多機能モバイルバッテリーは“持ち歩ける災害対策”です
日本は稀に見る地震発生国です。国土技術センターの統計によると、地球上で発生するマグニチュード6以上の地震のうち、20%が日本の周辺で発生しています。
また、震災後の対応も昔とは変わり、情報の収集や拡散、余暇の過ごし方など防災にも携帯電話・スマートフォンが活躍しています。防災用に避難袋を準備している人もいるかと思いますが、家にいるときに災害が発生するとは限りません。
そこでスマホの命綱&お手軽災害対策として、多機能モバイルバッテリーを準備しましょう。
今回は、すぐにでも買える3000円以下で人気のライト付き大容量バッテリー7機種を、徹底検証しました。
災害時でも困らないモバイルバッテリー選びのポイント
ランキングの発表の前に、災害時に役立つモバイルバッテリーの選び方を紹介しましょう。
[ポイント1]常に持ち歩けるか
最強の防災は、常に防災グッズをカバンに忍ばせて持ち歩くことです。モバイルバッテリーも非常時に使いやすい機能が搭載されているものを、日常的に携帯することが最強の防災と言えます。普段使いなのでデザインで選ぶのもありです。
[ポイント2]サイズと容量は自分の持ち物に合わせる
スマホ以外にタブレットを使いたい人は、容量を大きくしたりポート数が多いほうが使いやすいです。しかし、スマホ以外に利用しない人は、ポート数は気にする必要はありません。普段使い優先ならサイズ、非常時なら容量や機能を重視しましょう。
[ポイント3]ライトは明るさと使い勝手が命
懐中電灯やLEDランタンとしても使えるライト機能。いくらライトの光量が強くても、使いにくかったら意味がありません。両手フリーで使えたり、部屋全体を照らしたりなど使い勝手が非常に重要になります。
[ポイント4]手探りでも使える使いやすさ
暗闇での利用や子どもや高齢者でも難なく利用できる使いやすさも重要です。
今回検証したものの中でも、ボタンを2度押ししたり長押ししたり、アームを上げるなど、ライトの使い方にはさまざまなタイプがあります。いざというときにつけやすいことも要チェックです。
以上のポイントをふまえて、日常にも緊急時にも使えるモバイルバッテリーを探しましょう。
ライトになるモバイルバッテリーを5つで項目で徹底検証!
さらに、モバイルバッテリーとしての実力がなければ話になりません。モバイルバッテリーとしての実力とライト、さらに避難時にも使える付加機能に注目して検証しました。検証方法は以下の通りです。
[チェック1]実質容量
完全放電を行い、まったく充電されていない状態からフル充電までに必要とした電気量を計測。カタログスペックではなく、実際に溜められる電気量の多さで加点しています(※20点満点)。
[チェック2]USB出力ポート数
スマホ以外にもデジカメ、イヤホン、小型扇風機など、USBで利用できる機器も最近は増えてきました。同時に充電できる台数は多いに越したことはありません。出力用のUSBポート数に応じて加点しています(※20点満点)。
[チェック3]ライトの明るさ
実際の明るさから使い勝手、利用範囲の広さなど総合的に検証しました。明るさだけでなく、利便性についても加点しています(※20点満点)。
[チェック4]サイズ
常に持ち歩けるサイズのモバイルバッテリーが最強の防災対策です。そのためコンパクトで軽く携帯性の高いものを高得点としています(※20点満点)。
[チェック5]付加機能
いざというときのために、ソーラーチャージャー(ソーラー充電)や充電スピードが速くなる規格の急速充電、防水防塵など特別な機能が搭載されている場合に加点します(※20点満点)。
ソーラーチャージャーでフル充電にはならないので過信は禁物です。しかし、自然放電を防げるため、有効だと思います。海外製品はソーラーチャージャーが機能していない可能性もあるので、平時にチェックすると良いでしょう。
【1位】ライトの使い勝手と充電効率の良さBST-0197DA
Besiter
