【2024年12月】恋愛・人間ドラマ漫画のおすすめ25選。辛口テスト雑誌編集部がイッキ読み推奨作品を厳選！

この漫画のジャンルがなんなのか、少し言い表しにくいです。芸術を志す人々を題材とした群像劇と言うのが一番近い感じがします。そうは言いつつも、明確な主人公は居ます。この主人公は「料理」という芸術に特化した才を持ちながらも、その才ゆえに周りと馬が合わず、「皿洗い」という閑職についている、いわば“尖った奴”です。そして、この主人公が暮らすアパートには、絵や音楽など個々の芸術に秀でているけども、主人公と同様に“尖った奴ら”が集まっています。他にも同僚や友達など“尖り散らした奴ら”がたくさん登場して、主人公を巻き込みながらお互いに成長していく、みたいな話です。登場人物それぞれには、芸術への夢やプライドや信念があり、それと向き合いながらも、現実問題うまくいかない。そんな、何かを志した人たちの葛藤を描いているので、グッとくるものがあります。

パリのレストランで皿洗いとして働く青年の運命が陽気なキャラクターとの出会いで大きく変わっていく物語。様々な才能や性格を持つ人物が現れるが、気弱な性格の主人公が持つ才能は絶対的な「味覚」と「嗅覚」。香りや味が伝わってくるような繊細な描写もいいが、何よりも魅力的なのは人物にスポットライトを当てた描写。人の個性や葛藤、人間の温かみみたいなものが見たい人におすすめ。

仕事を毎日定時に終わらせ、スーパーで特売の食材を買い、主菜と副菜と汁物とごはんという甘・辛・しょっぱい味や食材などバランスの取れた食事を作ることを日課とする弁護士の中年男性が主人公。同棲中の恋人も中年男性ですが、ゲイという存在や男同士の恋愛を特別なものとせず、二人の関係や仕事、家族との問題、ご近所付き合いなど淡々とした日常が描かれています。毎話かなりのページがレシピ本並みの調理シーンで占められていて、そのシーンさえもストーリーと密接に関わっています。

モラハラ気味の主人公が彼女にプロポーズするもあっさりフラれるのですが、よくあるスカッと系ではなくて面白い！別れを機に2人は自分の価値観や生き方を見直していって、少しずつ変化していきます。かといって重たすぎず、ほどよいコメディ感は年末年始にぴったり。登場人物がみんな可愛く思えてきます。

「バンドやらねえか？」の一コマに圧倒されてしまい、一気読み。不良中学生がバンドに目覚めてフェスに出るだけというシンプルなストーリーながら、音を始めてあわせたときのメンバー3人の表情や、余白から「衝動」がひしひしと伝わってくるコマ割りを含めて、青臭い頃の自分を思い出してニヤニヤしてしまう。映画化されており、そちらもおすすめ。

私にはこの作品の魅力はおろか、あらすじを伝える力もありません。言語化が難しいのです。スーサイドラブストーリーとある通り、鬱々とした展開の人間ドラマです。そういった漫画を好む人は、まず読んでみてください。それで「時間を無駄にしたな」と思ったら、謝ります。

主人公の夏目とニャンコ先生を中心に、人間や妖怪と関わるハートフルストーリーです。穏やかに進む話が多く、疲れている時も癒されます。

いい話だったりちょっと寂しくなったりする読後感を味わって欲しいです。

うだつのあがらない主人公系の純文学が好きな人は全員好きなはず。一人の青年が新婚の年下妻に逃げられ、後を追った先で記憶をなくし、妻と名前が同じ今日子に助けられその町での生活が始まります。作者のすぎむらしんいちは映画をよく見ていて、作品内の構図や演出もその影響が強くでています。そのため、何でもない日常シーンであっても印象的で記憶に残ります。何かが起こるようで起こらない日常の機微を描いた先には、言語化できない二人の男女の感情が生まれます。そしてラストシーン。モノローグのセリフは少ないですが、それ以上に伝わるものがあります。そして日常の途中で物語が終わるのが、なんとも純文学的だなと思いました。

普段考えていることをぜ～～～～んぶまとめてぶち込んだらこんな作品になるのだろうな、と思う漫画です。人には言えないなとすら思わないことや、シンプルな欲や簡単に生めてしまう絶望と、なんてことなくつづいて見える日常と向き合えます。

