真空管アンプとは?

真空管アンプとは? イメージ

普段音楽はイヤホンやBluetoothスピーカーで聴いているという人に、一度体験してほしいのがピュアオーディオです。

ピュアオーディオとは、スマホやパソコンなどのプレイヤーとアンプ、スピーカーを単独で用意し、組み合わせて「システム」として楽しむ伝統的なオーディオのスタイル。

このスタイルのメリットの1つが、真空管アンプを手軽に取り込めることにあります。

真空管アンプとは? イメージ2

真空管は半導体が普及する以前は電子機器に欠かせないものでした。大半の用途が失われた今でも、アンプ用では根強い支持があります。

アンプの役目はスピーカーを駆動する電気信号を回路を通して増幅することですが、真空管は半導体と異なり電圧が高くなると音をまっすぐ増幅できずにひずみだします。

ところが、このひずみが人間の耳には「力強い」「鮮やか」など心地よい印象を与えやすい特性があるのです。数学的な見地では半導体で増幅するデジタルアンプのほうが高性能ですが、聴感では真空管ならではの“真空管サウンド”が勝ることも多いんです。

そんなアンプにはいくつか種類があります。

アンプには「プリ」と「プリメイン」の2種類がある

アンプには「プリ」と「プリメイン」の2種類がある イメージ
アンプには「プリ」と「プリメイン」の2種類がある イメージ2

接続できる機器はさまざまですが、最近増えている格安真空管アンプ・真空管プリメインアンプはカジュアルに使えるように意外と入力端子が豊富です。

そこで今回は、「真空管アンプではじめる格安オーディオの世界」への第一歩として、いい感じの音が出て安い真空管アンプを探して、プロと一緒にテストを行いました。

おすすめ真空管アンプの選び方は?

おすすめ真空管アンプの選び方は? イメージ

真空管アンプを使ったピュアオーディオは、音がにじみやすいもののそれが豊かに聴こえるといった醍醐味があることがわかりました。

しかし、実際に真空管アンプを選ぶ際はどのような点に注意したらいいのでしょうか。最新の真空管アンプ選びにおける4つのポイントをご紹介します。

選び方のポイント1:スマホ対応

最近の真空管アンプはスマホとのBluetooth接続に対応するモデルがあります。特にBluetooth 5.0で情報量の多い「aptX」コーデックに対応しているものを選ぶのがおすすめ。サブスクサービスのストリーミング再生を、つややかな真空管サウンドに変換して楽しめます。

選び方のポイント2:RCA入力

一般的によく使われる赤白のアナログ入力端子(RCA入力)があれば、あらゆる機器からの音を真空管サウンドに加工できます。今回検証した製品にはすべて搭載されていました。

選び方のポイント3:パソコン入力(ハイレゾ対応)

PCとのUSB入力で24bit/192kHzのハイレゾに対応していればバッチリ。ハイレゾ音源を、さらに想像以上の「いい音」で聴くことができます。

選び方のポイント4:イヤホン出力

イヤホン(ヘッドホン)出力があれば、そのまま「真空管ヘッドホンアンプ」として使えます。直接挿すだけで有線接続で聴けるので便利です。

真空管アンプを選ぶ際は、以上の4つのポイントに注意するといいでしょう。

真空管アンプのテスト方法は?

真空管アンプのテスト方法は? イメージ

今回の検証にはサウンドプロデューサーの大澤 大輔氏、東京音研放送サービスの原田 裕弘氏にご協力いただき、Amazonなどのネット通販で購入可能な7製品を比較しました。

試聴場所はマンションのリビング(12畳)。音量(正確には音圧)はカメラマンなど含めたスタッフ5人の合議で迷惑にならない音圧として65dB SPLを基準としました。

使用したスピーカーはこちら

使用したスピーカーはこちら イメージ

JBL
Stage A120
実勢価格:1万6045円

サイズ・重量:W17×D17×H28.5cm・3.81kg
構成:114mm径ウーハー、25mm径ツイーター
※画像はAmazonより

スピーカーはJBL「Stage A120」を使用し、PCからアンプに音源を入力しています。

検証では、選び方のポイントに挙げた4項目を徹底比較。スピーカーと音圧を固定した環境なので相性も含めた評価となりますが、音の奥行き感、低音域の厚みが素人の耳にもわかるほど製品ごとに違いました。

