じつはだいぶ進んでます! 扇風機とサーキュレーター
さまざまな機能、性能をもつ扇風機。もう、ただ風を送るだけのものではありません。また、機能性だけでなく、洗練されたデザインなども評価され、上位モデルはエアコンに劣らぬ人気を集めています。
さらに最近では、室内の空気を循環させるためのサーキュレーターも人気。
ということで今回は、寝苦しい寝室を快適にする扇風機と、エアコンの風を効率的に広げるサーキュレーターそれぞれのランキングを発表します。
その前にまずは、それぞれの特徴と用途の違いを見ていきましょう。
エアコンの冷風が苦手なら 扇風機がちょうどいいです
「エアコンの冷風じゃ寒すぎる…」「エアコンつけたまま寝たら風邪を引いた…」そんな人にオススメが扇風機です。
キーンと冷たいエアコンの冷風と違い、風が冷たすぎない扇風機は、風邪などを引く心配が少ないのが魅力。首振り機能やタイマーも駆使すれば風邪の予防性はさらに高まります。さらに稼働音の静かな機種を選べば、就寝中もストレスなく使用できます。
また、エアコンよりも電気消費量が少ないことも省エネの面で魅力的ですね。
エアコンの機能を補完するなら サーキュレーターが便利です
風に直接当たって涼む扇風機と違い、室内の空気循環に秀でているのがサーキュレーターです。
風量が多く、風を遠くまで飛ばせる特徴をもつサーキュレーターは、風に直接当たって涼むには不向きですが、エアコンの風を屋内に行き渡らせることには向いています。このように、エアコンとの併用で、効率的に屋内を涼しくでき、結果的に省エネにつながります。
ちなみに最近では、扇風機にサーキュレーター機能がついているものも多数発売されていますよ。
サーキュレーターは「シンプル」 扇風機は「多機能」にトレンド
[扇風機の流行]
多機能化でお値段高騰中
小さい子供がいても安心の羽なしタイプ、上下左右に対応する首振り機能、風量を細かく設定できるDCモーター搭載など、機能が優れた製品が扇風機のトレンド。でも、お値段は2万円以上とちょっとお高めなので、自分の生活にしっかりとあった商品を見定めて購入しましょう。
[サーキュレーターの流行]
シンプル構造で十分な風量
扇風機と違い、低価格でパワフルな製品が多く発売されているようです。あくまでのエアコンの補完に使うイメージなので、やたらと価格の高すぎない機能性と価格のバランスの良い製品を選びましょう。もちろん今回のランキングではそんな条件を満たした製品が集まっていますよ。
続いては、そんな機能性&利便性に優れた商品を厳しくジャッジすべく、設定したテスト項目をご紹介します。
快適な寛ぎ&就寝空間が 作れるかテストしました
快適な寛ぎ空間、就寝空間を作れるか実証するべく、テスト項目を6つに分けて検証しました。
[項目①]直進性
風が乱れずに遠くまで届くこと、また直進的に風が進むことが扇風機とサーキュレーターの機能にとって重要。ドライアイスを背後から噴出してその風の動きを検証しました。
[項目②]静音性
風量関係なく、風の音がうるさいのは生活する上で邪魔ですよね。今回のテストでは風量が一番低いモードで騒音量をチェックしました。
[項目③]デザイン性
生活の一部となるので、機能はもちろん、見た目の良さも重要です。高級扇風機なら、なおさらデザインにもこだわりたいところですね。
[項目④]サイズ
狭めの部屋で使う場合、サイズが大きいとマイナス要素になる可能性も。サイズはパワーのバランスもチェックしました。
[項目⑤]快適性
肌に当たる風は柔らかいか、刺激は強すぎないかといった観点から「快適な風」かどうかチェックを行いました。一見違いがなさそうにも感じますが、機種によって風の「肌心地」には微妙な差があることがわかったんです。
[項目⑥]中途覚醒
「中途覚醒」とは、睡眠中に何度か目が覚めてしまう状態のこと。扇風機から出る音や風の当たり具合によっては中途覚醒状態になってしまうこともあります。なので実際に風に当たってみて、それが不快であるかどうかのチェックを行いました。
ナイトケアアドバイザーが 協力してくださいました!
