※各保険商品の内容・保険料は2021年8月下旬時点、編集部調べによるものです。
金利の高い外貨での運用で資産を増やす保険
マイナス金利政策の影響で、現在円建ての貯蓄型保険でお金を貯めることが非常に難しくなっています。そこで注目されているのが「外貨建て保険」です。
「外貨建て保険」とは、保険料の払い込みから保険金などの受け取りまで全て外貨建てで行われる保険商品のこと。実際には、円を外貨に交換したうえで保険料を払い込み、保険金などはドルを円に交換したうえで受け取るため、為替相場の影響を受けるのが特徴です。
為替変動によるリスクあり
貯蓄型保険は、10年国債などで運用します。そのため、利率が低くなると運用が難しくなり、超低金利の日本国債がベースの円建て貯蓄型保険は、積み立てても満期金や解約返戻金が元本割れしてしまします。そこで、利回りの高い「米ドル」や「豪ドル」建ての貯蓄型保険が人気となっています。しかし、米ドル建てについては、2020年以降利回りが下がり、一部商品は保険料が値上げになったり、売り止めになったりしています。
下図のように、保険金を受け取った時、円高であれば円に変換すると元本割れするリスクがあります。
円高か円安かによって受取額が変わる
外貨建てにもタイプいろいろ 目的に応じて選択しよう
通貨は主に「米ドル」か「豪ドル」
外貨建て保険は「米ドル」か「豪ドル」のいずれかで運用される商品が主流。米ドルは世界中で使用されている基軸通貨で、市場規模が大きく、値動きが比較的安定しているのが特徴です。一方の豪ドルは、高金利ではあるものの、流通量が少ないため為替手数料は高め。オーストラリアは天然資源の豊かな国なので、世界的な景気や市場動向に影響を受けやすい面もあります。この他に「ユーロ」で運用する商品もあります。
外貨建て保険の中には、あらかじめ運用する通貨が決められている商品もあれば、契約時に複数の中から通貨を選択できる商品もあります。また、保険金は円で受け取るのが一般的ですが、外貨のまま受け取れる商品もあります。外貨のまま受け取る理由には、子供の留学資金や海外旅行の費用に充てる、外貨のまま保有して円安になったタイミングで円転するといったことが考えられます。
払い込み方法は「一時払い」か「月払い」
保険料の支払い方法には一括で支払う「一時払い」と毎月支払う「月払い」があります。
一時払いだと、払込時と受取時の為替レートの差が受取額にダイレクトに影響するため、為替の方向性を正しく読む必要があります。為替差益が狙える反面、元本割れするリスクも高まります。その半面、利率の高い時に契約すれば、高い利率を享受できます。しかし、海外の国債も低金利の今、一時払いを販売中止している保険会社もあります。
月払いは、定額の保険料を毎月支払うことで為替レートが平準化され、為替リスクを軽減することができます。コツコツと安定的な資産運用を望むのであれば、月払いを選択しましょう。
保険の種類から自分に合ったものを選ぼう
「貯蓄型保険」が中心。 目的に応じて保険の種類を選ぼう
外貨建て保険は、外貨で運用する商品として一括りに表現されることが多いですが、その中身はいろいろなタイプがあります。終身保険、養老保険、個人年金保険など貯蓄性のある保険が中心で、基本的な仕組みは円建ての商品と同じです。目的に応じて種類を選ぶようにしましょう。
まず、まとまった資金を運用したい場合には、一時払いの養老保険、終身保険、個人年金保険などが選択肢となります。一方、リスクを抑えながら子供の教育費や老後のための資金を形成したい場合には、月払いの終身保険や個人年金保険を利用しましょう。また、一時払いの終身保険に加入して、相続税対策に活用することもできます。
ただし、繰り返しになりますが、いずれの保険にも為替リスクがあり、確実に資金を増やせるという保証はありません。円建ての保険と組み合わせて利用するなど、資産全体のバランスを考えて利用する必要があります。
特定疾病、介護などのリスクもカバーできる商品に注目!
