進化の頂点にまで達した安定の一体型ワイヤレスイヤホン
ワイヤレスイヤホン市場をリードしてきた「一体型」。このジャンルはひとつの完成形を迎えており、全体的な音のレベルも高く、完全ワイヤレスと比べるとまだわずかに一体型の方に軍配があがり、コードが気にならない人にとっては、まだまだ人気のあるモデルです。
また値段も1万円以下で買えるものがほとんどで、お求めやすくなっています。
それでは数ある一体型ワイヤレスイヤホンのなかから、一体どれを選べば正解なのか、製品選びのポイントをご説明いたします。
用途に合わせてワイヤレスイヤホンを選ぶ
まず、ワイヤレスイヤホンは、一般的に3つのタイプに分けられます。左右がケーブルで結ばれている「一体型」、首にかけるタイプの「ネックバンド型」、そしてケーブルレスの「左右独立型」が完全ワイヤレスイヤホンと呼ばれるものです。
▼一体型
特徴1:ケーブルで左右が繋がれているので、紛失の心配が少ない
特徴2:種類が豊富で、価格帯も幅広い
特徴3:音質が比較的良いものが多い
▼ネックバンド型
特徴1:首にかけて使用するので、ケーブルが髪などに引っかからない
特徴2:電池容量が大きいので、長時間の使用が可能
特徴3:重いので、鞄に入れるとかさばる
▼左右独立型(完全ワイヤレス)
特徴1:ケーブルがないので、ストレスゼロ
特徴2:付属ケースで簡単に充電ができる
特徴3:電池容量が比較的短い
どのタイプにも特徴があるので、音楽の聴き方や利便性など、自分のスタイルにあったものを選ぶとよいでしょう。
それでは今回の目的である一体型ワイヤレスイヤホンを購入する際、気をつけておきたいポイントを深堀りしていきたいと思います。
長く使うごとができる一体型ワイヤレスイヤホンの選び方
完全ワイヤレスイヤホン市場の流行で、最近忘れられがちの一体型ですが、先にも述べた通り、各オーディオメーカーとも開発を重ね、完成形の域に到達しています。
音質はもちろんのこと、接続性も遮音性、装着感も申し分のない出来で、安いイヤホンでさえ良くないところを見つけるのが難しいほどで、十分に使い倒すことができるのです。
そのうえで、一体型ワイヤレスイヤホンを買ううえで押さえておきたい「音質」「装着感」という2つのポイントを解説します。
【選ぶポイント①:音質】
値段に関係なく音質がいい
左と右のイヤホンがケーブルで接続された一体型ワイヤレスイヤホンは、完全ワイヤレスイヤホンより手軽さでは劣りますが、接続性に優れているだけではなく、音質がいいのも特徴です。
高音・中音・低音がバランス良く出力され、迫力のある音になっているイヤホンが良い音といえます。
【選ぶポイント②:装着感】
最適なポジションにフィットするもの
耳の形状に合わせられるよう、数種類のサイズのイヤピースが用意されています。また、ワイヤー入りのイヤーケーブルなどで、より耳にフィット感が高められるよう調節できるものがあります。
リスニングにベストなポジションで保持できるものを選びましょう。
音のプロと編集部が厳正チェック音質と通信安定性をテスト
これまでワイヤレスイヤホンの基本を押さえてきましたが、音質ばかりは実際に聴いてみないとわかりません。しかも店舗のデモ機で聴いたところで、正直どれも良く聴こえる……なんてこともありがちです。
そこで今回は音のプロであるサウンドプロデューサーの大澤大輔氏と、東京音研放送サービス代表の原田裕弘氏にご協力いただき、「音質」「装着感」「遮音性」を検証してもらいました。
辛口識者による厳正なテストで行ったテスト内容は以下の3項目です。
【検証①:音質】※各20点満点(4項目合計80点満点)
各音域の出力量とバランスの良さが重要
採点方法は音質にこだわるために、「高音域の質」「中音域の質」「低音域の質」を各20点満点。総合的なおとの広がりや響などを考慮する「ダイナミクス」も20点満点としています。
【検証②:装着感】※10点満点
イヤーピースの進化も重要
激しい動きをするとポロポロ耳から落ちがちな一体型ワイヤレスイヤホンですが、イヤーピースの進化により紛失の心配は格段に減りました。
また装着感の良さは音楽を聴くうえで大事な要素です。
