安全に登山を楽しむなら
登山時計を持っていきましょう

中高年ハイカーや「山ガール」と呼ばれる女性ハイカーが増え、いつしか空前の登山ブーム! しかし「登山」といっても、厳しい山を登るものではなく「日帰りハイキング」や「山歩き」「山登り」と呼ばれる、気軽に楽しめるものが人気です。

そんな誰でも気軽に楽しめるものだとはいっても、やはり登山は登山。きちんとした装備を持たなければなりません。その中のひとつに挙げられるのが「登山時計」です。

現在の時刻を知ることはもちろん、歩くペースやそこから考えられる目的地への到着予想時間を知ることは、登山では重要です。計画的に歩くことで、遭難を防いだり体力の消耗を抑えたりすることができるのです。

では、登山用の時計にはどのようなものがあって、どういったものを選べばいいのでしょう?

そこで今回は、アウトドアのプロ、低山小道具研究家の森勝氏に登山時計の基礎知識や選び方を解説していただきました。さらに森勝氏がおすすめする、登山時計12選もランキング形式で紹介しちゃいます!

まずはどんな機能があるのか
知っておきましょう

まずは基礎知識として、登山時計のおもな機能を解説していきましょう。

登山時計とひと口にいっても、装備されている機能はさまざま。中には「自分には必要ないかな?」と思うような機能もあります。しかし、その機能がどのように便利なのかがわからなければ、選びようがありません。

ということで、本項では、登山時計に装備されている代表的な機能をまとめてみました。

[登山時計の機能①]
天気の予測もできる”気圧計”

気圧の変化を計測して、その傾向から今後どのような天気になるかを予測することができます。

天気の変わりやすい山では、これから先の天気を予測できる機能はありがたいです。

[登山時計の機能②]
自分のいる標高がわかる”高度計”

計測した気圧の変化をもとに、現在地の高度を計測する機能です。正確な標高がわかる場所でセットすれば、より正確な高度を知ることができます。

測定値を記録しておけば、その行程でどれだけ昇降したかもわかります。

[登山時計の機能③]
方角が一目でわかる”コンパス”

デジタル時計に搭載されている電子コンパスは、スイッチひとつで自分がどちらの方角を向いているかを測定してくれます。

アナログ時計に搭載されている簡易コンパスは、太陽の位置と回転させたベゼル(時計本体の周りにあるリング)によって方角を特定します。

[登山時計の機能④]
外気温を測定できる”温度計”

外気温を計測して表示する機能です。腕に装着しているときは、センサーが体温を拾ってしまい、正確な気温を測ることができません。

正確な計測をしたい場合は、腕から外して外気温になるまで待ってから計測するか、バックパックなどに装着して計測する必要があります。

[登山時計の機能⑤]
正確なルート表示も可能”GPS”

現在地が正確にわかるだけでなく、走行したルートや移動距離、歩行ペースなどを計測し、記録できます。

登山中はもちろん、帰宅してからもルートを見返すことができます。

登山時計のおもな機能を理解したところで、次は選び方のポイントを見てみましょう。

登山時計選びに欠かせない
5つのポイントで徹底検証!

初めて登山時計を購入する際の選び方として、「多機能」「デザイン性」「コスパ」「装着感」「視認性」の5つのポイントが挙げられます。

このポイントを抑えておけば、きっと自分に合った登山時計が見つかるはずです。

ただし、“多機能であればあるほどいい製品”だということではありません。機能が多すぎても使いこなせず、操作が煩雑になって使いづらいということもあります。「多機能モデルは必要ない!」と思い切ってシンプルなモデルを選び、コスバを追求するのもありだと思います。

そんな視点から、アウトドアのプロである森勝氏におすすめの12製品を選んでもらいました。その上で、この5つのポイントに点数を振り分けてもらい、100点満点で採点してもらっています。(評価結果はこの項目の後にランキングにて公開!)

[ポイント①:多機能]
必要な機能がそろっているか?

