スマートフォン読むと辛くなる鬱漫画のおすすめ40選

タイザン5「タコピーの原罪」

あらすじ

ハッピーを広めるため地球に来た宇宙人「タコピー」は、壮絶ないじめと家庭問題で笑顔を失った少女しずかと出会う。タコピーは不思議な「ハッピー道具」で彼女を救おうと奔走するが、その無垢な善意は事態を悪化させ、想像を絶する悲劇を引き起こしてしまう。これは、純粋さが犯す罪と救いを描く衝撃の物語である。

おすすめポイント
  1. ダウナーで陰鬱な作品が好きな人
  2. 重いテーマの社会問題に関心がある人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
少年ジャンプ+
出版社
KADOKAWA
連載期間
2021年12月10日〜2022年3月25日
巻数
全2巻
加藤真也
元編集者・現マーケター
加藤真也 のコメント

本作品は、サクッといえば「不穏なドラえもん」。未来の世界のお助けキャラ、ひみつ道具的なあれこれ、残念ないじめられっ子(名前はしずかw)、土管のある公園など、そこかしこに幼少期に慣れ親しんだ『ドラえもん』へのオマージュが感じられて、ハードないじめ、家庭内の不和、殺人といった暗いテーマとの間に生まれる、明暗のギャップに惹き込まれていきました。かわいいタコピーの純粋さが回を重ねるたびに大嫌いになっていく、そんな湧き出す暗黒面も楽しみながら読んでほしいです。

カレー沢薫「ひとりでしにたい」

あらすじ

35歳の独身女性・山口鳴海は、キャリアウーマンだった伯母が孤独死したことをきっかけに、「終活」について深く考えるようになる。そして介護や看取り、老後の資金など、現実的な課題に向き合いながら、自立して最期を迎えるための知識や覚悟を身につけていくのだった。ギャグ満載で現代の闇に切り込むヒューマンドラマ。

おすすめポイント
  1. 「終活はまだまだ先の話」と思っている人
  2. 老後問題に関心がある人
ジャンル
ギャグ・コメディ
掲載雑誌
コミックDAYSほか
出版社
講談社
連載期間
2019年7月22日~
巻数
既刊10巻
辻 大輝
MONOQLO編集部
辻 大輝 のコメント

20代だし「終活ってまだ先のテーマだよなぁ」と思っていましたが、読み進めていくとその先入観を鮮やかに裏切られます。描かれているのは誰にでも身近に起こりうる社会問題や人間関係ばかり。まるで自分自身や家族のことを見ているかのような感覚に襲われます。個人的に印象的だったのは、「孤独死を避けるための準備のピークは60代以降ではなく実は30代である」と感じた点です。また、笑いを交えながらも、読者に真正面からリアルに刺さる問いかけはカレー沢先生らしいと感じました。

古谷実「 ヒメアノ〜ル」

あらすじ

清掃会社で働く岡田は、同僚の安藤が好意を寄せる店員・ユカを見守るうち、高校時代の同級生・森田と再会する。穏やかに見える森田だったが、じつは快楽のために殺人を繰り返す犯罪者だった。岡田と安藤を中心とした恋愛パートと、森田の視点から描くシリアスなパートが入り混じる、起伏の激しい展開が特徴的。

おすすめポイント
  1. 人間の闇に興味がある人
  2. サスペンスが好きな人
  3. 衝撃展開を求める人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
週刊ヤングマガジン
出版社
講談社
連載期間
2008年6月2日~2010年2月22日
巻数
全6巻
前田有一 氏
映画評論家
前田有一 氏 のコメント

自分よりダメ人間と思っていた職場のおっさんが、結構前に進んでいた──。地味にショックな冒頭から目が離せない本作。そんなダメ人間ラブコメに共感して「あるある」と笑っているうちに、気づけば血の臭いが漂うサイコスリラーへ急転直下。ギリギリ手がとどかなそうなヒロインとの恋模様にドキドキしていた読者ほど、裏切られた衝撃がデカい。笑いと恐怖の間で揺さぶられた末に見えるのは、どちらも同じ根っこ=「承認欲求」の恐ろしさ。まさに“日常の隣にある地獄”を描いた怪作です。

鬼頭莫宏「 ぼくらの」

あらすじ

夏休みのある日、15人の少年少女は海辺の洞窟で謎の男・ココペリと出会った。ココペリは、少年少女たちを「無敵の巨大ロボットを操縦し、敵を倒す」というゲームに誘う。しかし、そのゲームの舞台は現実であり、負ければ地球が消滅、勝利してもロボットの操縦者は戦闘後に必ず死ぬ、という過酷なルールのものだった。

おすすめポイント
  1. ダークなSFが好きな人
  2. 命題を考えたい人
  3. 群像劇に惹かれる人
ジャンル
SF・ファンタジー
掲載雑誌
月刊IKK
出版社
小学館
連載期間
2003年11月~2009年6月
巻数
全11巻
架神恭介 氏
作家・ライター・漫画原作者・ゲームデザイナー
架神恭介 氏 のコメント

中学生たちが命を代償に巨大ロボのようなものを操作し、敵と戦う漫画。大人が代わりに戦うことはできないため、作中の大人は徹底して子どもたちのサポートに回る。いわゆるセカイ系の作品だが、子ども任せにせず大人も責任を全うしようとする作品であり、その点が異色。鬱漫画と評されることも多々あるが、ラストは非常に後味が良く爽やかに終了する。なお、アニメ版やラノベ版もあり、原作とは結末が違ったり原作では戦わない人物が戦うなど、派生作品も含めて楽しむことができる。

つくしあきひと「 メイドインアビス」

あらすじ

巨大な縦穴「アビス」が存在する世界。アビスには未知の遺物が眠っており、探窟家は命懸けで深部を目指していく。孤児院で暮らす少女・リコも、遺物探索と行方不明の母を探すため、記憶を失ったロボット少年・レグと、アビスの深層へ向かう。仲間との出会いや試練を経ながら、アビスの謎と真実に迫るダークファンタジー。

おすすめポイント
  1. 過酷な冒険を求める人
  2. ファンタジーが好きな人
  3. 残酷描写に耐えられる人
ジャンル
SF・ファンタジー
掲載雑誌
WEBコミックガンマほか
出版社
竹書房
連載期間
2012年~
巻数
既刊14巻
型番
1
木川祐人
元MONOQLO編集部
木川祐人 のコメント

まず目を引くのは、絵本のような柔らかく可愛いタッチの作画。そこから繰り出されるトラウマ級の「グロ」「鬱」描写のギャップに頭をぐちゃぐちゃにされます。強烈な展開の数々に圧倒されるものの、大穴をめぐる冒険や謎、仲間との絆やバトルといった冒険ファンタジーとしての要素はしっかりアツく、王道そのもの。強烈な「負荷」を乗り越えられたならば、 「アビス」の放つ妖しい魅力の虜になるに違いありません。ぜひ、吐き気をこらえて読み進めてみてほしい傑作です。

