オペラグラス・双眼鏡の特徴
オペラグラスは広義では双眼鏡の一種です。しかし、一般的に双眼鏡と呼ばれているものとは、大きく見える仕組みが異なります。どのような違いがあるのか、オペラグラスの特徴と併せて見ていきましょう。
オペラグラスは双眼鏡とどう違う?
オペラグラスは接眼レンズ(のぞき込む側)に凹レンズ、対物レンズ(見るものに近い側)に凸レンズを使用した「ガリレオ式」です。対象を上下が正しいまま、拡大して見ることができます。ただし、倍率を上げると視野(目を動かさずに見える範囲)が狭くなるというデメリットがあるため、3~4倍程度に抑えられているのが特徴です。
近年オペラグラスの代わりに、劇場やライブで使う人も増えている双眼鏡(望遠鏡)は、接眼レンズ・対物レンズの両方が凸レンズになっています。「ケプラー式」と呼ばれる構造で、倍率を高くしても視野を確保できるのがメリットです。
しかし、対象が倒立像(上下逆さま)になるので、レンズ同士の間に鏡の役割をするプリズムを配置して補正しなければなりません。そのため、オペラグラスに比べるとどうしても商品のサイズが大きくなります。
オペラグラス・双眼鏡選びのポイント
オペラグラスや双眼鏡は多くのメーカーから発売されています。倍率をはじめとするスペックや価格に幅があるため、選び方が分からないという人も少なくないでしょう。購入する際にチェックしたい、主なポイントを紹介します。
倍率が会場の規模に合っているか
オペラグラスや双眼鏡の倍率は高ければ高いほどよいという訳ではありません。確かにステージから距離があるときに、倍率が低いものでは足りませんが、近距離で高倍率の双眼鏡を使うとかえって見づらくなります。大切なのは会場の規模に合わせた適切な倍率を選ぶことです。
『対象物までの距離÷倍率』で、どの位置で見るのと同じくらいか算出できます。例えば、自分の席からステージまでの距離が10mの場合、3~4倍のオペラグラスを使えば、約2.5~3mの位置で見るのと同じくらいの見え方です。小規模劇場やライブハウスなら十分といえるでしょう。
ホールやドームのような中・大規模会場なら少なくとも5倍は必要です。ステージまで100mほど距離があるような場合は、10倍以上あるものが適しています。
重さや持ち運びのしやすさ
オペラグラスや双眼鏡は長時間使うことを考えて、重すぎず持ち運びのしやすいものを選びましょう。形状も影響しますが、重さだけでいえば200g以下が目安です。
ただし、重さは倍率の高さに比例します。3~4倍のオペラグラスなら折りたためるものも多く、軽量のものがほとんどですが、軽さだけで選ぶとよく見えない可能性もあることを知っておきましょう。また、高倍率になると重さだけでなく大きさもそれなりにあります。会場の規模や用途を考えた上で選ぶのがおすすめです。
十分な視野の広さ
オペラグラスや双眼鏡を選ぶ際に必ずチェックしたいのが、実視界と見かけ視界です。
実視界はオペラグラスを動かさずに見ることができる範囲のことで、対物レンズの中心からの角度で表されます。見やすいとされる目安は7度以上です。実視界の広いオペラグラスなら、対象を見つけやすく、ピントを合わせるのも容易なので、推しの一挙手一投足を見逃しません。
一方、見かけ視界はオペラグラスをのぞいたときに、視野が広がっている角度を指します。倍率の高いものは視野が狭くなるというデメリットがありますが、見かけ視界が60度以上あるものなら十分カバーできるでしょう。
眼鏡を掛けていても使えるか
眼鏡を掛けている人がオペラグラスを選ぶときは注意しましょう。目と接眼レンズの間に、眼鏡の分だけ隙間ができることで、視野が狭くなるためです。
目と接眼レンズをそれ以上離すと視野全体が見えなくなるときの距離を、アイレリーフといいます。アイレリーフが15mm以上あるもの(ハイアイポイント)なら、眼鏡を掛けていても視野が制限されづらくなるため安心です。
眼鏡とコンタクトを併用している人は、その都度アイレリーフを調節できるものがおすすめです。
小規模の会場におすすめのオペラグラス・双眼鏡
ステージと客席の距離が近い小規模会場やライブハウスには、倍率が3~4倍程度のものがよいでしょう。大規模会場でもアリーナ席ならこのくらいの倍率で十分です。コンパクトで持ち運びもしやすい、おすすめのオペラグラスや双眼鏡を紹介します。
ミザールテック「オペラグラス BOH-350」