アウトドアで使用する際に必要な機能が装備されているかどうかをチェック。

機能が多ければいいというわけではありませんが、あることで行動がしやすくなったり、登山が楽しくなったりすることもあるので、確認しておきたい項目です。
[※配点30点]

森勝 氏
低山小道具研究家
森勝 氏 のコメント

多機能になればなるほど高価になるので、まずは機能が少なめの安価なモデルから使ってみて、使いこなせるようなら、ステップアップして機能が多いものを選ぶといいかもしれません。

[ポイント②:デザイン性]
登山以外でもつけられるデザインか?

登山以外のシーンで装着しても違和感がないデザインかどうかも気になるところです。

街歩きやビジネスシーンでもつけられれば、いつでもアウトドアを身近に感じることができるので、うれしいですよね。
[※配点20点]

森勝 氏
低山小道具研究家
森勝 氏 のコメント

日ごろから使っていれば扱いにも慣れるので、登山中に迷わず機能を使えるようになるかもしれません。

[ポイント③:コスパ]
価格と機能のバランスがいいか?

時計の価格が、搭載されている機能や性能に見合っているかどうかも重要です。

多機能だけれどチープでは、耐久性や精度が心配だし、必要以上に高級ではアウトドアで使いにくいものになってしまいます。
[※配点30点]

森勝 氏
低山小道具研究家
森勝 氏 のコメント

最初は思い切って1000円以下のチープカシオで、山登りをしてもいいかもしれません。精度は高いですが安価なので、少々傷が付いたりしてもあまり気になりません。

[ポイント④:装着感]
ベルトの質感やウェアに干渉しないか?

実際に腕につけたときにフィット感がいいかどうか、登山する服装で装着したときにボタン類が干渉してしまわないかなど、装着感を確かめる必要もあります。

ボタンの位置が悪く、気づけばストップウォッチが勝手に作動していた、なんてことがないようにしたいものです。
[※配点10点]

森勝 氏
低山小道具研究家
森勝 氏 のコメント

購入前に試着をして、ベルトのフィット感が悪かったり、着脱がしにくいと感じる場合は、別売りのベルトに交換してしまうのもおすすめです。

[ポイント⑤:視認性]
見てすぐに表示を認識できるか?

時計を見たときに、表示がすぐに認識できるかどうかも確認しておきたいポイントです。

デジタルで表示される数字が小さかったり、文字盤と針のコントラストが弱かったりすると、見づらくなってしまいます。
[※配点10点]

森勝 氏
低山小道具研究家
森勝 氏 のコメント

試着して時計の文字盤を見たときに、表示が見にくかったり、文字盤に要素が多すぎて認識しにくい場合は、一考してもいいでしょう。

それでは、初心者におすすめしたい登山時計のランキングを見ていきましょう!

国土地理院の地形図が見られる!
カシオ プロトレックスマート

カシオ(CASIO)
プロトレックスマートWSD-F30
実勢価格:5万500円


搭載機能:スマホ連携、GPS、高度、気圧、方位、タイドグラフ、日の出・日の入り時刻、活動量

▼評価結果
多機能  :30/30点
デザイン性:17/20点
コスパ  :10/30点
装着感  :15/10点
視認性  :5/10点

総合得点 :77点

なんといっても、見慣れた国土地理院の地形図が表示されるので、現在地がひと目でわかります。また、GoogleのWear OSなので、スマートウォッチならではの機能が満載。機能拡張も可能です。

G-SHOCKのような無骨なデザインがカッコいい半面、サイズが若干大きくてウェアを着ていると干渉してしまうのは注意が必要かもしれません。

オンラインで国土地理院の地形図が表示され、その上にGPSで計測した現在値を表示。しかし、頻繁に使用するとバッテリーが消耗し、1日半程度しか持たなくなるので注意しましょう。

米国ミリタリースペックを
搭載したタフなガーミン

ガーミン(GARMIN)
Instinct
アメリカ国防総省MIL規格
MIL-STD-810G
実勢価格:3万2200円


搭載機能:スマホ連携、GPS、高度、気圧、方位、心拍、ライフログ、アクティビティ計測

▼評価結果
多機能  :23/30点
デザイン性:19/20点
コスパ  :20/30点
装着感  :5/10点
視認性  :7/10点

総合得点 :74点

アメリカのミリタリースペックに準拠した耐熱、防水、耐衝撃性を備えたタフな仕様。精悍なデザインも魅力的です。スマートウォッチで3万円台と、エントリー向きの価格なのもうれしいです。

