卵パックで作る マイブースが凄い!
なるべく大きな音で音楽を聞きたいものの、隣人に迷惑をかけたくはない……。そんな悩みを解決すべくたどり着いたのが、防音ブースです。しかも、専用品でなく、ホームセンターで売っているようなよくある素材で作れないか?
今回、編集部にて、様々な素材で防音効果を検証した結果、そんな安くて音が漏れにくい素材が見つかりました。
それが「紙製の卵パック」なんです。写真のように、簡易的な壁で部屋を仕切り、卵パックを貼り付けるだけなんです。使った材料費はトータル2万4940円! 6時間でここまで作ることができました。正直、見た目は微妙なんですが、防音効果は大でした。
実際、どのくらい防音できるかをプロに検証を依頼。ご協力いただいたのはこちらの方々です。
・日本騒音調査 ソーチョー
個人、法人問わず騒音に関する相談・騒音測定を行う、騒音調査のプロ
・不動産の達人 さくら事務所
人と不動産のより幸せな関係を追求する、個人向け不動産コンサルティング会社
たったの2ステップで 防音ルームが完成!
写真だとかなり大掛かりに見えますが、おもったより簡単にできました。
まずは柱を作りました。床と天井を突っ張ることで、部屋のどこにでも柱が作れるピラーブラケットを使用します。
続いて壁を作りました。今回は、両面テープを貼った断熱材「スタイロフォーム」に紙製の卵パックを設置。両面テープだけでは固定しきれなかった部分は、透明テープも使用しました。そして壁のまわりをダンボール板で覆って完成です。
作業はこれだけ。使った卵パックは130枚で、2畳の小部屋が完成しました。
防音効果を測定 30dB以上の源音効果が!
この簡単DIYでどのくらい音が小さくなったか、実際に小部屋を作った家の見取り図を使ってご説明します。
図の中央、赤枠で囲った部分が卵パックで作った防音スペースです。ここから音を出すと、ピンクノイズ(要するに雑音です)は78dB、音楽は88dBでした。
別エリアで防音効果を測定したところ、同室内は-20dBほどの減音効果があり、壁を隔てた別部屋では-30dB以上の減音効果が出ました。実感としても、ほかの部屋には音はほとんど漏れていなかったんです。
今回検証にご協力いただいた識者も、防音素材を敷き詰めた小部屋が効果的だとおっしゃいます。「部屋の防音とは、空気の出入りを管理するということです。しかし完璧な防音対策をするには、工事が必要です。ですので、小部屋を作って防音材を敷き詰めるのは理にはかなっています」ということです。
防音性能を4素材でテスト! コスパ的にも卵パックがベストです
今回の防音ルームを作成するのに先立ち、どういった素材が防音効果が高いかを、身近で手に入り、かつDIYでの施工も容易な素材で比較してみました。使用したのは、以下の4つです。
①断熱材
ホームセンターの建材コーナーでよく見かける、軽くて丈夫な断熱材です。施工性に優れています。1畳あたり1280円でした。
②サウンドガード
さまざまなホームセンターの防音コーナーにあったサウンドカードです。今回の素材の中ではもっとも高価で、1畳あたり9800円です。
③卵パック
近所の卵問屋から1枚10円で譲ってもらいました。アマゾンでも買うことができるので、入手は簡単です。
④有孔ボード
学校の音楽室にも使われる、穴が開いた板材です。最近はDIYで壁を作る素材としても注目されています。1枚(900mm×1800mm)1320円でした。
これら4つの素材全てで防音ルームを作るのは難しいので、ダンボールでミニ防音室を作って検証しました。
4つの防音素材それぞれをダンボール5面に貼り付けました。
そしてふたつのダンボール箱をくっつけ、隣り合った部屋に見立ててテスト。写真Aのダンボールには、先述の防音素材を貼りつけ、その中にPCを入れて音を出します。写真Bは何も処置していないただのダンボール箱。Aから出た音がBにどれほど伝わっているかを、騒音計を使ってチェックしました。
テスト結果からわかった素材ごとの防音性能はこちらです。
「防音」をうたっているサウンドガードはさすがの性能を見せました。ただ、2位の卵パックも優秀です。今回の検証にご協力いただいた識者も、「サウンドガードの防音効果はかなり高いので薦められます。卵パックも効果的なのは意外でした」とおっしゃっていました。
断熱材や有孔ボードは、本来は防音のために使う素材ではないぶん効果もそれなりだったといえます。実際に試すなら、効果が高く安価な卵パックが現実的です。
ただ、せっかく一番効果的だったサウンドカードを使わない手はありません。そこでサウンドカードを有効的に使うワザを最後にご紹介します。
【これで万全】ステレオの後ろに サウンドガードを貼って更に防音
テストでは、サウンドカードが防音に一番効果的なのがわかりました。本来なら、サウンドガードを全面に敷き詰めた防音部屋を作りたいところですが、それだと2畳ほどのスペースでも10万円オーバーの出費になってしまいます。しかし、この強力な防音機能はぜひ利用したいですよね。
そこでサウンドガードを効果的に使う方法を試したところ、スピーカーの後ろに設置するのが効果的だということがわかりました。音を吸って外に漏れる音を減らすのと、低音による振動が部屋全体に響くのを抑える効果が望めます。完璧ではないですが、確かな防音効果が得られるはず! ただし接触していると振動が伝わってしまうので注意です。
検証にご協力いただいた識者も「値段が高いのでピンポイントで使うのに良いと思います」とサウンドカードの部分的使用をオススメしています。
最終的に出来上がった防音ルームがこちら。卵パックの壁に、部分的にサウンドカードを使って万全な防音部屋に仕上がりました。
皆さんもDIYで自宅に防音ルームを作ってみませんか? より豊かな音楽ライフが送れること間違いありません。
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