高いスロージューサーは本当に買う価値はあるの?
家で生搾りジュースをつくる場合、ジューサーとミキサー2つの選択肢があります。ジューサーは果実の繊維を除きジュースを抽出するもの、一方で繊維も液体にしスムージーにするのがミキサーです。同じジュースといえども、それぞれ仕上がりは異なります。
今回注目するのは、ここ数年話題のスロー(低速)ジューサー。各メーカーからいろいろな製品が発売されていますが「普通のミキサー」の約2倍、いずれも2万円超えは当たり前で、スロージューサー=高額品といったイメージになっています。
ここで気になるのが「本当にその価値はあるのか?」ということ。そこで編集部では約1ヵ月かけてあらゆる角度からジューサーを検証し「普通のミキサー」との違いや各製品の特徴を調べてみました。検証で分かったおすすめのベストバイも発表しますので、ぜひチェックしてみてください!
【基礎知識】スロージューサーを買う前に知っておきたいポイント
まずは「スロージューサー」と「ミキサー」の違い、特徴をチェックしていきましょう。
基礎知識1:ジュースの仕上がりの違い
・ミキサー:ジュースというよりスムージーのような仕上がり
繊維が入るので、水や氷と一緒にミキサーにかけてもドロッとした舌触りになります。世にいう「スムージー」がつくれます。
[特徴]
○繊維を一緒にジュース化
○ジュースはトロトロ・ドロドロの仕上がり
○数千円で買える(約2000円~)
・スロージューサー:繊維が分かれてなめらか、サラサラジュースができあがる
低速回転で食材を圧縮しながらすり潰すので、粒や繊維は残らずなめらかでサラサラとした仕上がりになります。100%だけあって濃厚さは感じるものの、のどごしもよく飲みやすいジュースになります。
[特徴]
○繊維を分けて抽出する
○ジュースの仕上がりがサラサラ
○2万円超えと高額(約1万3000円~)
ちなみに“スロー”ではない“高速”ジューサーというものもあります。
・高速スロージューサー:ジュースの仕上がりはサラサラだけど、やや繊維は残る
低速でジュースを作る“スロー”ジューサーに対して“高速”なジューサーも存在しており数千円という安さが魅力。高速ジューサーも繊維と液体を分ける作業はありますが、泡だったり繊維質がジュースに混ざったりと、スロージューサーとは仕上がりは異なります。
[特徴]
○繊維を分けて抽出する
○ジュースの仕上がりはサラサラ
○数千円で買える(約3000円~)
基礎知識2:スローでもスローじゃなくてもビタミンCの量は同じ!
そもそもスロージューサーが低速である理由は「ビタミンCを壊さないため」。高速ジューサーやミキサーのカッターでは摩擦熱が生じ、ビタミンCが壊れるため低速ジューサーの方がビタミンCが残りやすいといわれています。
実際に各メーカーの窓口に確かめたところ「酸化しにくい」「食材に熱を加えない」「空気に触れにくい」など異口同音にスロージューサーがいかにビタミンCを残せるかをアピールしていました。
そこで本当にビタミンCの量に差が生まれるのか? スロージューサー5製品と高速ジューサー、それにミキサー2製品を加えて計8つのマシンでつくったジュース、そしてオレンジ自体のビタミンCの数値を検査機関で測定してみました。
オレンジ自体の個体差を無くすため、9個のオレンジをそれぞれ9等分し、9個ずつジューサーにかけてみました。
[ビタミンCの量をチェック]
今回は食品、栄養素の検査機関でそれぞれのマシンでつくったジュース、そしてオレンジ自体のビタミンCの量を量りました。ジュースは同条件でつくり、即冷凍。検査機関で数値を測定し、100g中に含有するビタミンCの量に換算しました。
食品検査機関でテスト
○同条件で搾汁!
○ジュースは即冷凍!
[結果、どれも40mg台で大差なし!]