真鍋昌平「 闇金ウシジマくん」

あらすじ

主人公は闇金融会社「カウカウファイナンス」の社長・丑嶋馨(うしじまかおる)。丑嶋の前には、貧困、依存、犯罪といった現代社会の闇に囚われた者が次々と現れるのだった。人々が破滅へと追い込まれていく過程がリアルかつ容赦なく描かれ、シビアな現実をこれでもかと突きつけてくる、社会派ダークドラマ。

おすすめポイント
  1. 人間の欲望への弱さを垣間見たい人
  2. リアルな裏社会の描写が好きな人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
ビックコミックスピリッツ
出版社
小学館
連載期間
2004年24号~2019年14号
巻数
全46巻
辻 大輝
MONOQLO編集部
辻 大輝 のコメント

闇金を借りにくる債務者たちは自己破産寸前のフリーターや整形依存のホステス、SNSでの承認欲求をこじらせた女性などで、常軌を逸した欲望を持った人たちのように見えます。ですが、実際には誰でも陥りかねない人間の欲望への弱さが浮き彫りになり、「こうはなりたくない」という反面教師のような内容にもなっています。主人公のウシジマくんの、ドライで冷酷な一面がありながら筋を通す義理堅さも大きな魅力。実写版のクオリティも高いので、映像作品のほうも超おすすめです!

押見修造「 血の轍」

あらすじ

中学生の長部誠一は、美しいが過保護な母・静子とともに穏やかな日々を送っていた。ある日、静子が突如として不可解で恐ろしい行動に出たことをきっかけとして、親子関係が狂気へと傾いていく。静子の異常なまでの愛情と支配の中で、誠一はしだいに追い詰められ、現実と幻の境界が崩れていく。「家庭」という密室で繰り広げられる支配と依存、そして逃れられない恐怖を描くサイコサスペンス。

おすすめポイント
  1. 不穏な雰囲気の漫画が好きな人
  2. 毒親に悩まされた人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
ビックコミックスペリオール
出版社
小学館
連載期間
2017年2月24日~2023年9月8日
巻数
全17巻
渡部孝太
360LiFE編集部 副編集長
渡部孝太 のコメント

毒親と共依存してしまう息子・静一の物語。母親がミステリアスで不遜な性格すぎて、読んでいるこちらも振り回されます。微笑んでいるのに何を考えているのかわからない表情、予想を裏切るような言動が多くて、息子の静一を愛しているのか憎んでいるのかわかりません。静一はそれにどう向き合っていくのか。突拍子もなくありえない行動をしでかすのではないかというハラハラした気持ちで読み進めてしまいます。

高橋しん「 最終兵器彼女」

あらすじ

北海道で暮らす高校生シュウジは、同級生のちせと交際を始める。しかし、ちせは国家の「最終兵器」として改造され、特殊な身体になってしまうのだった。戦争が激化する中、ちせは少しずつ限界に近づき、シュウジも愛と絶望の狭間で苦悩する。純愛と世界の終末がクロスオーバーする、切なくも壮大なSFラブストーリー。

おすすめポイント
  1. SF×純愛が好きな人
  2. 切ない恋愛を味わいたい人
  3. 終末ものに興味ある人
ジャンル
SF・ファンタジー
掲載雑誌
ビックコミックスピリッツ
出版社
小学館
連載期間
1999年12月27日~2001年10月29日
巻数
全8巻
赤川
LDK編集部
赤川 のコメント

いたって普通の高校生カップルだった彼氏の「シュウジ」と彼女の「ちせ」ですが、彼氏の知らぬ間に彼女が世界を守る最終兵器になっていた、というストーリーです。戦争がもたらす数々の悲劇が映し出される一方で、この物語の主題はシュウジとちせのラブストーリー。なぜ最終兵器になったのかなど、はっきりと描かれていない点も多く、結末も賛否が分かれる作品ですが、ぜひ2人の恋の行方を見届けてほしいです。

押見修造「 惡の華」

あらすじ

文学少年の春日高男は、憧れの女子・佐伯奈々子の体操服を衝動的に盗んでしまい、その現場を嫌われ者の仲村佐和に目撃される。佐和は高男の弱みを握り、無茶な指示を実行する「契約」を求める。やがて田舎町を揺るがす事態に発展していく。思春期の葛藤や背徳が生々しく描かれる衝撃的な心理ドラマ。

おすすめポイント
  1. 思春期の苦悩に共感したい人
  2. 青春サイコスリラーが好きな人
  3. 狂気と純情の交錯を求める人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
別冊少年マガジン
出版社
講談社
連載期間
2009年10月号~2014年6月号
巻数
全11巻
松田健人
編集者
松田健人 のコメント

思春期におけるアイデンティティ形成のプロセスを描いた青春譚。物語の大半は自意識に支配された登場人物たちの屈辱にまみれた苦い展開が続くため、読み手も暗澹たる気分を強いられる。だが主人公が自己と向き合い、視野が広がる終盤から加速度的に物語は展開していく。若き日の葛藤との折り合いの付け方を思い出させてくれる本作。過剰な自己重要感に苛まれがちな現代人にこそ、かつて抱いた自意識の暴走を省みる機会となり、自己を理解するための示唆を与えてくれるはずだ。

郷田マモラ「 [poor] ゼラニウムの誘惑」

あらすじ

2018年、原宿のヘアサロンで起こった殺人事件。被害者はファッションデザイナーの仙川亜衣で、加害者は店長の増子英雄だった。事件の謎が少しずつ明らかになり、被害者、加害者それぞれの闇が浮かび上がってくる。ハイレベルな人物描写と、衝撃的なストーリーに引き込まれる、生々しい人間ドラマ。

おすすめポイント
  1. 逃亡する殺人+者の心境を味わいたい人
  2. サスペンス好きや、闇社会に興味がある人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
マンガ on ウェブ
出版社
電書バト
連載期間
2018年~2021年
巻数
全5巻
架神恭介 氏
作家・ライター・漫画原作者・ゲームデザイナー
架神恭介 氏 のコメント

震災孤児やLGBT、発達障害などのマイノリティたちが愛を求める物語。殺人事件を追う作劇はスリリングで警察の捜査描写にもリアリティがあるため、クライムサスペンスとしても十分に楽しめる。序盤からていねいに張られた伏線がすべて回収されるため、読後にモヤモヤ感が残らない。テーマ的にも社会派の作品のように見えるが、オチの鮮烈さはこの作品を単に「優等生」的に見ることを許さない。

