素数:約3040万画素
連写(追従):約7コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO100~32000、H(ISO102400相当)
ファインダー:100%/約0.71倍
モニター:3.2型/約162万ドット/タッチ液晶
▼EOS 5D MarkⅣの評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
85.0点 | 17.5点 | 17.5点 | 16.0点 | 17.0点 | 17.0点 |
キヤノンのフルサイズ一眼レフと言えば「EOS 5D」というほどプロからアマチュアまで幅広く支持されています。すべての評価項目でバランスよく高得点を叩き出す優等生タイプのカメラです。
風景も動きモノも人物もなんでも撮れる、汎用性が最大のウリ。
3040万画素のセンサーを搭載し、高画素でありながら7コマ/秒の追尾連写、高感度の画質にも優れるなどのソツのない基本性能が備わっています。
オートフォーカスには報道用の「EOS-1D X Mark II」と同じ「61点高密度レティクルAF II」を搭載。一度捕捉した被写体をほとんど逃しません。
液晶モニターが固定式なのは残念です。ただしタッチ操作は快適そのもの。
格下のEOS 6D MarkⅡと比べるとAF、連写、ファインダーのみやすさなど基本性能の面でEOS 5D MarkⅣが大きくリードしています。一方、EOS 6D MarkⅡは可動式の液晶モニターを備え小型で軽量です。
ライバルはミラーレスのEOS R?
フルサイズ一眼レフのライバルはニコン「D850」でしょうか。ただし、D850には画素数で水を開けられています。
一方、キヤノンが強いのは動画です。デジタルシネマの標準規格のDCI-4Kでの動画撮影も可能。動画のオートフォーカスもニコンより遥かにスムーズです。
また、画素数が同一でフルサイズミラーレスのEOS Rも比較対象になりますが、連写や動きモノの撮影では一眼レフのEOS 5D MarkⅣが有利です。
4位: 5000万画素の高画素機
キヤノン「EOS 5Ds」
キヤノン
EOS 5Ds
実勢価格:24万5000円
※リンク先のページは本体のみのページです
サイズ:約W152×H116.4×D76.4mm
重量:約930g
有効画素数:約5060万画素
連写(追従):約5コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO100~6400、L(ISO50相当)、H(ISO12800相当)
ファインダー:100%/約0.71倍
モニター:3.2型/約104万ドット
▼EOS 5Dsの評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
84.5点 | 18.0点 | 17.0点 | 15.5点 | 17.0点 | 17.0点 |
キヤノン「EOS 5Ds」は「EOS 5D MarkⅣ」の兄弟機で、約5060万画素センサーを搭載した高画素モデルです。総合点は「EOS 5D Mark Ⅳ」より0.5ポイントダウンした84.5ポイントで4位。低感度では文句なしの切れ味ですが、高感度での撮影は苦手です。
AF性能も申し分ありません。特にAFの追従性能はさすがキヤノン!。ただし、連写速度は5コマ/秒に止まります。
画素数が多いので1枚あたりの画像ファイル容量が大きくなることや、手ブレにもシビアになるなど一般用途では使いにくいと感じることが多いかもしれません。
液晶モニターは「EOS 5D Mark Ⅳ」と同じく固定式で、タッチ操作もできません。風景撮影など、カメラを三脚にしっかりと固定してじっくりと撮影を楽しむスタイルに向いています。
さらなる高解像を追求したモデル「EOS 5DsR」も!
5Dsには「R」が付く兄弟モデルもあり、そちらはローパスフィルターの効果を打ち消す構造を採用。5000万画素センサーの性能をさらに引き出す高解像モデルとなっています。
登場時は“高画素モンスター”だったEOS 5Dssシリーズ。
しかし、汎用性なら4000万画素のニコン「D850」、さらなる解像度なら6000万画素のソニー「α7R Ⅳ」という選択が今では可能です。2020年1月現在ではやや中途半端な存在になってしまいました……。
5位: これは“トラベルフルサイズ”
キヤノン「EOS 6D Mark II」
キヤノン
EOS 6D Mark II
実勢価格:14万9390円
※リンク先のページは本体のみのページです
サイズ:約W144×H110.5×D74.8mm
重量:約765g
有効画素数:約2620万画素
連写(追従):約6.5コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO100~40000、L(ISO 50相当)、H2(ISO102400相当)
ファインダー:100%/約0.71倍
モニター:3.0型/約104万ドット
▼EOS 6D MarkⅡの評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
83.0点 | 17.0点 | 17.0点 | 16.0点 | 16.0点 | 17.0点 |
フルサイズなのに小型軽量が特徴のキヤノン「EOS 6D Mark II」。実売15万円以下と、キヤノンフルサイズ一眼レフカメラの中ではとても手頃でフルサイズの入門機としても最適なんです。
フルサイズ機でバリアングル式の液晶モニターを導入している点も珍しく、液晶モニターを活用したライブビュー撮影もとてもしやすい。タッチAF、タッチシャッターでミラーレスのように扱えます。
EOS 5D MarkⅣと同様、GPSも搭載しているので撮影場所を記録できます。小型軽量なボディと相まって“旅カメラ”として魅力的!
