最新扇風機10機種の さまざまな機能を徹底テスト
従来の扇風機に比べて電気代が10分の1以下になるDCモーター扇風機ですが、なかなかスッとは手が出せない金額です。しかし、年々需要は高まるばかり。本当に金額に見合った価値があるかは、デザインや消費電力はもちろん、風の質や静音性、その他の付加機能でジャッジされることになります。
そこで、各社最新の扇風機10機種を一斉テスト! 「風の直進性」「多機能性」「夜間の使い勝手」などを徹底的に検証しました。評価の基準は以下のとおりです。
S……DCモーター扇風機として満たすべき基準「風の直進性」「風の心地よさ」「多機能性」すべてを兼ね備えたベストバイ。
A……風の直進性や就寝時の利用でも快適。好みやデザインで選んでOKの、十分買う価値がある製品たち。
B……上記評価製品よりは劣るが、一芸に秀でた製品。デザインやその特技が気に入れば購入を検討してもいい。
C……DC扇風機の特徴としてはやや弱く、コスパを重視して購入する場合は選択肢としても良い。
検証した結果、格付けはこのようになりました。
「自然の風」で部屋中が快適になる 2万円でも買うべき逸品です
中堅メーカー、ドウシシャが輩出する「カモメファン」が圧倒的な高評価! 扇風機に重要な「自然風に近い風」と部屋の空気を攪拌する「サーキュレーション機能」の2つの要素を両立した数少ないモデルの中でも、デザインやコスパ、豊富な付加機能をバランスよく備えています。
数年前から羽根の形状にこだわり続け、船舶に用いられる技術を応用した柔らかい羽根は直進性と肌当たりの良さを両立。初期モデルから継承されている風量の無段階調節や、土台をスリム化することで設置性を高めているなど、細かなこだわりも満載です。
大手メーカーにない攻めのデザインと、長年の研究で培ったこだわりの技術が結実した、まさに現代扇風機のスタンダードといえます。
ドウシシャ
kamomefan
Fシリーズ FKLS-251D
実勢価格:1万8044円
サイズ・質量:W290×D265×H750~900mm・2.1kg
首ふり角度:自動 約30、60、90°(左右)
手動:約左右・6段(1段10°、合計60°)、上下・上向き90°、下向き10°
消費電力:最大15W
タイマー:1、2、4時間(入・切)
コード長:約2.5m
左右自動首ふりで角度調節も30°、60°、90°にて調節可能です。
船舶用プロペラを模した柔らかい7枚羽根。
使いやすい位置に配置された操作部で見やすい風量のインジケーター。
【直進性】10機種中最も安定の流れ
10機種中最も遠くまで風を送り届けることができました。一年を通して、冷暖房の室内の空気の循環にも活用することができます。
サーキュレーター代わりになる圧巻の気流!
上向き90°、下向き10°までの角度調節が可能です。
【静音性】10機種中トップクラス!
10機種の最大騒音と最小騒音を測定したところ、静けさはトップクラスでした。赤字が最小値。最大騒音は厳密にいうと三菱ですが、-1.8dBの違いはそう大差ありません。
最大、最小モード両方の騒音実測値が低かった本機。羽根への飽くなきこだわりがこれを可能にしました。
【デザイン】他社と一線を画す洗練性
所有欲をそそるガジェット然としたデザインはもちろん、ボタンを支柱部分に配置し土台をスリムにしたり、取っ手のように持ち運べる背面など機能美としても高評価です。
無駄を省いた脚部デザインでしっかり支えます。
カモメファンを買うべき理由はまだまだあります。収納時の工夫や夜間の使い勝手、部屋に置きやすい絶妙サイズなど、2000円の格安扇風機では味わえない快適さがすべて詰まっています。
背面は取っ手代わりに使えるデザインになっていて、持ち運びもラクチン!
面倒な組み立てをしなくても箱から出したら即使えるのもうれしいです。
夜間の風量調節は無段階で好みの風量にダイヤルを調節できます。
大きすぎず小さすぎない部屋に置きやすい絶妙なサイズ感。
脚部が折り畳めるFKLS-201D/SLKF-201Dはサブ扇風機として使えます。
風の心地よさと直進性を両立した バルミューダもさすがの高レベル
バルミューダはいわずと知れた高級扇風機の先駆け。カモメファン同様直進性に優れた気流なのに優しい風当たりです。ボタン表示などは直感的でややわかりにくさもありますが、デザインを含めやはりハイレベル!