浅野いにお「 おやすみプンプン」

あらすじ

ごく普通の少年・プンプンの、小学5年生から大人になるまでの日常と成長を描いた漫画。小学5年生のときに転校してきた田中愛子(プンプンが一目惚れしたいわばヒロイン)は、物語の最初から最後まで良くも悪くもプンプンに大きな影響を与えていく。プンプンとその家族がヒヨコの姿で描かれる(そのときの感情によって容姿が変わる)ほか、合間に本編とは関係のない奇行シーンが挿入されるのが、本作の大きな特徴となっている。

おすすめポイント
  1. 深い心理描写が好きな人
  2. 重くも陰鬱な青春物語を読んでみたい人
ジャンル
掲載雑誌
週刊ヤングサンデー、ビッグコミックスピリッツ
出版社
小学館
連載期間
YS:2007年15号〜2008年35号、BS:2008年47号〜2013年49号
巻数
全13巻
松中
LDK編集部
松中 のコメント

個人的に鬱漫画といえば、この漫画。主人公やヒロインの家庭環境など複雑な現実が胸をえぐられるほど生々しく、読んでいてしんどくなる場面も。暗さや重さの中にも、浅野いにお作品特有のユーモアや温度差のある描写があり、最後まで惹きつけられます。主人公がヒヨコのような姿で描かれることで、読者が感情移入しやすくなっているのもすごい!

こうし「 きみは四葉のクローバー」

あらすじ

かつては人気者だった宇一。しかし高校生の今は、学校でのいじめと家庭崩壊に苛まれ、希望のない生活を送っていた。幼馴染・よつはに話した「獣医になる」という夢を支えにして生きる宇一の前に、ある日突然、よつはが現れる。宇一の心はよつはによって徐々に救われていくが、じつは彼女は驚くべき秘密を隠していた。

おすすめポイント
  1. 主人公とヒロインの幸せを諦めたくない人
  2. 心を強く保てて、グロ耐性がある人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
週刊少年チャンピオン
出版社
秋田書店
連載期間
2024年7月18日~
巻数
既刊5巻
濵田沙莉衣
LDK the Beauty編集部
濵田沙莉衣 のコメント

かわいらしいタイトルとは裏腹に、凄惨ないじめや、かなりショッキングなシーンが多々あります。いじめにあう主人公・宇一と、不思議な力を使って彼を救おうとするヒロイン・よつは。よつはの行動によって宇一を取り巻く状況が変化し、風向きがいい方向へ変わりかけていたところで「まだ底があるの?」と言わんばかりに宇一の人生が崩壊していきます。よつはは宇一を救えるのか、いまだに明かされないいじめの主犯は誰なのか。連載中の作品のため続きが気になります! 今のうちに要チェックです。

原作=丸山ゴンザレス/作画=船木涼介「こんな人生は絶対に嫌だ」

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あらすじ

日々を慎ましく、生真面目に生きてきた高校生の紗希。悩みといえば、両親の不仲くらいのものだった。ある日、紗希は不良たちが差し出した1本のタバコを何気なく受け取ってしまい、それをきっかけとして、彼らとの居心地のいい関係性に引き込まれていく。その甘いひとときは、紗希を奈落の底へと導く扉だった-。ありふれた平和な毎日から、一気に闇へと転落する少女の姿を描く惨劇サスペンス。

おすすめポイント
  1. 社会の闇に関心がある人
  2. 転落人生を描く物語が好きな人
  3. 救いのないサスペンスが好きな人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
黒蜜
出版社
白泉社
連載期間
2021年~2022年
巻数
全9巻
薗部真一 氏
『このマンガがすごい!』元編集長
薗部真一 氏 のコメント

「こんな人生は絶対に嫌」と他人(じつは前の話の登場人物)を見ていた人が、ほんの些細な転落で、自分も「こんな人生」になってしまう。「ホームレス」「詐欺」「フード配達員」「タワマン妻」「ヤングケアラー」といった現代的なテーマは、少し特別に見えるかもしれないが、読んでいる読者自身だって、いつ「こんな人生」になってしまうのかなんて、誰にもわからないのだ。

竹内佐千子「 Bye-Bye アタシのお兄ちゃん」

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あらすじ

とある場所にある「いもうと喫茶」では、「いもうと」と呼ばれる7人のメイドが、疲れたおじさんを出迎える。客はおまじないとスイーツで癒やされ、つい常連になってしまうのだった。だがじつは、いもうとたちの中身はかつて死を選ぶほどに追い詰められたお客たち。彼らはなぜか「いもうと」として転生し、人々を癒やす側に回っているのだった。ほのぼのとした始まりから、少しずつダークな様相を見せていくSFファンタジー。

おすすめポイント
  1. 雑食系ホラーファン
  2. 癒やしのファンタジーが好きな人
  3. 現実逃避がしたい人
ジャンル
SF・ファンタジー
掲載雑誌
モーニング
出版社
講談社
連載期間
2023年3月23日
巻数
全1巻
架神恭介 氏
作家・ライター・漫画原作者・ゲームデザイナー
架神恭介 氏 のコメント

怪談・都市伝説である七人ミサキとメイド喫茶が悪魔合体した斬新な作品で、死者(主におっさん)がメイド喫茶の店員となり、メイドとして接客する。新たなメイドが加わると7人のメイドのうちの誰かが成仏する。前半は七人ミサキシステムを取り入れただけのハートフルな作風だが、後半から「呪い」の様相を呈し始め、きちんと七人ミサキに着地するのでホラーファンにもおすすめだ。

阿部共実「 ちーちゃんはちょっと足りない」

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あらすじ

団地住まいの中学2年生・南山千恵(ちーちゃん)。ちーちゃんは、成績やお金、恋人や友達など、いつも何かが足りないという気持ちを抱きながらも、幼馴染のナツ、クラスメイトの旭や奥島、姉の志恵たちと楽しい毎日を送っていた。ある日、ちーちゃんとナツは、クラスメイトから万引きをしようと誘われる。その場は何とかしのいだものの、これをきっかけに「ある事件」が起きてしまい、ちーちゃんとその周囲は大きく変わっていくのだった。

おすすめポイント
  1. 平凡な日常の揺らぎに興味がある人
  2. 繊細な人間ドラマが好きな人
ジャンル
日常系
掲載雑誌
もっと!
出版社
秋田書店
連載期間
2014年5月8日
巻数
全1巻
三木
LDK編集部
三木 のコメント

有名な作品でもありますが、学園鬱漫画のひとつの金字塔だなと思います。主人公と、“ちょっと足りない”ちーちゃんのちびまる子ちゃんみたいなほのぼの友情ギャグ漫画テイストで始まって、話数が進むにつれ主人公の妬み嫉みが膨らんで、ブラックなまま終わります。途中の主人公が完全崩壊したときの描写もすごい!!!

