電動アシスト自転車に小さくて 折りたためるタイプがあるんです!
電動アシスト自転車に小さくて折りたためるタイプがあるって知ってましたか? フレームを折りたたんでコンパクトに収納や持ち運びができる「折りたたみ自転車」と、モーターでペダルをこぐのを助けてくれる「電動アシスト自転車」のメリットを合体させた自転車なのです。
初めて実車を見たときは「ただの折りたたみ自転車?」と性能に半信半疑でしたが、乗ってみたら「なにこれ、楽しい!」と印象が一変。だって、バッテリーが全然目立たないのにペダルを踏めばグンッと加速するんです。急な坂道もラクラク登れるんです。どれだけ走っても疲れないんです。
折りたたみ電動自転車を 選ぶときのポイント5つ
そんな、出会いから衝撃的だった折りたたみ電動自転車ですが、じっくり使ってみるとそのおもしろさがわかってきました。選び方にもいくつかポイントがあるんです。
ポイント1:バッテリーの位置が使い勝手に大きく影響する
実際に折りたたみ電動自転車を使ってみて、まず気になったのがバッテリーの設置位置。コンパクトさを売りにしている折りたたみ電動自転車では、フレーム内に収納されているモデルも多く、電動アシスト自転車に見えないデザインは魅力ですが、充電時にバッテリーの取り外しが必要な環境では手間がかかりすぎました。
今回検証した「EF-1 Pro」のバッテリーはフレームの中ですが、取り外すにはシートポストを抜く必要がありました。
また、「DE01S」はレザーバッグ風のケース入りで台座に装着。「ZERO N2.0FAT」はリアの荷台の内側に収納されています。
このように、各車によって違うバッテリーの位置は、使い勝手に大きく影響するということがわかりました。
ポイント2:走り心地はアシスト力とタイヤで決まる
自転車はやっぱり走りが命。気持ちよく走れるかはアシストによるサポートによって変わります。
どんなにアシスト力が強力でも、こぎ始めからガツンと効きすぎるのは怖いです。自然とペダルを軽くしてくれるくらいが最適でした。
タイヤサイズや太さにも走りが左右され、タイヤ径が大きく、細いほどスピードの維持がラクになりました。
ポイント3:急坂には重心が中心にくるモデルがおすすめ
モーターのアシストがあれば坂道はラクに登れますが、乗車時の重心の位置がおかしいとバランスが崩れました。重心が自転車の中心にくるモデルのほうが安定感があります。
また、モーターが前輪か後輪かでも乗り心地に差が出ました。坂道では前輪を引っ張られるほうが安定感がありました。
ポイント4:室内保管なら折りたたみ形状やサイズをチェック
折りたたみの構造や折りたたみ時のサイズはモデルによって異なります。収納場所の広さや、どのくらいの頻度で折りたたむかなどを想定して、扱いやすいものを選びましょう。
同じ折りたたみ構造の2モデルは、シートポストを取り付けたままでは折りたたみ時の高さに差が出ました。
また、最軽量でも約15kgあるため、抱えて階段を上がるのは一苦労でした。
ポイント5:“もっとラクに走れる装備”も重要
アシスト力の選択機能や多段ギアを備えていると、路面の状況に合わせて柔軟にペダルの軽さを変えられます。長距離を走るときほど、あるとないとでは疲れ方に差が出ました。
加速したいタイミングでアシストを強くできれば、より自由に折りたたみ電動自転車を操れます。
路面の状況に合わせてギアを調整することで、速度の維持が容易になりました。
識者と編集部員が試乗して検証! ランキングを決定しました
実際に識者ふたりと編集部員が走りまわり、隅から隅まで触り尽くすことで、今回選抜した折りたたみ電動自転車の小径車(ミニベロ)7製品の検証を行いました。検証項目は以下の5つです。
検証項目1:アシスト[20点]
アシストの力強さや、自然にアシストしてくれるか、アシスト距離などを評価しました。
検証項目2:走行[20点]
高速走行の快適さや速度維持のしやすさ、ハンドルの操作性などを評価しています。
検証項目3:坂道[20点]
登坂時のアシストの強さ、走行時のバランス、ギアの有無による登りやすさなどを評価しました。
検証項目4:安全[20点]
ブレーキがしっかり効くか、フレームの剛性はあるか、安定して走行できるかなどを評価しました。
検証項目5:構造[20点]
折りたたみやすさと室内保管を前提とした折りたたみサイズ、バッテリーの着脱の容易さです。
以上、合計100点満点。
評価してくださった識者は、アドベンプロダクツ代表の義村貞純氏と自転車雑誌ライターの田中弾氏です。
それでは、おまたせしました。気になるランキングの結果発表です!
