「音質」をポイントに 徹底検証しました
普段プレイヤーアプリを選ぶ時は、どのような点でチョイスしていますか? 多くの方は、見た目の良さや操作性で選んでいると思います。しかし実は、アプリによって音質が変わるんです! せっかく音楽を聴くなら、音質で選びたいところですよね。そこで今回編集部では「音質」を重要視し、徹底検証しました。
今回検証にご協力いただいたのは、サウンドプロデューサーの大澤大輔さんです。
ランキングやレビュー、口コミなどで評判のアプリを合計30点用意し、スタジオで再生・録音・試聴・採点を、条件を合わせてひたすらテスト。そして純粋に音の印象で10点満点でスコア化しました。最後にテスト方法を表記していますが、ルールを定めたので、すべて同じ条件で比較することができました。
それではiPhoneのプレーヤーアプリのランキングをご紹介します!
【1位】標準アプリよりも音質に力強さを感じるアプリ「Music Player(LISMO)」
1位に輝いたのは、まさかの無料アプリ! KDDIが手がける音楽総合アプリ「Music Player(LISMO)」でした。標準アプリよりも音質に力強さを感じるアプリです。
KDDI CORPORATION
Music Player(LISMO)
価格 :無料
8点
au系の音楽配信サービスで購入した楽曲がオフラインで視聴できるアプリです。カラオケやライブ情報などもあります。
かつてリスのキャラクターをアイコンにして人気を集めたauの音楽配信サービスが、昨年の夏に「うたパス」と統合され、アプリ名を変更しました。音質テストの結果は上々で、とかくマイルドになりがちなiPhoneの音に、元気の良さ、アタック感を取り戻している印象です。「音楽サービスを受ける総合的なアプリなので眉唾だったが、何度聴いてもトップ評価でした」(『家電批評』編集部・早坂)。
識者の大澤さん曰く、「1位の理由は躍動感と立体感。ただ単純に強調されているのではなく、音楽的にいきいきしている。もちろんEQの可能性もあります」とのこと。無料なのでぜひ試してみていただきたいアプリです。
今回はあくまで音質にこだわったランキングですが、本アプリは使い勝手も最高です。
聴き放題サービスと統合されてしまった、現在のApple純正アプリに対して、昔の方が良かったと思っている人は多いのでは? そんな昔のiPhoneのミュージックアプリが好きな方には特におすすめです。
KDDIの独自サービスが多数盛り込まれてはいますが、メニューを開かないと表示されないので、純粋なプレイヤーとしても十分使えます。
「Music Player(LISMO)」の再生画面は、このようになっています。
A:アルバムアート
再生中の曲のアルバムジャケットが表示されるエリアです。
B:シークバー
再生中にジャンプしたい場所へ移動することができます。
C:アルバム・カラオケ・ニュース
アルバムやカラオケ情報、ニュースなど総合的なエリアです。
D:プレイリストに追加
再生中の曲からオリジナルのプレイリストを作ることも可能です。
E:SNSへ曲情報を投稿
TwitterやFacebook、LINEなどに再生中の曲情報を投稿できます。
<受賞の決め手>
iPhone標準プレイヤーの音は中音域がしっかりとしたマイルドサウンドなのですが、この音にいきいきとしたアグレッシブさをプラスしたのがこのアプリです。
①iPhoneのマイルドさに
アグレッシブさをプラス
iPhoneは標準プレイヤーの印象がとても強く、どれを聴いても同じような音だったのですが、このアプリはスピード感やアタック感で「聴いていて楽しい」気持ちにさせてくれます。
②イコライザやリバーブなどで
細かな調整もできる
オンライン配信サービスだけではなく、オフラインの楽曲を好みに合わせて聴くことができます。しかしイコライザやリバーブは、音が変わり過ぎることがあるのでやり過ぎに注意。まずは素のままで聴きましょう。
【2位】少しマイルドですがイキイキ聴こえる「OTOTOY」
2位に選ばれたのは、digitiminimi inc.の「OTOTOY」でした。
digitiminimi inc.