生きている中で不意に感じる切なさや寂しさ、あったかさが詰まった4コマ作品集。親しみやすいイラストや、飾り気のない世界観が自分の弱い部分にじんわりと刺さってほろりときます。

『音楽 完全版』と同様にふとした時に読み返してしまうのが、大橋先生の作品です。なんてことのない毎日の描写が続き、淡々と物悲しいコマとセリフな並ぶことも。理由もわからずクスっと笑わせられもします。おすすめはこの中の『伴くん』という話です。泣けるような泣けないような。これがエモいという感情なのでしょうか。たぶん違います。

テレビドラマ化、アニメ化もされた人気作品。男子大学生3人組が合コンに行くと、誰もが目を奪われるほどのイケメン3人組が待っていた！彼ら（？）は男装カフェで働く紛れもない女性。奇妙な出会い方をした6人の、笑えてときめくラブコメディーです！まず絵が大変好みで、男装女子3人組のイケメンっぷりがたまりません。男性3人も女性3人もそれぞれキャラ立ちがよくて、必ず推し（または推しカプ）ができるはず！既刊8巻ですが、読み終えても何度でも読み返したくなるくらい、些細な仕草、表情、セリフにときめきが散りばめられているので、リピートしてみてください！とりあえずときめき足りてない人は全員読んで！

タイトルはヒップホップユニットCreepy Nutsの曲名に由来。そして、その曲はオードリーのオールナイトニッポンのために書き上げられている。ラジオからアーティストを通じて完成した作品というだけでも既に面白いが、吸血鬼の常識を覆しつつ繊細に描写される感情表現の場面やテンポよく描かれるアクションシーンが最高。ヒロインもとても可愛く、器用貧乏な主人公との掛け合いも心地いい。感化されて、夜ふかししたくなるような作品。無論、アニメも曲もいい。

鎌倉を舞台に男女、男男、女女、6人の高校生たちのさまざまなキスをめぐる彼らの揺れ動く青春を描いています。この全2巻を読んだ後、実写映画化もされたクロスオーバー作品の『海街diary』全9巻を読んで鎌倉を堪能し、さらに山形の温泉町を舞台としたスピンオフ作品『詩歌川百景』既刊4巻で、面々と続く"香田家＆飯田家サーガ"にどっぷり浸ってください。

あのシゲタがあのタカハシと離婚です。びっくりしました。およそ20年前「ハッピーマニア」を読んでいた当時の読者全員びっくりしたと思います。ジェットコースターのように目まぐるしい恋愛をしてきた主人公、通称“シゲカヨ”が結婚し、結婚生活十数年目、45歳になって夫タカハシから離婚を切り出されたところからスタート。読んでみると、「まわりにも起きてるな〜こうゆうこと…」と妙に親近感を感じるリアルさ。キャリアはもちろん、不倫や離婚、友達との関係など、「あるある〜！わかる〜！」と共感することばかりです。大人になっても恋愛ってしんどい！けど面白い！同世代の女性にはもちろんおすすめですが、男性はこれを読んで何を思うんだろ？ちょっと気になります。

おすすめしておいてなんですが、実はこの作品、私は途中までしか読んでいません。「完結してから一気に読みたい」と心待ちにしている作品だからです。舞台は九龍。1993年まで実在し、そして現在は解体された香港の歴史的スラム街です。不動産屋で働く主人公の女性は、会社の先輩に恋をしています。しかし、その先輩には忘れられない人がいるようで…。よくある30代男女のラブコメ、かと思いきや途中から「なんとその先輩の想い人は主人公と瓜二つの女性だった」という衝撃のSF展開が待ち受けています。手元に置いて何度も読み返しながら、考察を楽しみたい作品です。

吉本先生自身のお小遣い制を発端に、毎回さまざまなこづかいやりくり方法をしている人と触れ合っていくストーリー。とある一話に出てくる「ステーションバー（駅の構内で缶酒を飲む行為のこと）」がネットでバズっていたことをきっかけに読み始め、一気読みしました。

「タコピーの原罪」で衝撃を与えたタイザン5先生の作品。一家全員が記憶喪失になったという状況から話がスタート。謎が謎を呼び、そのたびに読者のハードルが上っていくが、最後にしっかりそれを越えてくるのはさすが。「タコピー」で見せたように、見開きや顔のアップ、執拗な描き込みを効果的に使い、ジャンプ作品らしく飽きさせない工夫が全編に渡って散りばめられている。「タコピー」のアニメ化も発表されたこの年末年始こそ読みたい！！