それでは、テストの結果をおすすめ順にランキングで発表します。

【おすすめ真空管アンプ1位】Nobsound「P1 Pro」

【おすすめ真空管アンプ1位】Nobsound「P1 Pro」 イメージ
王冠アイコン

Nobsound
P1 Pro
実勢価格:1万888円

付属真空管:6J5管
タイプ:プリアンプ

▼テスト結果

  • スマホ対応: ◯
  • RCA入力: ◯
  • パソコン入力: ◯
  • イヤホン出力: ◯

ベストバイに輝いたのは、Nobsound「P1 Pro」。美しいひずみと厚みと温かさがあると、高評価でした。2位製品と差が大きかったので、アタリの個体に巡り合った可能性もありますが、1万円台とは思えないポテンシャルです。

ちなみに、「P1 Pro」はプリアンプなのでパワーアンプを介してスピーカーに接続します。

パワーアンプ&ACアダプターも用意しました

パワーアンプ&ACアダプターも用意しました イメージ

FX-AUDIO
FX-98E
実勢価格:5980円

サイズ・重量:W168×D96×H33mm・495g
デジタルアンプIC:ST Microelectronics製TDA7498E

パワーアンプ&ACアダプターも用意しました イメージ2

サクル
SCL-12V2A-ADAPTER-PSE-TY01-450
実勢価格:1380円

プリアンプの音をスピーカーに出力するため、FX-AUDIO「FX-98E」を使用してさらに増幅させます。こちらは価格重視の選択です。

パワーアンプ&ACアダプターも用意しました イメージ3

Thu’s Radio
DCプラグ 変換アダプター
実勢価格:480円

今回の検証の際は、こちらと組み合わせてパワーアンプとACアダプターのプラグ径を合わせました。

接続するとこんな感じに

接続するとこんな感じに イメージ

アンプ同士の接続にRCAケーブル、パワーアンプとスピーカーの接続にスピーカーケーブルが必要です。Amazonなどで売っている格安品で十分です。

見た目・サウンド・利便性のいずれにも優れたシステムが出来上がりです。真空管のボリュームを最大にして音量調節はパワーアンプで行いましょう。

スマホもパソコンもバッチリつながる

スマホもパソコンもバッチリつながる イメージ

PCとのUSB入力では24bit/192kHzのハイレゾ再生が可能。Bluetoothは5.0で情報量の多い「aptX」コーデックに対応しています。

ハイコスパなJBLで価格以上の音

ハイコスパなJBLで価格以上の音 イメージ

「P1 Pro」との組み合わせでは低音も家庭で聴くには十分な厚みがあります。試聴した曲中に右から左へとドラムが素早くロールする箇所があり、その音程の変化をはっきり感じ取れました。

今回の検証では低音が不明瞭になるアンプも多かったため、「P1 Pro」とJBL「Stage A120」は良好なマッチングといえます。

「P1 Pro」とJBLの相性がよく、想像以上にいい音&便利なシステムです。まるでこじゃれたバーのような高級感のある音が広がりますよ!

【おすすめ真空管アンプ2位】Nobsound「Douk Audio G6」

【おすすめ真空管アンプ2位】Nobsound「Douk Audio G6」 イメージ

Nobsound
Douk
Audio G6
実勢価格:1万288円

付属真空管:6K4
タイプ:プリメインアンプ

▼テスト結果

  • スマホ対応: ◯
  • RCA入力: ◯
  • パソコン入力: ◯
  • イヤホン出力: ×

2位はNobsound「Douk Audio G6」。スピーカーに直結できるプリメインアンプでは一番のオススメ。真空管らしい重さとまとまり感のあるサウンドで、音にパワーがあり華やかでした。