古泉智浩「 チェリーボーイズ」

あらすじ

とある地方都市に住む3人組、国森信一、吉村達也、高杉誠は、全員が25歳になるにもかかわらず、童貞を卒業できずにいた。彼らが話すことといえば、思い通りにならない世の中への愚痴と女性のことのみ。そんな負け組の3人が、地元で派手な噂が絶えない少女・釈笛子との接点をきっかけに、自分たちの人生を一変させるような「脱童貞作戦」を立てる。すべての男たちに贈る、青春コメディ。

おすすめポイント
  1. ダメで残念な青春物語が好きな人
  2. キラキラしない日常を愛せる人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
アックス
出版社
青林工藝舎
連載期間
2000年~2001年
巻数
全1巻
サンカンオー 氏
古書店経営者
サンカンオー 氏 のコメント

この作者、主な掲載がアックスというマニア向け雑誌でありながら作品の何本かが映画化されている知る人ぞ知る実力派。童貞が童貞であるがゆえの悲哀と、童貞が童貞であるがゆえの希望。青春群像というにはあまりにバカバカしいが、しっかり青春群像しているから不思議。1巻完結なので秋の夜長に読むのなら、この作者の漫画を何冊か用意して寝転がってもらいたい。

パレゴリック「 ニクバミホネギシミ」

あらすじ

ノストラダムスが人類滅亡を予言し、一大オカルトブームが到来した1999年。三流オカルト雑誌の編集者・犬吠埼と、霊感を持つカメラマン・浅間は、奇怪な事件ばかり取材する日々を送っていた。浅間の霊感が何かを引き寄せたのか、2人は次第に常識を外れた恐ろしい現象に巻き込まれていく。日本における呪法や禁忌、そして「ニクバミホネギシミ」という謎の存在について迫る、最恐ホラー作品。

おすすめポイント
  1. 後味の悪いホラーを求めている人
  2. 奇妙で不気味な世界観が好きな人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
くらげバンチ
出版社
新潮社
連載期間
2024年~2025年
巻数
全4巻
MONOQLO編集部
最新の良いモノおすすめベストバイ
MONOQLO編集部 のコメント

日本の怪異や因習を取材する、オカルト雑誌編集者とカメラマンの物語。第1話でいきなり絶望の結末が提示され、巻が進むにつれその絶望へと近づいていく。ふれてはいけない、見てもいけない存在(「カミ」ともいう)のもつ独自のルール(禁忌)に対して、人間ができることなど何もない。カミの禁忌がどれだけ理不尽なものと思えても、それは絶対に侵してはいけないのだ。

ジョージ秋山「 ピンクのカーテン」

あらすじ

親も縁者もいない悟と野理子の兄妹は、離婚や婚約破棄を経て、再び同居を始めることにする。野理子は、かつて婚約していた中年作家の三田村と不倫関係にあり、つねに性的な思いに囚われるほど虜になっていた。一方、悟はそんな妹を哀れに思いながらも、同じ屋根の下で無防備な姿を見せる彼女に対し、ひそかに欲望を募らせていく-。実の兄妹の危うい関係を描く、禁断の恋愛ドラマ。

おすすめポイント
  1. 昭和のディープな劇画が読みたい人
  2. 文学的なエロス作品に触れたい人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
週刊漫画ゴラク
出版社
日本文芸社
連載期間
1980年~1984年
巻数
全15巻
サンカンオー 氏
古書店経営者
サンカンオー 氏 のコメント

鬼才ジョージ秋山の真骨頂とも呼べる作品。かわいい妹となんというかそうでもない妹、普通の兄となんというか普通でない兄。2組の兄妹を軸にして近親相姦というタブーに真っ向から挑む。この人の漫画って他のも暗いストーリーが多いのだが、ラストまで読むとなぜだかわからないが、これはこういう終わり方でよかったんだと思ってしまう。

亜月ねね「 みいちゃんと山田さん」

あらすじ

舞台は2012年の歌舞伎町。新人のキャバ嬢としてデビューした中村実衣子(みいちゃん)は、その12ヵ月後に殺害されてしまう。みいちゃんはなぜ殺されなければならなかったのか?キャバクラの同僚だった山田マミの視点からみいちゃんの姿を見つめていくことで、その背景が明らかになっていく。画期的な手法で描くヒューマンドラマ。

おすすめポイント
  1. ピュアな優しさに触れたい人
  2. とにかく“尊い”を補給したい人
  3. 健気な恋をただ応援したい
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
マガジンポケット
出版社
講談社
連載期間
2024年9月8日~
巻数
既刊4巻
薗部真一 氏
『このマンガがすごい!』元編集長
薗部真一 氏 のコメント

キャバクラ嬢として働く「みいちゃん」は、漢字も読めないし、生活能力が著しく低い。なぜか常連客(全員少しキモめ)がついているけど、それはカジュアルに彼らと性的なことをしてしまうから。問題のある彼女に、さめた目で向き合いつつ、いつのまにか興味を持ってしまう主人公・山田。じつはみいちゃんが、悲しい末路を迎えることが第1話で示唆されている。それまでのルートもうっすら想像がつくのに、ついついページをめくってしまうことが、鬱を加速する。

山岸凉子「 わたしの人形は良い人形」

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あらすじ

昭和初期に、交通事故で亡くなった少女の初子。その葬儀で副葬品となるはずだった市松人形は、棺に入れられることなく隠匿されてしまう。市松人形には少女の怨念が宿り、後世になって人形を発見した初子の縁者・陽子の周囲に、恐ろしい現象を巻き起こすのだった。表題作のほか、2編を収録した短編集。

おすすめポイント
  1. 人間の心の闇を覗きたい人
  2. 怪談や都市伝説が好きな人
  3. 美しい絵で恐怖を感じたい人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
モーニング
出版社
講談社
連載期間
2023年8月10日
巻数
全1巻
MONOQLO編集部
最新の良いモノおすすめベストバイ
MONOQLO編集部 のコメント

存在自体が怖い市松人形に込められた、2人の少女の怨念の連鎖がとてつもない恐怖を紡ぎ出します。物資が乏しかった戦後の生活の中で、この時代ならではの「物」への純粋な執着が怨念となって、唐突に人の命を奪います。理不尽に奪われた命は呪いとなってまた次の命を……。戦後から現在までゆるゆると受け継がれる悲劇が、山岸凉子の透明感のある冷たさを感じさせる絵でていねいに描かれていきます。主人公を助けてくれる男子学生の出自が伏線回収になっているのがよいです。