バルミューダ
The GreenFan
実勢価格:3万6264円
サイズ・質量:W330×D320×H871mm・約4.1kg
首振り:自動首振り 最大75°(左右)
手動角度調節:75°(左右)・19°(上)・11°(下)
消費電力:1.5W~20W
風量は4段階で調節可能です。
特徴的な二重構造の9枚羽根。
ボタンが背面にあるので屈む必要がありません。
直進性に優れた気流で、それでいて優しい風当たり。比較的弱い風でもしっかり遠くまで飛ばすことができるのがバルミューダ最大の特徴です。
また、インテリアとしても違和感のないデザインや夜間の使い勝手の良さも、さすがの一言!
家電感を無くした新色グレーもおしゃれ。どんなテイストの部屋にもしっくりきます。
減光モードを完備。暗くても光るからボタン位置がわかりやすく、寝室にも最適です。
便利機能を網羅した 日立のHEF-DC5000
大手メーカーらしい全部入り扇風機。ワンタッチ風量キーや温度センサー、リズム運転や減灯ボタンなど、これぞDCモーター機というべき多機能性です。機能全部入りのスタンダードさが魅力で、夜間はうちわ風とロングタイマーが使える使い勝手の良さと組み立て不要ですぐに使えるのも気が利いています。
日立
HEF-DC5000
実勢価格:2万4100円
サイズ・質量:約W371×D360×H810~1100mm・約5.2kg
首振り:45、70、90°(左右)上90~下10°、上40~下10°
消費電力:21W
8段階から好みの風量が選べます。
8枚羽根にすることで風を送り出す間隔を短くし、切れ目の少ないやさしい風を実現。
指でふれるだけでダイレクトに好みの風量を選択できます。
上方向にも90°傾けることができるので、サーキュレーター機能も万全です。
ゆらゆらとした風がしっかり遠くまで行き渡ります。
箱から出してすぐ使えます。面倒な組み立てや事故につながる組み立て不良などの心配もありません。
夜間も使いやすい超微風のうちわ風モードに10時間の超ロングタイマー機能が備わっています。
静音性は全製品でダントツ! 三菱電機のSeasons R30J-DU
昨年DC扇風機市場に参入した三菱電機。やや大柄な筐体に必要十分な機能が備わっている点は最後発メーカーのメリットともいえます。羽根の構造にこだわり、揺らぎ風と低騒音も実現しました。
三菱電機
Seasons R30J-DU
実勢価格:2万8080円
サイズ・質量:W370×D370×H580~1020mm・5.8kg
首振り:50、90、180°(左右)上90~下10°、上40~下10°
消費電力:15W
3D首振りを実現!
とことんやさしいサイレント風をつくる7枚羽根。
モードがわかりやすい大きめボタン。
強モードでも超静か実測値78.5は強モードでもトップクラスの静かさ。ここでも細かな羽根の制御の効果が出ています。
最大騒音値はベストバイの「カモメファン」を抑えて堂々の1位! 風の直進性もよく、ファンガードを羽根と逆方向に湾曲させることで、拡散せずまっすぐ風を送ることができる仕組みになっています。メーカーのウリ通りの検証結果でした。
揺らぎつつもしっかり遠くまで運びます。
上下左右の3D自動首振り機能や首振りの角度が50°から180°まで選べる可動域の豊富さも見逃せません。
「バウンド風」のアイデア力はNO.1 sirocaのSCS-402
サーキュレーター扇風機として売り出していますが、首を上向きにして逆から風を吹き出す「バウンド風」という飛び道具も併せ持っています。気流はパワーでゴリ押しする傾向でしたが、おやすみモードは自動で風量が下がって非常に静かでした。平凡なデザインながら、買いやすい価格は高評価です。
siroca
SCS-402
実勢価格:9500円
サイズ・質量:約W288×D280×H569~679mm・約2.5kg
首振り:約60°(左右)
消費電力:24W
ON/OFFタイマー:1、2、4、6時間
コード長:1.5m
そよ風から強風まで、選べる風量は8段階。
羽根逆転回転機能付きの4枚羽。
軽い力で操作ができるタッチパネル式。
前面から出る風はパワー重視で、風量で空気のサーキュレーションをアシスト。風量を上げるとそこそこ大きな音がするのが難点……。
風を吸い込んで吐き出す逆回転モードで「間接微風」を実現。扇風機らしくない自然な風が生まれます。
ユニークな機能が盛り沢山 独自路線をいくシャープ PJ-G3DG
同社のイオン技術であるプラズマクラスターで消臭効果などを謳う扇風機。蝶の羽を応用したネイチャーウィングが優しい風を放出します。高温見張りセンサーや33段階の風量切り替えなどの機能がてんこ盛りです。
シャープ
PJ-G3DG
実勢価格:2万3800円
サイズ・質量:W370×D370×H820~1110mm・5.8kg
首振り:50、70、90°(左右)、上90~下10°、上50~下21°
