パソコン 「箱」が読めれば9割わかるWi-Fiルーターの選び方

いきなりですが、ルーターで重要となるスペックのほとんどは箱に明記されています。したがって、その読み方さえわかれば、基本的な性能などは一目瞭然なのです。

もう少し詳しく説明すると、ルーターの速度や安定性を決定づけるポイントは大きく分けて2つ「通信規格」と「アンテナ本数(ストリーム数)」です。これらを箱から読み取るだけで、ルーター選びの失敗を避けることができます。そこで、以降では読み取るポイント具体的に解説したいと思います。

パソコン [ポイント①]速度のベースを決める「規格」をしっかりチェック

[ポイント①]速度のベースを決める「規格」をしっかりチェック イメージ

メーカーが一番強調する「速度」に深く関わってくるのが「通信規格」です。上の表で示したとおり、現在5つの規格が製品化されていていますが、基本的には「11acのみ対応」などではなく「11ac/n/a/g/b」のように下位規格も含めて対応します。

またそれぞれの規格は利用する帯域に違いがあることもポイントです。

「ac」規格対応は必須です

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ルーターを選ぶときは、箱に「11ac」と記載されている製品を選びましょう。「11ac」とは2013年から日本国内で普及するようになったWi-Fi規格。ルーターから離れた部屋でも複数の端末に安定した電波を供給するものです。

現在、ほとんどの製品が11acに対応しており、むしろ11acに対応しない製品をわざわざ選ぶ必要はありません。

パソコン [ポイント②]電波の届き方が違う2種類の「帯域」を理解しましょう

もう1つチェックしておきたいのが、「帯域」。2.4GHzと5GHzの2種類があり、2.4GHzは波長が長いため障害物の回りこみなどに強く、また5GHzと比べると遠くまで飛ぶという特徴があります。反面、電子レンジなどとの干渉で速度低下が起こります。

[ポイント②]電波の届き方が違う2種類の「帯域」を理解しましょう イメージ

一方、5GHzは2.4GHzと比べ干渉が少ない分、高速な通信が可能です。11acの帯域は5GHzとなります。ただし2.4GHzに比べると込み入った場所などで不利な傾向があります。

パソコン [ポイント③]電波の弱点を解消する新機能も見逃さない

ルーターのトレンドとしては、電波の干渉などの弱点をカバーして、速度を最適化する機能を搭載した製品が販売されています。

干渉波自動回避

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2.4Ghz帯は電子レンジやコードレスホンで使用されるため意外に家庭内で干渉による速度低下を起こしがちです。その干渉を自動的に回避するのが、「干渉波自動回避」機能。

2015年末くらいからの登場なので搭載機種はまだ多くはありませんが、ルーターの設置場所と違う部屋でWi-Fi接続をする人にはあれば便利な機能です。

ビームフォーミング

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現行の標準機能であり、家庭内を移動しながらスマホやパソコンで通信することの多い現在では、非常に重要な技術です。対象となる端末に向けて集中的にアンテナから電波を飛ばすことで、安定した通信を可能にします。

高性能CPU

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他の項目と比べて少しわかりづらいのですが、意外に重要なのがこの部分です。例えば上にある写真の場合、1GHzのデュアルコアチップに加えて、各帯域ごとに補助チップを配置。電波を同時に処理することを可能にします。

親機となるルーターと子機の双方が対応する必要があるため、17年以降に重要となると思われるポイントが「MU-MIMO」です。複数の子機に対して、ルーターが完全に同時にデータを送れるようになるため、従来あったラグがなくなりより効率よい通信が可能となります。

パソコン [ポイント④]忘れちゃいけない「ストリーム数」の重要性

[ポイント④]忘れちゃいけない「ストリーム数」の重要性 イメージ

無線LANのパッケージには「2×2」や「3×3」といった数字が記載されています。これが表しているのはストリーム数(=アンテナの本数)。ストリームが多いと、通信を束ねてやり取りできるため送受信速度が向上します。

また、ストリームを使い分けてやり取りすることも可能なので、複数台での接続にも強くなります。大人数で利用するなら、なるべくストリーム数の多い製品を選びましょう。なお、安価な製品には1ストリームだけというものもありますが、複数ストリームの恩恵を受けられないのでオススメできません。

ストリームが多いことのメリット

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ストリームが多いことのメリットは大きく2つあります。まず、通信を束ねて高速通信できること。1ストリーム増えるあたり、理論上の速度では433Mbpsずつ向上していきます。すなわち、2ストリームなら433×2=866Mbps。4ストリームなら433×4=1733Mbpsの理論値となるわけです。

もうひとつは複数台同時接続に有利なことです。ストリームの数だけ、複数端末に対する電波の使いわけがされるため、安定した通信が可能となります。

パソコン [ポイント⑤]家の環境に合った「アンテナ」を選びましょう

無線LANルーターのアンテナには外付けタイプと内蔵タイプの2種類があります。それぞれメリットとデメリットがあるので、環境に合ったものを選びましょう。まず、外付けタイプはサイズが大きいものの、アンテナを倒すことで縦方向に電波をしっかり飛ばせるのがメリット。2~3階建ての家に最適です。

一方、ワンフロアの家では内蔵タイプがオススメ。縦方向には電波が飛ばないものの、アンテナが外に出ていないのでコンパクトな上、壊れにくいというメリットがあります。

外付けタイプ

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アンテナを倒すことで縦方向に電波を飛ばせます。複層階の家にはこちらがオススメです。

内蔵タイプ

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アンテナの向きは固定されるがコンパクトです。子どもがアンテナを折るといった心配もありません。

パソコン [ポイント⑥]親機&子機で使えるものが増えています

無線LAN製品には親機・子機・中継機の3タイプがあります。親機とは電波を発する機器、本稿のテーマでもある「無線LANルーター」のことです。一方、子機はその電波を受け取る機器。Wi-Fi対応のスマホやゲーム機はすべて子機といえます。

[ポイント⑥]親機&子機で使えるものが増えています イメージ

最後に中継器は親機の電波を受けて、より遠くまで電波を届ける機器。ルーターの設置場所と違う部屋で使いたいけど速度が上がらないといった場合は、中継器の使用を検討してみましょう。

インターネット接続端子の速度に注意です

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安い無線LANルーターはインターネット接続端子の速度上限が100Mbpsということがあります。この場合、ルーターと子機とは433Mbpsでやり取りできますが、インターネットの速度は当然、100Mbpsまで。複数端末で使うときや、中継器を使うときにはお勧めできません。

パソコン [ポイント⑦]価格は1万円前後が狙い目です

[ポイント⑦]価格は1万円前後が狙い目です イメージ

ストリーム数(アンテナの本数)が多いほど最高速度も向上し、性能が良くなるのはすでに解説した通りですが、ストリーム数は無線LANルーターの価格を決める大きな要因となります。実際に売られている中の無線LANルーターを比べてみると、2ストリームは5000円前後、3ストリームは1万円前後、4ストリームは1万5000円以上とストリーム数でおおよその価格設定がされています。

もちろん、4ストリームで約1万円なんてお買い得商品もありますが、目安は上の表の通りです。狙い目は同時接続に強く、コスパもよい1万円前後の3~4ストリームのルーター。しかし、接続台数が少ないなら2ストリームでも困ることはありません。オーバースペックで高いお金を払うのは避けましょう。

売り場はアンテナ本数で区分されつつあります

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アンテナ本数で価格帯と性能が決まるため、店舗によってはアンテナ本数で製品を区分していることも少なくありません。


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