最近の外貨建て保険には、死亡や高度障害の保障の他にも、がんなどの特定疾病の保障や、保険料の払い込み免除などがある商品が増えています。また、特定の要介護状態になった時に、保障を受けられるタイプも。たとえば、オリックス生命の米ドル終身型終身保険Candle Wideは、①がん・急性心筋梗塞・脳卒中の特定疾病、②身体障害者福祉法に定める1級、2級、3級に該当するなどの特定障害③公的介護保険制度の要介護2以上の状態に該当するなどの場合で保障を受けられる特約があります。また、特定疾病、特定障害状態、特定介護状態になったときに、特約保険金の受取と保険料払込免除を受けられる特約があります。超高齢化社会の現在では、介護リスクも高まっているので、こういった保障のある商品は、注目されています。
保険料払込期間を過ぎると返戻金が多くなるタイプが◎
低解約返戻金型の外貨建て終身保険の場合、保険料払込期間後に払戻率が大きくアップします。
加入前にしっかり確認! 外貨建て保険のメリット・デメリット
メリット1:積立利率が高い
外貨建て保険の最大の魅力は積立利率の高さにあります。積立利率とは、「将来の保険金払いのために積み立てているお金に対する利率」のことです。
円建ての保険では、市場金利低下の影響を受け運用難が続いています。一方、海外に目を向けると、日本よりも遥かに金利の高い国があります。そのような国の通貨で運用することで、円建ての保険よりも魅力的な積立利率を加入者に提示することができます。
外貨建て保険では積立利率が市中金利によって変動する変動型が主流で、積立利率の最低保証を定めている商品もあります。このタイプの商品は、金利が上がれば積立利率も連動して引き上げられますし、金利が下がった場合にもあらかじめ定められた最低利率を下回ることはないので一定の安心感があります。
ただし、提示されている積立利率はあくまでも外貨ベースでの数字です。外貨での元本保証はあっても、円に替える際の為替リスクとは常に隣り合わせであることは理解しておきましょう。
メリット2:分散投資の効果が得られる
安定的な資産運用を目指す手法のひとつに「分散投資」があります。運用先を一つに集中させるのではなく、様々な金融商品を保有することで、ある商品で損失が出たときに資産全体への影響を抑えることができます。
通貨についても、日本円だけではなく米ドル、豪ドル、ユーロ、フランなど、様々な外貨資産を組み合わせることで、世界全体の経済成長の恩恵を受けることができます。外貨建て保険に加入することは外貨資産を保有することを意味し、分散投資の効果を得ることができます。
保険として一定の保障を確保しながら高利回りの外貨で運用できるのがメリットです。
デメリット1:為替リスクがある
繰り返しになりますが、外貨建て保険には為替リスクがあります。為替が円安に進めば為替差益が発生しますが、円高に進めば差損を被ります。払込時と受取時、それぞれのデメリットを見ていきましょう。
[払込時]毎月の保険料が変わる
月払いの保険料は、外貨では一定額ですが、円での払込額は為替相場によって毎回変動します。毎月必要な保険料の額をはっきりと予測できないのが難点です。
ただし、円で定額を払い込み、そのときの為替レートによって運用する外貨の金額が変動する商品もあります。
●為替相場による払込保険料の変化
[受取時]受取額がいくらになるかハッキリわからない
外貨保険は、保険料を支払ったときよりも為替が円安に進めば受取額は増加しますが、円高に進めば受取額は減少します。例えば、1ドル=100円のときに保険料1万ドル、日本円で100万円を払い込み、その10年後、解約返戻金として支払った保険料相当額の1万ドルを受け取るとします。このとき、円安が進み1ドル=120円になっていたとすると、日本円で120万円を受け取ることになります(為替手数料は考慮していません)。反対に、円高が進み1ドル=80円になったとすると、80万円しか受け取れないことになります。
つまり外貨建て保険は、円高の時に保険料を払い込み、円安の時に受け取るのが賢い利用方法だということです。ただ、将来の為替相場を正しく読むのは一般的には困難ですから、長期的に安定した運用をしたい場合には、月払いにしてできるだけ為替リスクを抑えるのが望ましいです。
デメリット2:手数料が高い
外貨建て保険で払込時には円から外貨、受取時には外貨から円に交換するため、それぞれのタイミングで為替手数料がかかります。為替手数料は保険会社によって違うので、保険を選ぶ際のひとつの指標となります。