今回にテストしてくれたのは、こちらのプロです。
ナイトケアアドバイザー
小林麻利子氏
最新研究をもとに睡眠などの生活習慣指導を行っており、予約が1年半先まで埋まっている人気講師です。著書に『あきらめていた「体質」が極上の体に変わる』(ダイヤモンド社)などがあります。
それでは、ランキングに進みたいと思います。
まずは、扇風機のランキングから紹介しますね。
寛ぎと眠りを誘う 扇風機ランキング
圧倒的に心地よく、快眠を促す扇風機を探すべく、プロが徹底評価。サーキュレーターの代わりになるスグレモノも見つかりました。
扇風機ランキング1位は 三菱のSEASONS R30J-DV-K
堂々の1位に輝いたのは、三菱の「SEASONS R30J-DV-K」。
識者の小林氏も「しっかりした風なのに、肌当たりがよく心地のいい風」と絶賛した名機です。
三菱
SEASONS R30J-DV-K
実勢価格:2万5480円
サイズ:W37×D37×H58~102cm
羽根サイズ:30cm
重量:5.8kg
風量切替:5段階
首振り角度:左右180度・90度・50度
手動角度調節:上0度~90度・下0度~10度
中途覚醒知らずの本機。風量1のときの騒音量は12dbと、テストをした扇風機の中でもっとも静かでした。また、羽根の先端が湾曲しているのもポイントです。
先端がなめらかに湾曲した7枚の羽根のおかげで、音を出す要因となる気流の渦の変動を抑えることができているのです。そのため風量をマックスにした場合でも、騒音量は30dbととても静かでした。
さらに本機は首振り機能も充実しています。
左右首振りは最大180°、上下首振りが最大100°と本体の背後以外、ほぼ全方位に向かって風を届けることができます。サーキュレーターのようにエアコンの気流を循環させるという点でも、確かな実力を発揮した扇風機でした。洗濯物の部屋干しにも一役買う逸品ですね。
さらに、同製品は持ち運びにも長けているんです。
「持ち運びのラクさ」は意外とないがしろにされがちな部分ですが、ここもしっかりフォロー。本体重量は約5.8kgありますが、持ち手がついているので持ち運びもラクなんです。寝室やリビング、さまざまな場所に持ち運びできますね。
また風の直進性はというと…、
少し乱れはあるものの、パワーは十分でした。横首振りが180°、縦首振りは100°もあることから、部屋全体の気流をぐるぐると撹拌することが可能です。
角度を幅広く調整できる 2位はKamomefan Fシリーズ
2位にランクインしたのは、ドウシシャの「Kamomefan Fシリーズ」。
柔らかくべたつかない風は、肌心地がいいと小林氏もコメントしました。
ドウシシャ
Kamomefan Fシリーズ
実勢価格:2万2500円
サイズ:W30×D26~57×H63~69cm
羽根サイズ:23cm
重量:4.4kg
風量切替:無段階
自動首振り角度:左右30度・60度・90度
手動角度調節:上向き90度、下向き90度※真正面起点
本機一番の特徴は、なんと言っても「フレキシブルアーム」。これによって風の向く角度を幅広く調節できます。
アームの角度調節が自由自在です。小林氏も「他社メーカーとは違った特殊な向きにも対応しているので、エアコンの気流を部屋中に撹拌させられます」とコメント。サーキュレーターの役割もしっかり果たしてくれそうですね。
また、サイズは小ぶりですが風もしっかりしています。
風量を上げると、小さいファンに似合わずしっかりとした風を送ってくれました。それでも不快感はありませんでしたよ。
ちなみに、羽根は船舶にも用いられている技術を応用しています。
特殊形状の羽根が「風の肌触り」を柔らかくしてくれます。睡眠中の不快感は軽減され「うとうと寝」をするのに良いパートナーとなるでしょう。
2重の羽根がポイント 3位はThe GreenFan
3位は高級扇風機のパイオニアとも言えるバルミューダの「The GreenFan」。
バルミューダ
The GreenFan
実勢価格:3万6499円
サイズ:W33×D32×H49.7~87.7cm
重量:4.1kg
風量切替:4段階
自動首振り角度:左右それぞれ最大75°度