BST-0197DA
実勢価格:1380円
サイズ:W15.1×H5.2×D2.3cm
質量:250g
カタログ容量:10000mAh
USBポート数:2ポート
合計:78pt
実質容量 13pt(8806mAh)
USBポート数 10pt(2ポート)
明るさ 20pt
サイズ 18pt
付加機能 10pt(スティックタイプ、格納式ライト)
今回1位に輝いたのは、Besiterの「BST-0197DA」です。表面にマット加工が施され、シックでビジネスバッグに入れても違和感ないデザインの商品。ロス率が1割程度で効率のいいバッテリーで、カバンに滑り込ませて持ち運びやすいスティックタイプが好印象でした。
バッテリーも100%表示で、残量が正確にわかります。バッテリーとしてもロス率が12%と低く、効率よく充電することができます。
そして、本製品の評価で一番高かったのが明るさ。これは単純な光量だけではなく、使い勝手もしっかり評価されています。
多くのモバイルバッテリーにはボタンがついていて、バッテリー残量やライトの点灯などに使われています。
しかしこの「BST-0197DA」には一切ボタンがありません。格納されているアームを開くとライトが点灯、閉じると消灯で、暗い中でもすぐに使うことができます。
また光量も多く、拡散しやすいライトの設計でも本が読めるぐらいの明るさを確保できるのです。
さらに、本体が自立するので、そのままライトスタンドとして利用でき、両手がフリーになるのも評価ポイント。旅行先でライトを追加したいときの候補としても活躍間違いなしの一品です。
【2位】アウトドア用で付加機能満載CXLiy モバイルバッテリー
CXLiy
モバイルバッテリー
実勢価格:2280円
サイズ:W8.6×H17.6×D2.5cm
質量:493g
カタログ容量:25000mAh
USBポート数:3
合計:68pt
実勢容量 20pt(15394mAh)
USBポート数 15pt(3ポート)
明るさ 12pt
サイズ 6pt
付加機能 15pt(ソーラーチャージャー、防水防塵、SOS信号、カラビナ付き)
アウトドアで活躍するモバイルバッテリーです。普段使いには不向きな大きさと重さですが、防水防塵、ソーラーチャージャーなど、非常時にも使える機能が搭載されています。
ソーラーチャージャーは発電量こそ少ないですが、蛍光灯など極微量の光にも反応しているので、自然放電を軽減する効果が期待できます。
ライトは光量はまずまずですが、バッテリー上部に付いているので使い勝手はよくありません。しかしSOSシグナル機能が搭載されていて、暗闇ではかなり目立ちます。アウトドアならではの機能です。
【3位】即席電灯になる強力なLEDライトPowerGreen
PowerGreen
モバイルバッテリー
実勢価格:899円
サイズ:W7.1×H13.5×D2cm
質量:217g
カタログ容量:10000mAh
USBポート数:2
合計:66pt
実質容量 13pt(8826mAh)
USBポート数 10pt(2ポート)
明るさ 18pt
サイズ 15pt
付加機能 10pt(ソーラーチャージャー、大型LEDライト、ストラップ&カラビナ付き)
ソーラーチャージャーの裏側に配置さた強力で大きなLEDライトが高評価。強弱と点滅の3パターンで点灯させることができます。カメラが趣味の人なら、屋外撮影の照明にも使えるほどです。
ストラップを通して上に掛ければ、即席の電灯として使うことも可能です。バッテリーよりもライトに重点を起きたい人にはこれがオススメ。
4位: 【4位】3ポートが急速充電できるレア機能
TSSIBE モバイルバッテリー
TSSIBE
モバイルバッテリー
実勢価格:2999円
サイズ:W7.5×H16.1×D2.3cm
質量:361g
カタログ容量:24000mAh
USBポート数:4
※現在販売されているものとはカラーが異なります
合計:66pt
実質容量 18pt(13846mAh)