・オレンジ自体のビタミンCの量=47mg(100g中)
結果判明したのが、ビタミンC含有量はオレンジ自体、8製品ともに40㎎台(100g中)というもの。この数値に検査機関は「42~48㎎という数字の開きは、栄養素的には大差とはいえない」と分析しました。
つまり、高額スロージューサー、格安ミキサー、いずれを使ってもビタミンCに関しては、大差が生まれないという事実が判明! だったら格安マシンでいいのでは? という声も聞こえてきそうですが、それぞれを味わってみるとスロージュースでつくったジュースが一番繊維や雑味がなく予想以上においしいという結果になりました。
【評価 方法】味・抽出・使い勝手の3つのポイントでベストバイを選出!
基礎知識を踏まえた上で、今回は飲みやすさである「味」、同じ量を絞ったときの「抽出量・抽出スピード」、メンテナンスや組み立てのラクさといった「使い勝手」を考慮し、おすすめスロージューサー5製品の中からベストバイを決定しました。
[1:味]
味は搾りたて&半日冷凍保存したジュースで二重に味をチェックしました。
[2:抽出量と抽出スピード]
オレンジをカットし300gからとれるジュースの量と、抽出終了までにかかる時間を測定しました。
○オレンジ300g(オレンジをカットし計量)
○スイッチを入れた状態でスタート
○搾汁が終わったところで時間を計測
[3:使い勝手]
スロージューサーはどの機種もパーツが多いのが特徴です。これは欠点ともいえるポイント。そこで比較的メンテナンスがしやすいもの、組み立てのしやすさ、設置スペースに関わるサイズなどをチェックしました。
死角なしの“ベストバイ”はパナソニック「ビタミンサーバー」
味、抽出、使い勝手すべてにおいて優秀だったのは、パナソニック初の低速ジューサー「ビタミンサーバー」。濃厚で口当たりもよいジュースはフレッシュで実に贅沢な味わいで、抽出も素早く量がとれ効率的です。使い勝手もよいので、毎日使うアイテムとして堂々推薦できます!
パナソニック(Panasonic)
ビタミンサーバー
実勢価格:2万5310円
本体サイズ(約):幅18.5×奥行17.6×高さ43.2cm
重量:4.0kg 消費電力:150W
※後継モデル「MJ-L600」にリンクします。
面倒なジューサーでも、これなら朝食の相棒になります!
詳しくみていきましょう。
[ビタミンCの量]
ビタミンC:42mg(100g中)
[味]
濃厚でも飲みやすい、酸味と甘みが両立、と搾りたてはとにかくバランスのよさが際立ちました。作ってから半日経過したジュースも、のどごしがよくでスッキリ感も高いとプロも絶賛でした。
[抽出量とスピード]
抽出量は2位でしたが、抽出スピードは見事1位。抽出量が多かったこともあり、数字以上に早く仕上がった印象がありました。
抽出量:200ml
抽出スピード:56秒
排出される繊維は固め。他のジューサーよりも固めの繊維が排出された。ということは、その分効率よく搾汁しているということでもあります。
[使い勝手]
「ビタミンサーバー」は、迷いなく組み立てられ使い勝手もかなり優秀。またスマートサイズで設置しやすいのも魅力です。
内部にカスが残りにくいつくりになっています。
フィルター部はブラシの使用が必須ですが、他パーツは水洗いだけでかなりキレイになります。
随所に目印の△マークがあり、組み立ても分かりやすいのがポイントです。
これなら繰り返し使っても苦はないはず! 家電が苦手な人でも気軽に使えますよ。
専用のジュースカップを設置しても20㎝角程度のスペースに納まるので、狭いキッチンでも邪魔になりません。スマートで設置しやすいサイズといえます。
パーツの数は他製品とほぼ変わらず「6個」。とはいえ、個々の組み立てやすさを考えれば納得できます。
その他のおすすめ4製品もご紹介しますので、ぜひ選択肢の一つとしてご覧ください。
人気のヘルシオブランド シャープ「ジュースプレッソ」
シャープ(SHARP)
ヘルシオ
ジュースプレッソ
実勢価格:2万8090円
本体サイズ(約):幅15×奥行17.7×高さ42.5cm
重量:4.7kg 消費電力:100W