その他にも、運用手数料、代理店や銀行への販売手数料などの費用が払い込んだ保険料から差し引かれます。それらのコストが円建ての商品に比べて高い傾向があります。また、コストの内訳がはっきりと開示されず、具体的に手数料としていくら引かれているのかが見えづらいというデメリットがあります。
外貨建て保険の是非については、為替リスクやコスト高を理由にプロの意見も真っ二つに分かれる結果となりました。そして、全世界の経済や為替市場に影響を及ぼしている「コロナショック」による動揺は外貨建て保険にも少なからず影響を及ぼしてきています。
円建て保険では実現できないような高利回りが期待できるのも事実ですが、デメリットを理解し、リスクをきちんと理解した上で慎重に検討する必要があると言えそうです。
それでは、プロが選んだ外貨建て保険おすすめランキングをチェックしていきましょう。
積立利率年2 . 5 %を最低保証!|メットライフ生命「USドル建終身保険ドルスマート S」
メットライフ生命
USドル建終身保険ドルスマート S
▼月払保険料の例
年齢・性別 | 月払保険料 |
---|---|
30歳男性 | 178.50USドル |
30歳女性 | 169.15USドル |
40歳男性 | 293.75USドル |
40歳女性 | 273.50USドル |
50歳男性 | 633.80USドル |
50歳女性 | 575.10USドル |
▼保険料条件
死亡保険金 | 保険期間 | 保険料払込期間 | 低解約返戻金特則付加 | 三大疾病・介護給付終身保険特約(米ドル建) | 三大疾病・介護保険料払込免除特約 |
---|---|---|---|---|---|
主契約:5万USドル 特約:5万USドル |
終身 | 60歳払済 | あり | あり | なし |
積立利率変動型ですが、積立利率に年2.5%の保証があるので安定感があります。
積立利率と日米10年国債利回りの推移(データ期間:2002年6月末~2021年2月末)
保険金額に対する保険料が比較的安く、解約返戻率の戻り率も同ジャンルの保険では高めです。また、三大疾病・介護給付終身保険特約(米ドル建)や三大疾病・介護保険料払込免除特約もあり、悪性新生物と診断確定された場合や、心疾患、脳血管疾患または要介護状態により所定の条件になった場合にも備えられます(上皮内新生物は除く)。
返戻率は業界最高水準。特約の三大疾病の保障範囲も他社と比べて広めです!
三大疾病の特約に注目|マニュライフ生命「こだわり外貨終身」
マニュライフ生命
こだわり外貨終身
▼月払保険料の例
年齢・性別 | 月払保険料 |
---|---|
30歳男性 | 191USドル |
30歳女性 | 190USドル |
40歳男性 | 239USドル |
40歳女性 | 232USドル |
50歳男性 | 335USドル |
50歳女性 | 288USドル |
▼保険料条件
基本保険金額 | 保険期間 | 保険料払込期間 | 特定疾病払込免除特約 | 非喫煙者保険料率 |
---|---|---|---|---|
10万USドル | 終身 | 30年満了 | あり | 適用 |
がん・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態になると以後の保険料払込が免除され、保険料免除後に、解約返戻金が増加する「特定疾病保険料払込免除特約」が人気。また、タバコを吸わない人なら、非喫煙者保険料が適用され保険料が割安になります。
非喫煙割引があり、積立利率に最低保証(年1.5%)が設定されているのもポイントです
契約時に解約返戻金が確定|オリックス生命「米ドル建終身保険Candle[キャンドル]」
オリックス生命
米ドル建終身保険Candle[キャンドル]
▼月払保険料の例
年齢・性別 | 月払保険料 |
---|---|
30歳男性 | 147.50USドル |
30歳女性 | 136.80USドル |
40歳男性 | 245.40USドル |
40歳女性 | 227.00USドル |
50歳男性 | 555.80USドル |
50歳女性 | 513.50USドル |
▼保険料条件
死亡保険金 | 保険料払込期間 |
---|---|
10万USドル | 60歳払済 |
低解約返戻金型で保険料が手頃な米ドル建終身保険です。積立利率が固定で、契約時点で解約返戻金が確定します(※)。そのため将来的な資産減少リスクを軽減したい人に向いています。介護前払特約が設定できるのも特徴です。
※円で受け取る場合、所定の為替レートの変動による影響を受ける。
保障は一部抑制されますが返戻率は高めです。
4位: 少額加入にも向いている|第一フロンティア生命「プレミアカレンシー3」
第一フロンティア生命