山野一「四丁目の夕日」

あらすじ

進学校に通う優秀な高校生・別所たけし。暴走族に襲われたある日、なんとか逃げて自宅に帰りついてみると、大怪我を負った母が救急搬送されていた。さらに家計を支えるために働き詰めだった父が事故で命を落とすという不幸に見舞われ、たけしは学業を断念して工場で働き始めることになる。弟妹の世話、借金苦、過酷な労働と、次々に襲いくる不幸に押しつぶされそうになりながらも、たけしはどうやって生き延びるかを問い続ける。

おすすめポイント
  1. 救いのない話が読みたい人
  2. 人間の醜直視したい人
  3. 幸せな物語が苦手な
ジャンル
日常系
掲載雑誌
月刊漫画ガロ
出版社
青林堂/扶桑社
連載期間
1985年7月号~1986年7月号
巻数
全1巻
三木
LDK編集部
三木 のコメント

故・ねこぢる氏の元夫、山野一先生の代表作。救いとかがひとつもない、完全な理不尽なので、徹底的に鬱展開の話が読みたいときにおすすめです。終始嫌なページばかりなので、読むとかえって「自分のほうが恵まれているし頑張って生きよう!」という気持ちになります。そんな山野先生ですが、現在は双子のパパになっているのも感慨深いです。

中武士竜「 十字架のろくにん」

あらすじ

漆間俊は、小学6年生の頃に同級生の5人から「実験体A」と呼ばれ、壮絶ないじめを受けていた。家族の支えを頼りとして耐えていた俊だったが、その家族すらも鬼畜のような所業によって奪われてしまう。何もかも失った俊は、戦時中に秘密部隊に所属した祖父から、復讐のための指導を受けて生まれ変わる。そして4年ののち、俊は因縁深い5人の前に姿を現すのだった。絶望からすべてが始まるサイコサスペンス。

おすすめポイント
  1. 壮絶な復讐劇を読みたい人
  2. 胸糞からのスカッとを求める人
  3. 過激な描写に耐性がある人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
マガジンポケット
出版社
講談社
連載期間
2020年3月9日~
巻数
既刊21巻
松本大輝
家電批評編集部
松本大輝 のコメント

主人公がいじめられていたグループに対して復讐する物語。グループのリーダー格の人物によって、主人公の両親は事故死、弟は植物状態にされてしまい、主人公はおじいちゃんに引き取られる。第二次世界大戦の秘密組織に所属していたおじいちゃんから戦い方や人の殺し方などを学んだ主人公は、次々と復讐を実行していく。相当グロテスクな場面もあるため、苦手な人は読まないほうがいい。

志波由紀「 人魚のムニエル 志波由紀作品集」

  • 志波由紀人魚のムニエル 志波由紀作品集
  • 最安価格: ¥752

あらすじ

7年ぶりに父と再会した麗は、「人魚のムニエル」という料理を食べさせられ、不老不死になってしまう。父は「これで病気の母さんと、ずっと一緒に暮らせる」と話すのだが、麗は父に告げる。母親は2年前、すでに亡くなった、と-。表題作を含め、ホラーと人間愛が交錯する全8編を収録。家族愛や喪失、過去の真実といったテーマで、人間の優しさと欲望の両面を静かにえぐる作品集。

おすすめポイント
  1. 少し不思議な物語が好きな人
  2. 繊細なタッチの絵が好きな人
  3. 幻想的な世界に浸りたい人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
ハルタ
出版社
KADOKAWA
連載期間
2025年07月15日
巻数
全1巻
中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

『悪魔二世』という、怖くてシニカル、だけど愛を感じる傑作で知られる志波由紀さんの短編集。こちらも変わらず、冷めた目線が常にある作品が並びます。ベンチで常に「困ったな」と呟くおじさんにかまってしまった少年、人魚の肉を父親に食べさせれられた娘……。幸せってやつにベストはなく、バッドもなく、いつでもビターなんです。生きるのも死ぬのも、イヤな人に。

竹宮惠子「風と木の詩」

あらすじ

19世紀末のフランス。名門男子校を舞台として、複雑な過去を抱える転入生・セルジュと、美貌と奔放な性格を持つ少年・ジルベールの関係を描く。2人は互いに惹かれ合いながらも、周囲の偏見や因縁、そして愛と憎しみの狭間で翻弄されるのだった。日本の少女漫画、そしてボーイズラブにも大きな影響を与えた名作。

おすすめポイント
  1. BL作品の原点に触れたい人
  2. 美しく残酷な悲劇が好きな人
  3. 耽美な世界観に浸りたい人
ジャンル
BL
掲載雑誌
プチフラワーほか
出版社
小学館
連載期間
1976年10号~1984年6月号
巻数
全16巻
サンカンオー 氏
古書店経営者
サンカンオー 氏 のコメント

名作と謳われる本作を、はたしてこのカテゴリに入れていいのかは悩むところだが、読後感の悪さを考えれば鬱の度合いはかなり高い。主人公の1人であるジルベールは『きのう何食べた?』を見たことがあれば名前くらいは知っているはず。そのジルベールがああなってこうなって、少年愛を軸にヤリたい放題、ヤラれたい放題の内容はドラマで彼の名前を知っているだけの人にはかなりの衝撃を与えてくれる。

しろやぎ秋吾「娘がいじめをしていました」

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  • 最安価格: ¥1,188

あらすじ

いじめを受けた経験を持つ主婦・赤木加奈子。ある日、小学5年生の娘・愛が、同級生の馬場小春をいじめていることを知る。加奈子は愛とともに馬場家に謝罪するが、小春はその後、不登校になってしまう。赤木家と馬場家、学校、さらにはSNSでの匿名告発などが絡み、事態は思いがけない方向へ進んでいくのだった。加害者、被害者双方の視点でいじめをとらえ、親としての対応について問いかける家族ドラマ。

おすすめポイント
  1. 加害者家族側の葛藤を知りたい人
  2. リアルタイムで子育ての正解に悩んでいる人
ジャンル
エッセイ
掲載雑誌
コミックエッセイ劇場
出版社
KADOKAWA
連載期間
2023年3月30日
巻数
全1巻
薗部真一 氏
『このマンガがすごい!』元編集長
薗部真一 氏 のコメント

「娘がいじめられている」のは、もちろんツライ。では、逆に「いじめる側」だったら? どうしてそんなことになってしまったのか、自分が子育てを間違ったのか、子どもを信じてあげたい、でも……、そして、どうすれば反省をさせられるのか……。ちょっとそんな状況のことを想像しただけでも、数えきれない感情が押し寄せてくる。この家族はどうなってしまうのか!?