【おすすめ真空管アンプ3位】Dilvpoetry「Dilvpoetry Tube-T6」

【おすすめ真空管アンプ3位】Dilvpoetry「Dilvpoetry Tube-T6」 イメージ

Dilvpoetry
Dilvpoetry
Tube-T6
実勢価格:1万1000円

付属真空管:ソビエト6Ж1П
タイプ:プリアンプ

▼テスト結果

  • スマホ対応: ◯
  • RCA入力: ◯
  • パソコン入力: ◯
  • イヤホン出力: ◯

3位はDilvpoetry「Dilvpoetry Tube-T6」。全音域にわたって躍動感のあるサウンドが魅力。音色は明るめで真空管らしい響きもあります。ただ「女性ボーカルだとクリアに聞こえない」という指摘もありました。

4位: 【おすすめ真空管アンプ4位】FX-AUDIO「TUBE-00J UNLIMITED6J1」

4位: 【おすすめ真空管アンプ4位】FX-AUDIO「TUBE-00J UNLIMITED6J1」 イメージ

FX-AUDIO
TUBE-00J
UNLIMITED6J1
実勢価格:8660円

属真空管:6J1 ミルスペック選別品
タイプ:プリアンプ

▼テスト結果

  • スマホ対応: ×
  • RCA入力: ◯
  • パソコン入力: ×
  • イヤホン出力: ×

4位はFX-AUDIO「TUBE-00J UNLIMITED6J1」。P1 ProやG6より低音の余韻が少ないため隣室に伝わりやすい低音が出すぎません。音はドライです。低音域が重すぎず、都会の住宅事情にマッチしたアンプです。

4位: 【おすすめ真空管アンプ4位】AIYIMA「AIYIMA TUBE-A5」

4位: 【おすすめ真空管アンプ4位】AIYIMA「AIYIMA TUBE-A5」 イメージ

AIYIMA
AIYIMA
TUBE-A5
実勢価格:6555円

付属真空管:北京6J4
タイプ:プリメインアンプ

▼テスト結果

  • スマホ対応: ◯
  • RCA入力: ◯
  • パソコン入力: ×
  • イヤホン出力: ◯

同4位はAIYIMA「AIYIMA TUBE-A5」。真空管ぽさは薄いけどスッキリした音でコスパは超優秀! U8000円では検証製品で一番オススメです。音に重さや厚みはないもののスッキリした音で聴きやすいです。

5位: 【おすすめ真空管アンプ5位】Dilvpoetry「Dilvpoetry R50」

5位: 【おすすめ真空管アンプ5位】Dilvpoetry「Dilvpoetry R50」 イメージ

Dilvpoetry
Dilvpoetry
R50
実勢価格:6999円

付属真空管:北京6J4
タイプ:プリメインアンプ

▼テスト結果

  • スマホ対応: ◯
  • RCA入力: ◯
  • パソコン入力: ×
  • イヤホン出力: ◯

5位はDilvpoetry「Dilvpoetry R50」。ひずみのせいで80年代のコンポみたいな音がします。中音域から高音域の情報量が少ないため音に立体感があまりありませんが、よく言えば懐かしい音です。

6位: 【おすすめ真空管アンプ6位】FX-AUDIO「TUBE-04J」

6位: 【おすすめ真空管アンプ6位】FX-AUDIO「TUBE-04J」 イメージ

FX-AUDIO
TUBE-04J
実勢価格:7580円

付属真空管:北京6K4
タイプ:プリメインアンプ

▼テスト結果

  • スマホ対応: ×
  • RCA入力: ◯
  • パソコン入力: ×
  • イヤホン出力: ◯

6位はFX-AUDIO「TUBE-04J」。TUBE-00Jと比べると「どうしたの?」と思うぐらい音の分離が悪く、薄っぺらい音でした。ギターや女性ボーカルの艶を感じられませんでした。

真空管アンプ使用のピュアオーディオは試す価値あり

以上、真空管アンプのおすすめランキング7選でした。

Amazon購入した7製品は音も違うし接続できる機器も違いましたが、ベストバイのNobsound「P1 Pro」は想像以上にいい音でした。

真空管アンプはAmazonでたくさん売られていますが、格安なぶん故障個体にあたる可能性があります。その際は遠慮なく返品を!