【検証③:遮音性】※10点満点
外の音がどの程度遮断できるか
イヤホンを適切に装着した状態で、外の音がどの程度遮断できるかを検証。ノイズキャンセリングモデルについては、ノイズキャンセリングの精度を遮音性として評価しています。
最後に音質を合計100点とし、接続安定性を考慮したうえで、今買うべき一体型ワイヤレスイヤホンのランキングにしました。
一体型Beatsの名機が各項目でダントツの高評価
Beats
Power beats3
実勢価格:1万9623円
今回見事ベストバイに輝いたのは、これまでのワイヤレスイヤホン検証でも、発売からずっとベストバイを獲得している「Power beats3 wireless」でした。2位との点差が17点と圧倒的な高評価となりました。
識者陣も音質面のクオリティの高さを挙げ、中低~低域の密度とパワー感に圧倒されていました。音質以前に、音楽を聴いていて気分が上がります、と絶賛でした。
また、本機の強みは音質だけではなく、耳へのフィット感にもあります。イヤーフックの締め付けがやさしく、長時間聴いていても疲れも痛みもない快適さです。
安定の音質なので、完全ワイヤレスイヤホンが流行している今でも、オススメの一台です。
音の傾向は低音重視で迫力ある音を鳴らしてくれます。ダンスミュージックに向いていて、楽しく聴かせてくれます。
チェックすべきポイントは、耳の形状に合わせてワイヤー入りイヤーフックを調節できること。リスニングに最適なポジションに簡単にフィットさせて音楽を長時間楽しむことができます。
中低~低域の音の密度とパワー、バランスの取れた音圧で安定しています。
小さい音量でもいい感じで鳴らしてくれる
qdc
NEPTUNE BTX
実勢価格:3万9201円
「NEPTUNE BTX」はqdc社人気イヤホン「NEPTUNE」に、Bluetooth 5.0対応の高解像度ワイヤレスイヤホンケーブル「BTX Cable」が付属した製品です。
BA型ドライバーをたったの「1基」だけ搭載させた非常にシンプルな設計ながら、低域、中域、高域すべての周波数帯域を再生させてくれます。
音量を上げても下げてもいい感じで鳴らしてくれ、バランスもよく、何よりハウジングがとてもキレイな点も好印象です。
装着感は、さすがカスタムIEM(イン・イヤー・モニター)も手がけるqdcだけあって、耳への装着感は抜群です。
大音量で鳴らすと真価を発揮するPureSonic Premium
Fender
PureSonic Premium Wireless Earbuds
実勢価格:1万3872円
老舗のギターメーカーで知られるフェンダーから発売された一体型ワイヤレスイヤホン。精度な9.25mmドライバーを搭載したイヤホン。いわゆる“シュア掛け”のように装着するモデルで、イヤホンの形は特徴的ですが、慣れれば問題なく使用できます。
もう少し低音がタイトならさらに良かったかもしれません。
一方で装着感は、ほとんどの耳にフィットするコンパクトで薄型のハウジングを採用しています。また、激しい動きの時にも確実にフィットするユニークなイヤーチップが付属しています。
こだわりのドライバーが生きる大音量で、音楽を存分にエンジョイできる良質なイヤホンです。
原田コメント「形状が独特なので、多少の慣れが必要です」
4位: 最近の楽曲に合わせた
音作りに好感が持てる
TaoTronics
TT-BH07S
実勢価格:5378円
モノ雑誌『家電批評』でもコスパ最強モデルとしてベストバイを獲得したこともあるTaoTronicsのTT-BH07Sが新チップを搭載し新発売しました。
前モデルの荒削りながらまとまりのあるバランスのいい音と比較すると、音に描写力がついた影響か、細かくチリチリとした感じが目立つ印象です。
ケーブルにはワイヤーが入っておらず、耳にはめ込むだけですが、装着感も遮音性も問題ありません。
ほどほどの中高音重視の音作りで少し低音が少なめの印象ですが、最近の楽曲にならちょうど良さそうです。ただし、古い音源を聴くには、低音が明らかに小さく感じられるので注意が必要です。
5位: 迫力やエネルギーは不足気味だが
全体的に両音質!
