最高画質を求めるなら絶対に 外せない有機ELテレビとは?
10年サイクルで使用するテレビ、せっかく買い替えるならハイエンドモデルの「有機ELテレビ」が一押しです。
液晶とは比べものにならないほど美しい画質は、明暗のコントラスト、超精細な再現性により、映し出されたモノが目の前に存在しているのでは、と思わせるほどの圧倒的な表現力を誇ります。
最近テレビCMでもよく耳にする超高画質な「有機ELテレビ」。一体、どんなものなのでしょうか?
有機ELパネルと液晶パネルの最大の違いは、画面を発光させるためのバックライトが必要かそうでないかです。
液晶パネルは「バックライト」からの白色光を液晶の「カラーフィルター」に透過させて三原色に変換しています。明るさは液晶パネルで調整しているため、映像が明るいのが特徴です。
しかし、バックライトから光が漏れてしまうため、黒も明るくなってしまいます。また、バックライトの分だけ部品が多いため、薄型化にも限界があります。
一方、有機ELパネルでは、パネル自体にRGB(赤・緑・青)の三原色を放つ有機素材を配置しています。この有機素材は電圧がかかると発光するため、バックライトが不要です。
しかも、1画素ごとに明るさを調整できるため、完全な黒を表現することが可能です。これが、圧倒的な美しさの映像を映し出せる理由です。
また、バックライトが不要で構造が単純なので、薄型化・軽量化できます。
圧倒的な高画質の有機ELテレビ ベストバイはソニー「BRAVIA」でした
家電批評本誌では、新機種も含めた4Kテレビ51台を徹底比較。有機ELテレビ、メジャーメーカーの4Kテレビ、マイナーメーカーの格安テレビの3つに分けて画質や機能を比較しました。
メジャーメーカーの4Kテレビの総合ランキングは既に紹介しました。
今回は有機ELテレビ部門となります。
そして、見事その第1位となったベストバイ製品は、ソニー「BRAVIA KJ-65 A9G」。
「まちがいなく史上最高画質を実現! 4Kを堪能しつくならソニー!」という最終評価になりました。
ソニー
BRAVIA KJ-65 A9G
実勢価格:49万9259円
▼BRAVIA KJ-65 A9Gの得点は以下の通り
ソニー「BRAVIA KJ-65 A9G」を詳しくレポートする前に、まずは有機ELテレビの選び方を解説しておきましょう。
4Kテレビ選びで失敗しないために 絶対に知っておきたいポイント
4K放送が始まって半年が経ちましたが、いざ買い替えを検討し始めてみると意外と知らないことが多いものです。
予備知識なく買って後悔しないよう、あらためて基本や選び方のポイントをおさらいしておきましょう。
4Kテレビはフルハイビジョンより約4倍キレイ
まず超基本的なことですが、4Kの「K」は1000倍を表す単位で、水平解像度が約4000ドットあることを示しています。
これまでのフルハイビジョン(2K)は解像度が「1920×1080」(水平×垂直)で約200万画素です。
4Kは「3840×2160」で約800万画素あり、4倍の画素数を持ちます。つまり、4Kはこれまでより4倍キレイということです。
4Kの特徴である映像美を堪能するには、テレビのサイズも大きくなくては意味がありません。40インチ以上の画面ならば、4K画質の表現力を活かすことができるでしょう。
これから買うなら4Kチューナー内蔵がオススメ
4Kテレビといっても性能や機能はさまざまです。一番の違いは4Kチューナーの非内蔵と内蔵です。
4K対応テレビの中には、4Kチューナーを内蔵していない製品も数多く売られています。この場合、4K放送を楽しむには個別に外付けの4Kチューナーが必要となります。
現在では主要メーカーの4Kチューナー内蔵モデルが出揃ったため、これから4Kテレビを買うなら、4Kチューナー内蔵モデルがオススメです。
有機ELテレビのサイズは3種類のみです
せっかく4Kテレビを買うのなら、とことん画質にこだわりたい!そんな人にオススメなのが、今回紹介する有機ELテレビです。
画質は液晶テレビとは比べものにならないくらいキレイですが、現時点でパネルを製造できる会社が1社しかなく、有機ELテレビそのもののサイズは3種類しかありません。
しかも、最大サイズの77型は200万円を超えてしまう製品も……。
65型以上は価格が跳ね上がるので、コスパ重視なら55型で考えるのが無難でしょう。自ずと選択肢は絞られますが、55型でも十分見応えはあります。
黒がしっかり表現できるのでコントラスト差が大きく、一度体感してしまうともう液晶には戻れません。4K映像はもちろんですが、地デジ映像もクリアに映し出されます。
また、横の視野角も広く、真正面からでなくても映像をキレイなまま視聴できます。大人数で並んで見たり、キッチンから遠目で見たりする際にもよく見えます。
圧倒的な高画質ですが、価格もまだ高い有機ELテレビ。10月には消費税が10%になるので、買い替えるなら増税前が断然お得です。
また、増税後に購入する場合でも年内がオススメです。年明けには東京オリンピックの駆け込み需要も予測され、値上がりする可能性もあります。
4項目・108点満点で 有機ELテレビを徹底比較!
