A4用紙が折らずに入る 使い勝手のいいサイズです
仕事のメモはもちろん、ダイレクトメール、子どもの学校のお知らせなど、個人情報を含む文書を処分するために、ちゃんとシュレッダーを使用していますか? 住所や氏名、電話番号などの個人情報は、振り込め詐欺をはじめとした犯罪に利用される可能性があり、必ず細断してから捨てることをオススメします。
今回紹介するのは、家庭用としてはちょっと大きなサイズのパーソナルシュレッダーです。すでに卓上シュレッダーを利用していて、「細断サイズが大きい」「1度に細断できる枚数が少ない」「稼働時間が短い」「対応する用紙のサイズが小さい」「ダストボックスが小さい」「ゴミがすぐこぼれる」というような不満を感じているなら、このランキングは必見。
5台の製品はすべて幅2mm程度のマイクロカットに対応。もちろん長さも20mm以下にカットしてくれます。A4サイズの用紙に対応しているため、大抵の文書はそのまま挿入が可能。A3サイズだってふたつ折りでOKです。さらに注目したいのがダストボックスの大きさ。家庭での利用なら10L程度あれば、意外と面倒な細断片を捨てる回数がグッと減ります。
家庭用としてだけではなく小規模なオフィス用としても活躍間違いなし。シュレッダーを持っていない人も、すでに持っている人も注目のランキングです。
たくさんゴミが入った 「S43MC」がベストバイ
ベストバイに選ばれたのは、約15Lとダストボックスのサイズがもっとも大きかったアスカ「S43MC」でした。ゴミを捨てなくてもA4コピー用紙を約200枚も裁断できるのはやはり魅力的です。細断サイズは小さく、騒音も抑えられており、バランスのいい一台でした。
アスカ
S43MC
実勢価格:1万1657円
より詳細なスペックは検証方法の解説のあとに紹介します。
実際に使用した際の 「騒音」「ゴミ処理」に注目
シュレッダーでまず見るべき機能は、文書をいかに細かくできるかです。今回は、本誌の本文も読むのが難しくなる約2mm幅へのカットに対応したシュレッダーを用意しましたが、並べてみれば意外とサイズに違いがありました。
ネットを疑う家電購入ガイド『家電批評』の誌面をコピー用紙に印刷して細断してみた結果、文字はかろうじて読めますが、内容の詳細はわかりません。
1度に細断できる枚数や連続して使用できる時間なども使い勝手を左右します。まずは、こうした基本スペックどおりに動作するかを確認しました。ホチキスで綴じられた文書への対応や、クレジットなどのカード、CDやDVDといったディスクへの対応も注目です。
実際に使用したうえで気になったのが、動作時の騒音とゴミ処理です。騒音はファミレスの店内よりうるさい70dB程度と、想像以上の大きさ。早朝や深夜に使用するのははばかられそうです。ゴミ処理で気になるのは、ダストボックスの外にこぼれる細断片です。筆者はこぼれる細断片の多さに卓上シュレッダーを使わなくなったことがあるため、要チェックポイントのひとつとしました。
大きめのシュレッダーといえば、巻き込み事故に遭わないかも気になるところ。安心して使用するため、投入口の幅やスイッチの使いやすさも評価しました。
上記を踏まえて、評価項目を確認していきましょう。
文字が読めないくらいに細断できるのが安心です
【基本……60pt】
今回検証したシュレッダーはすべてマイクロカットに対応。細断幅は約2mmですが、0.5mm程度は差がありました。長さも2mmくらい違いますが、どちらも実用的に不満に感じるほどではありませんでした。すると差が出るのは、1度に細断可能な枚数や連続して使用できる時間、ダストボックスの容量など。カタログスペックどおりに動作するか、実際に細断して確認しました。
■裁断サイズ:10pt
ダストボックスから細断片を5枚抜き出し、サイズを測定して平均値を出しました。
■同時切断枚数:10pt
■連続使用時間:10pt
シュレッダーは製品ごとに同時に細断できる枚数と、連続稼働できる時間が定格により決まっています。これがカタログスペックどおりかを確認しました。
■細断容量:10pt
ダストボックスにどれだけの枚数が入るのかも、社内にあった不要な文書をかき集めて細断しながら確認しています。
■紙以外の対応:20pt
今回検証したシュレッダーは、細めのホチキスの芯なら外さなくても細断ができました。
動作音があんまり大きいのは困ります
【使用感……30pt】
細断時の動作音は、全製品70dB以上。用紙を挿入せずに稼働した際の動作音と併せて評価しています。1回あたりの細断時間が短ければ音の出る時間も短くなるため、A4用紙を1枚細断する際にモーターが動作する時間も計測しました。ゴミ捨て時にダストボックスからこぼれる細断片の量も使用感を左右します。
■騒音:10pt
シュレッダーの業界試験基準を参考に、本体から約1m、床上1.2mの位置に騒音計を設置し、動作音を測定しました。用紙の枚数で差が出ないように、今回は全製品A4コピー用紙3枚を細断した結果で評価しています。
なお、環境省の「生活騒音パンフレット(2019年3月)」では、騒音の目安は上図のように規定されています。(画像をクリックすると資料の公開ページが開きます)
■細断速度:10pt
A4用紙1枚を自動細断し、細断を開始してからモーターが止まるまでの時間を5回計測。平均値を算出しました。
■ゴミ捨て:10pt
約30枚のA4コピー用紙を細断後にダストボックスを外し、ゴミがどれくらいこぼれるかを評価しました。
巻き込み事故対策はどうなっている?