簡易GPSや心拍数が計れる機能など、さまざまな機能が搭載されています。しかしながら、GPSは簡易仕様なところが少し残念。

スマートウォッチではありますが、GoogleのWear OSに対応していないので、ガーミンの操作方法に慣れる必要があります。

iPhoneユーザーにうれしい
操作性バツグンのスポーツ仕様

アップル(Apple)
Apple Watch
アルミケーススポーツバンド(GPS)
実勢価格:4万3789円


搭載機能:スマホ連携、GPS、気圧、高度、心拍、アクティビティ計測

▼評価結果
多機能  :25/30点
デザイン性:17/20点
コスパ  :15/30点
装着感  :10/10点
視認性  :7/10点

総合得点 :74点

感覚的に操作ができるAppleならではの操作性のよさがこのモデルのいいところです。電気心拍センサーと光学式心拍センサー、2つの心拍センサーを搭載している点もポイントです。

当然ながら、iPhoneと連携しているのはiPhoneユーザーにはうれしい限りです。ただしiPhoneなしでは利用できないので、常にiPhoneを持ち歩く必要があります。

さまざまな機能が搭載されていて、便利に使えるのですが、機能をフルに使うとバッテリーがあまり持たないという難点もあります。

4位: 米軍の基準を満たした
ミルスペックデザインのスント

スント(SUUNTO)
TRAVERSE ALPHA
実勢価格:3万948円


搭載機能:GPS、高度、気圧、方位、日の出/日の入り、月の出/月の入り、専用アプリ連動

▼評価結果
多機能  :20/30点
デザイン性:20/20点
コスパ  :20/30点
装着感  :7/10点
視認性  :6/10点

総合得点 :73点

アメリカ軍の基準を満たした、ミルスペックデザインのモデル。スントは利用者が多いブランドなので、操作に慣れていれば使いやすいです。

ベルトはナイロン製で、ごわつかず使用感も良好です。フィット感も高いので、ウェアに干渉することもありません。

GPSを搭載しルートナビゲーション機能で、設定したルート、辿った軌跡、現在位置を表示します。しかし、簡易GPSなので、機能面では少々物足りません。

4位: スマートウォッチ入門に
うってつけのシャオミ

シャオミ(Xiaomi)
Amazfit Bipスマートウォッチ
実勢価格:1万1793円


搭載機能:スマホ連携、GPS、気圧、高度、心拍、アクティビティ計測

▼評価結果
多機能  :20/30点
デザイン性:13/20点 
コスパ  :25/30点
装着感  :10/10点
視認性  :5/10点

総合得点 :73点

1万円台で購入できるスマートウォッチは、入門モデルにうってつけです。心拍数も計れ、登山にはあまり関係ありませんが、睡眠モニタリング機能も装備されています。

非常に軽くて装着感もよく、比較的バッテリーも長持ちします。その半面、やはりチープさは否めません。

使いやすく過不足のない使用感ですが、Apple Watchに比べると、グレードが下回ってしまう印象です。

6位: コスパが魅力の
シンプルなスマートウォッチ

シャオミ(Xiaomi)
Mi band 3
実勢価格:3699円


搭載機能:スマホ連携、心拍

▼評価結果
多機能  :17/30点
デザイン性:13/20点
コスパ  :25/30点
装着感  :10/10点
視認性  :3/10点

総合得点 :68点

時刻表示と通知が届く、シンプルなスマートウォッチ。なんといっても、3000円台という安さが魅力です。気圧や高度などは測れませんが、心拍数を計ることが可能です。

小さくて装着感はいいのですが、画面が小さすぎて、視認性が悪いという点もあります。

7位: 2000円を切るコスパ最高モデル
チープカシオ

カシオ
MRW-200HJ-1BJF
実勢価格:1825円

▼評価結果
多機能  :10/30点
デザイン性:8/20点
コスパ  :30/30点
装着感  :6/10点
視認性  :9/10点

総合得点 :63点

俗に「チープカシオ」と呼ばれる廉価モデル。ダイバーズウォッチのようにベゼルが回転して、経過時間を計測することができます。