手動角度調節:左右それぞれ75度・上19度・下11度
自然の風を再現すべく開発された2重構造の羽根。これがふんわりと丸い風を作り、睡眠時使用に優れていると小林氏が評価しました。回転速度が違う羽根を並べることで、柔らかい風を生むことに成功しています。
また、本機は風の直進性にも優れていました。
風量は「超微風」から「強風」までの4段階設定。強風でテストをすると、今回では最長距離を記録。そのうえ直進性も高く、扇風機としてのポテンシャルが非常に高いことを物語る結果に。しかし気流の撹拌という点ではファンが天井に向かない部分が気になりました。エアコンと併用するサーキュレーターとしての兼用するには少し頼りなさそうですね。
4位: 安全の羽根なし扇風機
4位はDyson Pure Cool
4位にランクインしたのはダイソンの「Dyson Pure Cool」。
ダイソンでは本機を扇風機とは呼んでおらず、「室内環境を清潔にする」ということに重きを置いているようです。他の製品とは違う形状ということもあり、純粋なテストに加えるのは難しいですが、快適性と睡眠中の使用に限った使い方を見ると、有能な製品であることがわかります。
ダイソン
Dyson Pure Cool
実勢価格:6万4900円
サイズ:W105.4×D22.3×22.3cm
重量:5.06kg
風量切替:10段階
首振り角度:45度・90度・180度・350度
まず、優れているのは静音性。風をほとんど風と感じない「不感気流」に近ければ近いほど、深い眠りが得られやすいと小林氏は言います。
本機は、そよ風のような微風の最小モードで12dbと、他のメーカーと比べても圧倒的に低い音量を記録。睡眠中の使用に適しているといえるでしょう。
また、羽根なしの利点は掃除のしやすさにも。
寝室に置くからこそ、掃除のしやすさは重要。布団からまうホコリが扇風機の羽根について、掃除を面倒にすることもあるからです。羽根なしの本機は、掃除がラクなところも魅力ですね。
5位: 選択肢の一つとしてはアリ
5位はアイリスのLFD-305L
アイリスオーヤマの「LFD-305L」が5位にランクイン。
価格帯が一気に下がるので、出費をおさえたい人は要チェックです。
アイリスオーヤマ
LFD-305L
実勢価格:5380円
サイズ:W35.5×D36.5×H68~86cm
羽根サイズ:30cm
重量:2.9kg
風量調節:3段階
首振り調節:左右75度
手動角度調節:上下0度~20度
風はまばらに散りますが、直進性としては上々。「微風モードは一晩中付けておくには少し気流が強いですが、風が優しく、まずまずの肌心地」と小林氏は評価しました。
気になったのは運転時の騒音量。今回テストした製品と比べると、明らかに音が聞こえてきました。
テスト結果は今回検証した中で最大の21db。寝室で使うには厳しいようにも感じますが、小林氏によると「40dbなどといったレベルだと問題がありますが、なんとか耐えられるレベル。買って満足しないこともない」とのことでした。並外れた部分はありませんが、低価格なので選択肢の一つとして考えるのはアリですね。
6位: 風の乱れが気になりました
6位は山善のYMT-N302
6位は山善の「YMT-N302」。
ゼンマイ式のタイマーなど、慣れ親しんだ機能が搭載されているシンプルな製品です。
山善
YMT-N302
実勢価格:2894円
サイズ:W36×D35×H67~86cm
羽根サイズ:30cm
重量:2.8kg
風量切替:3段階
首振り:左右70度
操作方法:押しボタン式
シンプルな機能が使いやすい本機。
3段階の風量切替とゼンマイ式のタイマーが、シンプルゆえに高齢者でも使いやすく高評価を得ました。
風の乱れが顕著であり、気流が拡散されています。寝室でというよりは、お風呂上がりに体を冷ますといった使用方法のほうが適していました。
以上、扇風機のランキングでした。続いてサーキュレーターのランキングを発表します。
エアコン併用の強い味方 サーキュレーターランキング
エアコンと併用することで、部屋中を快適に冷やすだけでなく、省エネにもつながるサーキュレーターのランキングを大公開!