動画は4Kには対応しておらず、フルHDなのが惜しい点。また、「EOS 6D Mark II」のオートフォーカスシステムはAPS-CのEOS 80Dと同等なため、フルサイズ一眼としてはフォーカスエリアがやや狭く感じてしまうのが残念です。
6位: 型落ちの実力派です
ニコン「D750」
ニコン
D750
実勢価格:12万9495円
※リンク先のページは本体のみのページです
サイズ:約W140.5×H113×D78mm
重量:約840g
有効画素数:約2432万画素
連写(追従):約6.5コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO100~12800(ISO51200相当)
ファインダー:100%/約0.7倍
モニター:3.2型/約122.9万ドット/チルト
▼D750の評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
81.0点 | 18.0点 | 16.0点 | 15.5点 | 16.0点 | 15.5点 |
6位にランクインしたニコン「D750」は2014年9月の発売からロングヒットを続けるカメラです。
フルサイズ一眼としては小型なボディで防塵防滴仕様。センサーは2432万画素で、約6.5コマ/秒のAF追尾連写、51点測距のAFシステムと隙のない基本性能。
また、視野率約100%の光学ファインダーを採用し、液晶モニターはチルト式と気が利いています。SDカードスロットはデュアルスロット。Wi-Fiももちろん内蔵しています。
弱点を克服した後継機「D780」が登場します
このように一眼レフとしての性能は上々なのですが、液晶モニターを見ながら撮る「ライブビュー」や動画撮影のパフォーマンスと快適さではキヤノン「EOS 6D MarkⅡ」に歯が立たず、それがランキングで6位になった理由です。
こうした弱点を補うべく後継機のD780が1月24日発売されます。ニコンの一眼レフで初めてミラーレスのオートフォーカス技術を取り入れているのでライブビューや動画撮影の快適さが飛躍的にUP!この分野でキヤノンにようやく追いつきました。
一方、D750はほぼ底値であろう12万円台まで下がりました。D750は「型落ちでハイコスパな実力派」と言えるでしょう。
7位: 「軽量フルサイズ」の隠れた選択肢
ニコン「Df」
ニコン
Df(ブラック・シルバー)
勢価格:17万9010円
※リンク先のページは本体のみのページです
サイズ:約W143.5×H110×D66.5mm
重量:約765g
有効画素数:約1625万画素
連写(追従):約5.5コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO100~12800(ISO204800相当)
ファインダー:100%/約0.7倍
モニター:3.2型/約92万
▼Dfの評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
76.0点 | 17.0点 | 13.0点 | 14.5点 | 17.0点 | 15.0点 |
オールドカメラ風のデザインで発売から5年以上が経過してもなお、人気の高い「ニコン Df」。発売開始から手頃な価格で販売されていました。
このカメラはフィルム時代の古いレンズをデジタル一眼レフで活用するためにデザインされています。最近のDシリーズには装着できない「非AI方式のNIKKORレンズ」を楽しめるのです。
操作系もフィルム時代のマニュアルフォーカス一眼レフがベース。シャッタースピードやISO感度はダイヤルで設定します。Nikonのロゴも古いデザインをあえて採用する徹底ぶりです。
一方、動画機能は非搭載。写真専用機です。でもその分、765gと小型軽量に仕上がっています。キヤノン EOS 6D MarkⅡと同等の軽さです。
内部構造は登場当時のフラッグシップ機「D4」のイメージセンサーに、フルサイズエントリー機の「D610」のユニットを組み合わせたもの。
画素数が控えめなので画質の評価は伸び悩んでいますが、そこはフラッグシップ機のイメージセンサー。高感度性能やダイナミックレンジは大変良好です。
D610がベースのためオートフォーカスの精度はそれほど高くなく、追尾も苦手です。しかし、カメラを操作する“わくわく”感では一眼レフで右に出るものはありません。撮影のプロセスも含めて楽しむ、そんなカメラです。
8位: 10万円以下で購入できる
ニコン「D610」
ニコン
D610
実勢価格:9万7700円
※リンク先のページは本体のみのページです
サイズ:約W141×H113×D82mm
重量:約850g
有効画素数:約2426万画素
連写(追従):約6コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO100~6400(ISO 50相当、ISO 25600相当)
ファインダー:100%/約0.7倍
モニター:3.2型/約92万
▼D610の評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
