掃除力に加えて使い勝手も 全7モデルを徹底検証しました
ここでは2016~2017年にかけて発売された最新のスティッククリーナー7機種の実力をチェック。一番重要視したのは、ゴミをしっかり吸い取れるかどうかです。そのため各モデル、性質の異なる5種類のゴミを同時に吸わせるテストを実施。
紙くずや毛糸を混ぜることで単に吸い込めるかだけではなく、ヘッドのブラシに巻き付かないかもチェックしています。もちろん、ダストボックスの取り外しやすさやフィルターの手入れのしやすさなど使い勝手も細かく確認しています。
住宅で一般的なフローリングの床・畳・絨毯の3種類のフロアを用意し、それぞれで掃除力をテストしました。
床・絨毯・畳のテストでは以下の混合ゴミを使用しました。
● 園芸用砂/約150g
● シリカゲル/約50g
● シュレッダーの紙くず
● ミシン糸/長さ4cm
● 毛糸/長さ9cm
砂とシリカゲル、ミシン糸と毛糸など長さや重さの異なる成分で実際のゴミを模しています。
テスト① 掃除力(床・畳・絨毯・壁際)
それぞれ1往復させてどれだけゴミを吸い込めるかテストしました。
テスト② 使い勝手
ゴミの捨てやすさやフィルター手入れといった機能性もチェック。また、家具下の掃除しやすさやヘッドの走行性などの使い勝手を実際に試して評価しました。
それでは早速、検証結果の発表です!
驚異の吸引力はオールS評価! やっぱりダイソンは本物でした
ダイソン
V8
Fluffy
実勢価格:6万6600円
本体サイズ:W250×D1244×H224mm
消費電力:非公表
付属品:ミニモーターヘッド・隙間ノズル・コンビネーションノズルほか
吸引力が自慢のダイソンの最上級モデルが、掃除力の性能で他を圧倒しました。他のモデルがヘッドを1往復させて取る量のゴミを、ほとんど片道だけで吸い取ります。壁際のゴミもきっちり吸い取り、掃除力が従来モデルから大幅に改良されていました。
また、静音性やゴミの捨てやすさなども優秀。掃除機としてスキのない一台です。
[使い勝手評価]
取り回しのしにくさは少しありますが、掃除力については群を抜いて優秀。使いやすさが改良されているのも好感です。
[床ゴミ取り 評価S]
床は文句のつけようのない掃除力。床に吸い付いているのがわかるほどの吸引力で、片道だけでほぼすべてのゴミを取り除きました。
[畳ゴミ取り 評価S]
片道では、畳の目の部分に数粒の砂が残りましたが、往復ではきっちり取り切りました。片道の吸い跡もほかのモデルより圧倒的にキレイでした。
[絨毯ゴミ取り 評価S]
畳と同様、絨毯も片道だけではわずかに砂が残りましたが、ほかのモデルに比べると相対的に掃除力が高く、S評価としています。
ブラシが丸いため、壁際を正面から吸う際の掃除力を懸念しましたが、まったく心配なし。片道だけでキレイにゴミを吸い取りました。
どの場所に当てても、糸くずが絡みつくことはありませんでした。
広い場所の掃除も疲れない 自走式ヘッドが優秀なパナソニック
パナソニック
MC-BU500J
実勢価格:5万円
サイズ:W252×D153×H1160mm
消費電力:約27W(充電時)
付属品:すき間用ノズル・ペタすき間ノズル・延長管ほか
「IT(イット)」というシリーズネームの通り、ヘッドを通常の“T字型”の状態で使えるほか、ヘッドを立てた“I字型”でも使えることが最大の特徴です。I字型にすると幅がわずか5cmになるため、家具の隙間などもキレイに掃除できます。
ほかにも、握りやすい角度のハンドルや、壁に立てかけたときに倒れないためのストッパーなどの機能が魅力。スリムで収納場所を取らず、操作性や取り回しも良いなど、使い勝手が抜群です。吸引力も壁際の掃除力がすこし弱いものの、広い場所はキレイに掃除することができました。
[使い勝手評価]