ミザールテック
オペラグラス BOH-350
実勢価格:3626円
本体サイズ(mm):約幅98×奥行53×高さ30
重量:約185g
倍率:3倍
対物レンズ有効径:約25mm
黒とゴールドを基調にした、高級感のあるオペラグラスです。『オペラ』の名を冠するのにふさわしいクラシカルで優雅なデザインに、思わず目を引かれるでしょう。
伸縮式(伸ばしたときの長さ約16cm)・角度調整可能な片手ハンドル付きで、長時間の観劇やライブもゆったり楽しめます。ピント調節機能付きで、必要に応じて素早いピント合わせが可能です。至近距離でもぼやけることなく鑑賞できるため、小規模の会場やライブハウスはもちろん、美術鑑賞にもおすすめです。
ハンドルを折りたためば片手に収まるほどコンパクトにまとまります。バッグに常備しておいても気にならない、持ち運びのしやすさもメリットでしょう。
サファリ「Opera Glass 3×25 FF LED付」
サファリ
Opera Glass 3×25 FF LED付
実勢価格:3980円
本体サイズ(mm):約幅100×奥行55×高さ30
重量:約130g
倍率:3倍
対物レンズ有効径:約25mm
実視界:約6度
ピント合わせのいらない固定焦点(フリーフォーカス)式のオペラグラスです。対象をオペラグラスで見れば自動的にピントが合います。実視界も約6度あるので、推しの一瞬の表情やしぐさも見逃したくない人にピッタリでしょう。ダイヤルなど余分なものを省いた、シンプルで洗練されたデザインも魅力です。
薄暗い客席でパンフレットなどをチェックするときに便利な赤色LEDライトがついています。白色LEDほど目立たないので、周囲の迷惑になる心配もありません。約130gという軽さや、片手で持てるコンパクトなサイズは、観劇やライブに欠かせない相棒になることでしょう。
Nikon「遊 4X10D CF」
Nikon
遊 4X10D CF
実勢価格:1万2700円
本体サイズ(mm):約幅93×奥行52×高さ19
重量:約65g
倍率:4倍
対物レンズ有効径:約10mm
実視界:約10度
ひとみ径:約2.5mm
手の平に収まるカードサイズに約65gという超軽量ながら、優れた光学性能を備えたコンパクトな双眼鏡です。スポーツ観戦やアウトドア用としてはもちろん、最短合焦距離が約1.2mと至近距離を見るのにも適しているため、観劇や美術鑑賞にも使えます。
アイレリーフが約13.7mmあるので、眼鏡を掛けている人にもよいでしょう。また、操作は眼幅調整とピント合わせだけで簡単です。レンズとプリズムには多層膜コーティングを施して、明るさも確保しています。持ち運びしやすく、機能的なものを探しているという人におすすめの双眼鏡です。
広い会場におすすめの高倍率オペラグラス・双眼鏡
「人気の舞台やライブのチケットが取れたものの、席はホールの後方や2階・3階席でステージははるか彼方…」、こんなときに活躍するのが高倍率のオペラグラスや双眼鏡です。肉眼では見えない推しの姿をしっかり捉える、おすすめ8選を紹介します。
ナシカ「OPTICAI 5×21 MC ツイストタイプ」
ナシカ
OPTICAI 5×21 MC ツイストタイプ
実勢価格:6600円
本体サイズ(mm):約幅102×奥行84×高さ40
重量:約165g
倍率:5倍
対物レンズ有効径:約21mm
実視界:約9.5度
プリズムに屈折率の高い硝材・BaK4を使用することで鮮明な映像を確保した広視界双眼鏡です。双眼鏡や天体望遠鏡などの光学製品を製作してきた『ナシカ』の品質へのこだわりが詰まっています。
双眼鏡としては軽めで、手になじみやすい丸みのあるフォルムは長時間の使用でも疲れにくく、持ち運び時にもかさばりません。小型ながら対象が明るくクリアに見えるため、ホールなど中規模以上の会場をはじめ、スポーツ観戦やアウトドア用など、シーンを選ばず使えます。
オペラグラスや双眼鏡は、用途の広いものが一つあればよいという人におすすめの商品です。
OLYMPUS「8×21 RC II WP」
OLYMPUS
8×21 RC II WP
実勢価格:6400円
本体サイズ(mm):約幅106×奥行88×高さ38
重量:約215g
倍率:8倍
対物レンズ有効径:約21mm
実視界:約6.3度
ひとみ径:約2.6mm