世界が変わる爽快感で街乗りに最強 「Daytona PotteringBike」
デイトナ(DAYTONA)
Daytona PotteringBike
DE01S
実勢価格:20万3500円
サイズ:1550×985mm
ホイールベース:約1070mm(実寸)
クランク長:170mm
折りたたみ電動自転車の栄えある初代ベストバイに輝いたのがDaytona PotteringBike「DE01S」です。シートポストの後方に取り付けられたレザーバッグにバッテリーを収納しているため、電動アシスト自転車には見えません。ハンドルグリップ、サドルと統一されたデザインもオシャレで街にも映えました。
Daytona PotteringBike「DE01S」は、10段ギアで操る楽しさもあり、いつまでも走っていたくなる1台。寄り道しながらのんびり走る最高のパートナーです。
検証結果
実際に走ってみるとアシストはとても自然で、必要以上に加速することはありません。ペダルを踏んだ瞬間に加速するのではなく、自然にアシストしてくれるので普通の自転車と同じ感覚で走れました。モーターの作動音もまったくといっていいほど聞こえません。
20インチの細身のタイヤはスピードの乗りがよく、10段あるギアを上手に使えば速度の維持も容易です。風を切って走る感覚はまるでロードバイクに乗っているよう。20インチのホイールと細めのタイヤの効果を実感できました。
もちろん坂道ではしっかりアシストしてくれるので、強い踏み込みは不要です。アシスト力は固定のため坂に入って自分でパワーを上げるという使い方はできませんが、ギアが10段変速のため上手に変速することで急坂でも問題なく登れました。
リアのギアはロードバイクでも使われる10段変速。平坦から急坂まで、気持ちのいい速度で走れるギアが選択できました。路面に合わせて変速するのがおもしろいです。
2本のレバーがギアのアップ/ダウンに対応するトリガーシフターで操作性は上々。インジケーターで使用中のギアもわかります。ブレーキレバーの滑り止めも好印象でした。
前後ともに制動力の強いVブレーキを採用しています。速度の出やすい電動アシスト自転車ですが、ホイールのリムを挟んでストップするので、スピードを出してもしっかり止まれました。
チューブを2本にすることでフレームの剛性も保たれています。
クランクは、スポーツバイクでは一般的な170mmを装備。シティサイクルに比べると長め。男性の平均的な身長(170cm前後)の人は足の回しやすさを感じられます。
そしてこちらは、一見ただのカバンのように見えますが、じつはバッテリー。
フレームの雰囲気にマッチするデザインで、持ち運びもラク。自転車を室内に入れられない環境でも、カギを開けるだけでバッテリーを取り外せるため、簡単に充電できました。折りたたみ電動自転車では大きなアドバンテージといえます。
バッテリー本体にはアシストの電源と充電用の端子のほか、USB端子も搭載。端子がむき出しなのは気になりますが、スマホの充電もできます。
折りたたみ方
フレームを横に折りたたむシンプルな構造で、折りたたむ作業は数分で終わります。
まず、シートポストを一番下まで下げた状態で固定し、ハンドルを根本から折りたたみます。
次に、フレーム中央部のロックを外して、折りたたみます。スタンドは上げておきましょう。
最後に右足のペダルを外したら完了です。
前後のタイヤと突き出したシートポストでバランスよく自立しました。折りたたみ時のサイズは以下のとおり。
タイヤが20インチと大きいためコンパクトとはいえませんが、車のトランクへの収納やバックに入れての輪行にはこのサイズで問題ありません。
ブ厚いタイヤで走る興奮を再確認! benelli「ZERO N2.0FAT」
プロト(PLOT)
ベネリ(benelli)
ZERO N2.0FAT
実勢価格:17万3800円
サイズ:1540×590mm
ホイールベース:約1070mm(実寸)
クランク長:170mm
折りたたみ電動自転車では珍しい太めのブロックタイヤが特徴のbenelli「ZERO N2.0FAT」が第2位です。タイヤの影響で乗り味はマイルド。パンクの心配も少なく未舗装路を走るのも楽しいです。一方で、転がりが重くなるためスピードを出して走るという使い方には向きませんでした。アウトドア派におすすめしたい一台です。
benelli「ZERO N2.0FAT」は、どんな道でも走れるので、ついつい乗りたくなります。リアキャリアにバッテリーが収まっており着脱が容易、制動力の高いディスクブレーキを装備しているのも好印象でした。
検証結果
※メーカー公表値/パワーモード
自転車自体が重く、太いタイヤを履いているためスピードはなかなか乗りませんが、軽いギアが選べる7段ギアと3段階のアシストのおかげで坂道で困ることはありません。
バッテリーはリアの荷台に取り付けるため、着脱が容易でした。ライト兼用で、赤色灯が付いているのも実用的。ただ、接続部の隙間は気になりました。
ブレーキは、機械式ではありますが制動力に定評のあるディスクブレーキを標準装備。坂道の下りでの高速走行時や、雨天時、悪路走行時などに力を発揮してくれます。
ボトルゲージの取り付けも簡単で、フレームの上部に開けられた穴に取り付ければ、走りながらでも手軽に水分が補給できます。“それっぽさ”もバッチリです。
キャンプに持っていけば大活躍してくれること間違いなし!