竹内佐千子「 歌舞伎町カラオケ店員としくにさん」

  • 竹内佐千子歌舞伎町カラオケ店員 としくにさん
  • 最安価格: ¥792

あらすじ

歌舞伎町のカラオケ店「カラオケにゃん」には多様な客が訪れる。誰彼かまわず女の子をナンパする迷惑男、はしゃぐ大学生、泣き崩れるホスト狂いの女性-。そんな人々を店員のとしくにさんはカラオケの「選曲」によって慰めていく。客の人間模様に加え、としくにさんの過去も次第に浮かび上がる、ちょっとダークなカラオケ奇譚。

おすすめポイント
  1. イヤミスが好きな人
  2. 夜の街の人間模様が好きな人
  3. ヤバい客の話で笑いたい人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
月刊モーニングtwo
出版社
講談社
連載期間
2025年05月22日
巻数
単行本未刊行
架神恭介 氏
作家・ライター・漫画原作者・ゲームデザイナー
架神恭介 氏 のコメント

正統派の鬱漫画。かわいい絵と軽薄な雰囲気で油断させておいて、死角から一撃をえぐり込んでくる。やってること自体は重いのに妙にノリが軽く、主人公の優しさや母性も垣間見えるのに、それも誰かを救うことはなく読後感はつねに嫌な感じが残る。1話完結のエピソードながら、縦軸に「犯人探し」も盛り込まれており、主人公のとしくにさんがカラオケ店で働く意外な理由が説明されつつ、物語全体に影を落としている。

山野一「混沌大陸パンゲア」

  • 山野一混沌大陸パンゲア
  • 最安価格: ¥3,380

あらすじ

極限的で異様な世界観を背景として、貧困や鬼畜、電波、不条理、薬物、宗教といったモチーフをひたすらえぐり出す、山野一の集大成的な作品集。意味不明でサイケな悪夢やループ、神話的なシンボルもところどころに交えつつ、人間の理性と欲望が崩壊していく様を、反日常、反倫理の視点で描き出す異色作。

おすすめポイント
  1. 鬼才が描く世紀末の世界を見たい人
  2. 脳髄にこびりつく読後感を味わいたい人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
グランドチャンピオンほか
出版社
青林堂
連載期間
1993年
巻数
全1巻
松田健人
編集者
松田健人 のコメント

個人的に「鬱漫画」を象徴する作品。不条理で、陰鬱で、エログロで、悪趣味で、現代のモラルや価値観では到底、商業誌掲載はできないであろう展開が次々と繰り広げられる。特に作中に繰り返し登場する「手取り13万8千円」というフレーズは貧困の象徴として強烈な印象を残し、山野作品のトラウマ的代名詞になっている。強い刺激や暗いテーマに興味を持つ読者だけ読んでほしい。また現在では「絶版」となっているため、読むにはそれなりの手間と覚悟が必要となる。

知るかバカうどん「君に愛されて痛かった」

  • 知るかバカうどん君に愛されて痛かった
  • 最安価格: ¥407

あらすじ

中学時代に受けたいじめがトラウマとなっている女子高生・かなえは、他人の顔色を気にしながら生き、承認欲求を満たすために、援助交際も繰り返していた。ある日、他校の男子・寛に援助交際の現場を見られるが、彼の態度は優しく、それがきっかけで、かなえは寛に対して恋心を抱くようになる。しかし、その想いは次第に悲劇を呼び込み、友情や恋、過去の傷と家族の問題が絡み合う重厚なドラマが動き出す。

おすすめポイント
  1. 心をえぐられる覚悟のある人
  2. 読後も引きずる漫画を求めている人
ジャンル
恋愛・ラブコメ
掲載雑誌
漫画アクションほか
出版社
双葉社/新潮社/秋田書店
連載期間
2017年~
巻数
既刊9巻
三木
LDK編集部
三木 のコメント

出版社が2回くらい変わっていて、刊行ペースに間が空くたびに失速している感じは否めないですが、5~6巻くらいまでスピード感のある胸糞系で抜群に面白いです。カースト最上位女子とカースト最底辺女子のいざこざ系ですが、いい意味で作者がキャラクターに愛情がなくて徹底的に落とすところがスッキリします(たぶんまだ続いている)。

手塚治虫「 アポロの歌」

あらすじ

幼少期に愛情を受けられず、愛を憎んでいた近石昭吾。彼はつがいの動物を殺した罪で、女神から「女性との愛が成就する前にどちらかが死ぬ人生を何度も繰り返す」という罰を受ける。昭吾はそれ以後、多様な世界に転生し、悲劇的な別れを経験しながら「愛」の意味と向き合うことになる。愛と死、輪廻を描く異色SFロマン。

おすすめポイント
  1. 「黒い」手塚治虫の代表作に触れたい人
  2. 少年誌の常識を壊した問題作
ジャンル
恋愛・ラブコメ
掲載雑誌
週刊少年キング
出版社
少年画報社
連載期間
1970年4月26日号~11月22日号
巻数
全2巻
松田健人
編集者
松田健人 のコメント

「性愛」を中心テーマに描いた哲学的な物語。愛とは何かを探求する主人公が、あらゆる時代や場所で愛し合い、結ばれる直前に命を落とす、むごい運命を繰り返す。手塚治虫の代表作『火の鳥』に似た構成で、物語を通し「愛を掴み取ること」がいかに難しく奇跡的か、それと同時に失うことの切なさを残酷かつ尊く描いている。特に後半の「合成人のエピソード」は衝撃的。別の漫画家だとグロテスクになり得る描写を、手塚先生独特のポップな絵柄でファンシーに表現している。

カレー沢薫「いきものがすきだから」

あらすじ

動物好きの女子大生・佐山は、動物保護施設でのボランティアを始める。そこで目撃する動物虐待、飼育崩壊といった過酷な現実は、佐山の価値観を激しく揺さぶるのだった。理想と現実の間で苦しみながらも、「いきもの」と向き合おうとする佐山の成長を描き、動物と人間の関係も深く掘り下げていくヒューマンドラマ。

おすすめポイント
  1. 動物好きな人
  2. ペットを飼っている人、飼おうとしている人
  3. 理屈っぽい笑いが好きな人
ジャンル
日常系
掲載雑誌
comicフレーバーズ
出版社
日本文芸社
連載期間
2022年~2024年
巻数
全2巻
辻 大輝
MONOQLO編集部
辻 大輝 のコメント

「飼う」と決めたペットを施設に持ち込んだり、ゴミ捨て場に置いていく人たちの、“行動”に至るまでの背景をていねいに描いており、単なる善悪ではない人間の醜さ、弱さを痛感させられる内容となっています。私自身、今でも忘れられないのは「すべての命が救えるわけではない。1匹を選んだ時点で他の仔は救わない選択をしたことになる」という旨のエピソードです。命を救わなかったとも取れるその選択は、本当に正しいのか?そもそも正しいとは何なのか…。動物の命に対して深く考えさせられます。