今回、有機ELテレビのランキングを作成するにあたり、家電批評で過去に行ったテレビの検証と同じく、画質・機能・操作性・音質の4つの項目に注目しました。
各項目のくわしい検証内容は以下の通りです。
テスト①画質:どれだけ本物に近く再現できるか?(35点満点)
4Kテレビの画質で重要となるのは「精細さ」「色表現」「明るさ」の3つです。これらの要素を考慮し、地デジ放送(2K)、4K映像「4K 宮古島」(4K/60P)で画質を検証しました。
なお、有機ELテレビの評価を点数化する過程で、点数を30点から35点満点に変更しました。
テスト②機能:録画や検索機能、4K配信サービス対応もチェック(33点満点)
機能面では、ネット接続による「Amazon プライム・ビデオ」や「Netflix」へのサービス対応をチェックしました。
同時に外付けHDD接続による録画など、放送関連機能も検証しています。
なお、4Kチューナーの搭載が増えて重要度も高まっているため、4Kチューナー搭載機には+3点の加点をしました。このため、機能面の点数も30点から33点に変更されています。
テスト③操作性:操作やホーム画面はわかりやすくスムーズか(20点満点)
チャンネル操作や入力切替といったテレビとしての基本操作は、リモコンを実際に操作しておかしなところがないか確認しました。
番組表のデザインやGUIの操作性も、不自然で使いにくいところがないかを実機で確認しています。
テスト④音質:音声は聞き取りやすく重低音の広がりがあるか(20点満点)
テレビの評価で忘れてはらないのがサウンドです。まずは、テレビ放送を観た際にニュースやドラマ等の音声を、聞き取りやすいかをチェックしました。
併せて、映画の低音や広がりの再現性も確認しています。
なお、当初100点満点で評価を進めていましたが、画質と機能の得点を引き上げたため、合計点数が108点満点というちょっと半端な数字になっています。
それでは、4K有機ELテレビのランキングを発表していきましょう。
【第1位】ソニー BRAVIA KJ-65 A9G 史上最高画質で4Kを堪能し尽くせます!