折りたたみ方
1位の「DE01S」と同じく、フレームの中心から折りたたむタイプで、シートポストで支えるのも同様です。
ただ、タイヤがゴツいためか折りたたみ後のサイズは大きめでした。
※折りたたんだときのサイズは実寸値です。
場所を選ばないオールラウンダー benelli「mini Fold 16」
プロト(PLOT)
ベネリ(benelli)
mini Fold 16
実勢価格:17万3700円
サイズ:1360×570mm
ホイールベース:約960mm(実寸)
クランク長:170mm
2位と同ブランド、benelliの「mini Fold 16」が第3位となりました。デザインに注目が集まりますが、アシストはマイルドでブレーキの効きもよく、16インチですが走りも快適でした。
検証結果
※メーカー公表値/エコモード
アシストは走り出しの低速域ほどパワフル、高速域は弱めに感じました。
坂道では重心の位置がよく、前輪にモーターを内蔵しているため急な斜度でも安定して走れました。アシストもしっかり効きます。
後輪の着脱を行う機構にはエラストマーを配して、走行時にかかる負荷を吸収してくれます。
ブレーキは、信頼の高いシマノ製のキャリパーブレーキ「BR-T4000」を採用しています。
折りたたみ方
折りたたみ手順はフレームを軽く持ち上げるだけと、とても簡単です。後輪のロックを外した状態でフレームを持ち上げ、ハンドルを倒します。
ただ折りたたむだけだとシートポストが飛びがしてしまいますが、車載や輪行時はシートポストを外せばよりコンパクトに収納できます。
※折りたたんだときのサイズは実寸値です。
4位: 走り出しから加速するパワフル派
Qi CYCLE「EF-1 Pro」
チーサイクル(Qi CYCLE)
EF-1 Pro
定価:14万8500円
サイズ:1310×935mm
ホイールベース:約920mm(実寸)
クランク長:170mm
第4位のQi CYCLE「EF-1 Pro」も近未来を感じさせる直線的なデザイン。前後ライト内蔵は安全面でうれしい装備で、アシストはなかなか強力で加速感がありました。唯一、バッテリーの取り外しに手間がかかるのが残念ですが、デザインの統一感が秀逸で所有欲を満たしてくれる1台です。
検証結果
※メーカー公表値/ECOモード時
折りたたみの構造部分も含め、剛性感が高く走りが安定しました。
デザインは細部まで考えられていて、フロントフォークは裏側にケーブルを隠せる専用設計です。
バッテリーはフレーム内蔵されており、シートポストを外すと抜けます。
折りたたみ方
折りたたみ方法は、第3位の「mini Fold 16」とほぼ同じですが、シートポストを下げられる分だけコンパクトになりました。
※折りたたんだときのサイズは実寸値です。
4位: 自然でパワフルなアシスト
パナソニック「オフタイム」
パナソニック サイクルテック
オフタイム
実勢価格:12万2630円
サイズ:1520×585mm
ホイールベース:1045mm
クランク長:165mm
※自転車通販cymaのリンク先は新型モデルの商品ページになります。
今回、同時にテストすることはできませんでしたが、ほかの製品とは別に義村氏がテストを行ったパナソニックサイクルテック「オフタイム」が同点で第4位となりました。パナソニックらしくアシストは自然かつパワフルで、日常の足として重宝しそうです。
検証結果
※メーカー公表値/ロングモード時
手元の液晶スイッチで残りの走行時間や距離を確認できます。アシストモードの変更もここから。ライトも点灯できました。
バッテリーの着脱はとても簡単。自転車を室内に持ち込めなくてもバッテリーだけ外して充電できます。
折りたたみ方
折りたたみ手順はわかりやすかったです。はじめにサドルを下げ、ペダルとハンドルを折りたたみます。
フレームの中心にあるレバーを緩めれば、折りたたみが完了しました。かなりコンパクトなので収納場所に悩む心配はありません。
