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※情報は『MONOQLO』2020年4月号掲載時のものです。価格が変動している場合や在庫切れしている場合があります。
ルーターの適正価格をはるかに超えるOrbi
ネットギアから2020年2月に発売された最新Wi-Fiルーター「Orbi RBK852」。その実勢価格は2台セットで9万円~11万円。そもそもWi-Fiルーターは安いもので5000円前後、高くても1~2万円というのが、多くの人の感覚ではないでしょうか。
かなり強気な値段設定なのは、実はこのルーター、「メッシュWi-Fi」と「Wi-Fi 6」の両方に対応した、スゴいポテンシャルを秘めた1台だからです。とはいえ重要なのは、この最新ルーターが本当に「速く」、どこでも「つながる」のかということです。
Wi-Fi 6&メッシュに対応!ネットギア「Orbi RBK852」
ネットギアジャパン(NETGEAR)
ネットギア
Orbi RBK852-100JPS
実勢価格:9万9300円
サイズ:W19.1×D7.1×H25.4cm 無線LAN規格:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax 転送速度(5GHz):2402Mbps 転送速度(2.4GHz):1147Mbps アンテナ数:高性能内蔵アンテナ8本
ホームページの紹介はもちろん、ネットの口コミやレビューでも、「広範囲で速くつながる」と注目を浴びていいるOrbi。
今のWi-Fiを語る上では外せない2つのトレンドに対応し、期待すら湧いてくる強気な価格です。ただ、「Wi-Fi 6」と「メッシュWi-Fi」の良いところを本当に活かせるのか、10万円クラスの快適さがあるのかが気になります。
本当に速くてつながる?期待の近未来型Wi-Fi
Orbiは「速いけど障害物に弱い」5GHz帯2つと、「遅いけど障害物に強い」2.4GHz帯1つのトライバンドとなっており、速さも安定性も期待できます。
単体のルーターだと間取りの広い住宅の場合、部屋の隅などで電波がつながらないということが起こりがちです。ところがOrbiの場合、ルーター(親機)とサテライト(子機)各1台のセットとなっており、最大350平米(200畳以上)の広さに電波を飛ばすことができるといいます。
ただここまでは理論上のお話。それではいよいよ、本当に値段通りの速さとつながりなのか、テストを行いました!
▼今回のテスト環境
今回、テストした場所は木造2階建て。Wi-Fiの通信速度は、2階の書斎にルーターを設置し、ベッドルーム、1階のリビング、キッチンでそれぞれ計測しました。
計測方法は2台のパソコンをWi-Fiルーターにつなぎ、パソコン間の転送速度(スループット)を計測するものです。
片方のパソコンはWi-Fi 6で接続し、一方は10GbEケーブル対応ケーブルでWi-Fiルーターと接続してデータの転送を行い、「LAN Speed Test」というソフトで速度を計測しました。
結果はどうだったのでしょうか?
感動ポイントは3つ!家のどこにいても爆速だった
まずは計測の結果からわかった「感動のPoint」を見ていくことにします。
感動ポイント1:メッシュなのに遠い部屋も爆速!
サテライトでも速度が落ちにくく、どこの部屋でもまんべんなく速度が出ました!
1F リビング
電波の飛びに影響を及ぼすテレビが設置されています。ここにサテライトを設置。
▼テスト結果
上り:313.3Mbps
下り:655.6Mbps
1F キッチン
この家でもっとも電波が届きにくいのがここです。電子レンジや冷蔵庫が設置されています。
▼テスト結果
上り:293.5Mbps
下り:639.8Mbps
2F 書斎
今回はここにWi-Fiルーターの親機を設置して計測しました。
▼テスト結果
上り:379.1Mbps
下り:745.4Mbps
2F ベッドルーム
ベッドでの使用を想定して速度を計測。テレビなど電波を阻害する機器は設置していません。
▼テスト結果
上り:313.3Mbps
下り:674.2Mbps
計測の結果は以上です。親機を設置した2階とサテライトの1階の両方で600Mbps以上の速度を出す驚きの結果となりました。
というのも、実はWi-Fi 5対応のメッシュWi-Fiルーターは、サテライトと親機間の通信速度は遅いケースがほとんどだからです。Wi-Fi 6とメッシュ対応の本機であれば、家のどこにいても爆速を体験できます。
感動ポイント2:従来の約1.5倍速い!