鬼頭莫宏「 殻都市の夢」

あらすじ

殻をまとうようにして積み重なっていく「外殻都市」。いつ作られたのかも定かではないこの都市で、管理官の男女は調査を進めていた。そんな中、妻のクローンを作る男、媚薬を探す少年、死体になっても迷走する男など、さまざまな人々の思いが交錯する。多様な「愛」の形がオムニバス形式で描かれる群像劇。

おすすめポイント
  1. 静かで美しい悪夢が好きな人
  2. 「思索」するSFが読みたい人
  3. 人体の不思議に惹かれる人
ジャンル
SF・ファンタジー
掲載雑誌
マンガ・エロティクスF
出版社
太田出版
連載期間
2024年6月12日
巻数
全1巻
松田健人
編集者
松田健人 のコメント

本作に収められた短編は、いずれも「人間の情動が常軌を逸するさま」に焦点を当て、その極端な感情や愛情がもたらす歪んだ結末を淡々と描く。掲載雑誌が成年向けだけに性的描写が随所に登場するが、単なるエロ要素ではなく「心の深淵」を表現するための手段として機能しており、物語に独特の説得力を与えている。少女たちを通して描かれた世界観は美しさとともに残酷さも内包し、心に残る痛みを感じられる。赦しや救済といったテーマも織り交ぜられていて、希望を感じる読後感も味わえる。

阿部共実「 空が灰色だから」

あらすじ

暗闇に閉じ込められた少女、いつも話がこんがらがってしまう少女、すべてのものが自分の盗作に見えてしまう少女など、10~20代の少女を主人公とした日常ドラマ。自分と他者の境界線があいまいな青春時代だからこそ感じる、不安や気まずさ、モヤモヤといった感情を、鮮やかな描写で紡ぎ出す短編集。

おすすめポイント
  1. 生きるのが下手だと感じる人
  2. 日常に潜む狂気に惹かれる人
  3. わかりすぎて心が痛くなる人
ジャンル
日常系
掲載雑誌
週刊少年チャンピオン
出版社
秋田書店
連載期間
2011年38号~2013年9号
巻数
全5巻
松田健人
編集者
松田健人 のコメント

"青春を謳歌するハッピーな話も数多くあるものの、不意に挿し込まれる「生々しい痛み」「不気味すぎる表現」「後味の悪い結末」は、内面の不安定さや自己認識の未成熟さ、言葉にできない想いのもつれといった、リアルでいて、時にフィクション的な誇張が読者をどん底に落とし込む。油断してページをめくっていると、気がついた瞬間には心をえぐられることになる。ティーンエイジャーだけでなく、その時代を通り過ぎたすべての人の共感と省察を促す内容となっている。"

望月峯太郎「 座敷女」

あらすじ

大学生の森ひろしは、真夜中に隣の部屋のドアがロングコートの大女にしつこいほどノックされていることに気付く。このあと、大女はひろしの部屋の前に現れ、一度玄関先に入れてしまったことから、陰湿に付きまとわれるようになる。大女-サチコの正体や目的を掴むことができないまま、異常な行為は次第にエスカレートしていき、ひろしはもちろん周囲の人々も巻き込んでいく。心理的な恐怖を煽るホラー漫画。

おすすめポイント
  1. 不気味で理不尽な展開が好きな人
  2. 心理ホラー漫画が好きな人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
週刊ヤングマガジン
出版社
講談社
連載期間
1993年第13~24号
巻数
全1巻
渡部孝太
360LiFE編集部 副編集長
渡部孝太 のコメント

「ストーカー」という言葉が浸透する前に描かれたストーカーホラー漫画。主人公に理不尽なほど付きまとうサチコの、得体の知れない不気味さがトラウマ級です。全1巻なのですぐに読み終わりますが、後味の悪さはずっと心に残ってしまいます。歌手のあいみょんは「余裕を持って人を好きになれる人ってこの世にいるのかな」と歌っています。気持ちはわかりますが、余裕を持ってください。

たかたけし「 住みにごり」

あらすじ

東京の会社を退社し、実家に帰省した西田末吉。実家には、行動が読めない無口な兄・フミヤ、機嫌が悪いと暴れだす酒乱の父、車椅子生活の母がいた。濁った水のような閉塞感が漂う家庭で過ごす中、末吉は幼馴染の森田純夏と再会する。そして純夏の存在は、西田家がかろうじて保っていた均衡を崩すことになるのだった。

おすすめポイント
  1. 不穏な雰囲気の漫画が好きな人
  2. 身近にヤバそうな人がいる人
  3. アドレナリン漫画が好きな人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
ビックコミックスペリオール
出版社
小学館
連載期間
2021年11月~
巻数
既刊8巻
渡部孝太
360LiFE編集部 副編集長
渡部孝太 のコメント

登場人物のほとんどが狂気をはらんでいるという、今もっともアツい鬱・理不尽漫画。狂気と狂気がぶつかり合い普通の神経を持った人間の平穏をぶち壊してきます。家族に「触れるな危険」的な人物がいて一緒に生活しなければいけない絶望感もいい味を出しています。序盤はギャグっぽい表現が多いものの、だんだん不穏な描写が続いて不快さも増していきます。人物の表情の機微で狂ってるかどうかがわかり、普通だと思った人物がページをめくると狂い出すという緊張感が味わえます

中村珍「 誰も懲りない」

  • 中村珍誰も懲りない
  • 最安価格: ¥1,100

あらすじ

高校2年生の増渕トビオは、友人の丸山友貴、伊佐美翔、小坂秀郎と、それなりに楽しい日々を送っていた。しかしある日、4人が実行したイタズラが原因で、死傷者が出る大惨事を引き起こしてしまう。意図せずに人を殺してしまった4人は、あらゆる方法で罪から逃れようとするのだった。人間の心理を生々しく描くサスペンス。

おすすめポイント
  1. 世の理不尽さを笑いたい人
  2. シニカルな笑いがほしい人
  3. 身も蓋もない本音が好きな人
ジャンル
人間ドラマ
掲載雑誌
Quick Japan
出版社
太田出版
連載期間
2014年2月18日
巻数
全1巻
三木
LDK編集部
三木 のコメント

作者の中村珍先生が注目されていたとき、何冊か読んでいた中の1冊ですが、仕事前にちょっと読もうと思ったら止まらなくて、「すごいものを読んだ!」という爽快さと後味の悪さでモヤモヤしながら会社へ行ったことを覚えています。漫画はとても淡々と描かれていて、わかりやすいストーリーの起承転結とか見せ場とかはないんですけど、各話ごとにメインで描かれる人物は(たしか)分かれていて読みやすいです。