6位: 強力アシストでグイグイ走る
「TRANS MOBILLY」
ジック(Gic)
トランスモバイリー(TRANS MOBILLY)
CONVENIENT
定価:6万5977円
サイズ:1500×990mm
ホイールベース:約1060mm(実寸)
クランク長:170mm
7台中最安値の6万円台だったTRANS MOBILLY「CONVENIENT」が第6位です。シングルギアですがアシストがパワフルなので、坂道も苦もなく登れました。前後泥除け付きで、前カゴも装着可能と、日常の買い物などにも使いやすい仕様。乗り心地もよく、シティサイクルからの乗り換えにも最適でした。
検証結果
※メーカー公表値
見た目はおとなしめのシティサイクル感がありますが、ペダルに足を乗せると印象は一変。グッと加速すると、そのままスピードを維持してラクに走れます。
前後泥除け付きで、前カゴも装着可能と、日常の買いものなどにも使いやすい仕様なのも注目です。フロントのキャリアに前カゴを取り付ければ、買いものにも便利です。
タイヤをしっかり覆う泥除け。泥はねで洋服が汚れません。
折りたたみ方
ハンドルとフレームの固定金具を外し、順番に折りたたみます。最後にシートポストを下げれば完了。
フレーム・ハンドルをたたんでシートポストを下げるだけで簡単に折りたたむことができます。
シティサイクルとしては十分なコンパクトさ。なお、実測時はサドルを最下部まで下げています。
7位: 平坦な道ならどこまでも!
「HARRY QUINN」
ジック(Gic)
ハリー クイン(HARRY QUINN)
PORTABLE E-BIKE
定価:12万2082円
サイズ:1500×1010mm
ホイールベース:約1080mm(実寸)
クランク長:170mm
HARRY QUINNの「PORTABLE E-BIKE」が第7位です。湾曲したフレーム内にバッテリーを収納しているため、スッキリとした見た目が好印象。ホイールベースが長いため、直線の安定性が高く走っていて気持ちのいい自転車でした。さらに驚かされたのが折りたたみ時。まとまりがよく美しいです。
検証結果
※メーカー公表値
ホイールベースが長く、平坦な道を真っ直ぐ走るだけならとても快適。一方で坂道だと多少不安定になりました。一方で、細かいカーブや坂道だと多少不安定になりました。
フレームに内蔵されたバッテリーはフレームの形状に合わせて湾曲しており、このこだわりに驚かされました。
折りたたみ方
後輪をフレームの下に回し込み、フレーム前部を折りたたみます。
折りたたむと想像以上にコンパクトで、実寸サイズは7台中最小です。
もとの大きさからは考えられないくらいコンパクトに収まったのは驚きでした。
爽快な走りを楽しむベストは “大きなホイール+多段ギア”
今回が初開催となった「折りたたみ電動自転車ランキング」はいかがでしたか? 手頃感のある20万円以下という制限付きながら、全7台を集めて乗り比べをすることができました。
※メーカー公表値の最長距離
試乗をした全員がはじめに口にしたのが「楽しい!」という言葉。ホイールの小さなミニベロでここまで快適に走れるとは思ってもいませんでした。そのなかでも走りの違いが大きく出たのがホイールサイズです。
今回は20インチ、18インチ、16インチという3サイズがそろいましたが、やはり走っていて気持ちいいのは20インチ。スピードの乗りがよく、より力を使わずに遠くまで行けました。
義村氏は「やはり16インチよりも20インチのほうが楽しいです。段差の乗り越えもラクになります」と、街なかに多い段差対策も、径の大きな20インチのほうが優れていると評価しました。
走りやすさ、乗り心地、コスパの高さなど、それぞれに個性が際立ち、7台すべてが魅力的だった今回のランキング。迷ったら“見た目”で選ぶのもありです。
細みのルックスに細いタイヤなどロードバイク的な乗り心地を楽しめます。