消費電力:15W
タイマー:1、2、4、6時間(切)、1、2、4、6時間(入)
コード長:1.8m
風量切り替えは、なんと33段階まで対応
2種類の蝶の羽を応用したハイブリッド・ネイチャーウイングで、21枚羽根相当のなめらかな風。
一気に涼みたいシーンに役立つパワフルモード付き。
ガードの目が細かく、切るように風を放出。フィルターを経由しているのか、ドライアイスの煙が浄化されるように拡散していきました。
部屋干しに便利な消臭機能。エアコンのドライ機能などと組み合わせれば消臭効果も期待できます。
温度センサーやおやすみモードも完備。部屋が高温・高湿の環境になると、みはりセンサーが光と音で知らせます。
見た目重視でコスパが悪い ツインバード コアンダエアEF-E981
スリムな支柱とマットなカラーリングがスタイリッシュな扇風機。風は揺らぎ重視で、目立った付加機能は特にありません。機能を考えるとややコスパが悪いので、デザイン料と思うしかなさそう……。
ツインバード
コアンダエア EF-E981
実勢価格:2万679円
サイズ・質量:約W350×D280×H900mm・約4.5kg
首振り:約80°(左右約40°)
消費電力:最小1.5W、最大18W
低速回転のDCモーターで自然のままのやさしい風を生み出します。
流体の特性を応用した独自形状の9枚羽根。
背面ボタンで風量調節は標準的な7段階。
吹き始めの気流は安定しているものの、だんだん拡散されていく傾向に……。
リモコンは細い支柱にマグネットで取り付けることができ、立ったまま操作できます。
おやすみモードなどの機能はありませんが、弱運転の騒音は比較的静か。
C評価: 音がやや大きいがコスパは悪くない
価格も性能もそれなりです
7枚羽根、3段階風量調節など、価格に対して基本性能はDCらしいスペックです。気流は意外とまっすぐでしっかりしていました。中~強モードで運転すれば、それなりに空気を撹拌することができます。快眠モードなどの機能も搭載されていて、平凡なデザインを除けばコスパは満足できるかも。
アイリスオーヤマ
LFD-304L
実勢価格:7680円
サイズ・質量:約W355×D365×H680~860mm・約2.9kg
首振り:角度の記載なし
消費電力:16W
タイマー:1、2、4時間(切)2、4、6時間(入)
微風、連続、リズムの3段階の風量調節。
7枚羽根でムラをおさえたソフトな風を送ります。
安価ながらしっかりとした気流ですが、実は音が大きかったりもします。
この価格でも「快眠モード」付き。弱運転の騒音は低く、快眠モードはそこそこ快適。
C評価: シンプル機能で価格重視の
割り切りモデル
格安扇風機の定番、山善のDCモーター機。風はまっすぐ進むのでサーキュレーター向きでしたが、メーカーのウリ通り直進性に特化していて、風がしっかりとまっすぐに進みました。最大のメリットは価格かも。
山善
YLX-ED302
実勢価格:7800円
サイズ・質量:W355×D350×H660~850mm・約3.1kg
首振り:角度の記載なし
消費電力:26W
タイマー:1、2、4時間(切)2、4、6時間(入)、8時間(自動OFFタイマー)
風量調節は4段階。
7枚の青い羽根は山善独自のツインブレード。
メーカーのウリ通り直進性に特化。弱運転でもやや肌当たりが強いのが残念です。
リズム風は搭載されていますが、その他の機能はシンプル。弱運転の騒音も高めで、ACモーター機との中間の機能といえます。
[参考比較]ACモーターの格安モデルは あくまで風が吹けばいいという人向き
ホームセンターなどで購入できる格安扇風機の定番といえば山善。最新のものは5枚羽根におなじみの機能を搭載しています。気流は人へ当てるための風では拡散される傾向に。直進性などへの工夫は見らませんでした。タイマーも一般的なAC仕様のゼンマイ式でした。価格重視で買うものであり、風が吹けばいいという人には十分。
山善
YLT-AK303
実勢価格:3400円
サイズ・質量:W370×D340×H680~870mm・3kg
首振り:角度の記載なし
消費電力:45W、48W(50/60Hz)
タイマー:3時間(切・ゼンマイ式)
山善
YLT-AK303
実勢価格:2990円
サイズ・質量:W370×D340×H680~870mm・3kg
首振り:角度の記載なし
消費電力:45W、48W(50/60Hz)
タイマー:3時間(切・ゼンマイ式)
シンプルな5枚羽根。
気流に安定性がなく、まばらに拡散します。また、弱運転でも騒音は大きめです。
弱中強のみのゼンマイ式タイマー。ACモーター扇風機は未だこのスペックが定番です。
ハイスペックモデルから懐かしの定番まで、いろいろなタイプがあった2017年の最新扇風機。「安物で十分」と考えている人も、これを機に買い替えてみてはいかがでしょうか?