まずはざっくりおさらい。 そもそも4K対応テレビって何?
4Kテレビの特徴として「フルハイビジョンを超える最高画質!」みたいなことをよく耳にしますが、正直ふわっとしてますよね。でも、量販店などの理論的な違いを説明されても、いまいちピンと来ない人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、何もわからないまま、一世一代…は言いすぎかもですが、それなりに大きい買い物であるテレビを買うのは勇気が入ります。
そこで、ここでは、ひとまず最低限知っておいてほしいこと「1つだけ」に絞った、世界一ざっくりした4K解説をしたいと思います。ざっくりですが、間違いなく一番重要です。
ざっくり知っておきたい「解像度」のコト
4Kテレビをざっくり理解するのは「解像度」というスペックを知る必要があります。というか、すこし乱暴な言い方をすれば「解像度」以外は今までのテレビとそんなには変わりません。
「解像度」とは、テレビ画面の“密度”を数値化したものです。数値が大きいほど、映像が滑らかに見えます。キメが細かいか粗いかという違いです。当然、目が細かい(解像度が高い)方が、人間の目には美しく、リアリティのある映像に感じます。
また、「フルハイビジョン」や「フルHD」というのも、この「解像度」を示す言葉の亜種のようなものです。これまた厳密に言うと色々あるのですが、ざっくりくくると、「フルハイビジョン=フルHD=2K」となります。
4Kは解像度が高いから“キメ”が細かい
※イメージではなく実際の見え方です。
要するに、従来のフルハイビジョン(2K)と比べて、2倍の解像度を持つのが4Kテレビなのです。2倍キメが細かくて滑らかで美しいのです。理論上は。
実際、「美しさ」に関しては発色の良さや明るさなど、様々な要素が入り混じりますが、「解像度が高い」ことが美しい見え方にとって有利であることは間違いありません。
4Kテレビは「発売後半年」が “買い”のボーダーラインです!
ひとまず、「4Kとはなんぞや」をざっくり理解したところで、次は買い時についてお話します。
2013年頃に各メーカーのラインナップが揃った4Kテレビですが、当時は80インチクラスのハイスペックモデルしかなく、当然価格もめちゃくちゃ高かったです(100万円オーバーのことも!)。
しかし今は、ハイスペック機はそのままに、サイズも40インチからとバリエーションが増え、画質の違いやさまざまな機能別にクラス分けされたことで手頃な価格の製品も増えてきました。
また、新製品の発売直後はそれなりに高額でも、発売後半年までに50%近くの値下がりとなる場合が多いです。買い時さえしっかりと見極められれば、手の届かない製品ではもはやありません。
独自調査による4Kテレビの値下げ傾向
上のグラフは過去の4Kテレビ製品の値動きをグラフにしたものです。新製品の発売直後から大きく値下げがはじまり、「発売後半年」で価格はある程度、落ち着きます。
東芝 REGZA 40M500X
発売時価格16万1800円→現在8万7800円
※2016年6月発売
パナソニック VIERA TH-40DX600
発売時価格15万800円→現在8万4880円
※2016年2月発売
シャープ AQUOS LC-40U40
発売時価格17万7700円→現在8万3987円
※2016年6月発売
このように、発売後半年以上がたち、落ち着いたあとの価格であれば10万円を切ってくるので、グッと購入しやすくなります。
いきなり最終結論! 安くて良い「4K」はコレです
<製品情報>
パナソニック
VIERA
TH-40DX600
購入価格:7万4100円
今回、買い時モデル11製品を集めてテストを行いました。その中で、一番コスパに優れたモデルがこの「TH-40DX600」です。色彩感が豊かなのが元々のパナソニックの魅力ですが、本製品は上位機種とは異なるしゃっきりした見やすさが特徴です。
最高級クラスのモデルと比べると全体的に若干浅めの画質ですが、気軽に視聴する4Kテレビとしては十分満足できるレベル。またFireFox OSなどのネット関連機能は上位機と同じで、アプリを利用することで音声入力も使用できます。
高くても良いモノが欲しい ならやっぱりREGZAが強い!
