ヒートポンプ乾燥のパナソニックと 風アイロンの日立を徹底比較
検証にあたり、洗濯物の量の目安としたのは、メーカーも提示している1日1人1.5kg。シャツ4枚(1kg弱)を基準として、そこにタオルや各種衣類を追加して重さを調整しました。
衣類は一般的なユニクロや無印良品などを中心に使用(シャツは形状安定)。シャツ4枚の「1kg弱」をテスト1とし、大人2人分の洗濯物の量にあたる「3kg弱」をテスト2、乾燥機能の限界に近い「5kg弱」をテスト3として、3つの量で検証を実施。
ちなみに、シャツ4枚のうち1枚は、あえて一般の乾燥機が不可のものにしてみました。
なお、検証は場所などの都合上、都内と埼玉県とで2箇所に分かれて検証を行っています。検証日はいずれも30℃を超える気温で、極端な水温の低下などはありません。
検証したのは最上位クラスの2台 まずは基本をチェックしましょう
使用機種にピックアップしたのは、本誌のベストバイ常連となっている日立の風アイロン搭載ドラム式洗濯乾燥機から、最上位機と同等の乾燥性能のBD-NV110Aと、本誌の昨年末のベストバイで洗浄力に定評があり、ラインナップの他機種よりも上の乾燥機能をもつパナソニックNA-VX9700。
日立(HITACHI)
BD-NV110A
実勢価格:17万4800円
サイズ・質量:W735×H1060×D620mm・約82kg
運転音:洗濯35db、脱水38db、乾燥48db
消費電力量:洗濯69Wh、洗濯~乾燥約980wh
日立BD-NV110Aは、温水ミストで黄ばみを落とす「ナイアガラ洗浄」をした後、ヒートサイクル乾燥の「風アイロン」でシワを伸ばしながら乾燥させ、アイロンがけなしでそのまま着られることをウリにしています。
パナソニック(Panasonic)
NA-VX9700
実勢価格:25万5100円
サイズ・質量:W639×H1021×D722mm・約77kg
運転音:約洗濯32dB、脱水41dB、乾燥46dB
消費電力量:定格洗濯時68Wh、定格乾燥時(ドラム標準)890Wh
※こちらの商品は生産終了となっております
一方のパナソニックNA-VX9700は、温水の洗浄力と泡の浸透力の温水泡洗浄Wを行った後、低音+除湿の「ヒートポンプ乾燥」でふんわり仕上げるのが特徴です。
日立の風アイロン効果は絶大! パナソニックの3kg超えはシワが目立ちます
今回3回行った検証の中で、両者の差が大きく出だしたのが3kg。先に結論を述べますが、日立の風アイロンは確かにスゴかった! 3kgまではホントに手間いらずの仕上がり。
パナソニックも極端に悪くはなかったのですが、3kgを超えるとかなりシワが目立ちました。日立と比べるとやはり差があると言わざるをえませんでしたが、「毎日バスタオルを洗いたいけど干す手間を省きたい」ような人には非常にいいと思います。
左がパナソニック、右が日立。袖が絡まりやすくシワになりやすい男性用長袖シャツ(形状安定)で比較。
日立は大人2人分の1日の洗濯物の重量にあたる約3kgの洗濯乾燥であっても、シャツの洗濯ジワは極めて少なく、客先への営業等でなければそのまま出られるレベルといえます。
乾燥後にそのまま着て 出かけられるレベルの日立
撮影の関係で下に置いたたためシワに見えますが、着用状態ではシワは伸びています。
他の洗濯物と絡んでシワになりやすい袖もキレイ!
背面もキレイです。
そのまま着て出かけられる仕上がり。
パナソニックは容量が増えると 洗濯ジワが出てきました
一方のパナソニックは1kgでは悪くなかったのですが、3kgになると、袖など絡まりやすくシワになりやすい部分に洗濯ジワが発生してしまいました。
全体的にはそこまで悪くはありませんが……
袖に強いシワが残っています。
背面や裾にも強めの洗濯ジワが目立ちます。
ただし、ハンガーにかけて1日吊るすと、直後よりもキレイになりました。
一晩吊っておくと細かなシワが目立たなくなるので、その辺りを許容できればパナソニックも買ってOKといえるでしょう。
さらに詳細なテスト結果を発表! 注目は目に見えて差が出る「3kg」
実は、仕上がりの違いは男性用の長袖シャツ以外にも出たんです。ここからは前述した3つの量で行ったテストの結果を、シャツの種類別にどんと発表します!