カメラなどの光学製品の性能に定評のあるOLYMPUSの技術が光る双眼鏡です。光路がまっすぐなダハプリズム式を採用することで、ピント合わせなど操作のしやすさを実現しました。高倍率ながらコンパクトに折りたためる携帯性も魅力です。
見逃せないポイントは高い防水性です。深さ1mの水中に約5分間浸かっても、内部に水が浸入する心配がありません。雨の日の野外ライブでも安心です。タフに使えるので、川や海などのレジャーにもよいでしょう。シンプルなデザインと落ち着いたカラーリングは、どんな場面にもしっくりなじみます。
Nikon「ACULON T02 8×21」
Nikon
ACULON T02 8×21
実勢価格:5700円
本体サイズ(mm):約幅104×奥行87×高さ34
重量:約195g
倍率:8倍
対物レンズ有効径:約21mm
実視界:約6.3度
ひとみ径:約2.6mm
一眼レフカメラのレンズを製作しているNikonの技術が生きているコンパクトな双眼鏡です。レンズに光の透過率を高める多層膜コーティングを施すことで、光量の少ない屋内でも鮮明な視界の確保を可能にしました。
機能だけでなく、多くの工夫により使いやすさも追求しています。接眼部分の目当ては調節しやすいターンスライド式です。必要に応じて眼鏡を掛けるという人も、自分に合ったアイレリーフに調整できます。
大きめのピントリングでピント合わせもスムーズです。また、付属のネックストラップで首から吊るせるので、長時間の舞台やライブでも疲れにくいでしょう。
PENTAX「タンクローR 8×21 UCF R」
PENTAX
タンクローR 8×21 UCF R
実勢価格:6207円
本体サイズ(mm):約幅110×奥行83×高さ48
重量:約210g
倍率:8倍
対物レンズ有効径:約21mm
実視界:約6.2度
ひとみ径:約2.6mm
丸っこくどこかユーモラスなデザインに、高い機能を備えた双眼鏡です。映像の歪みを抑える非球面レンズを採用し、光の透過性を高めてフレア(映像の一部や全体が白くなる)やゴースト(光の反射が形となって映像に現れる)を防ぐマルチコーティングを施しています。
また、プリズムに使用した高屈折率ガラス・BaK4が光を逃すことなく反射させて、目で見る景色を鮮明に再現します。ラバーコート仕様で持ちやすく、使用・収納がワンタッチでできるスライド式の接眼目当てや、眼幅を簡単に調節できる機能など、シーンや使う人に合わせてさまざまな調整ができるのもポイントです。
BULLPEN「アイカップ付き双眼鏡」
BULLPEN
アイカップ付き 双眼鏡
実勢価格:4980円
本体サイズ(mm):約幅105×奥行90×高さ40
重量:約155g
倍率:10倍
女性が使うことをコンセプトに、持ちやすさと扱いやすさに注力した双眼鏡です。人間工学に基づいた設計と、実際にオペラグラスを利用する人に使ってもらうことで導き出された最適な重さとフォルムに仕上げられています。手の小さな女性でも操作しやすいのも特徴です。
やや緩やかな角度のアイカップは、さまざまな形状の顔にフィットするだけでなく、手ぶれも抑えます。ポロプリズム式のプリズムによる立体感のある映像と、遠方の対象にも素早くピントを合わせる機能で、ドームなどの大規模会場でも臨場感を楽しめるでしょう。
片手で持っても疲れにくく、サイドグリップや手首用ストラップなど落下防止策も万全です。
UncleHu「双眼鏡」
UncleHu
双眼鏡
実勢価格:2880円
本体サイズ(mm):約幅110×奥行90×高さ45
重量:約212g
倍率:12倍
対物レンズ有効径:約25mm
実視界:約6.5度
ひとみ径:約2.08mm
折りたたみ可能なコンパクトサイズと12倍という高倍率を両立した双眼鏡です。プリズムにBaK4を使用し、レンズにFMC多層緑膜コーティングを施すことで、高い光透過率を確保しています。対象が遠方でも、クリアな視界と解像度の高い映像が楽しめるでしょう。
柔らかい素材のアイカップは密着度が高く、アイレリーフの調節も簡単にできます。ピント合わせや眼幅調節もリング式なので、初めての人でも操作しやすいでしょう。
また、雨や夜露による水濡れや曇りも安心な生活防水設計と、持ちやすく頑丈な作りで、観劇やライブだけでなく、スポーツ観戦や花火大会、天体観測といったアウトドアでの使用にも適しています。
SALLOUS「双眼鏡」
SALLOUS
双眼鏡
実勢価格:2680円
本体サイズ(mm):約幅114×奥行105×高さ34
