「怖いと記憶に残る」からランクイン作品は古め?
今回は雑誌『MONOQLO』2026年9月号掲載の「現代ホラー最怖ランキング」にあった作品レビューなのですが、ランク付けした人の世代なのか、全体的に古い作品が多い気がします。
映像部門だと、コメディだと思っていた旧作の『ムカデ人間』がランクインしてますし。1位の『悪魔のいけにえ』もあまり覚えていないし、「そんなに怖かったっけ?」という感じ。『シャイニング』も同じくで、ジャック・ニコルソンの存在感がデカすぎて覚えているくらい。ランクインに納得できるのは『呪怨』や、生きている人間の怖さが伝わる『犬神家の一族』くらいと、古い作品なのですね。
ゲーム部門1位の『SIREN』もプレイしたものの内容は覚えていないし、そんなに怖い印象もない旧作。そもそもゲームは驚かせる演出ばかりで、ホラーではない気がします。
そう考えると本当の怖さは「リアリティがあるか」と「頭に残るか」の2点にあるんじゃないかと。活字部門にランクインの『血の轍』も、最初のほうは、人間の内面的な狂気が垣間見えて怖かったですし。
「じゃあ、おまえが怖いと思う作品はなんだ?」という話ですが、それは稲川淳二さんの怪談『生き人形』。とある人形に関わる怪談なのですが、その人形にまつわる話を生放送でしたら照明が落ちたり中継が止まったりと、怪談の外側でも実際に不可解な出来事が起きていて、単なる作り話として切り離せないところがあるのですね。僕の周りでも、「怖くない」と言った人はいない気がします。
リアリティという意味では、『つけびの村』も怖い。山口県の限界集落で起きた連続殺人・放火事件を追ったノンフィクションなのですが、集落の事情に詳しい人物が「事件の理由は子孫にも関わるので話せない」的な発言をするなど、殺人事件の真相を限界集落の関係者だけが知っている感じなのです。もちろん隠蔽が確認されたわけではないのですが、肝心なことが語られないので疑問だけが残る。
とはいえ、この作品はnoteで途中まで読んだものの、以降は有料だったので、最後までは読めておらず……。もしかしたら、結末がわからないから不気味に感じているだけなのかも。
ひろゆきさんイチオシ:ホーム社漫画文庫「生き人形」

ホーム社漫画文庫
生き人形
永久保貴一
「生き人形」は“怪談界のレジェンド”である稲川淳二の代表作で、最恐との呼び声も高い怪談。また、数少ない稲川氏自身の体験談でもあります。関わった人に必ず不幸が訪れる少女の人形を題材にしており、とある人形が次々に怪異を引き起こすストーリーです。
一連の出来事をメディアで話すたびに不可解な事故や怪我人などが出ることから、今ではめったに語られることはありません。全容が気になる方は、すでに絶版となっていますが、漫画やDVDでぜひどうぞ。
「このマンガがすごい」すごいから1位なのか? 1位だからすごいのか?
続いて、毎年話題の「このマンガがすごい!」です。
『このマンガがすごい』は、宝島社が著名人やマンガ愛読者にアンケートを行い、最もオススメしたい漫画を決定、紹介するムック本。毎年、女性向けマンガを「オンナ編」、男性向けマンガを「オトコ編」として、それぞれランキングにしています。そして、2026年版には『半分姉弟』と『本なら売るほど』が1位を獲得しています。
リイド社「半分姉弟」
- 藤見よいこ半分姉弟
- 最安価格: ¥400〜
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 掲載媒体
- トーチweb
- 出版社
- リイド社
まずはオンナ編1位の『半分姉弟』を読んでみたのですが、面白くはあるものの、これが1位かと言われると、やや疑問です。
この作品は、日本人と外国人を親に持つ人たちの葛藤を、中心人物を替えながら描いているので、一般的な日本人には珍しい話かもしれません。でも、アメリカで大学生活を送り、フランスで移民として暮らす身からすると、「まあ、そうなるよね」というありふれた話ばかり。知らない人には発見でも、当事者には日常だったりするわけです。珍しさは読者の経験値で変わるものなのですね。
KADOKAWA「本なら売るほど」
- 小島 青本なら売るほど
- 最安価格: ¥440〜
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 掲載雑誌
- ハルタ
- 出版社
- KADOKAWA
そして、オトコ編1位の『本なら売るほど』。古本屋を訪れる人たちの人生を1話完結で描いた作品で、本のうんちくや古本屋の商売についても知れるので、知的好奇心はくすぐられます。ただ、紙の本に思い入れがある人には刺さっても、電子書籍しか読まない人には「ふーん」で終わるかも、と思ってしまう。
そんな男女1位の2作なのですが、両作は構造が似ています。まず、主人公が目的に向かって成長するような内容ではないこと。そして、『半分姉弟』は親の国籍が違う人、『本なら売るほど』は古本屋に来る人を通じ、さまざまな人生を見せていく形式なので、どこからでも楽しめるし、読み物としても十分面白いこと。
でも、「面白い」と「すごい」は別物じゃないか、というのが僕の感想。それなら、清野とおるさんの『壇蜜』のほうがすごいと感じるのです。
友達がほぼおらず、ナマケモノなどを飼い、身近で怪奇現象まで起きる壇蜜さんの生活を、赤羽の奇人変人を観察するのが好きな奇人で、夫でもある清野さんが描いた作品なのですが、世間一般が抱く壇蜜さん像と実生活の落差が大きいうえ、欲の薄い二人の日常には怪奇現象まで混じってくる。さらに人間不信だった壇蜜さんが徐々に心を開き、結婚と夫婦生活というゴールへ向かう展開もある。実話ベースなのに、その設定はマンガよりマンガ的だったりするのですね。
現実の強さを描いているという意味では、『みいちゃんと山田さん』もなかなかです。知的障害がある女性が風俗で働き、周囲に利用されて壊れていく内容なのですが、こうしたことは現実社会でも起きています。そんな多くの人が目をそらす現実を、マンガにすることで描き出しているわけです。
こうやって見ると、ランキングは、作品のすごさよりも、「選者が何をすごいと思ったか」を示すものじゃないかと。とはいえ、作品数が多すぎる昨今、読者は全部を読めないのでランキングに頼りがち。すると上位作に注目が集まるので、「すごいから1位」なのか「1位だからすごい」のかは、もはや謎。
そう考えると、「このマンガがすごい!」で一番すごいのは、マンガではなくランキングの影響力なのかもです。
「このマンガがすごい!」の2作品のおすすめ度は自分としては星2つでした。
【おいらの結論…】ランキングは参考になるけれど、趣向の合う人のオススメ作品が吉。
以上、ひろゆきさんによる、『MONOQLO』2026年9月号の「現代ホラー最怖ランキング」と今年の「このマンガがすごい!」の感想と、それをふまえたひろゆきさんのおすすめホラーとマンガでした。
次回も選りすぐりのアイテムやコンテンツを、本音でレビューしてもらいます!
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おすすめ度は星5つです。