OTOTOY
価格:無料(APP内課金)
7.5点
中音域がこなれているので、低音と高音もしっかり聴けるアプリです。標準プレイヤーアプリより楽しく聴けるのが特徴です。
【2位】低音がうまく処理されている"どっしり"サウンド「VOX」
同じく2位に選ばれたのは、Coppertino Inc. の「VOX」です。
Coppertino Inc.
VOX
価格:480円(APP内課金)
7.5点
低音部がしっかりしているので、迫力あるサウンドが楽しめます。
発表! iPhone音楽再生アプリ 最強ランキング30
1位から3位を含めた、最終ランキングはこちらです。Android編との違いは、どのアプリも標準アプリの音に似ており、スコアは6から7に集中していることです。Androidの方がアプリ間の差が大きく、iPhone用の方が差が少ないという傾向がありました。
※ランキングは検証時の結果です。現在日本で取り扱いのないアプリも一部含まれています。
【総まとめ】上位アプリはいきいきとした音! 全体的には差が少ない
好きな音を探す楽しみがあるAndroidに対して、iPhoneアプリは総じて似たような印象を受けました。そのため、テスト中はつねに「これも標準アプリと同じですね……」など、変化を見つけるのが難しかった検証でした。
しかし上位のアプリはいきいきと音楽を鳴らしてくれました。iPhoneにとってはこの“いきいき”が重要。そもそもの標準アプリ=iPhoneの音はマイルドぎみで、アップル独特のひずみとまとまり感がありました。小さい音はきれいでエイリアスのノイズがほとんどなく、出ている音の密度も全体の歪みも良質。反面、元気の良さ、パンチ力が弱かったのが実状です。この弱点を補完したのが上位アプリの傾向と言えるでしょう。
特に1位のアプリは無料ですので、ぜひ一度試してみてください。
【テスト方法】様々なジャンルの曲で音の質を検証しました
最後に、詳しいテスト方法をご説明します。
<テスト曲>
色々なジャンルからテスト曲を用意しました。楽曲は以下のとおりです。各曲ともジャンルを代表する名曲で、各ジャンルの傾向がわかりやすくなっています。
[EDM](Electronic Dance Music)
Calvin Harris
We Found Love
[ROCK]
AC/DC
Rock N Roll Train
[POPS]
Mark Ronson feat. Bruno Mars
Uptown Funk
[ACOUSTIC]
John Mayer
Badge and Gun
[JAZZ]
Miles Davis
So What
[CLASSICAL]
Tchaikovsky
Serenade For Strings
頭出しには、よりプレーンな状態を確認するために、ピンクノイズを挿入しました。(『家電批評』2016年6月号の付録にも収録されています)。
<テストの流れ>
以下の4つの流れを繰り返して行いました。また都度、標準プレイヤーアプリで音を確認し、詳細な変化を読み取りました。
①テストするアプリで曲を再生
②PCで再生データを取り込み
③標準プレイヤーアプリとの聴き比べ
④すべてのアプリをスコア化
<基準とした標準プレイヤーアプリ>
iPhoneのプレイヤーアプリを評価するうえで、基準としたのがAppleの「MUSIC」です。10点満点中7としました。
Apple
ミュージック
価格:無料
7点
定額配信Apple Musicも利用できるiPhoneの標準プレイヤーです。
<再生に使用したスマホ端末>
Apple
iPhone SE
実勢価格:5万1624円
(16GB・SIMフリー)
高音域の伸びやかさ、中音域のクリアさが魅力の端末。ややドンシャリ気味です。
<テストしたアプリの設定>
アプリは初期設定のままにしました。検証したアプリの中にはEQ設定を売りにしているものもありますが、基本はインストールしたそのままの状態で統一しました。
今回は、iPhoneのプレイヤーアプリをランキング付けしました。皆さんもこだわってみてはいかがでしょうか。