バランスの良い1台に 1位アイリスのPCF-HD15N
撹拌力・パワー・総合力で1位に輝いたのはアイリスオーヤマの「PCF-HD15N」でした。本機は静音モードと強モード、どちらも部屋の空気を柔らかくかき混ぜてくれました。
アイリスオーヤマ
PCF-HD15N
実勢価格:2430円
サイズ:W24.1×D16.7×H29.2cm
重量:1.4kg
風量切替:3段階
角度調整:6段階(縦方向約20度~90度)
静音モードで風の届く距離をテスト。3メートル以上先まで風が届きました。静音モードなので音も静か。
さらに風の直進性においても気流は真っ直ぐに進んでいきました。どちらのテストでも本機が一番という結果に。
次は操作性も見ていきましょう。
調節できるモードは3段階。ダイヤルを回すことで静音→中→強→切→静音というように風量の切替ができます。つねに一定の方向にダイヤルを回せばいいというのは、案外ラクなものです。
限りなくベストバイに近い 2位はボルネードの360-JP
2位にランクインしたのはボルネードの「360-JP」。
ボルネード
360-JP
実勢価格:8350円
サイズ:W22.6×D24.6×H28.6cm
重量:2kg
風量切替:3段階
角度調節:上下0度~90度
パワーでは1位のアイリスよりも本機のほうが優秀でした。
遠くのテープまでしっかり揺れていて、アイリスよりもパワーがあるのがわかります。仮に10畳ほどの部屋で使うとしたら、アイリスは強モードでないと対応できないのに対して、ボルネードは弱モードで十分気流が撹拌されます。その場合、静音性はボルネードのほうが優秀。そういった点で、ベストバイに近い2位となりました。
一方で、風は真っ直ぐに飛んでいるとは言えない結果に。パワーはあるので、弱モードにして直接体に当て扇風機のように使うことも可能ではあります。
本機のデザインも目を引きます。真上を向けたときのフォルムも素晴らしいもの。特に男性であれば部屋に置いておきたいと思う1台です。
部屋干しにも重宝できる 3位はサーキュレーター3D
3位は8の字首振りを行うツインバードの「サーキュレーター3D」。
ツインバード
サーキュレーター3D
実勢価格:5529円
サイズ:W22×D29×H33cm
重量:2.7kg
風量切替:3段階
風向き調節:55度・72.5度・90度
見た目からもパワフルな風を送り出すことがわかります。しかし、弱モードだと上位2機種より距離は伸びませんでした。
こちらの画像は強モード時。計測地点を越える距離まで風が届きました。寝室で使うというよりは、昼間に部屋の気流を一気に撹拌したいときに使いたい製品です。
これからに期待します 香り導くサーキュレーター
2018年5月に発売されたATOUNの「FUMA 香り導くサーキュレーター」。
ATOUN
FUMA 香り導くサーキュレーター
実勢価格:7万3800円
サイズ:W22×D22×H30cm
重量:4.5kg
風量切替:6段階
首振り:30度・60度・90度・120度・150度
番外編として、香りを楽しむためのサーキュレーター。今回のランキングとはリンクしませんが、リラックスできるという点で評価しました。
見た目は重厚ですが、音は非常に静か。静音モードで音量計測をした結果、64.2dbと今回検証したサーキュレーター4製品のうち、もっとも静かでした。
球体の下に台座が付いています。そのアロマストーンから立ち上る香りが、球体を通して部屋全体に広がっていく感覚です。現代の香炉がコンセプトの一品となっています。
以上、プロと編集部が厳選した扇風機とサーキュレーターのランキングでした。
まだまだ続きそうしい寝苦しい夜には欠かせないアイテム。
今お使いの製品に満足していないなら、ぜひ検討してみてください。