人気作品『凪のお暇』の作者・コナリミサト先生の代表作。テレビドラマ化もしましたね。キッチンカーで珈琲の移動販売をしている主人公・青山と、彼がいく先々で出会うお客さんたちとの交流を描く作品。お客さんたちは皆、「何の変哲もない人生が嫌になった」「何者かになれると思っていたのに、自分は誰からも認められない」そんな誰の心のうちにもありそうな、ドロドロに煮詰めた感情を秘めていて、読んでいて『うわ‥‥‥わかる』とつい何度も共感してしまいます。そして青山もまた、ドロドロの過去と感情があり‥‥‥。シリアスとハートフルの塩梅がうますぎる！ この作品のおもしろいところは、ちょっと試してみたくなるコーヒーのアレンジレシピがストーリーやおまけページに出てくるところ。単行本は3巻で普通に読めばすぐ終わってしまうので、読んではアレンジを試して、飲んであたたまったらまた読んで‥‥‥そうやってゆっくりじっくりと年末年始を過ごしてみるのはいかがでしょう。

闇バイト関連事件が相次ぐ昨今、漫画もルポルタージュも小説も、その手のアウトローにまつわるアイテムを読みまくっています。本作品の主人公はアウトロー街道とは無縁で育ってきた新卒社員。入った会社では社員全員が刺青を入れていて、何をして儲けているのかわからない。周囲からは「そんな仕事辞めなよ」と言われつつも徐々に「半グレ」の世界に魅了されていく男性とその周りを描いていくストーリーです。「なんとなく、悪に憧れて魅了されてしまう」「人の心の弱さや周辺環境がもたらす大きな影響」が妙にリアルに感じられ、我が子がこうなってしまう可能性だってなくもないんだよな、と肝を冷やされます。流されるって楽だし成功体験が目の前にあれば、それがたとえアウトローの世界でもついつい気をやってしまうものです。読むたびに「気をつけなければ」と自身の毎日を正す原動力としています。原作者である草下シンヤさんの本は僕自身が高校生のころから読んでいて、出版業に足を踏み入れるきっかけとなった一人です。草下さんの編集仕事論をまとめた『ヒットを生む技術」（https://amzn.asia/d/3zXra3d）もかなりおすすめ。

仕事をサボったりズルしようとしたり、とにかくダメな社員・宮本が主人公。実に性格が悪い。救うところなし。共感できない。基本的にはそんな印象の人物なのですが、周囲をとりまく人々の優しさ（パワハラ社員なんかも出てくるんですけど）や、なんだかお咎めなしの社風にクスっと笑ってしまいます。そしてこの宮本をマジマジと注視し続けると「俺のほうがまだマシかも」と肩の力が抜けていくんです。なぜでしょう。自身の心の中にある宮本的衝動を、サレンダー先生が作中で見事に体現してくれるからかもしれません。

「地面師たち」が注目を集めている不動産業界の裏側を描いた作品。不動産屋さんにお世話になる機会は限られているが、馴染みの薄い不動産業界の方々の裏事情を知ることができる

アニメや実写映画化などがされている人気の宇宙漫画です。宇宙飛行士を兄弟二人で目指す漫画で、自分も目標に向かってしっかり頑張ろうと奮い立たせてくれる作品ですので、新年こそは何かに挑戦したいと思っている方にもおすすめです。（やる気を出そうという気にしてくれるという意味では、映画「プラダを着た悪魔」に似ているかも！）また、JAXAやNASAなど実在する組織の施設や訓練なども登場して、リアリティが感じられるのも好きなポイントです。未完結ですが、最新刊の結末が衝撃的過ぎて、次巻が待ちきれません！！

「音が聴こえてくる漫画」と評判の作品ですが、まさにその通り。私は映画版を先に観たのですが、カフェで観ているのに涙が止まりませんでした。漫画版は映画版よりもより濃密な内容になっています。JAZZ自体や、バンドメンバーとひたむきに向き合う姿に胸が熱くなりました

ホビー版だがしかしと呼ばれてネットでバズったことがキッカケで読み始めた漫画です。ベイブレードやデュエル・マスターズカードなど少年時代に流行ったホビー・おもちゃをダウナーなお姉さんと遊ぶコメディ漫画。刺さる世代には刺さるおもちゃが出てくるので、当時の懐かしさを思い出させてくれます。10月に連載が始まったばかりなので、一気読みもラクラク！