薄型テレビのフラッグシップとして、各メーカーが力を入れてきた有機ELテレビですが、見事ベストバイに輝いたのは65V形のソニー「BRAVIA KJ-65 A9G」です。
すでに画質においては他メーカーに先んじていたソニーですが、待望の4Kチューナー搭載モデルが出たことにより、さらに一歩抜け出しました。
ソニー
BRAVIA KJ-65 A9G
実勢価格:49万9259円
画面サイズ:65V型
サイズ・重量:W1447×H838×D255mm・24.8kg(スタンド含む)
チューナー:BS4K・CS4K×2、地上デジタル×2、BS・110度CSデジタル×2
まず何より注目したいのが、その圧倒的な高画質さです。
4K高画質プロセッサー「X1 アルティメット」を搭載し、さらに独自のパネル制御技術「ピクセル コントラスト ブースター」によって生み出される映像美は、他の追随を許しません。
目の前に存在しているかのように映し出される映像は、他の4Kテレビでは味わえないメリハリ感のある表現で、誰もが息を飲むほどです。
4K映像ではその違いが歴然です。使われている絵の具の発色はもちろんのこと、その素材感、さらには筆のタッチまでも精緻に再現しています。名画を直に見ているような臨場感を味わえます。
Ultra HD BDの映像もご覧の通りのキレイさです。花の質感だけでなく、その空間の見通しや奥行きまでしっかりと感じることができます。光の反射や影のコントラストもはっきりわかります。
音質においても、画面そのものを振動させて音を出す「アコースティック サーフェス オーディオプラス」システムを採用しています。
これにより、映像と音の一体感が高まり、映像の臨場感がさらに増しています。
画面そのものから音が出るので、映像と音の一体感が抜群です。音の質感まで表現されているので、音のリズムもしっかり出ていました。なお、重低音は標準的です。
操作性ではネット動画アプリの起動が速く、音声による操作や検索も対応しています。
YouTubeメニューからは1秒ほどで動画再生に入れます。Netflixの起動もスピーディでした。
音声検索も優秀で「家電批評」の動画も一発で検索することができました。
機能面では4Kダブルチューナーの搭載に加え、映像配信サービスも種類が豊富です。
YouTubeやNetflix、Amazonプライムビデオなど、主要なサービスをしっかり押さえている点も高評価です。
これまでソニーの有機ELテレビは4Kチューナーが非搭載でしたが、この「A9G」はその弱点も克服し、見事ベストバイの座を獲得しました。
あえて気になる点を挙げるならその価格です。4Kチューナー非搭載の前モデル(下写真)が大きく値下がりしていますが、長く使うことを考慮すれば、できれば4Kチューナー搭載モデルを選びたいところです。
ただし、映像面の機能はほぼ変わらないので、4Kチューナーは要らないという人にはいいかもしれません。
ソニー
BRAVIA KJ-65 A9F
実勢価格:40万円(初値参考価格:65万1398円)
こちらが4Kチューナー非搭載の前モデルです。新型が出たことで、大幅に値下げされています。
【第2位】パナソニック VIERA TH-55FZ1000 予算はないけど有機EL画質にこだわるならパナ
ソニーの有機ELテレビがベストバイでしたが、他メーカーの有機ELテレビも画質に関しては引けを取りません。
2位の55V型パナソニック「VIERA TH-55FZ1000」も、画質に関しては1位のBRAVIAとほぼ互角の実力の持ち主です。ただし、4Kチューナーは非搭載です。
パナソニック
VIERA TH-55FZ1000
実勢価格:21万4990円
画面サイズ:55V型
サイズ・重量:W1228×H785×D330mm・約29kg(スタンド・付属スピーカー含む)
チューナー:地上デジタル×3、BS・110度CSデジタル×3
画質の美しさはさすが有機ELテレビで、4K映像を心ゆくまで堪能できます。
画面のノイズも見られず、細部までくっきり映っています。質感もバッチリです。
細部までくっきり映るだけでなく、花の質感や奥行きもしっかり表現されています。
テクニクスの技術者と作り上げたサウンドシステムもとにかく高音質です。
内蔵というより外付けスピーカーと呼んでも差し支えないレベルで、映画も音楽も楽しめます。
見たいものにすぐにアクセスできる操作性も優秀です。
よく見るチャンネルにすぐにアクセスできる「かんたんホーム」や、ネット動画も一覧できる「アレコレチャンネル」が便利です。