プレミアカレンシー3
▼運用期間満了時の年金原資額
10年後 11万2872USドル
▼保険料条件
プラン名 | 年齢 | 性別 | 一時払保険料 | 積立利率保証期間 | 積立利率 |
---|---|---|---|---|---|
満期重視プラン | 60歳 | 男性 | 10万USドル | 10年 | 1.75% |
一時払いの外貨建て年金保険。一括受け取りでの金額(年金原資額)の戻り率が高く、最低保険料も100万円と少額なので、一時所得の特別控除(最高50万円)を生かす少額投資に向いています。
満期重視プランで加入すれば満期時の受取額がアップします
5位: 「人生100年時代」のリスクも幅広くカバー|オリックス生命「米ドル建終身保険Candle Wide[キャンドル・ワイド]」
オリックス生命
米ドル建終身保険Candle Wide[キャンドル・ワイド]
▼月払保険料の例
年齢・性別 | 月払保険料 |
---|---|
30歳男性 | 189.85USドル |
30歳女性 | 178.00USドル |
40歳男性 | 310.10USドル |
40歳女性 | 288.05USドル |
50歳男性 | 674.20USドル |
50歳女性 | 615.05USドル |
▼保険料条件
死亡保険金 | 保険料払込期間 | 特定疾病障害介護保険料払込免除特則 | 米国ドル建特定疾病障害介護終身保険特約(低解約返戻金型) |
---|---|---|---|
主契約:5万USドル 特約:5万USドル |
60歳払済 | なし | あり |
死亡だけでなく、がん、急性心筋梗塞、脳卒中や身体障害、介護など幅広いリスクに備えられます。
三大疾病に加え身体障害・介護の保障付き
6位: 割安な保険料を低解約返戻金型で実現!|ジブラルタ生命「米国ドル建終身保険(低解約返戻金型)」
ジブラルタ生命
米国ドル建終身保険(低解約返戻金型)
▼月払保険料の例
年齢・性別 | 月払保険料 |
---|---|
30歳男性 | 148.00USドル |
30歳女性 | 133.90USドル |
40歳男性 | 242.40USドル |
40歳女性 | 217.80USドル |
50歳男性 | 530.60USドル |
50歳女性 | 475.10USドル |
▼保険料条件
死亡保険金 | 保険期間 | 保険料払込期間 | 介護前払特約 |
---|---|---|---|
10万USドル | 終身 | 60歳払済 | あり |
所定の要介護状態になった時に、保険金額の一部を受け取ることができる特約や、保険金を年金形式で受け取ることができる特約があります。
特約保険料不要で介護前払い特約を付加できます
6位: 「毎月定額の円支払い」でわかりやすい!|マニュライフ生命「こだわり個人年金(外貨建)」
マニュライフ生命
こだわり個人年金(外貨建)
▼月払保険料の例
年齢・性別 | 月払保険料 |
---|---|
30歳男性・女性 | 2万3000円 |
40歳男性・女性 | 3万4000円 |
50歳男性・女性 | 6万2000円 |
▼保険料条件
年金受取年額 | 年金支払期間 | 保険料払込期間 | 積立利率 |
---|---|---|---|
約1万2000USドル | 10年 | 65歳払済 | 2.25% |
一定額の保険料を円で支払うためわかりやすいのが特徴。また、所定の条件を満たすと個人年金保険控除の対象となるのが魅力です。
積立利率変動型ですが、年1.5%の積立利率を最低保証!
おわりに
返戻率の高さと安心感を兼ね備えた外貨建て保険を選ぶなら、積立利率2.5%という最低保証が設けられているメットライフ生命「ドルスマートS」がベスト。
外貨建て保険は円建て保険と比較すると利回りが高いですが、前述した通り為替変動のリスクや、円から外貨へと交換するときの手数料などが余分にかかります。今回紹介したメリットやデメリットを理解したうえで、最適な外貨建て保険を選びましょう。
また、今回の外貨建て保険とは別に、医療保険や収入保障保険などのランキングをサンロクマルで公開中です! 気になる方はぜひそちらもあわせてご確認くださいね!
▼サンロクマルで公開中の「医療保険おすすめランキング」はこちら
▼サンロクマルで公開中の「定期保険おすすめランキング」はこちら
▼サンロクマルで公開中の「収入保障保険おすすめランキング」はこちら
▼サンロクマルで公開中の「就業不能保険おすすめランキング」はこちら
▼サンロクマルで公開中の「がん保険おすすめランキング」はこちら
為替リスクや手数料について十分に理解したうえで利用することが大切です。