自走式のヘッドはムダな力を使う必要がなく、長時間の掃除にも向いています。また、ゴミ捨てやフィルター手入れのしやすさなどの使い勝手でも高い評価を得ました。
[床ゴミ取り 評価A]
1ストロークでは少し難しいですが、1往復すればあらかたのゴミが取れます。ただし、ヘッド右側部分のゴミが多少残る傾向があります。
[畳ゴミ取り 評価A]
ゴミの取り残しはほとんどなくA評価。ただ、床でも見られたヘッド右側の糸くずの巻き込みが、より顕著になるのが惜しいところです。
[絨毯ゴミ取り 評価A]
絨毯も、畳と同様に右側のローラーに糸くずを巻き込みます。ヘッド中心部分はキレイですが、少々右側は取り残しも見られました。
壁際の掃除では糸くずを置いていないこともあり往復での取り残しは見られませんでしたが、1ストロークだけだとゴミが残ります。
畳と絨毯でローラーに糸が絡みつきました。しかしながらブラシはキレイです。
長時間の掃除も疲れない軽さ 使い勝手はナンバーワンの東芝
東芝
TORNEO V cordless
VC-CL1300
実勢価格:3万8308円
サイズ:W224×D1030×H224mm
消費電力:約13W(充電時)
付属品:すき間ノズル・丸ブラシ・ふとん用ブラシ・エアブローノズルほか
使い勝手では今回の検証でナンバーワンでした。とにかく軽く、押していて疲れを感じさせないので、広い部屋や多階層の家の部屋を一気に掃除するには最適です。ただ、掃除力は少し物足りなさを感じました。
[使い勝手評価]
狭い隙間もラクラク掃除できる使い勝手の良さが目立ちました。ゴミの捨てやすさや静音性にも優れています。
[床ゴミ取り 評価B+]
片道だけではゴミを取り残してしまうほか、往復させたときにヘッド右側の部分を取り残します。中心から左はキレイにできました。
[畳ゴミ取り 評価B]
往復させれば、どのゴミもキレイに取れるものの、片道だけでは細かいゴミがほとんど取れていない点が気になりました。
[絨毯ゴミ取り 評価B]
畳と同じく片道だけでは細かいゴミがほとんど取れません。加えて、往復させてもヘッドの両側の部分はゴミが取れませんでした。
ヘッド右側の吸引が弱いと思われましたが、壁際の掃除は片道でもある程度ゴミを取り除きました。糸くずや紙の掃除に弱い可能性があります。
床では問題ないのですが、畳と絨毯では紙と糸が絡みました。
4位: 狭いところは苦手ですが
吸引力は平均以上です
エレクトロラックス
エルゴラピード・リチウムベッド・プロ・パワー
ZB3233B
実勢価格:3万5144円
サイズ:W263×D150×H1070mm
消費電力:約16.3W
付属品:ベッド・プロ・パワーUVノズル・布用ノズル・ロングすき間ノズルほか
ヘッド側に重心が偏りかさばっているため、ハンディでないと狭い場所の掃除は少し辛い部分も。ただし、純粋な掃除力はハイレベルです。
[使い勝手評価]
ゴミの捨てやすさは全モデルのなかでも最高評価を得ました。ヘッド内蔵のカッターでブラシに絡みついた糸くずを切る機能が便利です。
[床ゴミ取り 評価B+]
ゴミは取れますが、ヘッドが大きいせいか、シリカゲルに乗り上げて動かし辛さを感じました。
[畳ゴミ取り 評価A]
床よりも柔らかいためか、走行はだいぶスムーズです。ゴミもよく取れました。
[絨毯ゴミ取り 評価B+]
吸っている面のゴミはしっかり取れます
しかし周囲の紙も吸い寄せて散らかしてしまいました。
1ストロークでパラパラと砂が残る程度。往復すれば完全に取り切れます。
畳と絨毯で糸が絡まるものの、量は多くありません。
5位: 閉口部の狭さが致命的
ゴミを十分に吸い込めません
マキタ
CL110DWI
実勢価格:9750円
サイズ:W412×D102×H109mm(ノズル取付時の長さ906mm)
消費電力:21W
付属品:サッシ(すきま)用ノズルほか