押切蓮介「 ミスミソウ」

あらすじ

地方都市に転校してきた少女・野咲春花は、クラスメイトから凄惨ないじめを受ける。必死に耐える春花だったが、いじめは次第にエスカレートし、ついには春花の家へ放火されるまでになった。この事件で春花の両親は命を落としてしまい、後に真相を知った春花は、己の命も顧みずに凄惨な復讐を開始するのだった。

おすすめポイント
  1. 救いのない復讐劇を求める人
  2. 「イヤミス」の極致を味わいたい人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
ホラーM
出版社
ぶんか社
連載期間
2007年6月号~2009年6月号
巻数
全6巻
辻 大輝
MONOQLO編集部
辻 大輝 のコメント

田舎町の学校のクラスという狭い人間関係の中で繰り広げられるいじめと復讐劇。その負の連鎖を前に、もし自分が同じ状況に陥ったら正気を保てるのか、主人公と同じ道を歩むのか、自問自答しながら読んでいました。登場人物たちが残酷な行動を選んだ原因は「性格がクズだから」で片付けられるものでもない気がします。それは、人間が本来抱える弱さか、環境か……読後も答えは出ていません。自分史上、ここまで痛めつけられた作品は他になく、重苦しい余韻を残す、唯一無二の鬱漫画です。

原作=金城宗幸 / 作画=荒木光「僕たちがやりました」

  • 原作=金城宗幸/作画=荒木光僕たちがやりました
  • 最安価格: ¥792

あらすじ

高校2年生の増渕トビオは、友人の丸山友貴、伊佐美翔、小坂秀郎と、それなりに楽しい日々を送っていた。しかしある日、4人が実行したイタズラが原因で、死傷者が出る大惨事を引き起こしてしまう。意図せずに人を殺してしまった4人は、あらゆる方法で罪から逃れようとするのだった。人間の心理を生々しく描くサスペンス。

おすすめポイント
  1. 若者たちの転落と逃亡劇を見たい人
  2. ヒリヒリするような緊張感を味わいたい人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
週刊ヤングマガジン
出版社
講談社
連載期間
2015年4月6日~2017年1月23日
巻数
全9巻
渡部孝太
360LiFE編集部 副編集長
渡部孝太 のコメント

中学や高校のときに友達とふざけ合って、先生に何回も怒られたことがある人が読むとハッとしてしまうと思います。怒られるとわかっていて、バレるかバレないかのドキドキ感や焦燥感。学年が集まる朝礼などで「やった奴が名乗り出るまで教室に帰らせない」から始まるチキンレース。軽はずみなイタズラを後悔して反省しているのに、なぜか繰り返してしまう。それを武勇伝として語る痛い人に読んでほしい。最終形態がこの漫画に描かれています。キャラクターの表情も毎回いいんです。

田辺剛「 ラヴクラフト傑作集」

あらすじ

文学史上において、特異な光を放つ「H・P・ラヴクラフト」の代表作を、気鋭の漫画家がコミカライズした短編集。墓泥棒が呪いによって破滅する『魔犬』や、無名の探検家が砂漠奥地の伝説を探す『無名都市』をはじめとした名作を、漫画ならではの演出と緻密な描写で鮮やかに、わかりやすく描き出す。

おすすめポイント
  1. コズミックホラーが好きな人
  2. クトゥルフ神話が好きな人
  3. 圧倒的な画力で絶望したい人
ジャンル
SF・ファンタジー
掲載雑誌
月刊コミックビーム
出版社
KADOKAWA
連載期間
2014年8月25日~
巻数
既刊17巻
松田健人
編集者
松田健人 のコメント

ページをめくった瞬間から異界へと誘われるような圧倒的な画力が最大の魅力。精密かつ重厚なタッチで描かれる陰影豊かなコマ運びは「視覚的怪奇譚」としての完成度を誇り、原作の形容し難い恐怖を見事に可視化してくれている。特に全4巻で描かれる長編『狂気の山脈にて』は、原作への深い敬意を保ちつつ漫画の利点を最大限に活かして時系列を再構成。原作の難解さにつまずいた人でも読みやすく描かれている。クトゥルフ神話に興味はあるが敬遠していた人に最適な入門書だ。

わたなべまさこ「聖ロザリンド」

  • わたなべまさこ聖ロザリンド
  • 最安価格: ¥385

あらすじ

金髪で青い瞳の少女・ロザリンド。その本性は、周囲の人を罪の意識もないままに殺していく殺人鬼だった。ロザリンドの父バーナードは、娘の罪を知り、修道院に預けて償わせようとするが、それでもロザリンドは殺戮をやめようとしない。バーナードは、最終手段として愛する娘の宿命を断つための悲劇的な決断を下すのだった。

おすすめポイント
  1. 伝説の少女漫画を読みたい人
  2. 美しく残酷な愛が好きな人
  3. ドロドロの愛憎劇が好きな人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
週刊少女フレンド
出版社
講談社
連載期間
2013年10月1日
巻数
全1巻
松田健人
編集者
松田健人 のコメント

ロザリンドは一見すると純真で無垢な存在であるが、その行動はしばしば暴力的で破壊的な側面が多分に含まれている。幼い彼女によって引き起こされる「善悪のない暴力」は、被害者の立場からすれば極めて理不尽で、圧倒的な不条理の象徴として描かれている。本作が描かれた当時は「サイコパス」という概念が一般的ではなかったが、「冷淡な共感性の欠如、巧妙な操縦性、そして異常とも言える加害への無自覚性」を見事に具現化しているのがすごい。

花輪和一「 不成仏霊童女」

あらすじ

舞台は安土桃山時代の日本。主人公の不成仏霊童女は、死んだときに三途の川を渡ることができなかった少女の霊で、現世と霊界を自在に行き来できる存在だった。現世には、人の業が生み出す残酷な事件がはびこり、地獄とあまり変わらぬような有り様。不成仏霊童女は、その世界で起きるさまざまな事件を、第三者の視点から見守り、時には葛藤を抱きながらも少しずつ成長していくのだった。

おすすめポイント
  1. 日常に疲れちゃった人
  2. 和風の怪奇譚が好きな人
  3. 不条理なホラーが好きな人
ジャンル
ミステリー・ホラー・サスペンス
掲載雑誌
ホラーM
出版社
ぶんか社
連載期間
2004年
巻数
全1巻
中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

フグを食べて死んだ少女が成仏できず、さりとて生き返ることもできず、現世にいながらも霊として冥界も見れる「不成仏霊」として、さまざまな人間の生き死にを見届ける物語。安土桃山時代が舞台ということもあり、人がコロコロと死んでいく。そして善人より悪人が多い漫画なので、地獄に行く人がほとんど。それをぼんやりと見つめる少女。あまりに無情で、むしろさわやかな作品です。