<製品情報>
東芝
REGZA
50Z20X
購入価格:23万0000円
価格そのものはやや高めでも、コスパを考えれば十分にお買い得と考えられるモデル。他にはない便利なタイムシフトマシンに加えて最上位機ならではの高画質、きめ細かな表現力は見事。後継機の発表で、これから価格も下がるので型落ち狙いもアリです。
買い時モデル11製品を 徹底的にテストしました!
ではここからは、実際に今「買い時」の製品11モデルを集めた、テスト結果をご紹介。3つの価格帯の製品を、「画質」「機能」「音質」の4ポイントで比較していきます。比較製品のラインナップは以下の11製品です。
東芝 REGZA 50Z20X
実勢価格:24万4000円
パナソニック VIERA TH-58DX950
実勢価格:38万8203円
ソニー BRAVIA KJ-55X9300D
実勢価格:20万9800円
東芝 REGZA 55Z700X
実勢価格:15万9800円
パナソニック VIERA TH-49DX850
実勢価格:17万1522円
ソニー BRAVIA KJ-43X8300D
実勢価格:11万8907円
ソニー BRAVIA KJ-49X7000D
実勢価格:11万9400円
東芝 REGZA 40M500X
実勢価格:8万6970円
シャープ AQUOS LC-50U40
実勢価格:11万5670円
ハイセンス HJ43K300U
実勢価格:5万6800円
パナソニック VIERA TH-40DX600
実勢価格:7万4100円
肝心かなめの「画質」を比較! 地デジ放送は正直大差なし
まずは一番気になる「画質」から比較していきます。比べたのは「地デジ放送」「4K映像」の2種類。
まずは「地デジ放送」ですが、実は現在の地デジはまだ前述の解像度が4Kに追いついていません。なので、普通の放送をいかに美しく観せられるかに技術力の差が出るはずです。
の「はず」だったのですが、比較したところ、正直そこまで大きな差は出ませんでした。もちろん、確かに格安の製品となると「やや白っぽい」「やや暗い」「やや発色が薄い」などがありましたが、どれも「やや」のレベルは超えていないので、好みで選んでOKといえそうです。
パナソニックのハイスペッククラス。大画面であるにもかかわらず、締まった画面に感じます。さらに、色彩の豊富さを自然に描き分け、人肌などもより健康的に見せます。
通常の放送であるにもかかわらず、奥行きが感じられ、やや立体的な印象。もちろん暗いシーンはより差がつくように感じました。
同じくパナソニックのミドルクラス。格安クラスと比較するとしっとり系というよりはメリハリが効いたしゃっきり系画質に仕上がっています。
そのため、同じシーンでも見比べると締まった印象を受けます。こちらならば通常の放送はもちろん、映画などの暗いシーンの多い番組でも物足りなさを感じることはあまりなさそうです。
10万円を切るパナソニックの格安クラス。パッと見で画面がやや明るいという傾向がわかります。通常の明るいシーンでは濁りや雑味を感じることは少なく違和感はほとんどないですが、暗い場面をきちんと見比べると差を感じる場面もあります。
雑味が少ない明瞭な画質。彩度が高くメリハリが効いていることから派手な印象が強いです。明るさは他メーカーと並べてみると一段暗めです。
全体的に他メーカーよりもやや青が強いのがわかります。東芝にしてはしゃっきり感が強すぎて深みがありませんが、不自然さは少ないといえます。
パネルのせいか白に雑味があります。しかし黄色の発色は悪くありません。ただし全体的に色は浅めなため、パッと見の印象は薄いです。
格安モデルの画質の弱点発見 差がついたのはズバリ「黒」!