v-moda
BassFit Wireless VLCT
実勢価格:1万6524円
オーディオメーカーのローランドのプロダクトで中価格帯の本機。スポーツイヤホンに必要な要素を盛り込んだフィジカルトレーニングに最適なワイヤレススポーツイヤホンです。
気になる音質は、バランスは悪くありませんが、質感が軽いのが印象的です。「重低音振動」を生み出す独自チューニングをしている影響からか、クラシックやロックだとスネアが安っぽく中音がやや弱い感じを受けます。
なお、装着感は激しいフィジカルトレーニングでもイヤホンをしっかり固定するTriFitデザインだけあり、ガッチリ耳にホールドしてくれます。
6位: 良い意味でも悪い意味でも
特徴がなくフラットに聴かせる
AVIOT
WE-BD21d
実勢価格:1万2776円
完全ワイヤレスイヤホンに力を入れているAVIOTですが、一体型イヤホンも健在です。
イヤホン自体に真新しさやエネルギッシュなポイントはありませんが、良い意味でフラットな音づくりが特徴です。中音の出方がいいです。
ただ、イヤホンに面白みを求めている人は飽きてしまうかもしれません。
7位: 多機能の性能を持つイヤホンは
全体的にパワー不足
Hookeaudio
Hooke Verse
実勢価格:2万9799円
ほかの一体型イヤホンと比べて形状がユニークなHookeaudioはインイヤー型バイノーラルマイクロフォンです。Bluetoothレコーディングやレコーディング・ケーブルによりデバイスと接続し、ハイクオリティ・バイノーラル・サウンドが録音可能と、聴くだけのほかのイヤホンとは目的が少々異なります。
気になる音質ですが、低・中・高が全体的にパワー不足の感があります。
装着感は、ケーブルが短く、ちょうど後頭部の頭まわりの長さで邪魔になりませんが、慣れるのに時間がかかりそうです。
8位: 音のディテールを
うまく表現しているNUARL
NUARL
NB20cLE
実勢価格:4155円
新興のイヤホンメーカーであるNUARLから発売された一体型ワイヤレスイヤホン。こちらも完全ワイヤレスイヤホンに主力を注いでいる感じですが、一体型はより安くお求めやすくなっています。
中高音量が多く鳴るので音量の出しすぎに注意が必要。音のディテールはうまく表現できています。
またイヤーピースですが、少し特殊すぎるのが気になりました。
9位: イヤーピースが特殊で
慣れが必要!
Fender
PureSonic Wireless Earbuds
実勢価格:6198円
3位の「PureSonic Premium Wireless Earbuds」とは差が開いてしまいましたが、これが“Premium”の差でしょうか。ハウジングの形状や素材、イヤーピースも異なっているので、別物といった感じです。
気になる音質ですが、タイトな音は好印象なのですが、音像が歪むことがあります。中高音量が多めなので、音量を控えめにするのがオススメです。
というか、イヤーピースが特殊すぎて、ケーブルに引っ張られてしまうのが残念でした。装着感ひとつで音質も良くなるかもしれません。
10位: 中低音のエネルギーは
楽しい感じ
Sudio
SUDIO TRETTON
実勢価格:9063円
Sudio社は、機能性とデザイン性に優れたオーディオ機器を提供する2012年に誕生したスウェーデンのメーカー。「優れた製品とは直感的な操作性と耐久性を合わせ持つ」という理念を元に開発されています。
中低音はエネルギッシュで面白く、タイトで良い感じではありますが、歪みが生じるときがあります。高音に関してはスッキリ抜けさせるには試行錯誤が必要になりそうです。
ただし、こちらも耳にフィットさせるのが難しく、本来の音を存分に楽しめません。
11位: 自然な中高域の音になり
好感が持てるイヤホン
Plantronics
Backbeat Go 3
実勢価格:7180円
高音が伸びずステレオ感が乏しいですが、各帯域の周波数バランスは良好です。自然な中高域に好感が持てます。
11位: 高音と低音にパワーが分散し
中音が取り残された感じ
JBL
EVERREST 110GA
実勢価格:1万670円
高音と低音にパワーが分散してしまい、中抜け感が否めません。あまり期待し過ぎるとガッカリしてしまうかも……。
13位: B&Oらしいモッサリ系で
耳に刺さりにくい音