75.0点 | 17.0点 | 13.0点 | 15.0点 | 16.0点 | 14.0点 |
ニコンのフルサイズ一眼レフでは、入門機にあたるのがこの「D610」です。扱いやすいコンパクトなボディに視野率100%の光学ファインダー、6コマ/秒の連写性能など、基本性能は入門機としては十分です。
AFは中央部9点にクロスセンサーを採用した39点測距。だた、AFエリアのカバーする範囲が狭いため、動体撮影はやや苦手です。
2013年10月の発売なので、最新機種と比較すると物足りない部分が多々ありますが、10万円以下で購入できる唯一のフルサイズ一眼レフとしての魅力は十分にあります。
【番外編】ニコンとキヤノンの「ガチプロ機」が発売予定です
ニコンとキヤノンはオリンピックにあわせてフラッグシップモデルを発売するのがいわば慣しとなっています。
今年もニコン「D6」とキヤノン「EOS-1D X MarkⅢ」が発売予定ですが、定価が88万円(1D X Mark Ⅲの価格、D6は未発表)という値段も“ガチプロ”なモデルです。
家電批評では前モデルの「D5」と「EOS-1D X MarkⅡ」はテスト済ですが、後継機は未テストなので番外編としてご紹介します。
D5とEOS-1D X Mark IIはカメラだけで1.5kg前後と極めて重く大きなボディですが、このカメラで撮れない瞬間は存在しないのではないか? そんな気にさせる究極の一眼レフといえます。
オートフォーカスは最高得点!
ニコン「D5」
ニコン
D5 XQD-Type
実勢価格:55万3819円
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サイズ:約W160×H158.5×D92mm
重量:約1405g(XQDカード使用時)
有効画素数:約2082万画素
連写(追従):約12コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO100~102400(ISO3280000相当)
ファインダー:100%/約0.72倍
モニター:3.2型/約236万/タッチ液晶
▼D5の評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
89.0点 | 18.0点 | 18.5点 | 17.0点 | 18.0点 | 17.5点 |
プロスポーツなどのシーンを想定したモデルで、AF/AE追従で約12コマ/秒、最大200コマまでの高速連続撮影が可能となっています。
オートフォーカスのエリアは153点、そのうち99点がクロスセンサーです。高速で移動する被写体にも即座にピントが合って、そのまま追従してくれます。暗所でのAFも素晴らしく、テスト結果も良好で18.5点の最高点をとりました。
液晶モニターにタッチパネルを採用していて、メニュー操作性も快適です。
完璧とも思える「D5」ですが、動画撮影時のAFには期待しないほうが良いでしょう。また、ライブビューでのタッチAFの精度はイマイチの場合がありました。
秒間14コマ!連写最速
キヤノン「EOS-1D X Mark II」
キヤノン
EOS-1D X Mark II
実勢価格:52万7000円
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サイズ:約W158×H167.6×D82.6mm
重量:約1530g
有効画素数:約2020万画素
連写(追従):約14コマ/秒
手ブレ補正:レンズで対応
ISO感度:ISO100~51200、H(ISO409600相当)
ファインダー:100%/約0.76倍
モニター:3.2型/約162万/タッチ液晶
▼EOS-1D X Mark IIの評価はこちら
総合点 | 画質 | オートフォーカス | 機能性 | ファインダー/モニター | 操作性 |
---|---|---|---|---|---|
89.0点 | 17.5点 | 18.5点 | 17.5点 | 17.5点 | 17.0点 |
キヤノン好きなら誰しもが憧れるフラッグシップカメラ。
連写はAF追従で最高約14コマ/秒(ライブビュー時は約16コマ/秒)! フルサイズ一眼レフでは最速です。まるでマシンガンのような高速シャッターは、一度体験すると他のカメラを使えないほどの魔力があります。
高感度撮影に強いのもプロ仕様。ISO6400までは問題無く常用でき、ISO12800で撮影してもカラーノイズは少なくプリントにも十分耐える画質でした。
静止画専用カメラと思いきや動画性能も高く、4K/60PとフルHD120Pでの撮影が可能です。
以上、フルサイズ一眼 おすすめ最新ランキング9選でした。
フルサイズ一眼レフは高スペックのカメラが多いので、どのカメラを選んでも不満を感じることはほとんどないと思います。ニコン「D610」のような10万円を切るカメラを購入して、余力をレンズの予算に充てるのも賢い選択です。
フルサイズのデジタル一眼レフの魅力を存分に楽しんでください。