重量:約176g
倍率:10倍
10倍の高倍率ながら、折りたためばポケットに収まるサイズで持ち運びしやすい双眼鏡です。
BaK4素材のプリズムとレンズの多層膜コーティングで、反射や歪みを抑えて鮮明な映像を再現します。対象が100m先でも、10mの位置から見るような臨場感を味わえるでしょう。常に持ち歩いても気にならない軽さや持ちやすいフォルムも魅力です。
万一の落下の際にも衝撃を吸収しやすいラバー素材の外装と生活防水設計で、どんなシーンでも安心して使えます。付属のネックストラップを使用すれば、必要ないときは吊るしておけるので、長時間の観劇や舞台鑑賞、アウトドアなどでも疲れにくいでしょう。落としたり置き忘れたりする心配もありません。
お手頃価格が魅力のおすすめオペラグラス・双眼鏡
観劇やライブに行く機会があまりなく、そのために高価なオペラグラスや双眼鏡を買うのは抵抗があるという人には、リーズナブルな価格のものがよいでしょう。お手頃価格でも必要な機能は備えているので、初めて購入する人にもおすすめです。
ミザールテック「ペット300」
ミザールテック
ペット300
実勢価格:600円
本体サイズ(mm):約幅97×奥行43×高さ20
重量:約70g
倍率:3倍
対物レンズ有効径:約25mm
スクエアタイプでかさばらないサイズのオペラグラスです。倍率は3倍と低めですが、小規模の会場やライブハウス、美術鑑賞など近距離で見るときには十分でしょう。ただし、中規模以上の会場の場合には不向きです。
ピント調整は見ながら合わせやすいダイヤル式です。片手に乗る大きさで約70gと軽量なので、長時間の使用でも疲れにくく、バッグに入れておいてもほとんど重さを感じません。持ち運びしやすく気軽に使えるので、常備用の一台にしてもよいでしょう。
眼幅やアイレリーフの調節機能は付帯していませんが、基本的な機能があればよいという人や、初めてオペラグラスを購入する人、価格を重視する人におすすめです。
Vixen「コンパクトオペラ3×28」
Vixen
コンパクトオペラ3×28
実勢価格:992円
本体サイズ(mm):約幅107×奥行66×高さ38
重量:約60g
倍率:3倍
対物レンズ有効径:約28mm
総合光学機器メーカー『Vixen』のオペラグラスです。自然な緩いカーブのついたフォルムで、眼幅も53~70mm対応なので性別や年代を問わず使えます。対物レンズの有効径が約28mmとやや大きめで、のぞいたときの明るさを確保できるのが特徴です。
倍率が3倍と低めなため、使用時の手ぶれも気になりません。ピント調節は初めてでも操作しやすいダイヤル式です。約60gと超軽量で長時間の使用でも疲れにくいだけでなく、付属のネックストラップで首から下げていてもストレスを感じないでしょう。
美術鑑賞やステージから客席までが近い会場向けですが、ホールでも前方の席なら十分使えます。
Kenko Tokina「Pliant 3×25 スリム」
Kenko Tokina
Pliant 3×25 スリム
実勢価格:446円
本体サイズ(mm):約幅115×奥行64×高さ20
重量:約65g
倍率:3倍
対物レンズ有効径:約28mm
折りたためばシャツやジャケットのポケットに軽く収まる、薄型のオペラグラスです。持ち運びのしやすさを重視する人に向いています。スタイリッシュなメタリックカラーとシンプルなデザインもポイントです。
価格はリーズナブルですが、倍率は3倍、ピント調節機能付きとオペラグラスとしての基本的な機能は備えています。対物レンズの有効径が約28mmなので、明るさも確保できるでしょう。
小規模のホールやライブハウス、子どもの学芸会や発表会などで使用するのに適しています。また、最短合焦距離が2mなので、美術鑑賞など「もう少し大きく見たい」ときにもピッタリです。
まとめ
観劇やライブでより臨場感を味わいたいとき、ステージ上の推しを近くでみたいときに、オペラグラスや双眼鏡があると便利です。肉眼では捉えきれない細かな部分をしっかり見られることで、感動や思い出も鮮やかになることでしょう。
しかし、倍率が会場の規模に合っていないと、かえって見づらくなる恐れがあります。適切な倍率のオペラグラスや双眼鏡を選ぶことが、舞台などをもっと楽しむポイントです。
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