[ビタミンCの量]
ビタミンC:42mg(100g中)
[味]
酸味が強めではあるもののおいしいと、好評でした。半日後もスッキリ飲めます。酸味があることで、甘さもうまく引き出しています。
[抽出量とスピード]
抽出スピードはなかなか早く感じましたが、抽出された量は少なめでした。
抽出量:170ml
抽出スピード:70秒
[使い勝手]
パーツが5個と少なく、組み立てやすさはトップクラスの「ジュースプレッソ」。やや重たいですが本体自体はスマートなフォルムで設置しやすいです。
フィルターに付けるワイパーがないので本体以外のパーツは5つだけと他製品より少なくなっています。メンテナンスのラクさはかなりのものです。
ジュースカップを使うと、けっこうなスペースを取ります。また5kg弱とやや重めです。
フィルターとスクリューが一体になるつくりは他のジューサーと違う発想! 回してハメるだけなので組み立ても容易にできます。
ベストバイのパナソニック、そしてこちらのシャープの日本メーカー2機種はメンテナンス性が高く、説明書も一度読めば必要ないレベルの簡単さです。
低速ジューサーのパイオニア! ヒューロム「H2H」
ヒューロム(HUROM)
H2H
実勢価格:3万9740円
本体サイズ(約):幅16.7×奥行24.0×高さ39.8cm
重量:6.2kg 消費電力:150W
[ビタミンCの量]
ビタミンC:43mg(100g中)
[味]
スッキリしてはいるものの、苦みやエグみが気になりました。時間が経つとその傾向は強まり、飲みやすさという点では、評価が分かれるかもしれません。
[抽出量とスピード]
トップクラスの抽出量で、スピードもベストバイの「ビタミンサーバー」と僅かの差でした!
抽出量:195ml
抽出スピード:60秒
低速では格安の1万円台前半 オークセール「スロージューサー」
シロカ(Siroca)
スロージューサー
実勢価格:1万3100円
本体サイズ(約):幅24.0×奥行16.0×高さ43.0cm
重量:3.6kg 消費電力:200W
[ビタミンCの量]
ビタミンC:48mg(100g中)
[味]
ジュース抽出後・半日後のテストでは不評だったのですが、搾りたてはトップクラスの美味しさ! 雑味が少なく、オレンジ本来の味がしっかり感じられました。
[抽出量とスピード]
少しの差でしたが、抽出量では1位を獲得。抽出スピードはけっこう遅めです。
抽出量:205ml
抽出スピード:82秒
「ティファール」は異彩を放つ独特なデザイン
グループセブ ジャパン
ティファール
インフィニープレス
レボリューション
実勢価格:2万4410円
本体サイズ(約):幅22.5×奥行21.0×高さ44.4cm
重量:約4.3kg 消費電力:300W
[ビタミンCの量]
ビタミンC:47mg(100g中)
[味]
まろやかで少し重ための仕上がりになりましたが、まったり系が好きならアリ。半日経過すると苦みが強くなって、本来のおいしさは損なわれた感じです。
[抽出量とスピード]
ジュースの受け皿の角度がないので泡状になったジュースが内部に残りやすいつくり
抽出量:165ml
抽出スピード:90秒
[使い勝手]
ティファールのジューサーはやや手入れが大変です。繊維が内部に残りやすかったり、パーツが多いので毎回のメンテナンスがかなり面倒くさかったりします。
かなり横幅が必要になる構造になっています。付属のジュースカップを使わなくても、ある程度のスペースが欲しいところです。
繊維質のカスもやや内部に残りやすい印象。ここまでだと、ちょっと洗うのが大変ですね。
ジュース受け皿と繊維の排出口が別パーツになっていて、パーツは全7つあります
ベストバイはパナソニックでした!
以上、おすすめスロージューサー5選をご紹介しました!
今回はパナソニック「ビタミンサーバー」がベストバイとなりましたが、その他の製品も味わいは想像以上に美味しく出来上がりました。
搾りたてのサラサラで美味しいジュースは、ビタミンCの量は関係なしに、健康的に感じます。値は張りますが毎朝贅沢なジュースで目覚められることを考えれば買う価値は十分ありますよ!