Bang & Olufsen
EARSET
実勢価格:1万7542円
伝統的にモッサリ系で耳に刺さりにくいB&Oの音。耳掛け式のイヤーユニットは独特の装着感で慣れが必要です。
14位: チリチリ、シャリシャリした
耳ざわりな音がする
AudioFly
AF56W MK2
実勢価格:9230円
大音量で聴くとチリチリ、シャリシャリが気になるので、音量に気をつけましょう。
15位: 楽曲をならしながらでも
会話がすることができる
ソニー
WI-SP500
実勢価格:5901円
耳にやわらかい当たりで、それなりの音量で聴いても、人との会話ができる不思議なイヤホンです。
15位: パワーの低音の出方が
満足いく仕上がり
NOWALL
NOWALL CH2
実勢価格:1万4985円
ナチュラルなサウンドと低音のパワーには満足できますが、インパクトやスピード感は欠けている印象です。
17位: JVCらしい
耳への優しい装着感
JVC
HA-FX27BT
実勢価格:2336円
JVCらしいイヤホンで、耳に装着するとスムーズに馴染みます。音質はドンシャリ系で、音量はあまり上がりません。
17位: 低音に重心を置いた
聴きやすいイヤホン
SENNHEISER
MOMENTUM Free
実勢価格:2万1919円
低音に重心を置いたゼンハイザーらしい音質です。とても聴きやすいが、高音のクリア感はあとひとつ。
19位: 大音量で聴かなければ
問題なさそう
オーディオテクニカ
Sound Reality ATH-CKR35BT
実勢価格:3880円
中音域に重心を置いていますが、大音量で聴くタイプではなさそう。その一方で、設計や機能は充実しています。
20位: 仕上がりは可も不可もなく
無難な音づくりに
ソニー
WI-C300
実勢価格:3325円
中~中高音に厚みがあります。あえて余計な味を付けていない音づくりで、可も不可もない無難な音に仕上がっています。
20位: 小型のラジカセで聴くような
懐かしいサウンドがGood!
オーディオテクニカ
ATH-CK200BT
実勢価格:4290円
小型のラジカセで聴くような懐かしいサウンドです。高音も低音も出ていませんが、音がまとまっていて聴きやすい印象です。
22位: フィット感の良さと
バッテリーの持ちがいい
オーディオテクニカ
ATH-C200BT
実勢価格:3250円
ナチュラルな音とは対極にあり、微細な再現性もありません。フィット感の良さと長時間のバッテリーが売りです。
22位: ラディウスのフラッグシップは
小音量で鳴らすのがオススメ
radius
ULTIMATE Solid HP-N300BT
実勢価格:7090円
低音重視でソリッドな音像を追求したラディウスのフラッグシップモデル。小音量で鳴らすのがオススメです。
24位: 音楽を聴きながら
外音も聞くことができる
ambie
ambie wireless earcuffs
実勢価格:1万2960円
周囲の音や声が聴こえないという視聴中の不安を払拭した、外音取込みが便利です。
25位: 普段使いに最適な
おしゃれなイヤホン
radius
HP-N100BT
実勢価格:5800円
日本人向きにチューニングされたサウンド。装着感やデザインにもこだわって作られている。
[結論]これぞ「ザ・Beats」!!一体型イヤホンの完成形がコレ
Beats
Power beats3
実勢価格:1万9623円
今回の一体型ワイヤレスイヤホンの“最強の一台”は、Beatsの「Power beats3」に決定しました。
一体型ワイヤレスイヤホンは、ただつながっているだけではなく、左右の出音タイミングを合わせやすいなどの利点があります。通信技術が発展途上な完全ワイヤレスと比べると、オーディオとしての完成度は一体型のほうが上と言えます。
また、ワイヤレスイヤホン市場で未だに強い人気を誇る「Power beats3」の強みは音質だけではなく、耳へのフィット感にもあります。イヤーフックの締め付けがやさしく、長時間聴いていても疲れも痛みもない快適さは他にはないと断言できます。
メーカーの完全ワイヤレス開発競争の中で、落ち着いた分野ですが、新チップを搭載した製品が、今後登場する可能性に期待したいところです。
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