シンプルで視認性がよく、コスパも最高ですが、人によってはチープな印象が強すぎるようです。

8位: カラビナ式のラドウェザー
ウェアを邪魔しません

ラドウェザー(LAD WEATHER)
lad036
実勢価格:4480円


搭載機能:高度、気圧、気温、湿度、コンパス

▼評価結果
多機能  :15/30点
デザイン性:7/20点
コスパ  :25/30点
装着感  :10/10点
視認性  :4/10点

総合得点 :61点

登山では、腕時計が邪魔になるケースが多いけれど、このモデルはカラビナ式を採用。バックパックなどに吊り下げておけるので、ウェアが邪魔になることがありません。

さまざまな機能を搭載している割には、安価なので気軽に使えます。しかし画面のデザインが欲張りすぎていてイマイチ。また、思いのほかサイズが大きめです。

9位: モンベルとのコラボモデル
機能はシンプルなシチズン

シチズン(CITIZEN)
プロマスター x mont-bell
実勢価格:7万2360円

▼評価結果
多機能  :10/30点
デザイン性:20/20点
コスパ  :10/30点
装着感  :7/10点
視認性  :10/10点

総合得点 :57点

アウトドアブランド「モンベル」と「プロマスター」のコラボモデル。ケースにはチタンを採用しているので非常に軽くて装着感もよく、普段使いができるデザイン性も好印象です。

バッテリーにはソーラー充電式を採用しているので、電池切れの心配はありません。しかしほかの機能は時刻と日付の表示のみ。価格は今回選んだ中では最も高価です。

9位: ソーラー充電式のセイコー
厚みがあってゴツめの印象

セイコー(SEIKO)
PROSPEX フィールドマスター
実勢価格:3万1100円


搭載機能:方位

▼評価結果
多機能  :10/30点
デザイン性:18/20点
コスパ  :15/30点
装着感  :7/10点
視認性  :7/10点

総合得点 :57点

デザイン性が高く、普段使いができるモデル。ソーラー充電式を採用しているので、フィールドでの電池切れを心配する必要がありません。

デザイン性、視認性は高いのですが、本体はやや厚みがあって、登山には少々ゴツい印象です。

11位: 驚くほど安いけど
時計の精度は確かです

カシオ
F-91W-1JF
実勢価格:900円

▼評価結果
多機能  :5/30点
デザイン性:5/20点
コスパ  :30/30点
装着感  :9/10点
視認性  :7/10点

総合得点 :56点

900円と非常に安い価格で、機能は時刻表示とカレンダー機能のみとシンプル。本体も薄く、ウェアと干渉しないのもいい点です。

時計の精度は高いので、気軽に安心して使えます。ただしチープさがあるので、割り切って使いたいところです。

12位: 廃盤を復刻したタイメックス
ミリタリーな定番デザイン

タイメックス(TIMEX)
キャンパー
実勢価格:9980円

▼評価結果
多機能  :5/30点
デザイン性:15/20点
コスパ  :10/30点
装着感  :7/10点
視認性  :9/10点

総合得点 :46点

近年、廃盤になったモデルを再現して作られたミリタリーテイストが魅力のモデル。シンプルで視認性がよく、軽量で装着感もいいです。

定番デザインで飽きがこないのはいいですが、プラスチック感が強いのが、少々チープな印象です。

以上、初心者におすすめの登山時計12製品をご紹介しました。

今回1位となった「カシオ プロトレックスマートWSD-F30」は、登山に大切な地形図を表示できる機能を備えたモデル。もちろん、地図とコンパスを持って行くのは基本ですが、こんな機能があればより安心して登山を楽しめます。

登山に必要な機能は、ほかのツールに任せて、時計は時計としての機能だけでいいという人は、少々乱暴に扱っても気にならない、安価で使いやすいモデルがいいかもしれません。

心拍計やスマートウォッチを試したいという人なら、安いスマートウォッチもおすすめです。

今回のランキングを参考に、自分に合った登山時計を選んでみてくださいね!