1kgを切る軽さで扱いやすい点などは評価できますが、上位モデルに比べて明らかにパワー不足。また、ヘッドの吸込み口が狭いため、掃除力は平凡でした。テストした7製品中最安ですが、コスパが高いとは言いにくい結果になりました。
[使い勝手評価]
ヘッドが軽くジョイントの可動域も広いので、取り回しに優れ、持ち上げたりの掃除もラクにできます。
[床ゴミ取り 評価B+]
砂やシリカゲルなどの重さがあるゴミは吸い取りますが、軽い紙や糸などは引きずってしまいます。
[畳ゴミ取り 評価B]
床と同じような傾向がありますが、畳では糸や紙をより吸い込まなくなりました。
[絨毯ゴミ取り 評価B]
往復させても砂を取り切れない部分があったほか、紙なども散らばりました。
ヘッドの両端まで吸い込める構造のためか、壁際の掃除力は優秀でした。
開口部が狭く、長い糸などが詰まりやすいのが難点です。
6位: 吸引力が少し弱く
大き目のゴミは苦手です
三菱電機
iNSTICK
HC-VXG30P
実勢価格:5万2350円
サイズ:W226×D195×H1053mm
消費電力:30W(充電時)
付属品:アレルパンチふとんクリーンアタッチメント(収納袋付き)・毛ブラシほか
清掃中に空気清浄ができる機能は発想がユニーク。掃除機としての実力は平均的ですが、ヘッドが自走式に改良されています。とはいえ、掃除力はいまひとつでした。
[使い勝手評価]
フル充電までの時間が約2時間と、今回の検証ではトップクラスでした。
[床ゴミ取り 評価B+]
片道ではゴミを取り切れず。往復させても砂の取り残しが出てしまいました。
[畳ゴミ取り 評価B]
紙などの軽いゴミは、吸い取らずにどんどん押し出してしまうので注意が必要です。
[絨毯ゴミ取り 評価B]
往復しても絨毯の目に詰まった砂を取り切れません。吸引力が弱い可能性が高いです。
他機種は往復させればほぼゴミを取り除けましたが、本製品は若干の取り残しが出てしまいました。
糸や紙が大量に絡みつきます。とくに絨毯はひどい有様でした。
7位: 使い勝手は悪くありませんが
大きいゴミは吸い取れません
シロカ
SV-H101SC-A
実勢価格:1万9101円
サイズ:W227×D211×H1055mm
消費電力:14W(充電時)
付属品:隙間ノズル・ブラシ付きノズル・充電スタンドほか
ハンドルの持ちやすさやヘッドの走行性など、魅力的なポイントも多いのですが、重くて大きなゴミを吸い取れないのはマイナス要素でした。
[使い勝手評価]
可動域180°の「スネークヘッド」も動かしやすいだけでなく、転がしやすさも抜群です。
[床ゴミ取り 評価C]
高評価モデルと遜色なく見えるが、電源を切るとシリカゲルが落ちてきます。
[畳ゴミ取り 評価C]
畳も一見すると他機種と同等以上。しかし、床と同様シリカゲルが落ちてきました。
[絨毯ゴミ取り 評価C]
絨毯も往復させたときの吸い跡はキレイでした。ただし、やはりシリカゲルが落ちます。
壁際の掃除力はまずまず。シリカゲルが落ちる傾向は同じでしたが、やや少ない印象です。
絨毯で糸が絡まるものの、量は多くありません。
[総括]掃除力はダイソン 東芝とパナは使い勝手に強み
検証の結果、掃除力については世間の評判どおり、ダイソンが他のモデルと大きな差をつける結果に。床、畳、絨毯の吸引力に加えて、従来モデルでは弱点であった壁際への対応もしっかり改良されていました。この点で、掃除機としては完成されています。しかし、海外モデルの、「パワー優先」とする部分は多少残っており。取り回しなど使い勝手については、まだ改良すべき点が少なからず見えました。
その反面、パナソニックや東芝は国内メーカーらしく、軽さや自走式のヘッドなど、使いやすさを追求した部分が多く、掃除の負担を軽くしたいという人ならば、十分に選択肢に入ると言えます。
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