【安全性……10pt】
同時にたくさんの用紙を細断できるシュレッダーほど、指や衣服などの巻き込み事故が気になります。投入口に指が入らないか、スイッチをオフにしやすいか、警告表示はあるかなど、安全面も確認しています。
■操作パネル:5pt
警告表示が見やすい位置にあるか、スイッチが操作しやすいかも大切なポイントです。
■投入口の幅:5pt
用紙投入口は子どもが指を巻き込まれないよう、幅12mm以下である必要があります。
1000枚以上の用紙を裁断した今回の検証。細断片のサイズや定格細断枚数といった「基本」性能を中心に、検証した際の「使用感」や「安全性」を含めて5台のシュレッダーを100pt満点で評価していました。
続いては、お待ちかねのランキングの発表です。
いくら細断してもゴミが膨れない アスカ「S43MC」
5台のシュレッダーでコピー用紙を細断し続けた検証で、第1位となったのがアスカの「S43MC」です。
細断片のサイズは幅2.4mm前後、長さ9mm前後という細かさで復元は困難。しかも同時に5枚細断可能で、連続使用時間は6分間と長めのため、1回の作業で200枚以上のA4コピー用紙を処理できます。
アスカ
S43MC
実勢価格:1万1657円
- :
- 対応: カード/ディスク/ホチキス(10号/11号)
- 細断容量: 約15L
- 対応用紙サイズ: A4(220mm)
- 定格細断枚数: 5枚(A4コピー用紙)
- 最大細断枚数: 6枚(A4コピー用紙)
- 定格使用時間: 6分間
- 休止時間: 約60分間
- 消費電力: 130W(50/60Hz)
- 使用電源: AC100V(50/60Hz)
- センサー: オートスタート、ストップ
- サイズ: W200×D375×H415mm
- 重量: 約6.8㎏
- :
- 平均細断片サイズ: 8.87×2.43mm
- 騒音(未細断): 54.6dB
- 騒音(3枚細断): 73.1dB
- 平均細断速度: 1.6m/min
- 細断収納枚数: A4コピー用紙200枚
- 基本: 48/60
- 使用感: 19/30
- 安全性: 10/10
- 合計: 77/100
ダストボックスの容量が約15Lと大きいため、これだけの200枚を処理しても途中でゴミ捨ては不要。検証でも実際にA4コピー用紙を200枚分もためることができました。
A4コピー用紙を約30枚細断後にダストボックスを引き出すと、本体側にゴミは落ちておらず、刃にもあまり残っていませんでした。
80枚以上細断してもまだまだ余裕がありましたが、このくらいで片付けたほうが掃除はラクです。ゴミを200枚近くまでためると本体側にこぼれるゴミが増え、刃にも残りました。
細断時の騒音も75dB以下と好成績。シュレッダーとしてはとても静かです。
■細断片
幅は約2.4mm、長さは約9mmとかなり細かくなりました。なお、計測はA4用紙1枚細断時に行っています。
■操作パネル
投入口の幅が広めのため、よれよれの用紙を5枚重ねた状態でもスッと挿し込むことができました。
■カード・ディスク
ディスクやカードは3分割に細断できました。ディスクならこれでもほぼ復元はできなくなります。
メディア用のダストボックスは約1.2Lと余裕があります。
5製品中もっともサイズが大きいですが、処理する文書が多い人には特にオススメです。
動作音の小ささに驚かされました ナカバヤシ「NSE-NLM02」
第2位のナカバヤシ「NSE-NLM02」は、動作時のモーター音の小ささとダストボックスの外にこぼれるゴミの少なさに驚かされました。
3枚細断時の騒音は数値的には大きめですが、モーター音が小さいためそれほど気になりません。
本体が細みなのでデスクの足元に置いてもジャマにならないのもポイントです。
ナカバヤシ
NSE-NLM02
実勢価格:1万4080円
- :
- 対応: カード/ディスク/ホチキス(10号/11号)
- 細断容量: 約8L