4Kテレビの画質差が一番出やすいのが「4K映像」での暗いシーン、「黒」の見え方が一番違いました。高額なモデルは「LEDバックライト」の制御がより細やかで明るい部分と暗い部分のコントラストをハッキリ映し出します。
今回はUltra HD ブルーレイを再生し、夜空に浮かぶ月という最も明暗のコントラストがわかりやすいシチュエーションで比較。バックライトによる描画の違いがはっきり現れました。
[エッジ型バックライト方式]東芝 40M500X
明暗差がまったくないわけではありませんが、画面全体が明るくなっているので月自身の明るさがそれほど目立ちません。一言で言うと「のっぺりした画質」です。
[エッジ型LED部分駆動]
パナソニック TH-49DX850
全体的な浅さは否めませんが、暗さが必要な部分での黒がより沈んでいるように思えます。そのため画面の印象は通常のエッジ型よりも暗くなります。
[直下型LED部分駆動]東芝 50Z20X
極めて細かな面単位で輝度差を描き分けられるため、不要な明るさがまったくなく、画面は3タイプのなかで最も暗くなります。照り返す雲の様子がはっきり見て取れるレベルです。
「便利機能」を比較! 格安モデルでも多機能が主流です
地上波放送での4K映像対応番組はまだ始まっていないなかで、現在楽しめるのはインターネットのオンデマンドサービス。NETFLIXをはじめ、4K動画配信サービスをスタートさせている会社は少なくありません。
当然各テレビメーカー側もオンラインによる4K動画の視聴を前提として、ネット関連機能を最初から搭載した製品を販売しています。ただし、海外メーカーの格安モデルなどには一部搭載されていない場合もあるので注意が必要です。
ネットTV対応はすでに基本機能です
国産4Kテレビの場合、さまざまな映画や番組が利用できるネットTVは最初から搭載されています。
とくにNETFLIXはリモコンに視聴ボタンが配置されていることも多く、契約するだけで豊富な4K映像のコンテンツが見放題です。
東芝の上級モデルのオンリーワン 「タイムシフト」が便利すぎ!
東芝の上位機Zシリーズに搭載されているタイムシフトマシン。いわゆる全録機能で、最初に設定しておいた一定期間の複数チャンネルの番組を保管するものです。
すでに放送が終了している過去の番組を、時間をさかのぼって見ることができるので、番組を見逃しても安心。ある程度予算を出せるという人にはオススメの便利機能です。
東芝
REGZA
50Z20X
実勢価格:24万4000円
タイムシフトマシン、音声入力検索、クラウドサービスなど、すべての機能を搭載した最高画質の4Kテレビ最上位モデルです。
格安モデルにも搭載の「みるコレ」も便利です!
上級モデルは予算がちょっと…という人には、REGZAの格安モデルにも搭載されている、「みるコレ」も便利です。自分の興味に合わせてジャンルを登録しておけば、自動で番組録画して集めてくれます。
超薄型化で音は全体的にイマイチ でも、TH-55DX850だけは別格
最近のテレビが薄型化が進み、ボディに高出力のスピーカーを配置するスペースが無くなってしまいました。また、デザインの面で開口部が見えることを避ける傾向により、テレビの音に迫力が無くなってしまいました。
音質比較テストの結果一覧はコチラ
今回のテストでも各メーカーともに、迫力や広がりなどが物足りない傾向でした。その中でも唯一A評価を獲得した製品に注目しましょう。
高音質モデルを選べばそのままでも満足できます
パナソニック
VIERA
TH-55DX850
実勢価格:21万9609円
パナソニックの「TH-55DX850」だけは、他の製品と比べても別格の音質でした。ハイレゾ対応スピーカーを画面両サイドに前向きに搭載。強力なアンプも搭載しているため他のモデルより高音質になっています。
[まとめ]10万円以下の製品の レベルがグッと上がっています
今まで手が付かない高級品のイメージがあった4Kテレビ。逆に安い製品は大きな欠点があることも多かったのですが、今回のテストでは違いました。
10万円以下の製品にも目に見えてわかるレベルの画質の違いはなく、デザインも個人的には高級感があって満足できる製品ばかりだと思います。それもそのはず、従来は20万円近い価格の製品が大幅な値下がりしたものなので、基本的に品質は20万円クラスなのです。
もちろんREGZAの「タイムシフト」機能のように、格安製品では超えられない壁はあります。でも、機能面は必要かどうかに個人差が大きいところ。最低限の品質で4Kを楽しみたいなら、コスパ優先で「パナソニック VIERA TH-40DX600」を選んでも十分満足できるでしょう。