ベストバイルーターを余裕で超える新規格の実力はさすがでした!
どこの部屋でも速いことは分かったので、テストするモノ批評誌『MONOQLO』で過去にWi-Fi検証でベストバイに選ばれたこともあるLINKSYSのVELOP(Wi-Fi 5対応モデル)と比較も行いました。
リンクシス(Linksys)
VELOP AC6600
実勢価格:6万4015円
サイズ:約W79×H185×D79mm
重量:約490g
推奨の間取り:最大550m2
対応する規格:Wi-Fi5(11ac)
アンテナ:5GHz×4、2.4GHz×2
IPoEサービス:非対応
メッシュ:対応
タイプ:トライバンド
すると、親機の設置場所以外でもっとも速度差が小さいベッドルームでさえ、上り下りともに約1.5倍の開きがあることがわかったのです!
これは、通信が効率化されたWi-Fi 6規格そのものの恩恵も関係しているはずですが、電波の送受信など、設計部分の“出来の良さ”を実感させるものがありました。この速度、ダテではありません。
Orbiは遠く離れたベッドルームでも速度が落ちにくく、LINKSYS VELOPは十分速いのですが、1歩およばずでした。
感動ポイント3:スマホで設定デキる!
次に設定することが表示されるので、初心者でも迷いにくいです。
メッシュネットワークの構築作業は難しいと思われがちです。しかし、Orbiは面倒な設定はすべてスマホアプリから行えます。画面の指示に従ってサテライトの電源を入れたり、接続設定を行ったりするなど、ステップを踏みながら簡単に設定できました。
惜しいポイントもあります!最速かどうかと言われると…
ここまで家中どこでも速いのは感動しましたが、ただ10万円の価格を考えると「もう1歩!」のポイントもありました。
惜しいポイント1: バッファローの方が速い
メッシュWi-Fiの中では現状最速ですが、フツーのルーターとしてはバッファローの方が速いです。国内最強ルーターの壁は厚かったです。
Wi-Fi 6対応ですが、メッシュ非対応のバッファロー「WXR-5950AX12」と比較すると、下りはダブルスコアに近い結果となりました。しかも値段は半額以下なんです。
ただ、データ転送先として使用したクライアントPCを安定感のある有線LANで接続したので、10ギガビットイーサネットポートの速度が反映された点は注記しておきます。
現状、最速なルーターはコレ!
バッファロー(BUFFALO)
WXR-5950AX12
実勢価格:3万2800円
▼「Wi-Fi 6」対応無線LANルーターのおすすめランキングを紹介した記事はこちら!
惜しいポイント2:高速な有線ポートが欲しい
Wi-Fi 6を活かせる有線LAN環境がイマイチでした。
通信の遅延を嫌うゲーマーやNASユーザーから根強い人気を誇る有線LANポートは1ギガビット止まりでした。2.5ギガビット対応ポートは、モデムへの接続のみの対応です。
この価格帯なら有線ポートも10ギガビット対応でないと、NASユーザーや一瞬の遅延も許さないゲーマーの所有欲を満たすのは厳しいでしょう。
背面 ネットギアの場合
背面 バッファローの場合
惜しいポイント3:対応機器が少ない
Wi-Fi 6対応ルーターがいくら速くても、対応機器がなければ宝の持ち腐れです。残念ながら現状では、スマホもPCも対応機器は数える程度。対応機器増が「6」普及のカギです。スマホもパソコンも、春モデルに期待したいところです。
Wi-Fi 6対応スマホ
Wi-Fi 6対応PC
【まとめ】メッシュ最強だけどさすがに10万円は高すぎる
ここまで2回に渡ってスペックと実測値を検証をしてきましたが、やはりネックはその価格です。ゲーマーでも、NAS派でも、さすがに10万円は高い気がします。「買い」は対応機器が揃ったらといった感じでしょうか。
ただ、現在トップクラスで速いメッシュWi-Fiであることは間違いありません。iPhone11ユーザーや遅延が気になるゲーマーで、かつ自宅が広く接続環境に不満を持っている人、Wi-Fi 6対応機をバリバリ使いこなしたい人の製品と言えそうです。
有線の速度がおろそかになってるのは残念なポイント