- 対応用紙サイズ: A4(223mm)
- 最大細断枚数: 3枚(A4コピー用紙)、1枚(郵便はがき)
- 定格使用時間: 約5分
- 休止時間: 約60分間
- 定格消費電力: 100W(50/60Hz)
- 使用電源: AC100V(50/60Hz)
- センサー: オートスタート、ストップ
- サイズ: W162×D340×H328mm
- 重量: 5.5kg
- :
- 平均細断片サイズ: 10.00×2.42mm
- 騒音(未細断): 50.9dB
- 騒音(3枚細断): 76.1dB
- 平均細断速度: 1.7m/min
- 細断収納枚数: A4コピー用紙103枚
- 基本: 40/60
- 使用感: 22/30
- 安全性: 10/10
- 合計: 72/100
A4コピー用紙なら最大3枚まで同時に細断できます。
約30枚細断しても本体側にゴミが一切こぼれず、刃にもほとんど残りません。
ダストボックスは小さめなので、50枚を超えると少しこぼれることがありました。
■細断片
長さは9~10mm、幅は約2.5mmと細かくカットしてくれました。
■操作パネル
用紙の投入口は幅が狭く、よれた用紙だとうまく入れられないこともしばしば。その分巻き込みの心配は少ないです。
■カード・ディスク
ディスクは5分割と、もっとも細かくしてくれました。
静音性やコンパクトさを重視するならとても魅力的な製品です。
細断幅が狭いので安心です フェローズ「JB-06CDM」
細断片の幅が2.1~2.3mmと細かったのが第3位のフェローズ「JB-06 CDM」です。幅が狭いほど読みにくくなるため、文字の細かい文書を処理することが多いのならファーストチョイスになります。
フェローズ
JB-06CDM
実勢価格:1万273円
- :
- 対応: カード/ディスク/ホチキス(10号/11号)
- 細断容量: 12L
- 対応用紙サイズ: A4(220mm)
- 定格細断枚数: 5枚(A4コピー用紙)
- 最大細断枚数: 6枚(A4コピー用紙)
- 連続使用時間: 5分間
- 休止時間: 約45分間
- 消費電力: 180W
- 使用電源: AC100V(50/60Hz)
- センサー: オートスタート、ストップ
- サイズ: W180×D380×H405mm
- 重量: 7kg
- :
- 平均細断片サイズ: 13.37×2.14mm
- 騒音(未細断): 68.5dB
- 騒音(3枚細断): 80.5dB
- 平均細断速度: 2.0m/min
- 細断収納枚数: A4コピー用紙150枚
- 基本: 43/60
- 使用感: 16/30
- 安全性: 10/10
- 合計: 69/100
一度に細断できる枚数は最大でA4コピー用紙6枚ですが、長く利用すためには定格の5枚以内に抑えておきましょう。
A4コピー用紙を約30枚細断したところでダストボックスを引き出すと、本体側に残るゴミは写真のような状態。少し多めです。
刃にも少し残りました。
約100枚細断すると、8割くらいが埋まります。用紙だけを細断する際にはメディア用のダストボックスを取り外しておけば余裕がうまれます。
■細断片
幅が2.1~2.3mmと細めだったのに対して、長さは約13mmと5製品で最長でした。
■操作パネル
投入口は用紙・ディスクそれぞれ4mm以下。5製品中唯一スイッチに「手動細断」モードがありません。
■カード・ディスク
ディスク・カード投入部のフタはガイドになっており、ディスクやカードをまっすぐ入れることができます。
ディスク・カードは最大4分割にできました。
4位: 一度にたくさん細断できます
GBC「A25M-G/S」
第4位のGBC「A25M-G/S」は定格細断枚数が6枚、最大細断枚数が7枚とともに最多。定格連続運転時間も5分と長めで、1度に200枚近く処理できます。
本体サイズは小さめですが、ダストボックスには細断したA4コピー用紙が100枚分以上入りました。