USBポート数 20pt(4ポート)
明るさ 8pt
サイズ 5pt
付加機能 15pt(ソーラーチャージャー、急速充電3ポート、Type-C&Lightning対応)
充電容量がカタログスペックより低く、効率が良くないバッテリー。大きく重たいので持ち歩きには不向きで、ライトも申し訳程度。
ただし、3ポートの急速充電はレア機能なので、充電機器が多い人は避難袋に入れる候補にはなるかも。また、本体の充電にType-CとLightningケーブルが使える珍しい機能も搭載しています。
5位: 【5位】LEDが強力だけどロス率高い
Sympa モバイルバッテリー
Sympa
モバイルバッテリー
実勢価格:2899円
サイズ:W8×H15.7×D2.3cm
質量:422g
カタログ容量:24000mAh
USBポート数:3
合計:56pt
実質容量 17pt(12594mAh)
USBポート数 15pt(3ポート)
明るさ 15pt
サイズ 6pt
付加機能 5pt(容量表示が100%表記)
こちらも充電容量がカタログスペックより大幅に少なく、効率がよくないバッテリー。ロス率が50%とかなり大きくなっています。
LEDライトが2つ搭載されていて、懐中電灯のように手に持って使うには、指向性も高く申し分ない使い心地でした。しかし、置いて使うことは考えられていないため、工夫が必要です。
6位: 【6位】ケーブル内蔵型だけどいま一歩…
TSSIBE モバイルバッテリー
TSSIBE
モバイルバッテリー
実勢価格:2488円
サイズ:W7.7×H15.7×D1.3cm
質量:224g
カタログ容量:16000mAh
USBポート数:3
合計:54pt
実質容量 14pt(7008mAh)
USBポート数 15pt(3ポート)
明るさ 2pt
サイズ 13pt
付加機能 10pt(ソーラーチャージャー、ケーブル内蔵)
ケーブルを忘れたときでも使える内蔵型なので非常時にはかなり便利、と思いきやアダプターの格納に難ありです。ライトもソーラーチャージャーの裏側に付いていて、手に持っても置いても使いづらいです。
付属のアダプターはiPhone用のLightningとType-Cの2種類付属されています。多くの機種に対応できるのでとてもありがたいのですが、この2つのアダプターを格納部分に入れてみると……
ご覧の通り格納できません。1つのアダプターしか入らないので、利便性は半減です。
7位: 【7位】非常用にはちょっと心もとない
KYOKA 大容量バッテリー
KYOKA
大容量モバイルバッテリー
実勢価格:2280円
サイズ:W5.6×H13.9×D1.2cm
質量:177g
カタログ容量:11200mAh
USBポート数:1
合計:50pt
実質容量 12pt(7026mAh)
USBポート数 5pt(1ポート)
明るさ 3pt
サイズ 20pt
付加機能 10pt(カラバリ5種、普段使い◎)
大容量、かつ薄型軽量なのでカバンに入れて普段使いなら間違いなく候補に入ります。しかし、USBポートは1つで、ライトもとりあえず付いているだけで弱々しい。
これでは本もほとんど読めず、懐中電灯として頼るのは難しいでしょう。あくまでも予備機能として考えた方が良さそうです。
以上、非常時に役立つライト機能に注目してモバイルバッテリーを評価しました。なお、2019年2月1日よりモバイルバッテリーに「PSEマーク」の表示が義務化されました。PSEマークのないものは製造、輸入、販売ができなくなっており、マーケットプレイスの出品についてはAmazonが監督しています。
いまや情報収集にスマホは欠かせません。スマホの電源が直接の命綱となることも考えられるので、災害・停電対策に役立つモバイルバッテリーを準備しておくことをおすすめします。
災害対策ガジェットは緊急時に使えないと意味がありません。国産にこだわる必要はありませんが、普段から使いこなせる信頼度の高いものを手に入れる必要があります。