民間の自己採取キットが登場!「在宅PCR検査キット」を検証
2020年9月上旬現在、保険がきく行政主導の日本のPCR検査は、コロナウイルスの疑いがあると医師が判断しなければ受けられない仕組みになっています。無症状でコロナにかかっているか調べたい場合は自費となり、それは約2~3万円と高額。検査ができるクリニックも増えてはいますが、まだ気軽にいつでも受けられるというには遠いです。
そこで登場したのが、「在宅PCR検査キット」。このキットは唾液などの検体を自分自身で採取し、指定されたクリニック等に郵送するとPCR検査結果が届く遠隔キットです。
病院に出向く必要がなく、自宅ですべて完結するため利便性は高そうですが、果たしてこのキットは「PCR検査数が少ない」と言われる日本の現状を打破できるのでしょうか。医師の方々の意見も伺いつつ、徹底検証した結果を2回にわたってご紹介します。
PCR検査キットを購入して編集担当が実際に検査してみました
そもそも、自宅のPCR検査キットとはどんなモノなのか? ということでまずは、自宅でできる「PCR検査キット」を購入し、実際に編集部員が試してみました。
今回購入したPCR検査キットは以下の3製品です。
1:メドラボ
メドラボ
医師によるオンライン診察×
在宅のままできるPCR検査
実勢価格:1万6900円
メドラボ「医師によるオンライン診察×在宅のままできるPCR検査」は、直接医師の採取指導があった綿棒つっこみ式のタイプ。
2:感染症検査クリニック
感染症検査クリニック
PCR検査 検体採取キット
実勢価格:1万6280円
感染症検査クリニック「PCR検査 検体採取キット」は、オンラインの窓口スタッフの指導で唾液を採取します。
3:GeneLife(ジーンライフ)
GeneLife
新型コロナウイルス唾液PCR検査キット
医師のフォローアップ説明付き
実勢価格:1万4900円
GeneLife(ジーンライフ)「新型コロナウイルス唾液PCR検査キット 医師のフォローアップ説明付き」は、完全自己採取の唾液検体をポストに投函するタイプです。
それでは、編集部員が実際に試してわかった、それぞれの検査方法や結果が出るまでの流れなどをご紹介していきましょう。
【検証1】メドラボ「医師によるオンライン診察×在宅のままできるPCR検査」
メドラボ
医師によるオンライン診察×
在宅のままできるPCR検査
実勢価格:1万6900円
3キットのうち、唯一医師に直接画面で監視・指導したのがメドラボ「医師によるオンライン診察×在宅のままできるPCR検査」です。8月の採取だったため今回は喉の周辺から採る咽頭ぬぐい法でしたが、10月1日からは唾液採取に変更されています。
予約:アプリで診療予約
専用アプリでオンライン診察の日時を予約します。
予約をした後は、症状の有無など49問の長い「問診票」の入力が求められ、少し手間でした。
採取:オンラインで医師の指示通りに咽頭採取
オンライン指導であっという間に検体を採取できました。「採取さえしっかりやれば病院採取との結果に差異は出ない」とのことです。
▼手順
医師の目の前で採取します(約8分間)。
喉奥付近の頬の粘膜に綿棒を押し付けます。
検体を3重包装して採取完了。冷凍で保管します。
発送:冷凍保管した検体を翌日発送する
冷凍した検体を翌日AMに郵便局員(ゆうパック)に渡します。
結果:メールでPDFが届く
検査結果:陰性
検体を渡した翌日に、登録したメールアドレス宛にPDFの結果書面が1枚届きました。書類には医師名付きで「陰性であると診断」と書かれていました。
【検証2】感染症検査クリニック「PCR検査 検体採取キット」
感染症検査クリニック
PCR検査 検体採取キット
実勢価格:1万6280円
唾液採取の感染症検査クリニック「PCR検査 検体採取キット」は専門会社が受け取りにくるのが特徴。そのため、現在の回収可能地域は東京・愛知・大阪・福岡に限られます。
予約:アプリで診察予約
こちらも専用アプリからPCR検査の手順説明を予約。問診票はほぼなく、予約だけでした。予約完了画面には当日、医師からのコールを待つと書いてありましたが、聞いてみたら医師ではなくスタッフさんでした。
採取:スタッフのオンライン指導で唾液を採取
本人確認のため健康保険証を提示して診察開始。目の前で唾液を採取しました。封はその場で行いません。同意書の記入もあります。
▼手順
採取方法の説明を受けます。
唾液をメモリ2まで出します。
検体は後で自分で袋に入れ、常温で保管します。
発送:回収を依頼して専門会社が取りにくる
自分で電話して回収を依頼します。専門業者が翌日受け取りに来ました。
結果:結果は専用サイトの画面のみ
検査結果:陰性
オンラインで「検査結果の内容は病院と変わらない」と言われましたが、covid-19感染検査結果と書かれた画面には「陰性」という文字の他はほぼ何も書かれておらず、医師などの名前もありませんでした。
【検証3】GeneLife「新型コロナウイルス唾液PCR検査キット」
GeneLife
新型コロナウイルス唾液PCR検査キット
医師のフォローアップ説明付き
実勢価格:1万4900円
最初から最後まで誰とも話したりメールなどのやりとりをせず採取・発送できたのは、GeneLife(ジーンライフ)「新型コロナウイルス唾液PCR検査キット 医師のフォローアップ説明付き」だけでした。これを不親切とするか、ラクと捉えるかは、人によりそうです。
予約:なし
インターネットから普通のネット通販のようにPCR検査キットを購入。特に問診やオンライン診察の予約等もなく、箱の中に入っていたQRコードに従い、IDを入力。これでもう準備は完了です。
採取:専用サイトに従いすべて自分で採取
イラストと説明文が書かれている説明サイトに従い、自分で採取・梱包。こちらも同意書の記入がありました。
▼手順
体温の入力や軽い問診があります。
1人で線まで唾液を採取します。
3重包装して採取終了。常温保管します。
発送:自分でポストに検体を投函
採取後7日以内に自分でポストに検体を投函します。
結果:専用サイトで発表
検査結果:低リスク(陰性)
高リスクと低リスクのタグがあり、「低リスク」にチェックがありました。コロナに特徴的なRNA配列が検出されず医師により陰性と判定と説明書きがありました。
素人でも簡単にできたけど同時に疑問点も浮上?
今回購入した検査キットの検体採取方法は「咽頭ぬぐい法」か「唾液採取」の2つでした。
ゆうパックで送るか専門業者を使うかなど、細かな差はあるが基本的な流れはどれも一緒。少し難しかったのは「咽頭ぬぐい法」という喉の奥の粘膜を綿棒でぬぐう時ぐらいで、なんの知識もない素人でも即検査は完了しました。
診断結果はどれも陰性でしたが、実は検査結果が正しいかを確かめるため、同日に病院での自費PCR検査も受診。そちらも陰性で結果に差異はありませんでした。
しかし、さらにいくつかの疑問が浮上。そもそも素人が正確に検体を採取ができるのでしょうか? また素人目ではしっかり梱包したけど、もしコロナに感染していて輸送中に検体が漏れたらどうなるのでしょうか?
さて、次回の配信(10月18日予定)では、そのあたりを医師に聞いてみた驚きの事実をお届けします。
※情報は『MONOQLO』2020年11月号掲載時(9月18日発売)のものです。実際にキットを購入する際は最新の情報を確認してください。
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