GBC
A25M-G/S
実勢価格:1万1318円
- :
- 対応: カード/ホチキス(10号/11号)
- 細断容量: 9L
- 対応用紙サイズ: A4(220mm)
- 定格細断枚数: 6枚(A4コピー用紙)
- 最大細断枚数: 7枚(A4コピー用紙)
- 定格連続運転時間: 5分間
- 休止時間: 約60分間
- 消費電力: 200W
- 使用電源: AC100V(50/60Hz)
- センサー: オートスタート、ストップ
- サイズ: W340×D190×H324mm
- 重量: 6.3kg
- :
- 平均細断片サイズ: 12.49×2.36mm
- 騒音(未細断): 58.4dB
- 騒音(3枚細断): 72.4dB
- 平均細断速度: 1.7m/min
- 細断収納枚数: A4コピー用紙140枚
- 基本: 34/60
- 使用感: 19/30
- 安全性: 10/10
- 合計: 63/100
定格細断枚数は5台中最多のA4コピー用紙6枚です。実際に試してみると問題なく細断されていました。
A4コピー用紙を約30枚細断したところで、本体には少しだけゴミがこぼれていました。
刃にはほとんど残りません。
ダストボックスにはカタログ表記以上の140枚分のゴミが入りました。なお、カード用のダストボックスは分かれていません。
■細断片
幅は狭いですが、長さは12mm代と多少長めです。
■操作パネル
投入口はひとつですが、用紙のほかにカードを細断できます。
■カード
カードを細断する際は投入口のまん中から挿し込みましょう。
不要になった用紙を散らばらないように置いておける背面トレイが付属します。地味ながら便利でした。
5位: 細断速度が速く使い勝手は十分
アイリスオーヤマ「P3GM」
ダストボックスのフタにシュレッダーが備わった形のアイリスオーヤマ「P3GM」が第5位。
A4コピー用紙の細断速度は約6秒と最短でした。細断片も散らばらずに片付けがしやすかったです。
なお、上位との得点差はカード・ディスクの細断ができないためで、用紙の細断にかんしては大きな差はありません。
アイリスオーヤマ
P3GM
参考価格:4980円(税抜)
- :
- 対応: ホチキス(10号/11号)
- 細断容量: 約8.9L
- 対応用紙サイズ: A4(220mm)
- 定格細断枚数: 約3枚(A4用紙)
- 定格時間: 約3分
- 休止時間: 約60分間
- 定格消費電力: 約153W
- 使用電源: AC100V(50/60Hz)
- センサー: オートスタート、ストップ
- サイズ: W321×D169×H350mm
- 重量: 約3.7㎏
- :
- 平均細断片サイズ: 10.04×2.37mm
- 騒音(未細断): 75.5dB
- 騒音(3枚細断): 80.2dB
- 平均細断速度: 2.9m/min
- 細断収納枚数: A4コピー用紙120枚
- 基本: 24/60
- 使用感: 20/10
- 安全性: 10/30
- 合計: 54/100
定格細断枚数は3枚。細断時の騒音はちょっと大きめでした。
細断部分がフタになっており、引き出し式に比べてゴミが散らばりにくいのはメリットです。
刃にもほとんど残りませんでした。掃除の手軽さでは引き出し型よりも有利で、カード・ディスクの細断を行わないなら十分選択肢に入ります。
■細断片
幅、長さともに細かく、安心して文書を処理できます。
■操作パネル
投入口の中央に安全装置があり、用紙1枚では意識して差し込まないと細断されないほどでした。巻き込みしにくいつくりです。
大きめサイズは使いやすさ抜群 どれを選んでも間違いなし
いかがでしたでしょうか。今回検証した5製品はどれも文書をしっかり細断できて、使い勝手も申し分ありませんでした。1度に細断できる枚数や時間、ダストボックスの容量などのスペックで選ぶもよし、本体のサイズやデザインで選ぶもよし。文書の処理に大活躍間違いなしのシュレッダーです。