注目は、大人2人の1日の洗濯量に相当する3kg。男性用半袖シャツの仕上がりで、両者ハッキリと違いが出ました。また、乾燥時の注意点もあわせてご紹介します。
【テスト1】1kgは双方問題なし 特に日立の仕上がりはすべて◎
シャツ4枚の約1kgをテスト。日立のドラム式はやや乾燥時間が長めでしたが、その仕上がりは非常に良かったです。パナソニックも特段問題ない仕上がりでした。
薄手な分ややたらっとした印象ですが、シワはなくそのまま着用できるくらいキレイな仕上がりです。
極端な洗濯ジワなどはなく悪くはありませんが、ややクチャッとした仕上がり。スチームアイロンがあるといいかも。
シワはほとんどなし。アイロンをかけた状態とは異なりますが、そのまま来て出られるレベル。
半袖かつ形状安定ということもあり、シワも少なくそのまま着用しても問題ないレベルです。※日立とシャツが異なって見えるのは、撮影した環境が違うためです。
洗濯ジワや絡まりによるヨレもなし。形状安定ということもありますが、そのまま着て出られる印象。
部分的に大きめのシワがあったものの着用に問題ないレベル。日立と比べると劣りますが、これはこれで問題なし。
【テスト2】3kg超から差! キレイな日立と洗濯ジワが出たパナソニック
シャツ4枚にチノパン、スウェット、バスタオル2枚とタオル1枚の約3kgをテスト。
日立のドラム式は3kgまでであれば、絡まりやすいタオルなどと一緒に洗っても、程度の差こそあれ軽いケアで着られる印象でした。
一方のパナソニックは、乾燥した衣類をそのまま着られるのは3kgくらいまで。長袖シャツは袖が絡まって、洗濯ジワが発生してしまいました。
生地が薄いためさほど目立ちませんが、やや袖にシワあり。しかし、上着を着れば問題ありません。
全体にヨレた感じの仕上がりでそのまま着るのは厳しそう。ただし、一晩吊るせばキレイになります。
シワはほとんどなし。叩いて干したものよりもキレイで、そのまま着て出かけられます。
半袖で絡まりにくいからか、シワも少なく仕上がりも悪くありません。正直そのまま着られます。
シワはほとんどなく、乾燥直後でこれであれば、叩いて伸ばす必要をあまり感じません。
袖の絡まりのためか、洗濯ジワがやや目立ちます。しかし、女性用と同じく一晩吊るせばキレイに。
【テスト3】日立は比較的キレイ パナソニックは限界、5kgで明暗
シャツ4枚にチノパン、スウェット、バスタオル3枚+タオル3枚にスカート等を加えた約5kgをテスト。
限界に近い重量でも比較的キレイな日立に対し、パナソニックは3kg超えた時点でほぼ限界に近づいているようで、もはやそのまま着るのは無理なレベルでした。
ただし、シワが関係ないタオル等については仕上がりも悪くなく、また乾燥に必要な時間も日立よりは短かかったです。
3kgよりもシワが増え、全体に及んでいます。袖周りにも強いシワが目立って、ケアなしでは無理そう。
一見それほど悪くないですが、袖などに強いシワが残ります。やはりケアは必要かも。
シワはあるものの、着ても問題なさそう。半袖は絡まりにくいということで、差がついたと推測します。
3kgまでの安定性とは打って変わって、洗濯後放置したような強いシワの多い仕上がり。アイロン必須!
前面はそれほどでもありませんが、背面に強いシワが残りました。着られますが、客先訪問は避けたいレベル。
吊ってどうにかなるレベルではないシワが発生! このまま着用するのはどうであっても無理な印象。
こうして両者を比較すると、違いがわかりやすく、洗濯物の種類によっても仕上がり具合が変わることを把握できました。
ちなみに、容量が多くてもキレイに仕上がる日立の風アイロンは、洗濯ネットなどを使うと効果が発揮できません。洗濯・乾燥を一気に行うのではなく、「ネットに入れた状態で洗濯」を行い、シャツのみ、あるいは絡まりやすい衣類を除いた状態から乾燥運転をした方がいいでしょう。
最後に、検証してわかった注意点を2つお教えします。
[注意点①]低温乾燥のシャツは 乾燥機にかけちゃダメ!
水温40℃まででタンブラー乾燥不可(一般の乾燥機はダメ)の女性用シャツを、あえて検証に使用してみました。
すると、見事に縮んでしまいました。
メーカーは低温乾燥と表記していますが、やはり洗濯表示は守らなければダメでした。
[注意点②]絡まるチノパンは タオル類とは別の方がいいかも
今回意外だったのがチノパン。ユニクロで購入したものですが、どうもタオルと絡まるせいか、どちらの機種でも散々な結果に(3kgから)。絡まりやすいだけにタオルなどとは別の方がいいかもしれません。
日立とパナソニックの乾燥比較では 風アイロンの日立に軍配!
今回の日立とパナソニックの乾燥機能の比較では、「風アイロン」というネーミングのとおり、日立が圧倒的な差を見せつけました。
乾燥時間がやや長めではあるものの、その効果は文句なし! 5kgの重量でもきっちりと仕事をこなし、半袖にいたっては、普通に着て出かけられる見事な仕上がりでした。これ1台あれば、大家族でも、雨の日が続いても、鬼に金棒です。
ただ、購入後のお手入れは、毎回乾燥フィルターの掃除が必要な日立に対し、パナソニックはホコリがとりやすい構造になっています。特に日立は、歯ブラシなどが必要で、前面ドア付近にホコリがたまるのも注意。機能面はもとより、清掃面も参考にしてみてください。
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