番組検索はリモコンの音声操作ボタンを押して、検索ワードを話しかけるだけでOKです。チャンネルや音量の変更などの本体動作も行えます。
音響面も素晴らしく、操作性も高いのですが、2018年モデルで前述のとおり4Kチューナーを搭載していません。ただ、そのぶん価格が安く、55型で約20万円とかなりの値ごろ感です。
【第3位】東芝 REGZA 65X920 十分な高画質と便利な全録機能付き
第3位は65V型の東芝「REGZA 65X920」です。こちらも1位のBRAVIAとの画質の差はわずかです。
65型ということもあり、価格はかなり張るのですが、外付けHDDを付けることで地デジ6チャンネルを全録できるタイムシフトマシン機能付きです。
4K番組も録画することができ、4TBのHDDなら約258時間の録画が可能です。
東芝
REGZA 65X920
実勢価格:33万円
画面サイズ:65V型
サイズ・重量:W1446×H846×D267mm・46.5kg(スタンド含む)
チューナー:BS4K・CS4K×1、地上デジタル×9、BS・110度CSデジタル×3
新開発の画素構造を採用することでピーク輝度が向上し、黒の再現能力が高まっているのが大きな特徴です。
コントラストの表現力が高く、明暗差もくっきり表現されています。
4Kチューナーを他社に先駆けて搭載したモデルで、4K番組の録画にも対応しています。
全録機能も搭載しており、4TB HDDを接続して午後7時から午前1時までの番組を録画設定した場合、地デジ6局の約2週間分の番組をまるまる録画できます。
この機能のおかげで、後から見たくなった番組も見逃しません。
検索機能も充実しており、見たいシーンにすぐアクセスできます。また、「みるコレパック」によるおまかせ録画も便利です。録画を重視するなら、うってつけの1台といえるでしょう。
4位: 【第4位】ソニー BRAVIA KJ-65A8F チューナーなしでも機能はA9Gに劣らない
第4位は65V型のソニー「BRAVIA KJ-65A8F」です。一世代前のモデルとなりますが、映像はかなりハイレベルです。
ただし、1位の前モデルである「KJ-65 A9F」同様、4Kチューナーは搭載していません。
ソニー
BRAVIA KJ-65A8F
実勢価格:39万8000円
画面サイズ:65V型
サイズ・重量:W1447×H841×D255mm・約28kg(スタンド含む)
チューナー:地上デジタル×2、BS・110度CSデジタル×2
花のアップは繊維まで浮き彫りになっており、白飛びしない表現力はさすがです。
赤も白も緑も、目に鮮やかに映し出されています。
また、ネットコンテンツも充実しており、機能面でも優秀です。
4Kチューナーが搭載されていない点が非常に残念なところですが、65型有機ELとしてはお手頃価格です。
5位: 【第5位】LG OLED 55C7P 爆発的に売れた10万円台の有機ELテレビ
第5位は55V型のLGエレクトロニクス「OLED 55C7P」です。
発売当初こそ高額でしたが、その後大きくプライスダウンして、10万円台の有機ELテレビとして2017年に爆発的に売れた一台です。
こちらも4Kチューナーは非搭載です。
LGエレクトロニクス
OLED 55C7P
実勢価格:13万1000円
画面サイズ:55V型
サイズ・重量:W1230×H750×D217mm・約19.2kg(スタンド含む)
チューナー:地上デジタル×2、BS・110度CSデジタル×2
検索機能は作品を表示してサービスを探すスタイルで、非常に使いやすいです。
10万円台とはいえ、締まりのある黒の表現力はさすが有機EL画質です。
以上、圧倒的な高画質を誇る有機ELテレビのランキング、いかがでしたでしょうか。
今回の検証には間に合いませんでしたが、LGとハイセンスからも有機ELの新製品が登場しています。
ハイセンス
55E8000
実勢価格:18万3200円
レグザエンジン「NEO plus」を搭載した4Kチューナー内蔵モデルです。20万円以下と価格も手頃です。
LGエレクトロニクス
OLED 55C9PJA
実勢価格:19万4862円
自社開発の有機ELだけあって画質はトップクラスです。20万円以下という低価格も魅力です。
どちらも4Kチューナーを搭載し、20万円を切る低価格です。操作性の向上や機能、サービスの追加なども期待できそうです。
4Kテレビ最大の買い時といえるいま、ぜひ候補に加えてみてはいかがでしょうか?